はじめに/記事一覧/
ブログ主は、文系人間で、本件専門家ではもちろんありませんが、STAP細胞に関する一連のマスコミ報道や、理研のSTAP細胞論文調査報告書、改革委提言等を読んで、疑問が多々ありますので、問題提起を試みるものです。
小保方氏のデータ管理の杜撰さに起因する混乱に対しては、批判されるべきは当然ですが、だからといって、そこで思考停止して、バッシング一色になるのはおかしいですし、研究者にとって死刑宣告に等しい「改竄」「捏造」認定が、かくも不合理な内容と手続きにより下されるのは極めて問題ではないか? という問題意識です。
そして、STAP細胞を否定する側の科学者らが科学的検討に立って論点の整理、「捏造」仮説の補強に努めないまま、笹井氏、丹羽氏らが、そして若山氏自身2月時点でインタビューで述べていたES細胞とは明確に異なり、それでは説明できない事象について考察することをせず、思考停止してしまっているところに問題の深刻さを感じます。
「捏造・改竄」定義をゆがめ、未必の故意論まで持ち出して「不正」認定した調査委、そして、論旨や前提が変遷し科学的検証をせよといいながら、一方で、検証もされていない遠藤、若山両氏の主張を丸のみして、世界三大不正だと断じる支離滅裂な改革委提言が独り歩きし、混乱が増幅していったことは由々しきことでした。
さまざまな展開があり、笹井氏の自死という悲劇が生まれましたが、科学界、マスコミの非科学的態度、異常なバッシングの犠牲だと思います。
現在、2014年10月初めですが、今後、小保方氏の再現実験、丹羽氏の検証実験を見守りたいと思いますが、成否どちらにしても、笹井氏、丹羽氏、2月時点での若山氏が述べていたSTAP現象仮説が指摘する事象をきちんと科学的に説明されることが必要だと考えるものです。
(注)以下の記事一覧は、yahoo!ブログの記事にリンクしていますので、2019年12月15日以降は、リンク先が削除されています。再リンクには時間がかかりますので、記事タイトルから、ブログ内検索でアクセスしていただければ幸いです(19/12/7記)。
② 2014年12月~2015年2月の記事
③ 2015年3月~9月初ブログ記事のテーマ別一覧
④ 2015年9月~2016年4月ブログ記事のテーマ別一覧
⑤ 2016年5月~2016年8月10日ブログ記事のテーマ別一覧
【その1】2016年8月11日~2018年4月30日ブログ記事のテーマ別一覧
【その2】2016年8月11日~2018年4月30日ブログ記事のテーマ別一覧
日本の特許庁での分割出願の動向(2019年12月初め現在)
Hidetaroさんに教えていただいた日本の特許庁での一連の動きについては、(仕事が多忙で落ち着いて読む余裕がなかったので)年末年始に読んでみたいと思います。
■2018年6月になされた分割出願の審査情報を閲覧するには、以下の画面から次のように辿ります。
のサイトの右欄の、「経過情報」をクリックします。
その表のタブの「分割出願情報」をクリックします。
そうすると、「第一世代」の分割出願として、「特許出願 2018-117481」が記載されていくので、それをクリックします。
そこに、一連の審査記録が表示されます。
■それをざっとみると、主な変更は次のようなものかと思います。
1 出願人の変更
日本の特許庁への出願人は、米国の場合と異なって、ハーバード大ブリガム&ウィメンズ病院でしたが、米国と同様、V-CELL社に変更になっています。
2 日本での代理人の変更
代理人が、高島特許法律事務所から山本特許法律事務所に変更になっています。11月28日付で山本事務所の代理人が選任され、12月2日付で高島事務所の代理人が辞任しています。
11月28日の請求項の補正、意見書等は、すべて、山本事務所の代理人によって行われています。
3 請求項の変更
19年5月28日付の拒絶理由通知を受けて、請求項を、
分割出願後当初の、
「Oct4を発現する細胞を含有する細胞塊を生成する方法」から、
「細胞集団中の多能性の幹細胞マーカーを発現する細胞の数を増やす工程を含む、非胚性の正常な分化した体細胞の集団において多能性細胞の数を増やす方法」
に補正(修正)しています。
STAP細胞出願の一番当初は、「多能性細胞を生成する方法」でしたが、それが「OCT4発現細胞含有の細胞塊の生成方法」になり、今回、「細胞集団の中の多能性マーカー発現細胞増加を含む多能性細胞を増やす方法」になりました。
