理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

もう一つのSTAP特許出願も成立すれば、STAP細胞は名実ともに復権する

 前回記事で



 を書き、その追加補足で、コメント欄で、浮かれ気味にあれこれ書きましたが、その浮かれての延長で、特許成立後の展開を考えてみました。
 
■この特許出願の大きなインパクトは、仮に縮減補正がされた形で特許化された場合であっても、栗原先生が指摘する如く、
 
「仮にこの出願が特許化されてしまうと、将来的に誰かが酸によるストレス+何らかの工程により多能性細胞を作る方法(いわば真のSTAP細胞の作成方法)を発見した時に、この特許のライセンスがないとその方法を実施できなくなってしまう」
 
 という点にあります。
 そうなると、改革委の会見で、東大の塩見教授は、次のように述べていますが、今後誰かが、刺激によるリプログラミングの再現をしたとしても、その研究成果は、ハーバード、VCell社の特許範囲に含まれてきますから、その研究による知財権が仮に得られたとしても、二次的なものになってしまいます。
  https//www.bengo4.com/other/1146/1307/n_1641/   
 
「塩見委員:ネイチャー論文2本について、著者の方たちが撤回しようという手続きをしている。ネイチャーもそれに同意して、撤回することになると思うが、そうすると、STAPというものはなくなってしまうと、考えていただければいいのではないか。そうなると、再現実験もしなくていい。ないものは再現できないのだから。
今後、何かストレスをかけることで、リプログラミングできるというのを誰かが発見したときには、STAPという名前ではなくて、その人が新しい名前を付けて発表すれば良い。STAPはじきになくなるのではないか、と私は個人的に考えている。」 
 
STAP細胞研究を軽くみようとする向きにおいては、「幹細胞研究は、iPS細胞やMuse細胞等によって既に先行しており、経済性、産業応用から見ても、そちらが優位にあるから、STAP細胞ができたとしても、見向きもされないのだ」・・・といった指摘が見られるかと思います。
 しかし、本当にそうなのでしょうか?
 
 刺激を加えることによってOct4が発現する細胞を作製する方法という、入り口段階で特許の網をかけることになれば、そこで産業的独占権が生じるわけですから、産業応用を狙う企業等は、多額の資金の投入が可能になるわけです。
 そういう狙いがあったからこそ、ハーバード大Vcell社はこれだけ粘りに粘って、世界各国での特許出願維持のために多額の資金を負担してきているはずです。全く違う方法で作製する幹細胞として、ES細胞、iPS細胞やMuse細胞等に互していける可能性をにらんだものということでしょう。
 
 それに、特許出願は、栗原先生が紹介してきているものだけではありません。もう一つ、別途の出願が係属していますWIPOの番号→ WO2015/143125
 それは、バカンティ氏と小島氏を発明者とする関連の特許出願ですが、JISAIさんによれば、20149月に公開した(STAP細胞作製のための)追加プロトコルに基づいて出願されたもので、その中では、脊髄ニューロンの機能回復に成功した新実験のことも明細書に触れられているとのことです(WO2015/143125)。
 
「特許本文と参照データは20143月のSTAP特許と重複している部分がありますが、タイトルがSTAP特許の「GENERATING PLURIPOTENT CELLS DE NOVO」ではなく「METHODS RELATING TO PLURIPOTENT CELLS」となっていて、請求項をみると、HBSS(HanksBalanced Saline Solution)平衡生理食塩溶液水?とATPでの初期化が中心で、STAP特許での請求項は残っていなさそうで、基本的に別ものと思います。
(その意味で発明者がバカンティ氏と小島氏だけになっているのではないかと)  
2016/1/16() 午後 9:57 [ JISAI ]」

「請求項ClaimsにはSTAPは触れられていない("Sphere"とだけ)のですが、明細説明にはSTAP関連でプロトコル改良版と新実験の事が追加されていました。
プロトコル改良は、HBSS平衡生理食塩溶液水+ATPを使用したもの。(20149月に発表された追加プロトコルと同じ内容かと)
新実験の方は、成体ラットの脊髄損傷治療として、脊髄ニューロン(痛覚過敏応答と熱応答)の喪失後に脊髄ニューロンSTAP幹細胞移植で機能回復できたらしいです。
要するにこの新規特許は、20149月のSTAP追加プロトコルをベースに特許申請されたもののようです。 
2016/1/17() 午後 2:06 [ JISAI ]

