理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

6 【再論】早稲田大の小保方氏学位剥奪処分の不当性(6)―調査報告書の分析④.


C 「博士学位の意義に値する博士論文」
 この表現は、2カ所で出てきます。
 
(b) 本件公聴会時の義務違反
本件公聴会において、常田氏は、小保方氏の指導教員として、公聴会時論文の内容を適切に審査し、小保方氏に対し適切な修正指示を行うべきであった。そうすれば、本件公聴会後に小保方氏が公聴会時論文の修正を行うことにより、小保方氏が、博士学位の意義に値する博士論文を作成できた可能性があった。しかし、小保方氏が本件公聴会における指導を受けて修正したと述べる小保方氏主張論文においてすら、上記Ⅱ.1.の本件博士論文に存在した問題箇所の多くが依然として存在しているのであって、常田氏が、指導教員として、公聴会時論文について、十分な精査を行い、本件公聴会において適切な修正指示を行ったとは認められない。」(p61
 
(d)常田氏の指導教員としての義務違反により生じた結果
そして、適切な研究指導が行われていれば、小保方氏は、より適切な内容の博士学位の意義に値する博士論文を作成できた可能性があったにもかかわらず、常田氏のかかる指導教員としての義務違反により、小保方氏は、本件公聴会時点において、多数の問題箇所を含んでいたと推認できる公聴会時論文を作成する結果となった。」(p62
 
 この2つの文章の意味するところは、
 
公聴会時論文は、合格相当と判定されたが、それでも上記Ⅱ.1.の本件博士論文に存在した問題箇所がまだ残っていた。これらが公聴会前の指導段階で適切に指導され解消されていれば、それは、真に博士学位の意義に値する博士論文となったであろう」
 
 ということです。つまり、24カ所の問題箇所が解消されれば、それは「博士学位の意義に値する博士論文」である、という評価・前提に報告書は立っているということになります。既に述べた通り、それらの24カ所の問題箇所は、公聴会時論文では、序章部分のNIHサイトからの文章の転載と、企業サイトからの数点のクリップアート的絵の借用以外は、解消されていたと推測されますし、更に小保方氏主張論文においては、更に問題性は低くなっていたと考えられます。
 したがって、小保方氏主張論文は、これらの残る問題箇所が訂正・修正されれば、「博士学位の意義に値する博士論文」に相当するものであると、この報告書では評価していたということになります。
仮に、小保方氏主張論文が、「最終的な完成版の博士論文と全く同一である可能性は相当程度ある」としても、「その内容を完全には確定することはできない」との立場に立ったとしても、24カ所の問題箇所が解消されれば、「博士学位の意義に値する博士論文」に相当するものであると、この報告書では評価していることには変わりありません。
 
 
(4)報告書は、ハーバード大にある実験データを閲覧、コピー等は困難ということは認識していた。
 
 Tissue誌論文に関する実験は、ハーバード大で行われていますが、その点に関連して、次のように記載しています。
 
「この事実に加えて、本調査においては、以下の事情が認められた。
(a)小保方氏は、「これらの実験は主にハーバード大学で実施した。」、「それを裏付けるデータ等(ラボスタッフ共通の実験ノート等)は同大学に存在する。」等と供述する。
(b)S氏は、小保方氏と同様の供述をした上、さらに具体的に、■■■~~~■■■等と供述する。
(c)平成21年から平成22年の日付が入った小保方氏のノートの抜粋(写し)及び顕微鏡写真等の電子データ37が存在している。」
 
 実験データは、「ラボスタッフ共通の実験ノート」にあるとありますから、それを小保方氏のデータが入っていたとしても、閲覧、コピー、取り寄せなどできるはずもありませんし、黒塗りした部分からもわかるように、ハーバード大の守秘が厳格であることを想像させるものです。
 実際、調査委員長の小林弁護士は、記者会見で、ハーバード大の規定で持ち出し、コピー禁止で閲覧もできなかった旨を述べています。
 
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 記者「Tissue誌掲載論文,若山さんとの共同研究部分の実験ノートは見たのですか?」
 小林委員長「すべてかどうかはわからないが小保方さんからみせていただいたものは見ました。」
 記者「実験ノートの記載は論文を網羅したものでしたか?」
 小林委員長「小保方さんの供述に一定の信頼性を与えるものだったと考えている。」
 記者「ハーバード大時代の実験ノートをご覧になったのですか?」
 小林委員長「小保方さん所持分だけ見せてもらった。」
 記者「ハーバード大にある実験ノートは取り寄せられたのですか?」
 小林委員長「ハーバード大の規定で持ち出し禁止,コピーも禁止で見ることはできなかった。」
 記者「若山さんとの共同研究部分の実験ノートは入手されたのですか?」
 小林委員長「全部がどれだけあるのかわからないので,全部かどうかわからない。」
 記者「実験は実在していたと認定したからにはそれなりの根拠のあるものだったけれども,すべて網羅したわけではないということですね?」
 小林委員長「小保方さんの供述を裏付けるものがあるという心証をえるに足るものであった。」
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 このことは、その後、理研の不正調査委員会の調査においても、ハーバード大の帰属する試料(実験ノート、キメラマウス等)は調べることができなかったことが、モニタリング報告書によって明らかになっていますから、ハーバード大知財に関する守秘の厳しさは、明らかな事実といえます。
 総長会見時にも、総長がハーバードにコンタクトしたことは認めており、その具体的内容は明らかにはされませんでしたが、当然、こういった守秘の厳しさは、早大当局としても認識しているはずです。
 
 ところが、小保方氏のコメントによれば、
「ほぼ6年前の米国に保存されている研究資料を提出することなどを求められ、しかも厳しい時間制限等が課されるなど、」
 とのことです。この点に関して、早稲田大の反論文書では、直接コメントしていないだけでなく、総長会見の際に、副総長が、わずかに明らかにした指導の一例として、B6系統のGFP陽性細胞を用いてキメラマウスを作出したという記載があるが、用いた細胞の由来や実験結果の科学的根拠を説明しうる記述が不足している。」というものを挙げていましたから、小保方氏のその指摘内容は正しいということでしょう。
 しかし、その指導は、
 
①報告書において指摘された24の問題箇所には含まれておらず、取消処分の条件から逸脱したものであること
ハーバード大との関係で、小保方氏が提出要求に応じることができないことを調査委員会及び早大当局が認識していたはずにもかかわらず、敢えて要求したこと。そして、それが満たされないことを以て、猶予条件未充足として学位剥奪を確定させたこと。
早大の反論が使った「疑惑」という言葉から推定すると、仮に取り上げるとすれば、不正調査委員会を新たに組織して調査し、その中で応答を求める筋合いものであるにもかかわらず、そのような手続きを踏まないままに、「指導」の中で実質的に行おうとしたものであること。
 
といった点で、大きな問題があるものです。