理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

米国特許庁の拒絶理由は、小保方氏の言う「STAP現象」を認めているのでは?-先行研究があるから拒絶という構成


 STAP細胞に関する米国特許出願について、Oct4発現方法に限定した請求項に補正したものについての継続審査請求に対して、7月13日付で、拒絶理由通知がなされています。
 finalではありませんので、今後、それに対して3か月以内に応答が必要ということのようです。

 さてそれで、拒絶理由通知の内容を、門外漢でわからないながらも、見てみました。
 USPTOサイトPublicPair
  ①ハーバード大B&W病院/V-CELL社による出願
   14/397080 とアプリケーションナンバーに入力し、imagefilewrapper タブをクリック。

■ どうも、日本の特許庁による拒絶理由とは、全く内容が異なるようです。
 以下が、日本の特許庁による拒絶査定における拒絶理由です。
 そこでは、「サポート要件」と「実施可能要件」の2つになっています。


 「Oct4発現細胞塊を生成するという発明の技術内容が、発明の詳細な説明において明確かつ十分に記載されているとはいえない」
 
 という実施可能要件が実質的にメインのものになっています。

■ 他方、米国特許庁の拒絶理由は、新規性がない=先行発明がある、ということがポイントになっているようです。
 米国特許法の旧102条(b)=新規性、旧103条(a)=非自明性 の規定が拒絶理由の根拠となっています。

 ※2011年の先発明主義から先願主義に移行する改正法は、2013年3月16日以前の優先権主張の出願には、旧法が適用されるそうです。
 STAP細胞の特許は、2012年4月24日に米国に出願され、2013年3月13 日に、(米国に)優先権主張出願がなされていますので、旧法が適用されることになるようです。実際、今回の拒絶理由も、旧法を引用しています。

 検索してみると、和訳が見つかりました。

 第 102 条 特許要件;新規性及び特許を受ける権利の喪失 
 次の各項の一 に該当するときを除き,人は特許を受ける権利を有するものとする。
(a) その発明が,当該特許出願人による発明の前に,合衆国において他人に知られ若しくは使用されたか,又は合衆国若しくは外国において特許を受けたか若しくは刊行物に記載された場合,
(b) その発明が,合衆国における特許出願日前 1 年より前に,合衆国若しくは外国において特許を受けた若しくは刊行物に記載されたか,又は合衆国において公然実施若しくは販売された場合

 第 103 条 特許要件;自明でない主題 
(a) 発明が,同一のものとしては第 102 条に規定した開示又は記載がされていない場合であっても,特許を受けようとするその主題と先行技術との間の差異が,発明が行われた時点でその主題が全体として,当該主題が属する技術の分野において通常の知識を有する者にとって自明であるような差異であるときは,特許を受けることができない。特許性は,発明の行われ方によっては否定されないものとする。

■ それで、5.5のph濃度の酸刺激によるOct4発現については、2004年のZhao氏という研究者によるがん細胞に関する研究によって確認されているので予想され得るということで、先行発明あり=新規性なし、ということのようです。

 また、非自明性については、Zhao氏の酸による研究成果と他の研究者によるATPによる研究成果とによって、ATPによるOct4発現は、当業者による技術常識において、自明だということのようです。

■ 私の能力では、そのような概略しかわかりませんが(こういう理解で合っていますでしょうか?)、

【補足】 (7月28日)
 下記の斜字部分のハイデルベルク大の酸刺激による反応については、「阿塁未央児」さんが、OCT4の反応とは無関係である旨指摘して、この記事で大宅氏の要約を引用することを、ミスリーディングであり、無理解だと批判しておられます。

STAP細胞に関連して、がん細胞というと、ハイデルベルク大の成果が連想されます。大宅氏による論文の要約によれば、

********************************
(1)序論:STAP論文は撤回されたが、低pHの刺激による万能性獲得の可能性は、がん、または、がん幹細胞の分野においては魅力的な課題である。

(2)実験:そこで、理化学研究所と米ハーバード大学から発表されたプロトコルを改変して、セルライン化されたT細胞に刺激を与える実験を行った。

(3)結果:当グループが見つけたpH3.3の条件では、酸処理後、多能性マーカーの一種であるAP染色陽性細胞の割合が増加した。AP陽性の多能性細胞は酸処理ストレス下を生き延びて優位に増加。
********************************
 
 「がん細胞に酸刺激を与えると、多能性マーカーを発現する細胞ができる」という点では、共通のような気がしますが、どうなのでしょうか・・。


 Zhao氏の研究については、これまでの一連の論議の中で、指摘されていましたでしょうか?
 また、ハイデルベルグ大の研究者は、このZhao氏の研究成果は知っていたのでしょうか?

■ いずれにしても、日本の特許庁の拒絶理由は、超訳的に要約すれば、

「明確かつ十分に記載されていないし、撤回された論文に書かれている実施例と同じものなど信憑性がない。丹羽氏の実験とは、再現実験で使った細胞の種類が全く同じとはいえないから、再現されたとは言えない。」

 という門前払い的なもの?であるのに対して、米国特許庁の拒絶理由は、

「発明としては認めるけれど、先行研究ですでに同様のことが確認されていて、当業者であれば実施可能だから、特許として認めることはできない。」

 ということで、中身に立ち入って考察しています。
 丹羽氏の再現実験について言及しているかどうかは確認していませんが、「再現はされたかもしれないが、もっと以前にそういう研究成果はあったのだ」という拒絶の趣旨でしょうから、日本の特許庁の拒絶理由とは、大きな乖離があります。
 (丹羽論文は、出願者から提出されていますし、日本の特許庁へはこれによって再現されていると主張していますので、米国特許庁の審査官が認識しているのは間違いありません。)
 

■ 今後、3か月以内に、これに応答する必要がありますが、どういう結果になるのか、待ちたいと思います。

 もし、特許が駄目になったとしても、 日本の特許庁のように、「撤回された論文の研究内容など信憑性がない」といわれたままで終わったのでは、救われないでしょうが、今回の米国特許庁の拒絶理由によって、小保方氏が言うところの「STAP現象」(酸刺激によってOct4を発現する)については、(先行研究があったものの)認知されたということでしょうから、まだしも救われるのではないでしょうか。

 
 勘違い等あればご指摘ください。
 また、より詳しく解説して頂ける方がいれば助かります。