 ※ 上記のJISAIさんのコメントは、昨年1月段階のものですが、その後、請求項(クレーム)に補正がかけられているのはよくわかりません(経過がいろいろ書かれていますので、素人ではよくわかりません)。 

 こちらの特許出願の状況をみると、今年5月段階での「den*****」さんのご紹介によれば、各国で国内移行しています。

Vacanti氏と小島氏の共願のWO2015/143125は、昨年の10-11月が移行期限でしたが、VCellはこれも少なくとも10か国(日米欧中韓豪加墨新以)に移行しています。非英語圏4か国(日中韓墨)も含まれていますから、翻訳費用を含めて移行費用として少なくとも1000万位はかかっているはずです。Vacanti氏が個人で賄っているとは思えません。(略)
2017/5/25() 午後 11:03[den***** ]

 最近も(8月)国際出願の国内移行した国もあるようですし、米国での審査状況をみると、拒絶理由を打たれているわけではなく、引き続き審査中のようです。

 ◎ USPTOのサイト http://portal.uspto.gov/pair/PublicPair で、
    15/269,077 とアプリケーションナンバーに入力し、検索。
 
 こちらの特許出願では、追加プロトコルによって作製したSTAP細胞を移植して脊髄神経が機能回復したという実験結果を出しているとのことなので、STAP細胞は、単にOct4発現に留まらず、多能性細胞としての位置づけになるのではないでしょうか。特許出願の名称は、
  Methodsrelating to pluripotent cells
 となっています。
 
 また、バカンティ氏の研究は、米国国防総省、陸軍の資金による研究として支援されてきたという経緯もあります。バカンティ氏としては、iPS細胞とは異なる初期化メカニズムへの科学的関心を超えて、明らかに産業応用、軍事面での活用まで睨んでいると思われます。
 
■こうやって見てくれば、STAP細胞の産業応用可能性等について軽視することは、妥当とは言えないのではないかと思います。
 ES細胞にしても、最初は安定的に再現できるまではかなりの試行錯誤期間が必要だったようですし、iPS細胞やMuse細胞についても、今の隆盛に至るまでには紆余曲折があったかと思います。STAP細胞も同様に、試行錯誤を経て定着していく可能性は十分あるのではないでしょうか。
 
係属中の特許出願のうち、Oct4発現細胞の生成方法に関する最初の出願が、この2カ月の間に認められることになったら(もちろん、異議申立てや無効請求は提起されるかもしれませんが)、次の焦点は、追加プロトコルに基づくバカンティ、小島氏による特許出願の成否に移ります。それも特許成立すれば、STAP細胞は多能性細胞として認知されるということでしょうから、名実ともにSTAP細胞の復権は果たされることになるということでしょう。
そして、細胞の「刺激による多能性獲得」に関する研究トその果実は、ハーバード大VCell社の支配下におかれることになることでしょう。

そういうまさかのSTAP細胞の復権と、その特許をテコとした米国の研究面、産業応用面での支配に直面したとき、あれだけSTAP細胞と小保方氏潰しに熱狂してきた日本の学術界とマスコミは、どういう反応を示すのでしょうか・・・。


※ 小保方氏参加による検証実験結果については、海外研究者は、冷静に見ていたと思います。
 小保方氏参加の検証実験結果をまとめた相澤論文へのコメントで、Austin Smith教授らがその意義を認め、小保方氏が主張する定義の「STAP細胞」は、再現されたと評価しています。


「この研究設計、結果と解釈は明白に提示されている。推定のSTAP細胞の凝集体は、これは小保方氏によって蛍光性及びまたは形態学的なベースで定義された通りに得られた。」
Ryobu氏訳)


※ イレーヌ・デ・ラザロ(Irenede Lazaro)氏もまた、相澤論文の結論に至る過程について、疑問を投げかけています。丹羽氏の検証実験についても、小保方氏が研究で行った実験環境と同じだったのかといってことにも言及されています。

 http://ryobu.hatenablog.com/entry/2016/09/20/192250 (Ryobu氏による訳文)