大きな拒絶理由の一つが、「もともとの出願の発明の課題が、細胞を脱分化させて多能性細胞を生成することだったはずだが、OCT4発現だけでは課題解決にならない」というものでしたので、それに対応して、再び、多能性細胞について、「細胞集団の中で増やす方法」としたようです。
「増やす」という意味が分かりにくいのですが、11月28日付の「意見書」の中で、次のように書かれています。
***********************************
「ほとんどの組織は、少数の多能性細胞を含みます。本願発明は、元々少数含まれている多能性細胞の数を増やす方法に係る発明です。
当業者は、本願発明の解決課題(すなわち、細胞をストレスに供することにより細胞を脱分化させ、多能性細胞を生成すること)が、補正後の本願発明の方法によって解決可能であることを容易に認識できますし、本願明細書の開示内容は、当業者が過度の試行錯誤を強いられることなく補正後の本願発明を容易に実施できる程度に十分に理解できるものです。
また、補正後の本願発明の方法は、多数の第三者機関によって検証されていることから、実施可能であることは明確です。出願人はここに、本願において開示される方法の確実性を証明した、本願出願後の3つの論文を甲第1~3号証として提出いたします。甲第1~3号証は、審査官殿のご指摘とは異なり、外来遺伝子などを導入することなく、ストレス曝露のみによって細胞が脱分化できることを明確に実証しています。」
***********************************
「元々少数含まれている多能性細胞の数を増やす方法」と書かれているのを読むと、嘗てのバカンティ研究室の「芽胞様細胞(spore-like cells)」や東北大のMuse細胞のコンセプトを連想しますが、その後には、「脱分化」と書いてあります。
拒絶理由の中に、以下の指摘があります。
**********************************
そうすると、両Nature論文に掲載された実験データを取得した一連の研究活動と同一の研究活動に基づく本願明細書記載の実験データは、本願明細書に記載されたとおりの手法により得られたものであるか否かが不明であり、その信憑性について疑義があるというほかない。
一方で、本願の発明の詳細な説明の実施例と同内容を開示していた両Nature論文(参考文献1、2)の研究内容自体、すなわち、外来遺伝子の導入等なしに低pH等のストレス曝露のみによって細胞を脱分化させ得るか否かについて、参考文献5には、複数の研究グループによって、低pH曝露等による多能性細胞生成(STAP現象)についての再現実験が行われた結果(本願発明者の一人であるVacanti氏の研究室で行われたと認められるものも含む)、両Nature論文に記載されるようなSTAP現象を再現することはできなかった、と結論付けられている(参考文献5の第E6頁左欄第1,2段落, 第E8頁左欄第2段落)。その上、理化学研究所における解析の結果において、両Nature論文につき、用いられた全てのSTAP細胞関連材料はES細胞に由来するものであったことが判明し、細胞ストレスによって多能性細胞へと再プログラム化するという論文の証拠には異議がある、との結論となっ たものと認められる(参考文献6の第E5頁右欄第2段落)。そして、両Nature論文の共著者の一人(本願発明者ではない)による理化学研究所の検証実験チームの報告においても、STAP現象の実際の科学的重要性を調査すべく両Nature論文や関連情報に示された方法に基づいて再現実験を行ったものの、両論文に記載されたようなSTAP現象は、再現不可能(not reproducible)であると結論付けた、とされている(参考文献7のSummary)。
*********************************
これに対する反論のひとつとして、下記の****以下のように述べています。
専門的なことはよくわかりませんが、反駁の趣旨は、以下のようなことだと理解しました。違っていたら、ご指摘ください。
「審査官は、「ネイチャー論文が取り下げられたし、桂調査委やそれを踏まえた理研グループの論文でES細胞混入だと結論とされているのだから、その取り下げ論文に依拠した主張をしても駄目だ」というが、取り下げ理由に含まれない部分で有効なデータが多々ある。透過電子顕微法や細胞ライブイメージングなど、小保方氏らが操作しようがないもので、「公正な参考研究所で行なわれた」客観的な試験データである。
それらのデータをみれば、ES細胞では説明できない事象が多々ある。それらのデータによって、ストレスによる多能性細胞の増加という現象を裏付けできる。
