理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

3-1 理不尽極まりない理研改革委提言は破棄されるべきである―CDBの「構造的欠陥」の論拠の空疎さ、理不尽さ

  
 改革委の岸委員長が、相変わらずの唯我独尊的に語っている。
 
 以下、引き続き、理研改革委提言の理不尽さ、支離滅裂さを個別具体的に指摘する。
本来は、もっともインパクトの大きいCDB解体提言の理不尽さが主たる問題指摘対象になるが、そこに入る前に、それにつながる諸論点について述べることにする。
これまで、三点について述べたので、第四点目である。
 
 第四の問題点は、俗耳に入りやすい決めつけによる非難である。いわく秘密主義、いわくコンプライアンス欠如、いわく採用時の手続き無視 等々である。
 これらは、いずれも、「CDB解体」の理由にもなっているが、実務に疎い大学の学者の空論である。こういうことを言うから、「学者バカ」という言葉がいつまでも世の中から消えないのだ。
 
 改革委提言は、
 
「4 STAP 問題の背景には、研究不正行為を誘発する、あるいは研究不正行為を抑止でき
ない、CDB の組織としての構造的な欠陥があった」
 
 として、次の点を挙げている。
 
「(1)このように STAP 問題の背景には複合的な原因があるが、以上に見たとおり、これらの原因は CDB が許容し、その組織体制に由来するものでもあった。
すなわち、小保方氏の RUL への採用過程においては、竹市センター長、西川副センター長(当時)、相澤副センター長(当時)を始めとする人事委員会メンバーは STAP 細胞の研究成果獲得を第一義とするあまり、客観的資料を基に本人の資質と研究内容を精査する通常の採用プロセスの手順を、悉く省略した。小保方氏がPI として率いる研究ユニットは、国立大学法人大学院においては准教授クラスが運営する研究部門(講座)に匹敵するのであり、そのようなハイレベルの研究ユニットを運営するPI としてのスタンダード域に達していない研究者を職権により杜撰なプロセスを以て採用した、竹市センター長をはじめとする理研 CDB のトップ層の責任は極めて重いと言わざるをえない。
また CDB の運営にあたる GD 会議は、STAP 研究の秘密保持を最優先とする方針を容認し、結果として STAP 研究について多くの研究者による研究内容の評価の機会が失われた。さらに、CDB においてはデータの記録・管理の実行は研究者任せであり、CDB の組織全体としての取り組みはほとんどなかった。
これら STAP問題の背景にある原因は、いずれも CDB が許容し、その組織体制に由来するものでもあった。言い換えれば、研究不正行為を誘発する、あるいは研究不正行為を抑止できない、CDB の組織としての構造的な欠陥があり、これを背景に STAP 問題が生じた、と言わなければならない。
 
 採用プロセス、未熟な研究者の登用、秘密主義、データの記録・管理の研究者任せの3~4点を「研究不正を誘発し、抑止できない構造的欠陥」とまで断じているのである。
 しかし、これらは、CDB解体に結論を誘導するための、まったくためにする議論であり、経緯や諸事情に全く目を向けない近視眼的指摘である。
 
 以下順次説明するが、その前に読者は、岸委員長、塩見委員が所属する東大では、研究不正が連続して生じていることをよく念頭においておいていただきたい。東大では単に研究不正にとどまらず、他人の論文を盗用したトルコ人「学者」が、学位を授与され、真っ赤な嘘の経歴によって准教授にまで登用されていたという大不祥事までが、つい最近において生じているのである。

 数十本もの論文不正の加藤教授が、分子生物学会では研究不正防止のための中心的役割を担っていたことは、すでに述べた。平比良教授にしても高名な学者だったはずである。これだけの不正と不祥事が立て続けに生じた東大に対して、「不正を防止できない構造的欠陥」があり、「解体」すべきとのスタンスを、岸氏及び塩見氏らはとったか? もちろんとっていない。そんな議論は生じてない。
 にも拘らず、岸委員長以下、改革委のメンバーは、とってつけた理由を挙げて、「CDB解体」という飛躍した提言をしているのである。CDB解体が先に念頭にあったとしか思えない実態把握の杜撰さ、論理の飛躍である。
 
(1)「秘密主義」批判について
 「秘密主義」については、もっぱら笹井氏とそれを許した理研CDB当局への批判となっている。以下が提言での指摘箇所である。理由としては、大別して次の2点である。
①小保方氏を採用内定後、研究の秘密性が高いと判断し、通常PIに課せられる公開セミナー、非公開セミナーともに行わなかったこと。
 論文作成後、CDB 内で通常行われている研究討論会等にもSTAP研究の結果が提供されることはなく、多くの研究者による研究内容の評価の機会が失われたこと。
 
