理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

改めて想起される、ES細胞による再現実験をしなかった桂調査委の不合理さ

 

 今日のニュースで、診療中のわいせつ行為の疑いで起訴された男性医師に対する無罪判決のことが報じられていました。

 

「胸なめられた」は“麻酔覚醒時の性的幻覚”か DNA鑑定にも疑問…男性医師に無罪判決

 https://www.fnn.jp/posts/00427330HDK

 

 これを見て、目についたのは、女性の胸に付着した唾液のDNA鑑定にも裁判所が疑問を持ち、判決では、「会話による飛沫や、触診の汗によってもたらされた可能性を排斥できない」としていることです。

 弁護側が裏付け実験をして、それが採用されたということだそうです。

 

「男性医師側の弁護士も唾液鑑定についてこう主張した。

「手術の前に助手をつとめられた外科医の先生とご本人が、胸をはだけた患者を挟んで、手術の前のディスカッションをした。その時に唾液の飛沫が飛んで、その唾液の中に口腔内細胞が含まれるので、それが付着した可能性がかなり高いという主張をしている。

それを裏付けるために実験をした。その実験の結果からも、触診やそうしたディスカッションによる唾液の飛沫が胸にかかって、そこからDNA型が検出された可能性が極めて高い」」

 

 これを読んで、改めて、桂調査委が「STAP細胞はES細胞だ」と断定したにも拘わらず、再現実験をしなかったことの不合理性を想起しました。

 

ES細胞では説明がつかないと思われる点がある中で、なぜES細胞による再現実験が行われないのか?という疑問について、以前、下記のようにいくつかの記事の中で書きました。

STAP細胞論文には説明できない齟齬があり、正当性を証明できない」という判断に留まっていればともかく、「正体はES細胞だった」と断定したわけですから、ES細胞では説明できない反証材料に反駁できなければいけないことと、ES細胞による再現実験をしなければならないことを、縷々述べたものです。

痴漢、放火、わいせつ行為・・・さまざまな犯罪行為について、争いがある場合には再現実験をやってみて、説明できる、できないという証明が、捜査や裁判ではルーティンとして行われているということです。

ES細胞を使った偽装行為」という研究犯罪だと断じた構図ですから、桂調査委も、犯罪捜査の常道に則ってES細胞による再現実験を行うべきでしたが、それもやらず、ES細胞では説明できない材料がそのまま残されている以上、桂報告書を信じろと言われても説得性に著しく欠けることは否めません。

 

 

◎「2-2 「STAP細胞事件」における科学と法律」

 https://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/16976963.html

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ES細胞と断定せず、「論文には矛盾があり、STAP細胞の存在は証明されていない」という段階で、あるいは「ES細胞でも説明できる可能性がある」という程度に留まっていれば、問題はなかったと思います。しかし、その段階を超えて、「正体はES細胞だ」と断定したのであれば、そしてそれを論文にして公表したのであれば、あらゆる反証材料に耐えなければならなくなります。それは、科学としてもそうでしょう。

それを依然として「科学とはそういうものではない」と繰り返し、「STAP細胞の存在を証明するのが先だ」というワンパターンのトーチカから出てこないというのは、奇怪な話です。桂調査委は、STAP細胞の正体はES細胞だと断定したことを科学論文にして公表したのです。それであれば、論文内容がどのような反証材料に対してもそれを覆す整合的説明ができなければなりません。STAP論文は著者にその真実性の証明を求める一方で、ES細胞混入断定論文については、その真実性の証明はしなくてもいいというのであれば、それはダブルスタンダードというものでしょう。 (中略)

 

そして、主張の補強、立証の一環として、再現実験というのもしばしば行われます。先日の長女放火殺人での再審無罪決定も、弁護側、検察側それぞれが自らの主張を裏付けるために、放火実験をしたわけです。

http://www.sankei.com/west/news/151225/wst1512250017-n1.html   

痴漢裁判にしても、争いになったときには、この背の丈、この位置関係で、実際に行為に及ぶことができるか、ということを実験するわけです。

ところが、「正体はES細胞だ!」と断定的に主張する人々は、桂調査委員会を含めて、決して再現実験をしようとしません。ES細胞そのものなのか、浮遊細胞(胚葉体)なのか、自らがそうと信じる細胞を使って、あのライブイメージング画像に示された現象を再現し、丹羽氏、笹井氏らの指摘を論破すれば、事は決着するにもかかわらずです。一般の研究者は、「自分の研究費と時間を使ってまでやる気はない」「実験したからといって科学に貢献することにはならない」等々、やらない理屈を述べたてますが、少なくとも、桂調査委は、ES細胞だと断定し、故意の可能性が高いとまで言うのであれば、ES細胞による再現実験をして立証すべきでした。マスコミにしても、NHKなどは、東大等に委託して遺伝子分析をしたのですから、ES細胞で再現実験を委託すればよかったでしょうに。多くの研究者にとって、慣れ親しんだES細胞の操作などはお手のものでしょうから、再現など簡単でしょう。