補正後の本願発明の方法は、多数の第三者機関によって検証されていることから、実施可能である。」
*********************************
【意見書抜粋】
審査官殿は、参考文献1および2の両Nature論文が共に2014年7月3日に取り下げられた点についてご指摘です。これら両Nature論文が取下げられた理由は、当業者が本願発明を追試するのに必要な情報である「ATP」の必要性について開示していなかったからです。
ATPの重要性については、本願の実施例1において明確に示され、表3によって実証されています。
多能性の意味をどのように規定するかは様々ですが、データははっきりと、細胞にストレスを加えて多能性へと方向付けることができることを実証しています。例えば、本願の図1A~1Dをご参照いただきますと、図1A~1Dは、CD45陽性体細胞からのOct4発現細胞の生成を示しており、特に、図1Aは、ストレス処理細胞のOct4-GFP発現を示していますが、ストレス処理細胞がOct4-GFPを発現した一方、非処理コントロールはそうではありませんでした。また、図1Bは、ストレス処理細胞および非ストレス処理コントロールの集団分析を示していますが、GFP発現細胞集団は5日目でストレス処理群においてのみ観察されました。図1Cは、ストレス処理の前および後(7日目)のCD45陽性細胞の細胞サイズ分析を示しており、図1Dは、ストレス処理後のCD45陽性細胞の経時変化を示しています。これらの図は、ストレス処理した細胞において、最初はCD45が強発現していたものが、OCT4が出現し、経時的に強くなるとともに、CD45発現が経時的に次第に弱まる様子を示す、連続的な画像を示しています。胚性幹細胞はCD45を発現しませんので、この現象が胚性幹細胞の混入に拠るものであったと主張することはできません。CD45+細胞、STAP細胞および胚性幹細胞の透過電子顕微法は、STAP細胞の像が、胚性幹細胞とは異なるユニークな核クロマチン密度を有しており、それが、混入した胚性幹細胞ではあり得ないことを示しています。
Nature論文(参考文献1)は、STAP細胞が多能性マーカーを発現することを示しています。特に、GFP陽性STAP細胞が、様々な幹細胞マーカーを発現し、その発現が3日目~7日目にかけて増える様子を示した、図2bをご参照ください。個々の量が、胚性幹細胞について示されるものとは異なるので、その発現が、胚性幹細胞の混入に起因するものではなかったことを示しています。また、図2cは、成体CD45+細胞と比較した、STAPおよび胚性幹細胞のOCT4プロモーターの後成的な変化を示しています。
この試験は、公正な参考研究所で行なわれたものです。STAP細胞および胚性幹細胞は、対照と比較して顕著な脱メチル化を示しています。STAP細胞は、胚性幹細胞とは異なる脱メチル化パターンを有しており、胚性幹細胞の混入の可能性を排除しています。図2fは、アルカリホスファターゼ染色を用いた異なる解離パターンを示しており、これもまた、胚性幹細胞の混入の可能性を排除しています。図3は、低pH処理による様々な細胞からのSTAP細胞変換を示しています。図3aおよびbは、STAP細胞および胚性幹細胞の両方からの胚性幹細胞マーカーの相対的発現を示しています。両方の細胞型がこれらのマーカーを発現していますが、その相対的な発現パターンは明確に異なり、このことは、STAP細胞の結果が、胚性幹細胞の混入に起因するものではなかったことを証明しています。図5aは、STAP細胞と胚性幹細胞の間の明確な形態の違い、ならびに、ki67およびBRDUの量の間の顕著な違いを示しており、STAP細胞が胚性幹細胞と異なるものであることを示し、胚性幹細胞の混入の可能性を排除しています。図6は、体細胞組織に由来するストレス処理した細胞から誘導された、体細胞組織のSTAP細胞への変換を示しています。図5fは、STAP細胞がX染色体不活化の形跡を示す一方で、胚性幹細胞がX染色体不活化の形跡を示さない様子を示しており、STAP細胞を胚性幹細胞から区別しています。また、図9は、OCT4産生に関して様々な組織に対する様々なストレスの影響を示しています(成体組織が胚性幹細胞を含まないことから、根拠が確実であると言えます)。さらに、図1cはFACS分析を用い、図2bの広範囲にわたるデータは、ストレス処理したCD45+細胞が次第にCD45発現を失う一方で、OCT4の発現が増していくことを示すために、細胞ライブイメージングを用いています。混入したとされる胚性幹細胞はCD45を発現しませんし、死細胞がOCT4産生を次第に増加させることもありません。
