理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

日本と米国でのSTAP特許出願の新展開!―特許が認められて逆転サヨナラの可能性?!


日本でのSTAP特許出願に関しての栗原潔先生の記事が、各所で紹介されています。
 
◎「日本の「STAP特許出願」拒絶理由にハーバード大が想定外の応答」
 
「なんと97日にクレーム補正と意見書による対応が行なわれていました。結構大胆なクレーム補正が行なわれています。説明の簡略化のためにクレーム1(一番範囲の広いクレーム)のみを説明します。
 旧クレームが「細胞をストレスに供する工程を含む、多能性細胞を生成する方法。」であったのに対して新クレームは「細胞を、低pHストレスに供する工程を含む、Oct4を発現する細胞を含有する細胞塊を生成する方法であって、該低pHが、5458pHであり、且つ、pHの調整がATPを用いて行われることを特徴とする、方法。」と変更されています。」
 
「仮に今後この出願が特許化されたとしても、STAP細胞が特許化された、また、STAP細胞の存在が証明されたという話にはなりませんので、注意が必要です。
ただ、仮にこの出願が特許化されてしまうと、将来的に誰かが酸によるストレス+何らかの工程により多能性細胞を作る方法(いわば真のSTAP細胞の作成方法)を発見した時に、この特許のライセンスがないとその方法を実施できなくなってしまうという問題が発生し得ますのでちょっとややこしいことになります。」
 
 ということで、クレーム内容を補正しながら、まだ出願手続きは継続するということのようです。
 
■それで、米国はというと、518日に「最終拒絶理由通知」(Final Rejection)は出されたところまでは、5月の記事でもご紹介したところです。
 
◎「米国特許出願に対する最終拒絶理由通知の件」
 
 Final Rejectionと言ってもそれで終わりということではないという話ですが、手続き的には、非最終拒絶理由通知と同様に、3か月+3か月=計6か月までは応答を延長することができるそうですので、11月中旬までは延ばせるということでしょうか・・・。

 【補足】というか、その期間内に以下のように対応する必要があるということのよう
  です。
   ・応答しなければ放棄したとみなされること、
   ・応答したとしても、特許が認容される必要があること(でないと、やはり放棄し
    たものとみなされる)、
   ・特許として許可される旨の通知がなければ、出願人は自らの判断によっ
    て、RCE(継続出願)または審判請求、分割出願の手続きを取る必要があるこ
    と、

 そして、その応答をする前に、審査官のインタビューを受ける(面談/電話)ことも有効だと、解説サイトにはあります。


 それで、USPTOのサイトをみると、630日付で、出願者代理人との電話インタビューの要約が載っています。
 
  USPTOのサイト http://portal.uspto.gov/pair/PublicPair で、
   14/397080 とアプリケーションナンバーに入力し、
   image filewrapper タブをクリックすると、一連の動きが表示されます。
 
 電話協議が、614日に行われたとあります。そして、協議の結果は、以下のような趣旨のようです(違っていたらご教示下さい)。

「出願人は、撤回した論文とクレームの縮減可能性について協議し、審査官は、クレームの縮減具合次第で拒絶理由が解消されるかも知れないということに同意した。」
 
 その後の動きは載っていませんが、応答期間は11月中旬までありますので、この協議結果に即して、クレームの補正を行っている最中ということでしょう(注:上記の通り、その間に応答を踏まえて特許が認められるか、継続出願等をする必要がある)
 
 このような米国での流れでみると、9月初めに、日本の特許出願でクレームを「大胆に」補正したということと、動きは合致するように思えるのですが、どうなのでしょうか?
 
  日本の特許庁への出願のクレーム補正が、
 
「細胞を、低pHストレスに供する工程を含む、Oct4を発現する細胞を含有する細胞塊を生成する方法であって、該低pHが、5458pHであり、且つ、pHの調整がATPを用いて行われることを特徴とする、方法。」
 
 というものに変更するものであれば、それは、理研の丹羽氏による検証実験でも、数は少ないながらも有意に発現したと結論されているわけですから、STAP論文が撤回されたことに関わりなく、理研の検証実験論文によって裏付けられているということになります。
 
「肝臓由来の細胞を ATP 処理して得られた STAP 様細胞塊においては、少数ではあるものの、Oct3/4 を有意に発現する細胞が含まれていると結論した。」
 
 丹羽氏は、会見での質疑応答で、有意なSTAP様細胞塊が何だったのか?と問われて、
 
「わからない」「見たものは見たとしか言えない」
「自分が電子顕微鏡で見たものと同じだった」
 
 と答えています。「多能性細胞を生成する方法」というクレームだったから、論文撤回によって裏付けが失われた形になっていますが、Oct4を発現する細胞を含有する細胞塊を生成する方法」であれば、裏付けが理研検証実験論文という形で存在しています。
 
 それに、もともと、小保方氏の関心は、
 
iPS細胞の作製過程で起こる初期化とはまったく異なるメカニズムによってOct4陽性の細胞ができてくる可能性を示した実験結果から、ストレス処理後に起こる細胞の変化過程に対する私の興味は更に強まった。」(『あの日』p88
 
 ということでしたから、もしこのクレーム補正によって、特許が認められることになるとすれば、もともと小保方氏の実験結果をアーティクル論文で示そうとしていたことが、そのまま特許化するということになってくるのではないかでしょうか?
 