「(採用を事実上内定後)人事委員会は、STAP研究は秘密性が高いと判断し、小保方氏については、通常PIの候補者に対して行っている英語による公開セミナーを省略したが、さらにこれに代わる英語での非公開セミナーも行わなかった。」
 
「2  STAP論文は、生データの検討を省略し、他の研究者による研究成果の検討を省略して拙速に作成された。
 笹井GDは論文作成の支援を開始した201212月以降、STAP研究の重要性や インパクトを認識し論文の作成に積極的に取り組んだ。一方、もともとSTAP研究は小保方氏がハーバード大/ブリガム病院で行っていた研究であったことから、国際的共同研究における貢献度の評価等の調整が生じ、C.バカンティ氏の意向もあり、笹井GDは秘密保持を優先し、その結果、外部からの批判や評価が遮断された閉鎖的状況を作り出した。
   (中略)
 ⑤しかし、研究の信頼性確保に必要な、研究者間で研究内容を多面的に評価する機会を省略することは、CDBのトップ層、すなわちGD会議が許容したことでもあった。すなわちGD会議は、STAP研究を論文発表まで秘密とすることを容認した。その結果、CDB 内で通常行われている研究討論会等にもSTAP研究の結果が提供されることはなく、多くの研究者による研究内容の評価の機会が失われた。
また、竹市センター長が小保方氏の論文作成を指導するよう笹井氏に依頼して以降、竹市センター長をはじめ、他のGD会議メンバーは、論文の進捗状況について情報共有を図ることもなかった。」(P78
 
 改革委は、人事委員会がなぜ、秘密性を要すると判断したのか、ヒアリングをしたのか?その聴取内容について、どう評価しているのか?
 誰でも実務者なら、これが秘密を要することは容易にわかる。特許出願前だったからである。
提言では、この研究の米国での特許出願が、2013423日が期限であることに言及している。ただし、提言では、期限が迫っていることは、「データの再検討・再検証が行われることなく拙速に論文が作成され、研究不正が見逃される結果を招来した」という結論を導くための一事由としてである。確かにその要素は否定できないだろう。しかし、その視点だけで捉えるのはおかしい。
生命科学の世界では、特許出願は半ば当たり前になっている。純粋の基礎研究というのは少ないのではないか。山中教授のiPS細胞においても慎重に作業を進めて特許を取得している(ただし、他人に勝手に使われないようにするための防衛的性格のものらしいが)。これが生命工学の世界になれば、特許は当然という状況であろう。今や、合成生物学の発展によって人工生命さえも作れるようになり、それらは特許で固くガードされているのだ。
 
特許を取るためには、「新規性」要件をクリアすることが必須である。「世の中に知られていない」(「公知」ではない)ということである。研究成果を、学会発表、その他の会合等で発表してしまえば、「新規性」を失い、特許取得はできなくなる。仮に相手が一人であっても、秘密保持義務がなければ、口頭説明であっても「公知」となる。「ある企業の研究者のみが知っていた知識、部外者の立ち入りが制限された研究室や工場で運転されていた機械、社内や特定の取引先のみに配布する設計図は、先行技術に含まれない」(ウィキペディア)が、理研内部のセミナー、研究討論会でこれと同種の秘密保守義務をかけることはり得ないだろう。仮にかけたとしても、それが外部に伝わり、先行して出願されれば、特許はとれなくなる。STAP細胞の場合は、仮出願を2012424日にしているから、期限の2013年の423日までに本出願すれば、出願日は確保できるが、しかし、その情報をもとにして周辺特許を押さえられてしまう可能性がある。できる限り請求の範囲を広くして広範な特許を押さえることが基本であろう。
 
 なお、日本の特許法では、例外措置はある。発表等から6カ月以内に出願すれば、新規性を失わなかったものとして扱われる。
しかし、その要件は極めて厳しいこと、欧州では同様の救済制度はないこと等から、これに頼ることはあり得ない。
 
だから、秘密を要することは当然なのである。まして、対象が、iPS細胞に匹敵するかもしれない研究である。CDBの人事委員会は、このような基本的認識をもとに、秘密扱いとしたのだろう。
要するに、この研究は、独立行政法人たる理研にとっての知的財産なのである。知財立国の国是?を踏まえて、特許取得のために当然の実務的扱いをすることは何ら批判されるべき話ではない。もし、守秘を徹底せずに、それによって「新規性」を喪失して特許がとれなくなれば、それは背任的行為でさえある。
 
岸委員長はじめ改革委メンバーに逆に問いたい。特許を取得することとの関係をどう評価しているのか? 特許取得は悪なのか? 特許を取得するための必須要件である「新規性」維持のための実務的措置を講じることがなぜ批判されなければならないのか? 
 
