理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

ES細胞捏造説を否定する?若山氏の朝日新聞での発言

ここで、少し話が逸れるが、重要な話だと思うので、触れておく。
 
1 若山氏のインタビューでの、胚注入時のES細胞との顕著な差についての証言
 
 小保方氏採用に至る前の時点の経緯で、
 
201111月 若山氏とキメラマウス作製に成功」
 
 というものがあった。
 この時のことを、朝日新聞2月に若山氏にインタビューした記事がある。私は見落としていたが、笹井氏の死を契機に
STAP問題を考える』(http://stapjapan.org/
という最近スタートしたサイトに掲載されていた。
 その記事には、こう書いてある(朝日新聞デジタル26日付け)。
 
「キメラマウスを作るには、マウスの胚に候補の細胞を注入して育てる。ES細胞などでは、細胞の塊を酵素処理し、ばらばらにして使うのが普通だが、その手法ではSTAP細胞はさっぱり胎児にならない。失敗続きだった。
共同研究を始めて1年半たったころ、手法を変えた。細胞の大きな塊を単細胞にばらさず、2030個程度の小さな塊にして注入する方法だ。刃渡り1ミリの極小メスを顕微鏡で見ながら操作して切り分ける。細胞工学初期の60年代の技術だが、切り分けるのも注入も難しい。僕はその技を身につけていたからできた。
すると、いきなり成功。体に取り込まれたSTAP細胞が緑色に光るマウスの胎児を見ても、すぐには信じられなかった。「先祖返り」の技術が決め手だったと思う。」
 
 セル誌のインタビューでも、ES細胞のコンタミを根拠を挙げて明確に否定していたが、この発言は、胚に注入した細胞は、ES細胞ではありえない、ということを物語っているのではないのか?
 それを今になって、「あれはES細胞だ」「小保方氏がES細胞を自由に扱える環境にあった」「学生が渡したそうだ」等々の発言により、記者会見で、ES細胞捏造を強く示唆するとは、どういうことなのだろうか? 健忘症になっているのだろうか。
 科学者であれば、セル誌でのインタビューと、自ら注入した際の上記記事の経験との整合性を取れる説明をすることが求められるはずである。
 
 分子生物学会の大隅典子理事長は、笹井氏の記者会見での説明を受けて、「大きいES細胞でも、切り刻めば小さく見せることできる」と、ES細胞偽装説的なニュアンスでブログで書いた。しかし、若山氏の上記の「証言」は、大隅氏の推測を明確に否定するものであある。
 
【補足】

2CHではよく登場する方のようですが、浅見真規さんという方が、次のように書いていました。若山氏は、上記朝日新聞の記事と同様、胚に細胞注入時の証言をこういう形でもしているわけです。

http://masanori-asami.sakura.ne.jp/Riken/No-ES_in_STAP-cell.htm 


「若山教授は、小保方から「STAP細胞」として渡された細胞群から「STAP幹細胞」を樹立したとしている。小保方から「STAP細胞」として渡された細胞群は、「そのままでは弱く、桑実胚と違ってすぐに死んでしまう」と若山は日経サイエンスの詫摩雅子記者にインタビューで答えていた(日経サイエンス20146月号p.60参照)。つまり、小保方から「STAP細胞」として渡された、そのままでは培養困難な細胞群を培養・増殖可能な「STAP幹細胞」に変化させた事を自己の業績としていたのである。この事は裏返すと、小保方が若山に「STAP細胞」として渡した細胞群にはES細胞の混入が無かった事を意味する。」

※ 当該部分抜粋

「細胞が塊を作っていて、全体のサイズも細胞のサイズも桑実胚に似ていた。増殖して塊になったのではなく、バラバラだったものが集まってできたもの。そのままでは弱く、桑実胚と違ってすぐに死んでしまう。」

こうやって、具体的にひとつひとつ材料を潰していくと、ES細胞捏造説を主張する根拠が怪しくなっていく。
  ○「若山研由来のマウスからでは絶対にできない」
⇒解析ミスだった。
  ○「ESと書いた容器が、小保方研から見つかった」
⇒キメラマウス成功時にはなかったから無関係。
  ○「ES細胞を小さくすれば、偽装できる」
    ⇒胚に注入した際に、ES細胞でやるような処理が使えなかったとの若山証言
  ○「胚盤が光って見えたのは、血管が光ったのだろう」
⇒丹羽氏の観察と異なる。最終的には、ホルマリン漬けのマウスを要確認
 
