理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

マウスの汚染可能性と冷凍庫の残存試料の件

 
 コメント欄その他でのご指摘から、少々連想した話があります。
 
1 マウスの汚染の件


一つ目は、マウスの取り違え、汚染があったのではないか? ということに関してですが、須田記者の『捏造の科学者』の中で、キメラマウス作製に成功したときのことを、若山氏の須田記者に語った言葉が、ちょっと引っかかりました。
 
「細胞を入れた受精卵を仮親マウスの子宮に移植して約二十日後、仮親マウスの子宮を帝王切開で開けた若山氏が目にしたのは、全身が緑の蛍光を発する複数の胎児だった。緑の蛍光は、注入した細胞由来であることを示す。後にSTAP細胞と名付けられる細胞の万能性が証明された――。論文が発表された当初、そう説明された瞬間だった。
「あり得ないことが起きた」と思った若山氏は、傍らで目に涙を浮かべて喜ぶ小保方氏に「おめでとう」と声を掛けながらも、二十日前の作業の一つ一つを懸命に思い返していた。マウスのケージを間違えたのではないか。誤って他の細胞を注入してしまったのではないか。
「ぬか喜びさせては申し訳ない、と思いました。それに二回目以降ができなければ論文にはできないので、いつも一回の成功では喜ばないようにしているんです」
 だが、思い当たる節はなく、実験も再び成功した。さらに、キメラマウスの子を自然交配させると二世代目が誕生し、一世代目同様、異常はみられなかった。一番びっくりしたのは僕かもしれない」と若山氏は振り返る。」p106
 
 ということは、マウスの選択ミスを連想するほど、ケージは近接していたのか? と感じました。
 桂調査報告書の記述は、マウスの取り違え、汚染の可能性を念頭に置いた場合の分析はなく、「(コンタミの)防止策はとられていた」と書くのみですが、その具体的管理実態について詳しく触れているわけではありません。
若山氏の連想からは、マウスの選択ミスということも、現実的可能性としてあるのではないだろうか?と感じさせる若山氏の言葉です。
 以下は、桂報告書の記述です。
 
[STAP細胞作製のためのマウス]
STAP 細胞作製に用いたマウスは、若山氏がマウスの交配を行い、小保方氏にマウスを手渡した。ただし、Oct4-GFPを持つ STAP 細胞作製のときは、CDB 若山研メンバーが管理していたGOF マウスのケージから、小保方氏が子マウスを取り出して使用した。(p13~14)
 
「(評価)
上に述べた状況から、CDB若山研のマウスの飼育管理体制は若山氏が中心となり、それに数名のスタッフが携わっていたと、若山氏の説明からうかがうことができる。また、マウスの系統管理も、系統間のコンタミネーションに対しては、部屋、あるいはラックを変えるなどの防止策は採られていた。一方、小保方氏に関しては、マウスの飼育を若山氏に全面的に依存していたことから、この問題に関する責任は低いものと認められる。」p29
 
 しかし、他方で、桂委員長は会見で次のようにも述べ、若山氏が手交したマウスの遺伝子が、若山氏の想定とは違っていたことを強く示唆しています。
 
Q 若山研の管理状況は、ES混入を排除できる実験環境は整っていたのか?
A わからない。そこにいたわけではないので。・・・(中略)
 論文の投稿をしているときに、査読者からESの混入ではないのかとの指摘があった。それで最初にFLS・・・というのは非常にやっかいな細胞で、若山氏が小保方氏に渡したマウスは、129GFPのメスと、B6のCAGGFPのオスを掛け合わせてそれのF1のはず。ですからCAGGFPはホモで入っているはず。ところが、論文では、B6のほうにだけCAGGFPが入っているような記載になっていた。どうしてそうなったのかわからない。しかし、実際に調べてみたら、アクロシンGFPCAGGFPとが入っているという第三のものだった。ですから、若山氏が渡したマウスと論文の記載と残存資料の3つが違っているというやっかいな細胞だ。」
 
岡部マウス、大田マウス等のことは、若山氏は失念?していたようですし、須田記者に、若山研が取り組んできた研究テーマとして話していて混入の可能性を示唆した「キメリズムの強いES細胞」とそれから作ったであろうマウスは、どこでどう管理されていたのかとかがよくわかりません。
小保方氏がいた若山研の研究室の配置図は図解入りで詳しく述べていましたが、マウスの管理状況は、上記の通り数行でさらっと触れているのみです。マウスの汚染や取り違えの可能性を検討し出すと、とても短期間では結論が出せなくなって、「防止策は採られていた」とするのみで、その防止策が有効に機能していたのであれば説明がつかない事態については、沈黙状態です。それに触れることはパンドラの箱を開けることになって、収拾がつかなくなると踏んだのではないか? という気がしてきます。
 
それは、例の胎盤の緑色発光の件を、画像だけを見せて、「見間違い」で済ませたこととも共通する行動パターンのように感じます。「あれはES細胞だったのだ」という結論と矛盾する材料ないしは別の考察の可能性が出てくるような材料は、黙殺しようという雰囲気が色濃くでているように感じます。
 