Nature論文(参考文献2)は以下に示すような広範囲にわたるデータを提供しています:図3bおよびcは、胚性幹細胞および成熟CD45+細胞と比較した、STAP細胞のトランスクリプトーム分析のヒートマップを示しています。各細胞型がユニークな発現パターンを有しており、STAP細胞がユニークな細胞であり、その由来となった成体CD45+細胞とも胚性幹細胞とも異なることを示しています。図4もまた、セグメントbおよびcにおけるトランスクリプトーム分析を示し、そのヒートマップは、成熟CD45+細胞、CD45+細胞および胚性幹細胞をストレス処理することによって誘導されたSTAP細胞についての異なる発現値を示しています。図6dは、全般的発現プロフィールの階層的クラスタリングからの1クラスターを示し、STAP細胞が、その由来となったCD45+細胞とも胚性幹細胞とも異なり、かつ、別の細胞であることを明確に示しています。
上記Nature論文の方法が機能しない(STAP現象が再現不可能)と結論付けた論文は、OCT4+GFP蛍光が死細胞の自発蛍光であったと記載しています。このように、本願明細書および参考文献1~2は、ストレス誘導因子が、高い割合の成体CD45+細胞を死に追いやったことを示しています。これらは自発蛍光を有したはずです。ストレス処理したCD45+細胞の時系列動画(対応する論文
(https://www.researchgate.net/profile/Masayuki_Yamato/publication/259984904_Stimulustriggered_fate_conversion_of_somatic_cells_into_pluripotency/links/544edcd90cf2bca5ce90beeb/Stimulus-triggered-fate-conversion-of-somatic-cells-into-pluripotency.pdf)のvideo 1)は、堅牢な拡張型のプロセスであり、ストレス処理したCD45+細胞が非常に生き生きしており、次第に緑になる(OCT4発現が徐々に増える)様を示しています。ここで観察された細胞はあらゆる時点においてOCT4を発現し、初めから緑になっていますので、混入した胚性幹細胞ではあり得ません。なお、参考文献1と同様、図1cではFACS分析を用い、図2の広範囲にわたるデータは、ストレス処理したCD45+細胞が次第にCD45発現を失う一方で、OCT4の発現が増していくことを示すために、細胞ライブイメージングを用いています。混入したとされる胚性幹細胞はCD45を発現しませんし、死細胞がOCT4産生を次第に増加させることもありません。
上記のとおり、本願明細書のデータは、ATPの重要性を示しており、補正後の本願発明の方法をサポートしています。ATP処理を含めた本願発明の方法は、参考文献1~2の方法に基づくものであって、その後の論文において反駁されておらず、また、実施可能であることを裏付ける証拠も存在しています。
例えば、上記甲第3号証(Batieら)は、多能性を取り扱った文献ではなく、ATP処理も含めていませんが、補正後の本願発明を裏付けています。
(以下略)」
******************************
これまで、拒絶理由に対して、「Oct4発現細胞の作製方法」というところに請求項を変えてきたところを、本来の「多能性細胞の作製方法(増加方法)」というところに戻した上で、操作できない公正客観的なデータ部分を援用して(笹井氏が2014年4月の記者会見で主張していたようなES細胞、死細胞では説明できない点を含めて反駁しつつ)、主張するということのようです。
http://www3.riken.jp/stap/j/s3document1.pdf
ただ、実施可能であることを裏付ける証拠として挙げている甲3号証以下の実験論文?等が、実際どういうものなのかは、よくわかりませんが・・・・。
DORAさんのYahoo!ブログも無事移行されました
DORAさんによる「DORAのブログ」は、STAP細胞問題については、様々な指摘、材料を提供されていたことは、周知の通りです。
Yahoo!ブログ廃止に伴い、このまま記事が失われてしまうのはあまりに惜しいものですから、DORAさんにご相談したところ、現在のライブドアの「DORAのブログ」に、過去記事も含めて移行していただくことができました。
