理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

BPO委員たちも依然嵌っているNHKスペシャルの詐術―メディアの共犯的印象操作


■ところで、前にも書きましたし、何度でも書きますが、NHKの詐術に、委員会メンバーは、依然としてはまってしまっています。 そのことを、今回の在京キー局との意見交換会のやり取りでも感じました。

 その点については、以下で書きました。 
 
 上記の意見交換会でも、「小保方氏は一切答えない」と、NHKや放送局側はもちろん、委員側もそのように発言しています。 
 しかし、小保方氏は、「若山研の引っ越しの際に譲り受けたもの(残っていたもの)」ときちんと説明しています。その旨をNHKスペシャル自身が流しています。 
 この説明に疑義がある材料があって初めて、「小保方氏に説明してほしい」という問いかけがこなければなりません。 
 
 その疑義を呈する資格があるのは、とっくに日本から去っていた留学生ではなく、引っ越し時点で管理責任者だった若山氏や若山研です。 
 ところが、NHKスペシャルでは、若山氏や若山研にはこの点のコメントは何ら紹介していないのです。 
 ナレーションは、次のように、実に巧妙にこの点ほぼかしています。 
 
「 これまで小保方氏側は、「実験用のES細胞を保存している」とした上で、「若山研究室から譲与された」と説明してきた。 
  ところが、この細胞が小保方氏のもとにあるのは不可解だとする指摘が出ている。別の研究で解析中のもので、去年、若山研究室が山梨大学に移った際、持っていくことになっていたからだ。 
 
 この「不可解だとする指摘」は誰がしているのか?ということを曖昧にしているのです。あの当時、週刊新潮だったと思いますが、「引っ越しのどさくさになくなった。小保方氏があれこれピックアップしていたが、その中にあったのだろう」という趣旨のリーク報道がなされていました。それが視聴者らの頭の中にありましたから、「去年、若山研究室が山梨大学に移った際、持っていくことになっていたからだ。というナレーションを、疑問をもたずに、当然のこととして聞き流してしまったのだろうと思います。 
 ですから、引っ越しの際になくなったことを所与の前提として、引っ越し当時の管理当事者でもない留学生へのインタビューにも拘らず、小保方氏に説明してほしいと疑問を投げかかることはもっともだ、と視聴者に思わせることに成功したというわけです。 
 
 しかし、若山氏や若山研にインタビューすれば、若山研側が否定せざるを得ず(神戸地検の「(窃盗)事件の発生自体疑わしい」とのコメントから明らかです)、そういうリーク情報は捏造だということがばれてしまいますから、NHKスペシャルのあの場面では絶対にそういうインタビューは使えませんでした。 
 つまりは、NHKの場面切り替えの「説明不足」というより、確信犯的な印象操作が、この場面にはあったことは間違いなく、NHKの詐術に、委員たちもはまってしまったということでしょう。 

 
■今回のSTAP細胞に関する報道の大きな問題のひとつは、メディア間の共謀共犯関係です。 
 個別メディアの報道だけでは名誉棄損にならないが、他のメディアの報道と組み合わせれば、名誉棄損になりうるのだが、その責任追及ができないという問題です。 
 今回のNHKスペシャルでも、2つの点で、週刊誌報道で視聴者の頭に強烈に刷り込まれていたことを前提として、番組構成をしていました。 
 ひとつが、上記に述べた、「引っ越しのどさくさに小保方氏が盗んだ」という週刊新潮の記事であり、もうひとつが、「笹井氏と小保方氏とは男女関係が疑われる」という週刊文春等の報道です。 
 
 BPOの審理では、前者は頭に刷り込まれすぎていて、誰も疑問を持たなかったわけであり、後者は、委員個人による問題指摘はされ、決定でも、必要性や品格面での批判はされたものの、「読み上げメールの内容自体は時候の挨拶の類いにすぎない」として、名誉棄損にも放送倫理上の問題にもなりませんでした。 

 こういうメディアの共犯関係による名誉棄損に対して、被害者はどう対処できるのか、なかなか難しい課題です。