岸委員長、塩見委員が属する東大や、市川委員が属する信州大にしても、特許取得はしているはずだ。もっとも、大学はそれほどではないかもしれない。国立大、特に東大、京大等の旧帝大系は、国からの研究資金の配分面でも優遇されており、社会に無償で成果を還元する基礎研究を行う環境は比較的恵まれているかもしれない。しかし、基礎研究だけの感覚で論じるのは視野狭窄である。今では東大を含む国立大からも、大学発ベンチャー企業が生まれている時代だ。外部資金の導入、自主財源の確保等のためには、大学、公的研究機関といえども、特許取得は必須となる。
NHKスペシャルでも、研究者が語っていたではないか。
 
「近年は、特許出願を並行してするのが一般的。特許がなければ、誰も投資してくれない。特許があれば、資金や人も集まる。」
 
 分子生物学会理事長の大隅氏が、笹井氏逝去を受けて書いた記事にはこうある。
 
「なぜ自らの命を断つという選択をしたのか。このようなことが起きた背景について分析し、問題を取り除く努力を続ける必要があると思います。生命科学の商業化・産業化、過当競争、教育の質保証、問題は多岐にわたり交絡しています。犯人探しや責任のなすりあいをするのではなく、どうすればこのような悲劇を防げるのか、科学者コミュニティーの構成員が自分の問題として現実に目を向ける必要があります。」
 
 往々にして出てくる「商業化」批判である。基礎研究が極めて重要だということはわかる。産業化を前提としない自然原理の探求を、じっくりと落ち着いた環境で追求する研究者と研究環境が確保される必要があることはわかる。しかし、だからといって、社会との連携の下に科学を発展させていくための知的財産の重要性を否定するのであれば、およそピントがずれていると言わざるを得ない。
 
 岸委員長、市川委員、塩見委員をはじめとした改革委メンバーは、CDBの「秘密主義」の批判をするのであれば、上記のような特許取得の必要性とその要件との関係について、どう考えているのか、所見を明確述べるべきである。
 
※小保方氏自身は、特許のことはほとんど知識がなかったようである。特許出願の請求書類(明細書)を見ても、自分の研究内容とはピンときていなかたことが、代理人の両弁護士によって語られている(文藝春秋9月号)。
改革委提言によれば、2012427日に、神戸事業所研究倫理第一委員会でSTAP現象に関する説明を行い、それがグループディレクターらの知るところとなり、採用につながっていったと説明されているが(P5)、けっこうきわどい話ではある。仮出願がその直前の424日にされていたのでセーフではあるが、時期と相手次第では、知財面では窮地に立つおそれもなきにしもあらずかもしれなかった。
 
 
(2)小保方氏採用時の「手続き軽視」とRULへの登用批判
 次が、「実績がない」小保方氏の採用時の「手続き軽視」と、「大学准教クラスのRUL」への登用についての批判である。
 まず、採用に関する提言書の関係部分を抜粋する。
 
「(20124月の倫理委での小保方氏の発表を踏まえて)
201210月、CDBは新任の研究室主宰者(PI)の公募を開始した。公募では、特に幹細胞研究者の採用を掲げていた。1114日のGD会議後の公募人事に関する非公式な打合せの中で小保方氏が候補となり、その結果をふまえ西川副センター長(当時)は小保方氏に新PIに応募するよう打診した。
④西川副センター長(当時)の打診に対し、小保方氏は応募の意向を示したものの、重要な応募書類の提出が締切日に間に合わず、選考にあたるCDBの人事委員会のメンバーは1221日の面接セミナー当日、応募書類を受け取った。さらにこの段階では応募に必要な推薦書が添付されていない状況だった。
このため人事委員会は、事前に過去の論文や応募書類の内容を精査しないまま、また研究能力についてハーバード大学/ブリガム病院C.バカンティ氏、東京女子医科大学の岡野光夫教授、大和雅之教授らからの推薦書による確認を経ることなく面接セミナーを行い、小保方氏の採用を事実上内定した(*2)
    (中略)
(2)このように小保方氏の採用プロセスは、過去の論文も応募書類の精査も無く、推薦書による確認を経ることなく面接セミナーが行われ、英語によるセミナーも省略して内定する、という過去の採用の慣例に照らし必要とされるプロセスを悉く省略する、異例づくめのものであった。さらに若山研究室における客員研究員としての小保方氏の研究活動についても聴取されなかった。小保方氏の採用は、客観的資料を基に本人の資質と過去の研究活動の内容を精査することなく決定されたもの、と言える。
そもそもCDBの側から小保方氏に応募を打診したことも含め、一連の経過を見ると、小保方氏のRULへの採用は、最初からほぼ決まっていたもの、と評価せざるをえない。」
 
 ポイントは、人事委員会が、
事前に過去の論文や応募書類の内容を精査をしなかった。
②推薦書による確認を経ることなく面接セミナーが行われ、英語によるセミナーも省略して内定した。
 
