理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

STAP細胞特許成立の場合に、理研が応答を迫られる疑問

 先走りになるかもしれませんが、以下の記事で書いたように、
 
◎「いよいよSTAP特許成立か?―宣誓書提出は特許の見通しが立った証左では?」
 
仮に、V-Cell社とハーバード大(日本での出願はハーバード大)のSTAP特許出願が認められた場合、そのインパクトはいろいろ出てくるかと思います。
 今後、特許明細書に書かれたATP酸処理によって、多能性細胞が作成された場合に、それがV-Cell社とハーバードの特許の権利範囲に入ってくるというのが、最も大きなインパクトですが、それは、理研や桂調査委員会にも、跳ね返ってくる話だと思います。 
 マスコミがどういう取り上げ方をするかによりますが、普通に考えれば、


STAP細胞は、ES細胞が正体だったはずなのに、STAP特許成立って、いったいどういうこと?」


という疑問が自然な反応です。
 以下、理研に対して発せられるであろう一般的質問、疑問をちょっと並べてみます。国会での質疑にもなるかもしれません。ことは、「知財立国」という国是を大きく損ねたのではないか? 生命科学研究の権益をみすみす逃したのではないか? といった国益問題に発展する話です。


 
質問1 理研は、桂調査委員会で、STAP細胞はES細胞の混入可能性が高いとし、ネイチャー誌にも、その旨の論文を投稿し掲載されている。今回、ハーバード(V-CELL社)によるSTAP細胞の特許出願が縮減補正の上認められ、ATPの酸処理による多能性マーカー発現細胞の作製法が特許として認められた。ES細胞だったというのであれば、特許が認められるのはおかしいのではないか? 理研はどう評価しているのか?
 
質問2 理研は、201412月に特許出願の持ち分放棄の方針を決めている。しかし、今回の特許認容の決め手になったのは、理研が行った検証実験のうち、丹羽氏による「酸処理によって、有意にOct4が発現した」との実験結果の報告書の記載である。これが再現性ありとの裏付けとなっている。小保方氏は、理研の若山研究室でも多数作製に成功しているOct4発現細胞を、丹羽氏が再現に成功しており、しかもそれは検証実験においてである。つまり、理研での研究成果、検証成果が直接の根拠となって特許成立に至ったにも拘わらず、特許出願を放棄するという判断をしたのは、間違っていたのではないのか? 

 質問3 今後の研究の進展により、特許明細書に書かれたATP酸処理によってできた細胞塊から多能性細胞が作成された場合に、それはV-Cell社とハーバードの特許の権利範囲に入ってくるため、酸処理による多能性細胞作製の研究・実用化については、米国に覇権を握られることになる。理研は、せっかく、自らの研究室での研究成果、検証成果によって、特許の権利を得ることができたはずなのに、安易な放棄によってそれが失われ、科学分野における国益を大きく損ねたのではないのか?
 
質問4 理研が特許出願の放棄に当たって、ハーバード大とはどのような協議をしたのか?ハーバード大が特許出願は継続するとの方針だったことは当然把握していたはずだが、理研はそこで、放棄の方針を再検討することはできなかったのか?
 
質問5 そもそも、検証実験による有意なOct4発現という結論と、桂調査委員会によるES細胞混入との結論とは、矛盾するのではないのか? 桂調査委員会は、2014年の1226日に報告書を発表しているが、検証実験報告書の公表のわずか1週間前の1219日だった。これらの日程をみれば、桂調査委員会は、検証実験結果を十分吟味した上で報告書をまとめたとは到底思えない。特定国立研究開発法人法提出や指定を焦るあまり、初めから、ES細胞混入という結論ありきだったのではないのか?
 