http://mitridaterediponto.livedoor.blog/
これで、DORAさんの貴重な過去記事がすべて今後も読めるようになりました。
学とみ子さんのブログも早期に移行済みですので、ともかくは一安心です。
※ なお、このはてなブログは、アップできるのは画像ファイルだけで、PDFファイルその他のファイルがアップできないのは、大変不便です。
ライブドアやSeesaaのブログはそれができます。分かっていたはずなのですが、うっかり?失念し、はてなブログを移行先にしてしまいました(苦笑)。
再移行しようとしたら、移行用ファイルが容量オーバーで、できませんでした。
新規開設される場合には、様々な種類のファイル(PDF、音声、動画を含めて)がアップロードできるブログがお薦めです。
yahoo!ブログから引っ越し完了しました
ご無沙汰しています。
yahoo!ブログの完全廃止が来週の12月15日に迫る中、やっと移行作業を済ませました。
コメントは直接は移行できていませんが、別途、すべての記事を、「記事本文+コメント」でまとめてPDF化しました。
本当は、移行した記事ごとに、上記でコメント付きでPDF化したファイルにリンクを張るのがいいと思うのですが、何分、記事数が全体で540件近くあるものですから、とても作業する余裕がありません。
そこで、まとめてZIPファイルにして、アップロードしようかと思っています。
PDFファイルの一通りのチェックを済ませた上でアップしますので、今暫くお待ちいただければ幸いです。
とりあえず、無事移行完了のご報告です。
ブログの引っ越し予定
米国のSTAP特許出願は2件とも、拒絶査定
●Final Rejection(最終拒絶通知)後の対応について、いろいろなサイトに書かれています。専門的で難しいですが、前回と同様、審査を継続させる選択肢はあるということなのでしょうね。
http://patentjitsumu.hatenablog.com/entry/2015/09/25/002648
http://www.harakenzo.com/jpn/usa_uk/usa_56.html
前回の「最終拒絶通知」は、2017年5月で、その後、「継続審査請求」(RCE)を行いましたが、今回はどういう対応があるのか、そのうち動きが出てくるものと思います。
●なお、5月2日付で提出された「委任状」を見ると、チャールズ・ヴァカンティ氏の肩書が書いてありました。V-Cell社のCEOになっています。
Yahoo!ブログから他ブログへの移行方法/保存サイトの試験的開設
改めて想起される、ES細胞による再現実験をしなかった桂調査委の不合理さ
今日のニュースで、診療中のわいせつ行為の疑いで起訴された男性医師に対する無罪判決のことが報じられていました。
◎「胸なめられた」は“麻酔覚醒時の性的幻覚”か DNA鑑定にも疑問…男性医師に無罪判決
https://www.fnn.jp/posts/00427330HDK
これを見て、目についたのは、女性の胸に付着した唾液のDNA鑑定にも裁判所が疑問を持ち、判決では、「会話による飛沫や、触診の汗によってもたらされた可能性を排斥できない」としていることです。
弁護側が裏付け実験をして、それが採用されたということだそうです。
「男性医師側の弁護士も唾液鑑定についてこう主張した。
「手術の前に助手をつとめられた外科医の先生とご本人が、胸をはだけた患者を挟んで、手術の前のディスカッションをした。その時に唾液の飛沫が飛んで、その唾液の中に口腔内細胞が含まれるので、それが付着した可能性がかなり高いという主張をしている。
それを裏付けるために実験をした。その実験の結果からも、触診やそうしたディスカッションによる唾液の飛沫が胸にかかって、そこからDNA型が検出された可能性が極めて高い」」
これを読んで、改めて、桂調査委が「STAP細胞はES細胞だ」と断定したにも拘わらず、再現実験をしなかったことの不合理性を想起しました。
ES細胞では説明がつかないと思われる点がある中で、なぜES細胞による再現実験が行われないのか?という疑問について、以前、下記のようにいくつかの記事の中で書きました。
「STAP細胞論文には説明できない齟齬があり、正当性を証明できない」という判断に留まっていればともかく、「正体はES細胞だった」と断定したわけですから、ES細胞では説明できない反証材料に反駁できなければいけないことと、ES細胞による再現実験をしなければならないことを、縷々述べたものです。
