理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

特許出願権を第三者に譲渡する以上は、瑕疵担保的責任が問われない程度の裏付けがあるのではないか?


特許出願権の譲渡に関して、少しもやもやするところがあるので、書いてみて、知見のある方のご意見を伺いたいと思うのですが、それは、
 
「特許出願権を、共同出願者以外の第三者に譲渡する場合に、瑕疵担保責任的なものはないのだろうか?」
 
ということです。特許出願権は知的財産権ですから、それに欠陥等の瑕疵があるままに他人に譲渡すれば、責任を問われるのではないのだろうか?と思うのですが、どうなのでしょう?
 
 
もとより、もしハーバード大が、STAP細胞がES細胞だと考えていて、明細書の内容が実際と異なると認識しているであれば、出願を維持し特許化しようとすることは詐欺行為になりかねませんし、実際にそれで特許を取ったら刑事罰の対象になってしまうことは、さんざん言われてきたことです。それは刑事責任の世界です。
 
また、共同出願人だった理研が持ち分を放棄してハーバードに譲渡するということではなく、第三者に対して譲渡するということは、それが知的財産たり得るということが当然の前提になるはずです。もしES細胞だったり、実験等のデータ信頼性が低いと見ているのであれば、この出願は知的財産たり得ないですから、譲渡したハーバード大は、瑕疵担保責任的な民事責任を問われることになるのではないかと考えました。
故意又は過失によるES細胞の混入だと認識していて、本来放棄すべきところを、ジャンク出願?であることをわかった上で譲ってくれと頼まれて譲ったのだろう、という見方もあるのかもしれませんが、それは倫理的に許されないことで、ハーバード大の権威と信頼を失墜させる行為です。
 
昨年12月のAssignment以降も、今年のごく最近まで、世界各国で出願維持料を支払い、国内移行手続きをし、日本では審査請求までしているわけですが、もし、出願の中身がフェイクないし信頼性なり再現性が低いと考えているのであれば、そういう手続きを進めることは対外的には詐欺的行為になりますし、学内的にも、金額の多寡に関わらず背任行為になってしまうと思います。
 
 ですので、多能性を確認できるレベルのSTAP細胞作製に成功していないとすれば、少なくとも、成功する見込みが薄いと認識しているとすれば、それにも拘らず、知的財産として譲渡することは刑事、民事の両面で様々な責任問題に発展するのではないだろうか?と感じる次第です。


 
20159月に公開された別途の特許出願の明細書の記載からすると、「バカンティ氏の改良プロトコルによる新実験により、脊髄ニューロンSTAP幹細胞移植で機能回復できたらしい」との、JISAIさんからご教示の情報通りだとすれば、多能性を確認できるレベルのSTAP細胞作製に成功しているということでしょうから、その情報も考え合わせれば、ハーバード大B&W病院としても、責任を問われることのない程度の自信を持って、VCellTherapeutics社に移譲したのだろう、と思ったわけです。
 
研究論文に再現性が得られないものはざらにあるという話ですが、特許は排他性のある独占的な権利を付与するものであり、明確性要件、実施可能要件、サポート要件(請求項に係る発明が、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであってはならないという要件)を充足しなければならないとされていますから、再現ができないようなものであってはならないと思われます。特許はアイデアだけで成立するのさ、という人もいるようですが、「物理的・化学的刺激によって多能性を獲得する」という、従来の常識からは考えられないようなものが、特許請求の範囲ですから、実験の裏付けなしに認められるとは考え難いでしょう。
 
 以上の理由から、ハーバード大B&W病院としては、少なくとも、刑事、民事の両面で様々な責任を問われることがない程度に、出願内容には自信を持っていると考えた次第です。
 
 
■ ついでに述べると、先日来、VCell Therapeutics社が、ハーバード大の直接又は間接の出資を受けたベンチャー企業ではないだろうか?と考えたのは、そういう推測に基づくものです。ハーバード大として、第三者に移譲しても刑事面はもちろん、民事面の責任も問われることがない程度に、内容の信頼性、再現性に自信を持っているのであれば(持っているはずであれば)、将来価値が当然あるとみているはずであり、それを見切りで手放すとは考えにくいという理由によるものです。
 
大学保有の特許は、通常は独占的通常実施権専用実施権を付与して、ロイヤリティー収入を得るというパターンが一般的であることは確かでしょう。Muse細胞もそのパターンでした。
しかし、今回ハーバード大は、そういうロイヤリティー方式は採らなかったので、それならば出資によってリターンを得ることし、将来的には、企業価値を大きなものにして売却益を得ることも想定しているのではないか、と想像をめぐらしました。
ロイヤリティー、出資以外の収益還元の方策があれば、また話は別ですが、思いつきません。
 