早稲田の鎌田総長が述べたように、「不正というのであれば、そう指摘するほうが立証しなければならない」わけですから、「ES細胞による捏造だ!」と断定して、小保方氏を「捏造犯だ!」と名指しして攻撃するのであれば、然るべき立証をする責任を負っているということです。ところは、そこはもう空気の支配になっていて、みんなで渡れば怖くないとばかり、小保方氏へのバッシング、それも人格的中傷まで含めてみな平気でやるのですから、呆れた所業です。

このように、科学界とマスコミは、立証の責務を果たさないままに、小保方氏を捏造犯だと断罪して、バッシングを続けているのです。」

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「小保方氏のホームページ開設と、関連する動きに関する感想」

https://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/17227375.html 

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ES細胞では説明がつかない点については一切無視しますし、研究不正とは研究犯罪である以上、ES細胞だと断じる以上は、STAP細胞実験での一連の事象をES細胞によって再現してみるというのは、当然の基本的「捜査」の一環となるべき作業のはずですが、それを果たそうとはしません。研究不正の解明は、警察によるのではなく、まずは科学界の自治に委ねられているのですから、そこまでやるのは義務とも言えるでしょう。

 

 通常の刑事事件では、事実関係に争いがあれば、検察側はそこまで必ずやります。昨年12月に大きく報じられた東住吉女児焼死事件再審決定も、「自白」に沿った検察側の主張に対して、弁護側がまず放火の再現実験で、検察の主張は成り立たないことを主張し、検察側で行った再現実験でもやはり無理だった、ということで、再審決定に至ったものです。

http://www.sankei.com/west/news/151225/wst1512250017-n1.html  

 

 しかし、STAP細胞を否定する桂調査委も科学界も、決してES細胞による再現実験をしようとはしませんでした。ES細胞そのものなのか、浮遊細胞なのか、科学界の見立てがどちらなのかわかりませんが、そうだと断定する以上、また、小保方氏による混入、すり替えによるものだとする以上、(ES細胞の扱いには慣れているでしょうし)あの一連の実験経過を再現することは容易でしょう。そして、笹井氏、丹羽氏らによって形状、性質等からES細胞では説明できないとされた材料を説明することも簡単でしょう。

 研究犯罪である研究不正について、一定の事実認定に基づいて有罪判決を下すのであれば、そこまでやるのは「科学検察」の役割も担う科学界の義務だということです。「著者が再現できないので、STAP細胞の存在は確認できず、研究不正と『みなす』」という判断だけに留まるのであればまだわかりますが、そこから大きく踏み込んで、「正体はES細胞だった」と断じる以上、その立証責任は、そう断じる側にあります。

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◎「1 STAP細胞=ES細胞正体説の根拠の脆弱さ―統一見解がない「閣内不一致」」

https://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/16907513.html

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「第二点は、なぜ、ES細胞によって追試をして見せ、ライブイメージング画像等と同一現象が生じることを示そうとしないのか? という点。

 先日の大阪女児火災死亡事件の再審・釈放に際しても、自らが主張する現象について再現実験をやって裏付けをしたことが、決定打となりました。

STAP細胞がES細胞だったというのであれば、山ほどES細胞はあるわけですから、それで実際、STAP幹細胞、FI幹細胞、テラト―マ、キメラマウス等を作ってみて、電子顕微鏡画像の一連の観察経過、胎盤の様子を再現して見せれば、百聞は一見に如かず、笹井氏、丹羽氏、2月時点での若山氏のES細胞では説明できない旨の指摘をことごとく覆すことができます。あれはES細胞だと主張する研究者が、「STAP細胞が簡単だというならやって見せてみろ」と小保方氏には迫るのに、自分がES細胞でさっさと再現しようとしないのは不思議な限りです。

 

いずれも、STAP細胞の存在を主張する側が再現して見せることが順序だ、というところに逃げ込んでしまっています。しかし、研究不正調査というのは、研究犯罪捜査に近いものですし、桂調査委員会の場合には、桂委員長が、会見冒頭で述べた如く、

 

「最初の調査委員会の後、主に理研内部でいろいろな科学的調査が行われて、データが溜まってきました。・・・報告としては、主に科学的調査が主体だが、論文についても調査した、論文の製作過程についても調査した。」

 

 というように、論文調査だけではなく、科学的調査をメインとして行ったとしているのですから、そこでES細胞の混入だと断定するのであれば、ES細胞では説明できない点についても、ことごとく反証しなければならないはずです。

 検察が、犯罪を立件する場合には、細かいディテールまで事実を積み上げていきます。しばしば贈収賄事件の捜査について新聞で報じられますが、いつ、誰が、どこで、どのように金を渡したのか?ということを、警察は突き詰めて調べて行きます。どのレストランのどの席のどこに坐って授受が行われたのか?、金を詰めたのが紙袋なのか、カバンなのか? 誰が詰めて、誰が持って行って、どう言って渡したのか? 時間は何時何分なのか? アリバイは成立していないか? 等々、一連の事実がつながらないとアウトです。

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