痴漢、放火、わいせつ行為・・・さまざまな犯罪行為について、争いがある場合には再現実験をやってみて、説明できる、できないという証明が、捜査や裁判ではルーティンとして行われているということです。
「ES細胞を使った偽装行為」という研究犯罪だと断じた構図ですから、桂調査委も、犯罪捜査の常道に則ってES細胞による再現実験を行うべきでしたが、それもやらず、ES細胞では説明できない材料がそのまま残されている以上、桂報告書を信じろと言われても説得性に著しく欠けることは否めません。
◎「2-2 「STAP細胞事件」における科学と法律」
https://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/16976963.html
**********************************
「ES細胞と断定せず、「論文には矛盾があり、STAP細胞の存在は証明されていない」という段階で、あるいは「ES細胞でも説明できる可能性がある」という程度に留まっていれば、問題はなかったと思います。しかし、その段階を超えて、「正体はES細胞だ」と断定したのであれば、そしてそれを論文にして公表したのであれば、あらゆる反証材料に耐えなければならなくなります。それは、科学としてもそうでしょう。
それを依然として「科学とはそういうものではない」と繰り返し、「STAP細胞の存在を証明するのが先だ」というワンパターンのトーチカから出てこないというのは、奇怪な話です。桂調査委は、STAP細胞の正体はES細胞だと断定したことを科学論文にして公表したのです。それであれば、論文内容がどのような反証材料に対してもそれを覆す整合的説明ができなければなりません。STAP論文は著者にその真実性の証明を求める一方で、ES細胞混入断定論文については、その真実性の証明はしなくてもいいというのであれば、それはダブルスタンダードというものでしょう。 (中略)
そして、主張の補強、立証の一環として、再現実験というのもしばしば行われます。先日の長女放火殺人での再審無罪決定も、弁護側、検察側それぞれが自らの主張を裏付けるために、放火実験をしたわけです。
http://www.sankei.com/west/news/151225/wst1512250017-n1.html
痴漢裁判にしても、争いになったときには、この背の丈、この位置関係で、実際に行為に及ぶことができるか、ということを実験するわけです。
ところが、「正体はES細胞だ!」と断定的に主張する人々は、桂調査委員会を含めて、決して再現実験をしようとしません。ES細胞そのものなのか、浮遊細胞(胚葉体)なのか、自らがそうと信じる細胞を使って、あのライブイメージング画像に示された現象を再現し、丹羽氏、笹井氏らの指摘を論破すれば、事は決着するにもかかわらずです。一般の研究者は、「自分の研究費と時間を使ってまでやる気はない」「実験したからといって科学に貢献することにはならない」等々、やらない理屈を述べたてますが、少なくとも、桂調査委は、ES細胞だと断定し、故意の可能性が高いとまで言うのであれば、ES細胞による再現実験をして立証すべきでした。マスコミにしても、NHKなどは、東大等に委託して遺伝子分析をしたのですから、ES細胞で再現実験を委託すればよかったでしょうに。多くの研究者にとって、慣れ親しんだES細胞の操作などはお手のものでしょうから、再現など簡単でしょう。
早稲田の鎌田総長が述べたように、「不正というのであれば、そう指摘するほうが立証しなければならない」わけですから、「ES細胞による捏造だ!」と断定して、小保方氏を「捏造犯だ!」と名指しして攻撃するのであれば、然るべき立証をする責任を負っているということです。ところは、そこはもう空気の支配になっていて、みんなで渡れば怖くないとばかり、小保方氏へのバッシング、それも人格的中傷まで含めてみな平気でやるのですから、呆れた所業です。
このように、科学界とマスコミは、立証の責務を果たさないままに、小保方氏を捏造犯だと断罪して、バッシングを続けているのです。」
*********************************
◎「小保方氏のホームページ開設と、関連する動きに関する感想」
https://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/17227375.html