■上記の話は、もちろん、譲渡時の特許出願内容によります。
 おそらく、日本の特許庁にこの422日に審査請求した際の内容が、最新のものでしょう。特許請求の範囲は、審査請求と同時に出された手続補正書により、全文変更になっています。もっとも広い請求項1には特に変更はないようですが、全体がどう変更されたのかは、素人ではよくわかりません。
 
全文変更後の特許請求の範囲は、以下でご確認ください。
工有権情報・研修館のJ-Plat-Pat から、出願状況、審査状況が検索ができます。
 
  その右端の「経過情報」タブの、
 1.番号照会」とありますので、そこに、2015-509109 というSTAP特許出願の番号を入れて検索すると、表示されます。その右上の「審査書類情報」をクリックすると、422日に、B&W病院から「10.出願審査請求書」と同時に、「9.手続補正書」が提出されていることがわかります。これが特許請求範囲の全文変更内容になっています。
 
 コピーすると、次の通りです
 
【書類名】      手続補正書
【整理番号】     A12166
【提出日】      平成28 422
【あて先】      特許庁長官 殿
【事件の表示】
  【出願番号】   特願2015-509109
【補正をする者】
  【識別番号】   503146324
  【氏名又は名称】 ザ ブリガム アンド ウィメンズ ホスピタル インコーポレ
           イテッド
代理人
  【識別番号】   100080791
  【弁理士
  【氏名又は名称】 高島 一
  【電話番号】   06-6227-1156
【手続補正1
 【補正対象書類名】 特許請求の範囲
 【補正対象項目名】 全文
 【補正方法】    変更
 【補正の内容】
  【書類名】特許請求の範囲
  【請求項1】
 細胞をストレスに供する工程を含む、多能性細胞を生成する方法。
  【請求項2】
 多能性細胞が外来遺伝子、転写物、タンパク質、核成分もしくは細胞質の導入なしに、
または細胞融合なしに生成される、請求項1記載の方法。
  【請求項3】
 多能性を示す細胞を選択する工程をさらに含む、請求項1または2記載の方法。
  【請求項4】
 細胞が組織の部分として存在しない、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
  【請求項5】
 細胞が体細胞、幹細胞、前駆細胞または胚細胞である、請求項1~4のいずれか1項記
載の方法。
  【請求項6】
 細胞が単離された細胞である、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
  【請求項7】
 細胞が細胞の不均一な集団中に存在する、請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
  【請求項8】
 細胞が細胞の均一な集団中に存在する、請求項1~7のいずれか1項記載の方法。
  【請求項9】
 多能性を示す細胞を選択する工程が、幹細胞マーカーを発現する細胞を選択することを
含む、請求項1~8のいずれか1項記載の方法。
  【請求項10】
 幹細胞マーカーが以下からなる群より選択される、請求項9記載の方法:
Oct4;Nanog;E-カドヘリン、およびSSEA。
  【請求項11】
 多能性を示す細胞を選択する工程が、接着性でない細胞を選択することを含む、請求項
1~10のいずれか1項記載の方法。
  【請求項12】
 ストレスが組織または細胞培養物における非生理的ストレスを含む、請求項1~11の
いずれか1項記載の方法。
  【請求項13】
 ストレスが以下から選択される少なくとも1つの環境刺激への細胞の曝露を含む、請求
項1~12のいずれか1項記載の方法:外傷、機械的刺激、化学的曝露、超音波刺激、酸
素欠乏、照射、極度な温度への曝露、解離、トリチュレーション、物理的ストレス、高浸
透圧、低浸透圧、膜損傷、毒素、極度のイオン濃度、活性酸素、UV曝露、強可視光、必
須栄養の欠乏、または非生理的酸性環境。
  【請求項14】
 ストレスが約3.0~約6.8のpHに細胞を曝露することを含む、請求項1~13の
いずれか1項記載の方法。
  【請求項15】
 ストレスが約4.5~約6.0のpHに細胞を曝露することを含む、請求項1~4のい
ずれか1項記載の方法。
  【請求項16】
 ストレスが約5.4~約5.8のpHに細胞を曝露することを含む、請求項15記載の
方法。
  【請求項17】
 細胞が2~3日間曝露される、請求項12~16のいずれか1項記載の方法。
  【請求項18】
 細胞が1日間以下曝露される、請求項12~17のいずれか1項記載の方法。
  【請求項19】
 細胞が1時間以下曝露される、請求項12~18のいずれか1項記載の方法。
