理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

STAP細胞に関する議論が平行線となる理由―「公式の事実」に依拠する議論と、「公式の事実」に至る過程、内容に疑義を呈する議論


拠って立つところが異なっていると、いつまでやり取りしても、平行線です。
 検証実験報告・論文にせよ、桂調査委報告にせよ、その内容に議論があるとしても、それらが「公式に」発表されることによって、「公定力」を持ちます。論文も、撤回されたことによって、その経過、理由に議論があるとしても、撤回という「公式の事実」となります。
 特許出願にせよ、科学研究にせよ、諸々の公式な手続き等にせよ、それらの公式に定まった事実、内容をもとにして動いていくことになります。
 行政庁がいくら不合理な行政処分をしたとしても、それが裁判所によって、不合理だと認定されたり、別途の証拠が提出されることによって覆されるまでは、公式処分として当事者なり社会を拘束します。
 STAP細胞問題も、それらの公式に定まった事実、内容をもとにして議論するのと、公式に定まった事実、内容自体の疑義について議論するのとでは、なかなか交わるところがありません。
 
■ 公式に定まっているのは、


 ・STAP論文は撤回された。
・検証実験では、小保方氏、丹羽氏とも論文通りには再現できなかった。
 (ただし、丹羽氏の検証実験報告では、ATP酸処理で一定条件下でOct4発現細胞
 塊がわずかではあるが有意に発現すると認定された)
・第三者による再現は、誰も成功事例を報告していない。
・自己点検委報告、小保方氏が幹細胞研究まで含めて従事したと認定され、 若山氏は支援的立場に留まるとされた。
・改革委提言では、小保方氏は前代未聞の不正を働いた研究者とされた。
・桂調査委の調査報告で、(故意による)ES細胞混入の可能性が高いとの報告がな
 された。
・小保方氏は、論文上の問題で不正認定され、懲戒相当とされた。
・特許出願では、撤回された論文をもとにしたり、自らが成功したとするバカンティ氏
 らによる主張が認められず、最終拒絶理由通知が打たれた。
・これを受けて、丹羽氏の検証実験を踏まえた論文をもとにして、Oct4発現細胞塊
 の作製法に減縮補正がなされた。
 
 といった事実です。こうした一連の「公式の事実」に拠って立ち、多能性のあるSTAP細胞は確認されていない(存在しない)のだから、期待しても意味がない、期待を煽るべきではない、と論じるのに対して、それらの一連の「公式の事実」が定まる過程、内容等に対して諸々の疑義を呈しつつ、今後の可能性も含めて論じるのとでは、議論の土俵が異なりますから、交わることはありません。
 前者の論者からすれば、後者の論者は「非科学的」「妄想」ということでしょうし、後者から見れば、前者の人々は「思考停止」「(別の意味で)非科学的」ということでしょう。
 
■ 前者の論者にとっては、もう検証実験と桂調査委報告とで科学的に最終決着したと考えているのでしょうから、後者の論者の議論など、放っておけばいいと思うのですが、桂調査委報告から3年以上が経っているにも関わらず、ずっと後者の「擁護派」ブログをフォローし、コメントを書き続ける(人によっては侮蔑的言辞で)、その原動力、動機は何なのでしょう?
 それはそれぞれの勝手かもしれませんが、同じことを繰り返し書きこまれるのはブログ主としては困りますし、「過剰な期待を煽るべきではない」「この先のことをいま想像しても意味はない」等々の指摘は、後者の論者に対して、「議論するな」「モノを言うな」というように聞こえます。
 
■ 前者の論者の皆さんにとっても、特許出願の行方は多少は気になるのかもしれませんが、それだけ、「刺激によるOct4の出現など以前から知られていたもので目新しい話ではない」とか「Muse細胞が先行研究で新規性がない」、「産業利用可能性がない」といったことに確信があるのであれば、拒絶査定がなされるでしょうから気にすることもないでしょう。

 当方も、「公式の事実」からすれば、客観的には難しいところがあると思いつつ、しかし、昨年夏に、審査官が「補正によって拒絶理由が解消される可能性がある」ということを、「公式の面談記録」に残したこと、その後実際に丹羽論文を根拠にして、ATPによるOct4発現細胞塊の作製方法に減縮補正がなされたこと、そして、特許査定通知(正確には特許料支払い期限)までに出せばいいとされる宣誓書が出されたことから、もしかして特許査定に至るのではないか・・・と期待を抱いているというものです。根拠のない期待ではありません。


 特許査定がなされるということは、大きな「公式の事実」であり、その内容は小保方氏が言うところのSTAP現象の一部が公式に認められるということです。小保方氏の立場に即した初めての「公式の事実」を得るということになり、画期的であることは間違いありません。有利な「公式の事実」を得れば、そこから様々な派性が生まれてきます。
 
しかし、そのような期待がはずれて、拒絶理由通知が再度なされるのであれば、仕方がありません。当分は、「公式の事実」の面では雌伏を余儀なくされることになるでしょうが、いずれ時機をみての再挑戦に期待するということでしょう。
 ただし、これまでのSTAP細胞に関する一連の「公式の事実」に関する疑義についての議論は消えることはないでしょう。


 特許出願については、そう遠からず結果が出るでしょうから、それを待てばいいと思います。