質問6 検証実験報告書公表の記者会見では、自ら検証実験を行った丹羽氏は、「Oct4が発現するからといって多能性が必ずあるというわけではない」としつつも、検証実験の際にOct4が有意に発現した細胞の形態は、当時小保方氏が作製し、丹羽氏が電子顕微鏡で見たものと同じようなものだったと認識している旨述べている。また、笹井氏も20144月の会見で、ES細胞とは明らかに形態が異なる特殊な細胞である旨述べている。また丹羽氏は、FI幹細胞培地で出現した細胞も、ESでもTSでもなかったとしている。これらを踏まえれば、桂調査委員会が、STAP細胞はES細胞混入可能性大と結論したのは、性急だったのではないのか?桂委員長は、会見で、笹井氏、丹羽氏によるES細胞では説明が付かない旨の指摘について、両氏の説明は調査対象外だと答えているが、おかしいのではないか?
 
質問7 そもそも、小保方氏参加による検証実験に問題があったのではないのか?実際、小保方氏はその手記において、実験環境が想像を超える制約のあるものだったと指摘しているだけでなく、当の実験責任者である相澤氏自身が、検証実験結果報告の会見時に、非科学的な検証方法であり、こんなことは許されるべきではない旨の異例の批判発言をしている。更に、相澤氏は、その小保方氏参加の検証実験報告論文において、改めて実験環境の制約を指摘している。理研は、この相澤氏発言に対して何らの釈明もしておらず、また相澤論文は、丹羽氏論文とは違って、そのHPには掲載していない。これらからみて、理研側は故意に、小保方氏の検証実験が成功しないようにしたと見るのが自然であり、だからこそ、相澤氏の指摘を無視しているのではないのか? もし然るべく実験環境を用意すれば、小保方氏はOct4発現細胞の作製に成功していた可能性が高いとみるべきではないのか? 理研は、小保方氏だけでなく、実験責任者の相澤氏にまで批判されるような実験環境としたことについて、納得のいく説明をせよ。
 
質問8 桂調査委員会の報告には、今から振り返れば、多々問題が感じられる。たとえば、
① 笹井氏、丹羽氏が指摘した、ES細胞では説明できない事象について敢えて検討していないこと。
② 若山氏が手交したマウスの種類、系統は、その主張通りに前提を置き、コンタミの可能性を初めから排除しているが、クローンマウスの混入等、他の可能性について検討していないこと。
③ 「胎盤と見えたのは卵黄嚢の誤認である可能性大」という結論は、「~と見る専門家もいる」という程度の根拠薄弱なものであり、石井委員会の前提とも異なること。
④ 調査のカギとなるはずであり、その旨理研自身が存在を言及していたはずのキメラマウスのホルマリン漬けについて、理由も述べずに、「調査できなかった」としていること。
⑤ 小保方氏の手記によれば、若山研での研究実態の証拠提出を拒まれた等の手続き的重大な瑕疵があること。
⑥ ES細胞による検証実験をしていないこと。
 等々問題が相当あるように思える。これらを慎重に検討していれば、ES細胞混入との性急は結論づけはなされず、特許出願放棄という軽々な決定は避けることができたのではないのか?
 
質問9 今回のSTAP特許成立によって、これまでの理研の検証実験、桂調査委員会調査等に大きな問題があったのではないかとの疑念が明らかになってきた。事は「知財立国」という国是に関わる話であり、多能性細胞という生命科学研究の主導権に関わる話でもある。理研による第三者委員会では信用性に疑問があるので、この際、改めて、(理研文科省STAP細胞を批判した学会等の当事者を排除した)公正な第三者組織を設けて、一連の調査、検証実験の経過、妥当性、意思決定の所在等について、検証すべきではないか?
  
 ・・・といった話にも発展しかねない次元の問題だということです。
 
■小保方氏の日記を単行本化する中央公論社は、読売新聞社の傘下ですから、もし今回の特許が成立するならば、大きく報道することになるのではないでしょうか? 読売新聞は、STAP細胞報道においては、あまり目立った印象はありませんでしたから、NHK毎日新聞のような利害関係、しがらみはありませんので、いろいろ疑問を提起するのではないかと思います。
 もしかすると、理研側のリーク者とその問題を一面で大々的に報じようとした大手新聞社というのは、読売新聞かもしれません。


 「STAP細胞事件」は、科学の次元とはまた異なる社会的問題でもあり、スキャンダル的要素が芬芬と感じられますから、これを契機に真相を明らかにしてもらいたいものです。