どうもこの桂調査委員会報告者は、「見ざる言わざる聞かざる」の要素が多分にあるように感じます。まとめると、次のような点です。
 
  ①ES細胞では説明できない笹井氏、丹羽氏、かつての若山氏の指摘
 →「どうしてそう言っているのかわからない」「調査の対象外」とする。
胎盤の緑色発光
 →「違う可能性が高いと言っている専門家もいる」と曖昧にする。
 →ホルマリン漬けマウスも切片の確認せず、丹羽氏にもヒアリングせず。
③マウスの汚染可能性
 →一言、「防止策は採られていた」とするのみ。
④トリソミーの件
 (私にはよく理解できないのですが)トリソミーの件は、桂報告書では若干触 れられているだけのように思いますが、遠藤氏の解析と整合はとれているの でしょうか? 整合が取れないから、あまり触れていないということはないの でしょうか?
   ⑤「死細胞の自家蛍光」の件
     あれだけ、「死細胞の発光と見間違えたのだろう」と人々が嘲笑していた話  と、「ES細胞混入」の結論とはどう両立するのでしょうか? 「死細胞の発光」  の話は、桂報告書には触れられていないように思いますが(触れられていま  したっけ?)、電子顕微鏡の録画に映っているのはES細胞であるという理解  をしているのかどうか、曖昧だと思います。もし、ES細胞であるならば、死細  胞の発光とは見間違いようがないでしょうし、発光が最初から生じるはずで   すから、録画映像とは矛盾が生じます。このことも、笹井氏の指摘(FACSで  死細胞の自家蛍光ではないと確認したという指摘も含めて)として「調査対   象外」で逃げているように感じます。
 
 
2 冷凍庫内の試料の件
 
 概して、研究室の冷凍庫には、様々な置き忘れ、不要のものなど雑多なものが残っているという指摘がなされていますが、これに関連して、若山研の冷凍庫の話を連想しました。
 若山氏が山梨大引っ越すときに、小保方氏は手伝わなかったという「非人情」を非難するような記事が、週刊新潮に載っていたかと思います。若山氏の「愚痴」の記事です。
 
その中に、「当時の若山研究室の事情に詳しい関係者」の談として、
 
「引っ越しの最中、研究用冷凍庫の整理作業も進められていました。冷凍庫には、割り当てられたスペースごとに各自の使う試料が保管されており、だんだんと不要不急のものが増えてくる。それらについて若山先生は“いついつ迄に必要なものは確保するように。それ以降は処分します”と告知していました。もちろん、問題のES細胞についても、山梨大へ運ぶよう事前に指示が出ていたのです
 
 とあり、冷凍庫には、種々雑多な不要不急のものがたまっているという指摘が、若山研でもそうだったことを想像させます。
 
 これは、次のように、「小保方氏が、自分のものを回収するときに、こっそりES細胞も持って行ったに違いない」という「疑惑」を言わんがための説明の中で語られた話ですが、冷凍庫は不要不急の過去の研究の残滓が溜まっていることを連想させる話になっています。
 
「「作業を手伝っていない小保方さんが、自分の所持品と間違えてうっかり試料を持ち出してしまった可能性は考えられません。それでも、運び出した“形跡”は窺えるのです。冷凍庫整理の期限日までには、彼女自身の試料も回収されていたからです。日中は片づけをする姿が目撃されていないので、あるいは夜中にこっそり移していたのかもしれません」
 
 しかし、「スペースが割り当てられていた」のですから、自分のスペースにある試料がなくなればおかしいと思うはずでしょうし、スペースの有効活用ということからすれば、大田氏ら過去の研究員のスペースはなかったかのではないかとも想像されます。それとも「その他」的スペースがあって、そこに主不明のまま残されていたのか、どうも、事実関係の細部がよくわかりません。その「問題のES細胞」は、どこのスペースに保管されていたのでしょうか? もし、小保方氏が盗んだのだとすれば、運べと指示された者は、無くなっているのでおかしいと思うのではないのでしょうか? どうも語っている話のつじつまが合わない印象です。
真実は細部に宿るといいますが、この週刊新潮に語っている事情通の「関係者」は、肝心の点を曖昧にしたままにして、小保方氏が盗んだという印象付けをしようとしているように感じます。
 
 ところで、ここで出てくる若山研の冷凍庫というのは、小保方研にあり注目された冷凍庫と同じなのでしょうか? 若山研が山梨大に移ったときに「移譲された」と小保方氏が述べていることからすると、同じものではないかと想像されますが、どうなのでしょう?
 若山氏は、「必要なものはそれぞれの研究員が確保せよ」と言っていて、期限が過ぎたら「処分する」と言っていたことからすると、もうその冷凍庫は若山研としては不要となるという前提だったのではないかと思われます。
 そうすると、小保方研に移譲された冷凍庫は、大田氏のES細胞のように、主不明の細胞が残されたまま移譲されたとしても不思議ではありません。
 
 他の点についての連想ですが、こうやって冷凍庫にスペースが区切られて保管されていたのだとすると、小保方氏が、その冷凍庫からES細胞を盗みだして解凍して培養していたのであれば、すぐにわかるのではないのでしょうか? 若山氏がSTAP幹細胞を作るのに数多く成功した時期には、解凍しては培養して渡す作業を繰り返していたということでしょうか?そんな都合よく、作業ができるものでしょうか?? 複数のES細胞が使われたということであれば、狭い若山研の中でのそういう不審な行動は、より露見しやすくなるでしょう。
 どうも門外漢なので、「盗んだ~解凍した~培養した~(盗んだものは元に戻した)~若山氏にそのたびごとに渡した」という小保方犯人説の人々のストーリーが、そう都合よく物理的に成り立つのか、よくわかりません。