 あとは、8番染色体のトリソミーの話だが、これも書いたように、発現率がなぜこれだけ異なるのか説明できていない(ES細胞30%STAP細胞100%)。
 
ES細胞・TS細胞混合説は、混合しては塊りにならないということは周知の話なので、成立しない。
 ちなみに、今週の週刊新潮(8月28日号)の「『STAP細胞』とは何だったのか?―日本の科学者本音座談会」との科学者の座談会記事では、ESTS細胞混合説を既定の事実であるかのように論じている。前半部は、後ほど紹介するが、興味ぶかいことも論じられている。しかし、後半は小保方氏をけなす放談会にすぎない(下記の「池田」氏は、池田清彦氏)。
 
竹内 その後、ES細胞とTS細胞が混ざったのではないか、という説も有力になりましたが、それらを混ぜたとして、その段階でも周囲の研究者にはわからないものなのですか。
池田 STAP細胞にESTSを入れ、その塊を示せばわからないと思う。STAP細胞をSTAP幹細胞にするプロセスでSTAP細胞が死滅し、ES細胞とTS細胞だけが残ったとすると理解できます。」
 
 本当にひどいもので、上記のように述べる竹内薫氏は、
 
「この幹細胞はES細胞9割、TS細胞1割と見られているが、理学博士である竹内薫ES細胞とTS細胞を混ぜ合わせると「別々の塊になるはず」と指摘しつつ、細胞培養に慣れた人ならまとめられるとして、その様な人が協力した可能性を指摘している。」(ウィキペディア
 
 と、自ら、同一の塊にはならないことを知っているのである。それなのに、この座談会では、それに触れることなく、進行させているのだから、ちょっと不誠実ではないだろうか。なりより、笹井氏と丹羽氏とが、具体的にその点は指摘しているのであって、それに対する反駁を彼らは何もできていないのである。
 

◎丹羽氏会見時発言
「若山氏は、今でこそ信じる信じないと言っているが、小保方氏から渡された細胞集団は極めて均一な細胞集団で、これをマイクロナイフで刻んで注入したと聞いている。

 自分で実際、ES細胞とTS細胞を混ぜると人工的な胚ができるのではないかと思って実験したことがあるが、残念ながら、わずか数日の間に見事に分離する。接着しながら分離するので、これらの両者で均一な細胞集団を作ることはできない。おそらく発現しているカドヒリンが異なるだろう。増殖因子の要求性が異なるので、それぞれの細胞の分化胞を維持しながら接着することはできないと思う。」
 
◎笹井氏会見時発言
「二つ目は特徴のある細胞性質です。STAP細胞は非常に小さな細胞でありまして、リンパ球、幼弱なリンパ球やES細胞などは一般に小さな細胞と考えられますが、そのさらに半分程度の直径の小さな特殊な細胞です。これは電子顕微鏡写真を左にもつけておりますが、ES細胞と比べてもさらに小さな、核も小さく細胞質もほとんどない、特殊な細胞であることがわかります。また遺伝子発現のパターンの詳細解析、これの場合もSTAP細胞はES細胞や他の幹細胞とは一致しないパターンを示します。共通の部分もありますが、共通でない部分も統計的に明らかに出ておりまして、そうしたものを考えますと、ES細胞やほかの細胞の混入で説明ができないパターンとなっています。
 三つ目には、ES細胞は非常に増殖能が高く、分散培養すなわちばらばらにして一個一個の細胞から培養することが可能でありますが、STAP細胞は増殖力が低く、分散してしまいますと死んで増えません。ですから、もしもそういったものを混ぜていればES細胞のような増え方をするはずでございます。」
※ 笹井氏の発言録出所は、「日本報道検証機構」のサイト。ここには、丹羽氏や笹井氏の会見時の発言を一部起こしたものが掲載されている。
 
 
なお、週刊新潮の座談会では、TCR再構成がなかったことの解釈について、興味深い指摘もあるので、次回紹介します。