  【請求項20】
 細胞が約30分間曝露される、請求項12~19のいずれか1項記載の方法。
  【請求項21】
 極度な温度への曝露が、35℃未満または42℃超の温度に細胞を曝露することを含む
、請求項13記載の方法。
  【請求項22】
 極度な温度への曝露が、凍結以下の温度への細胞の曝露または少なくとも約85℃の温
度への細胞の曝露を含む、請求項21記載の方法。
  【請求項23】
 機械的刺激が、剪断ストレス または/および高圧に細胞を曝露することを含む、請求
項13記載の方法。
  【請求項24】
 機械的刺激が、細胞のサイズより小さな開口を有する少なくとも1つのデバイスを通し
て細胞を通過させることを含む、請求項23記載の方法。
  【請求項25】
 機械的刺激が、漸進的により小さな開口を有するいくつかのデバイスを通して細胞を通
過させることを含む、請求項23記載の方法。
  【請求項26】
 多能性細胞を培養して、多能性細胞を増殖させる工程をさらに含む、請求項1~25の
いずれか1項記載の方法。
  【請求項27】
 多能性細胞が幹細胞マーカーを発現する、請求項1~26のいずれか1項記載の方法。
  【請求項28】
 幹細胞マーカーが以下からなる群より選択される、請求項27記載の方法:
Oct4;Nanog;E-カドヘリン、およびSSEA。
  【請求項29】
 細胞が哺乳動物細胞である、請求項1~28のいずれか1項記載の方法。
  【請求項30】
 細胞がヒト細胞である、請求項1~29のいずれか1項記載の方法。
  【請求項31】
 細胞が成体細胞、新生児細胞、胎児細胞、羊水細胞、または臍帯血細胞である、請求項
1~30のいずれか1項記載の方法。
  【請求項32】
 多能性細胞をインビトロで維持する工程をさらに含む、請求項1~31のいずれか1項
記載の方法。
  【請求項33】
 細胞のエピジェネティック状態が胚性幹細胞のエピジェネティック状態により近く類似
するように変化させられる、請求項1~32のいずれか1項記載の方法。
  【請求項34】
 エピジェネティック状態がメチル化パターンを含む、請求項33記載の方法。
  【請求項35】
 ストレスが、細胞質の少なくとも約40%を細胞から除去すること含む、請求項1~3
4のいずれか1項記載の方法。
  【請求項36】
 細胞質の少なくとも約50%を細胞から除去する、請求項35記載の方法。
  【請求項37】
 細胞質の少なくとも約60%を細胞から除去する、請求項36記載の方法。
  【請求項38】
 細胞質の60~80%を細胞から除去する、請求項37記載の方法。
  【請求項39】
 細胞質の少なくとも約80%を細胞から除去する、請求項37記載の方法。
  【請求項40】
 細胞質の少なくとも約90%を細胞から除去する、請求項39記載の方法。
  【請求項41】
 ストレスが、ミトコンドリアの少なくとも約40%を細胞から除去すること含む、請求
項1~40のいずれか1項記載の方法。
  【請求項42】
 細胞質の一部の除去が、ミトコンドリアの少なくとも約50%を細胞質から除去する、
請求項41記載の方法。
  【請求項43】
 細胞質またはミトコンドリアの除去が、ミトコンドリアの約50%~90%を細胞質か
ら除去する、請求項42記載の方法。
  【請求項44】
 細胞質またはミトコンドリアの除去が、ミトコンドリアの90%超を細胞質から除去す
る、請求項42記載の方法。
  【請求項45】
 ストレスが、ストレスに曝露された細胞の少なくとも10%の細胞膜を破壊するために
十分である、請求項1~44のいずれか1項記載の方法。
  【請求項46】
 請求項1~45のいずれか1項記載の方法によって産生される多能性細胞を候補薬剤と
接触させることを含む、アッセイ。
  【請求項47】
 多能性細胞の生存能、分化、増殖の1つ以上に影響を及ぼす薬剤を同定するための使用
のための、請求項46記載のアッセイ。
  【請求項48】
 対象のための細胞治療の方法における請求項1~45のいずれか1項記載の方法によっ
て産生される多能性細胞の使用。
  【請求項49】
 対象に投与しようとする細胞治療と適合性である細胞または組織を調製する方法であっ
て:
請求項1~45のいずれか1項に従って細胞から多能性細胞を生成する工程を含み;
細胞が自己細胞またはHLA適合同種異系細胞である、方法。
 
                                       続く

【補足】
den***** 」さんから、以下のコメントをいただいています。

請求項10と28の「SSEA-4」が「SSEA」に補正されています。
上のコピペでは消えてますが、JPlatPatで見れば当該箇所に下線が引かれているのでわかります。
豪州などでは国内移行時にされた補正です。」