 話がおかしくなってきたのは、『あの日』の上記引用箇所に続けて書かれているように、
 
「しかし、若山先生のご意見は違っていて、『Oct4陽性細胞という多能性を示す細胞が採取できるならば、キメラマウス作製こそが最重要なデータであり、iPS細胞のような(無限増殖できる)幹細胞ができるかもしれない可能性を追うことを目的とすべきだ』とおっしゃっていた。実験をしていると、Oct4陽性の細胞塊が非常に不安定な状態であることが感じられた。ある一瞬を捉え、若山先生のゴッドハンドならば、キメラマウスはできるかもしれないとも思ったが、私の一番の興味はやはり細胞の変化過程だった。」
 
といった流れで、若山氏の幹細胞化への関心に引っ張られていったことにあります。
それが、やがてレター論文となり、その幹細胞化研究の一部がアーティクル論文に入ってきてしまったために、いわば、「無理心中」の形で、小保方氏らの本来の研究成果を反映したはずのアーティクル論文も撤回を余儀なくされたという流れでした。
若山氏の一人相撲にさんざん振り回された経過となり、小保方氏やバカンティ教授も甚大な被害を被ることになりました。しかし、上記のようなクレーム内容で特許が認められることになれば、その研究成果が公式に認められたということになりますので、小保方氏やバカンティ両氏にとっては、起死回生の?大きな一打となることでしょう。
※ 9回2アウト、ランナーなしから、逆転サヨナラの一打という構図です。
 
■栗原先生は、

「仮に今後この出願が特許化されたとしても、STAP細胞が特許化された、また、STAP細胞の存在が証明されたという話にはなりません」

 と指摘されています。こういう趣旨の指摘は、理研改革委提言後の記者会見でも、東大の塩見美喜子教授がしています。
 しかし、Oct4の発現が一般的に多能性の発現だと捉えられていて、若山氏がそれを裏付ける成果を出したというので、笹井氏がそれを前提にして、「STAP」=「刺激惹起性多能性獲得細胞」というネーミングを提案したという経緯です。小保方氏も、多能性発現まではもともとはコミットしておらず、あくまで「化学的、物理的刺激によるOct4発現細胞の生成」とういう点が、研究成果の中核だったはずです。
 そういう経緯を考えれば、栗原先生や塩見教授の指摘は、小保方氏らにとっては、本来関係のないことでしょう。
 
■この特許出願の大きなインパクトは、仮に縮減補正がされた形で特許化された場合であっても、栗原先生が指摘する如く、
 
「仮にこの出願が特許化されてしまうと、将来的に誰かが酸によるストレス+何らかの工程により多能性細胞を作る方法(いわば真のSTAP細胞の作成方法)を発見した時に、この特許のライセンスがないとその方法を実施できなくなってしまう」
 
 という点にあります。一般的には多能性を示す徴しであるOct4が発現したということは、いずれ実際に多能性が証明される可能性はあるわけでしょう。それは、今の時点で証明する必要はないと割り切った形での補正です。 しかし、いずれ誰かが証明しても、それによる実用化は、すべてハーバード大なり、Vcell社の特許ライセンスがないといけないということになりますから、彼らの当初の目的はこれで達することになると思われます。
 
 ・・・ということに実際なるのか、わかりませんが、もしそうなる場合には、小保方氏の研究成果を、特許化の形で世に認知させるカギとなるのは、どうやら丹羽氏がその検証実験で、少ないながらも有意なOct4発現細胞を再現してくれたお陰・・・ということになりそうです。
 そして、小保方氏のHPで紹介されたあの細胞とその生成方法にも、改めて注目があつまることになることでしょう。


 ・・・小保方氏の名誉回復と社会復帰に向けた一筋の光が、微かながらもも差し込み始めつつある・・・と言ってしまうのは、言い過ぎでしょうか・・・。

       【勘違い、事実誤認等があれば、ご教示お願いします。】
 

※冒頭の小生記事のコメント欄で、弁理士[ den***** ]さんから、以下のようなご指摘をいただいています。各国のその後の状況はわかりませんが、そのご指摘通りに「粘って」、世界各国の特許を押さえるということになる可能性が高まってきたような気がします。
 
○「バイオは専門ではないので最終拒絶の内容の詳しい評価はできませんが、確かに厳しそうですね。
ただ対応国の状況、関連出願の状況等を鑑みると、VCell(又はそのスポンサー)がこのFinalRejectionで諦めて放棄するとは思えません。
例えば、WO2013/163296は、少なくとも10か国(日米欧中韓露豪加新星)に移行され、日米欧中新で審査が始まり拒絶理由通知が出されていますが、今のところ、VCellは期限内にすべて応答しています(新では親を放棄し子になってしまったようですが)。なお特許業界的には、期限間際の応答は珍しくはありません。それだけで出願人が苦しいと判断する人はいません。
2017/5/25() 午後 11:02[ den***** ]
 
○「さらにVacanti氏と小島氏の共願のWO2015/143125は、昨年の10-11月が移行期限でしたが、VCellはこれも少なくとも10か国(日米欧中韓豪加墨新以)に移行しています。非英語圏4か国(日中韓墨)も含まれていますから、翻訳費用を含めて移行費用として少なくとも1000万位はかかっているはずです。Vacanti氏が個人で賄っているとは思えません。
そうすると、STAP関連出願に価値を見出し、費用を負担している人(企業?トロール?)
がいると推測され、この状況下でバイオ技術の主戦場であり、かつ出願人の御膝元である米国で(これまで投じた金額からすれば)些細な費用負担を嫌って放棄するとは思えません。むしろ他国は放棄しても米国は最後まで粘ると予想します。
2017/5/25() 午後 11:03[ den***** ]