******************************
「ES細胞では説明がつかない点については一切無視しますし、研究不正とは研究犯罪である以上、ES細胞だと断じる以上は、STAP細胞実験での一連の事象をES細胞によって再現してみるというのは、当然の基本的「捜査」の一環となるべき作業のはずですが、それを果たそうとはしません。研究不正の解明は、警察によるのではなく、まずは科学界の自治に委ねられているのですから、そこまでやるのは義務とも言えるでしょう。
通常の刑事事件では、事実関係に争いがあれば、検察側はそこまで必ずやります。昨年12月に大きく報じられた東住吉女児焼死事件再審決定も、「自白」に沿った検察側の主張に対して、弁護側がまず放火の再現実験で、検察の主張は成り立たないことを主張し、検察側で行った再現実験でもやはり無理だった、ということで、再審決定に至ったものです。
http://www.sankei.com/west/news/151225/wst1512250017-n1.html
しかし、STAP細胞を否定する桂調査委も科学界も、決してES細胞による再現実験をしようとはしませんでした。ES細胞そのものなのか、浮遊細胞なのか、科学界の見立てがどちらなのかわかりませんが、そうだと断定する以上、また、小保方氏による混入、すり替えによるものだとする以上、(ES細胞の扱いには慣れているでしょうし)あの一連の実験経過を再現することは容易でしょう。そして、笹井氏、丹羽氏らによって形状、性質等からES細胞では説明できないとされた材料を説明することも簡単でしょう。
研究犯罪である研究不正について、一定の事実認定に基づいて有罪判決を下すのであれば、そこまでやるのは「科学検察」の役割も担う科学界の義務だということです。「著者が再現できないので、STAP細胞の存在は確認できず、研究不正と『みなす』」という判断だけに留まるのであればまだわかりますが、そこから大きく踏み込んで、「正体はES細胞だった」と断じる以上、その立証責任は、そう断じる側にあります。
********************************
https://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/16907513.html
********************************
「第二点は、なぜ、ES細胞によって追試をして見せ、ライブイメージング画像等と同一現象が生じることを示そうとしないのか? という点。
先日の大阪女児火災死亡事件の再審・釈放に際しても、自らが主張する現象について再現実験をやって裏付けをしたことが、決定打となりました。
STAP細胞がES細胞だったというのであれば、山ほどES細胞はあるわけですから、それで実際、STAP幹細胞、FI幹細胞、テラト―マ、キメラマウス等を作ってみて、電子顕微鏡画像の一連の観察経過、胎盤の様子を再現して見せれば、百聞は一見に如かず、笹井氏、丹羽氏、2月時点での若山氏のES細胞では説明できない旨の指摘をことごとく覆すことができます。あれはES細胞だと主張する研究者が、「STAP細胞が簡単だというならやって見せてみろ」と小保方氏には迫るのに、自分がES細胞でさっさと再現しようとしないのは不思議な限りです。
いずれも、STAP細胞の存在を主張する側が再現して見せることが順序だ、というところに逃げ込んでしまっています。しかし、研究不正調査というのは、研究犯罪捜査に近いものですし、桂調査委員会の場合には、桂委員長が、会見冒頭で述べた如く、
「最初の調査委員会の後、主に理研内部でいろいろな科学的調査が行われて、データが溜まってきました。・・・報告としては、主に科学的調査が主体だが、論文についても調査した、論文の製作過程についても調査した。」
というように、論文調査だけではなく、科学的調査をメインとして行ったとしているのですから、そこでES細胞の混入だと断定するのであれば、ES細胞では説明できない点についても、ことごとく反証しなければならないはずです。
検察が、犯罪を立件する場合には、細かいディテールまで事実を積み上げていきます。しばしば贈収賄事件の捜査について新聞で報じられますが、いつ、誰が、どこで、どのように金を渡したのか?ということを、警察は突き詰めて調べて行きます。どのレストランのどの席のどこに坐って授受が行われたのか?、金を詰めたのが紙袋なのか、カバンなのか? 誰が詰めて、誰が持って行って、どう言って渡したのか? 時間は何時何分なのか? アリバイは成立していないか? 等々、一連の事実がつながらないとアウトです。」
**********************************