 これは、CDB当局を批判するための、ためにする指摘にすぎない。事実に反する部分も明らかにあると思う。時系列で追っていけば、いかに馬鹿馬鹿しい形式論を言っているか、事実関係からしておかしいかにすぐ気が付く。
 
 20089月から2年半 東京女子医大岡野研の大和氏の推薦でハーバード大に短期留学
 20098月 最初の米科学誌への論文投稿(不採用)
20105月 バカンティ研の小島氏から、理研若山氏に共同研究の申し入れ。同8月、 小保方氏を受入れ(ハーバードからの客員。本籍は早大大学院のまま)。
20114月 博士課程修了後、若山研で継続して研究。
20116月 ネイチャープロトコル誌に、指導教授の岡野光夫、大和雅之、常田聡らと共に、発表(細胞培養シートのマウスへの移植成功)。
2011年?月 博士論文のもととなる論文をティッシュ誌に掲載。
201111月 若山氏とキメラマウス作製に成功
20124月以降 STAP細胞関連論文を、ネイチャー、セル、サイエンス等に投稿(不採用)
20124月 米国で特許を仮出願
20124月末 神戸事業所研究倫理第一委員会でSTAP現象に関する説明を行い、GLの関心を惹く。
 201210月 CDBが公募開始(幹細胞研究のテーマで)
 201212月 小保方氏面接、採用決定。笹井氏の指導始まる。
 20132月 ネイチャーに論文投稿。

 
 こうやって順を追って見て行けば、「実績がない」とか「客観資料を精査しなかった」とかの指摘が空疎なものかわかるだろう。
 
①元々が、ハーバード側からの共同研究の申し入れがあり、その担い手として小保方氏が送り込まれてきたこと。
②女子医大の指導教授らとともに投稿した論文があり、専門性、公平性の高い査読付き学術誌として著名なティッシュ誌で論文採用もされていること。
  ※「Tissue 誌は、いわゆる査読付欧文学術雑誌であり、その分野の高度の専門的知識をもち、かつ独立、公平性の高い査読者が論文内容のオリジナリティ、教育的価値及び有効性を考慮に入れた上で、内容を評価、検証し、その結果、内容の明確性、正確性、論理性等が掲載に値するとされた場合のみ、掲載を許される。」(早稲田大報告書)
③何と言っても、公募の1年も前に、若山氏も驚愕したキメラマウスの作製に成功していたこと。
ハーバード大バカンティ研究室と若山研との共同研究であり、キメラマウスの成功をもとに、ネイチャー誌等への論文投稿を行っていたこと。
⑤共同研究の成果をもとに、理研として20124月に特許の仮出願をしていたこと。
⑥それらの研究成果は、20124月の倫理委員会で小保方氏が発表し、それがGLらの関心を呼んだという経緯であること。
 
 公募開始、面接のはるか以前に、これだけの「客観的資料」があるのである。これ以上の、小保方氏の実績を示す客観的資料があるか? 理研の若山氏との奇跡的な実験成功という基本的事実があって、それ以上に若山氏から何を聴取する必要があるのか? 小保方氏の研究成果をもとに、理研自身が名を連ねて国際特許の仮申請をしているのである。特許申請には、岡野教授らの女子医大も名を連ねている。岡野教授らとは、共同でネイチャープロトコル誌に論文を発表している。
 改革委提言が並べる「応募書類を精査しなかった」「若山氏や女子医大から研究実績を聴取しなかった」「ハーバードの研究室からの推薦書による確認をしなかった」という批判が、いかに「ためにするもの」であるか、不当な言いがかりであるか、明確に理解できるだろう。ハーバードからの共同研究の担い手として送り込まれてきて、かつ、ネイチャー論文等も投稿していて、英語のセミナーを経なかったのはけしからんなどとは、文字通りの言いがかりである。
 
 公募のタイミングや、若山氏が山梨大に移ることが決定し明らかになったタイミング等の関係で、手続き書類が間に合わなかったとしても、入試ではないのだから、それは関係がない。理研には、独立行政法人として、任意の採用の裁量権がある。公務員を採用するわけではない。公募しても、適当な人材がおらず該当者なし、という事例は世の中にゴマンとある。無理に公募して採用しようとしても、経歴はいくらでももっともらしく飾れるし、某政党の国会議員、県会議員、区長のようなトンデモ人物が紛れ込むリスクが多分にある(理系であれば、著名な査読付き学術誌で採用されているというのは、「客観的」材料だろう)。
 公募と並行して、別の優れたと考える人材が見つかった場合には、そちらを優先する場合もありうる。一応、公募に応募させた形をとっただけのことである。
 独立行政法人には、それぞれの成果目標があろう。理研CDBが、戦略研究目標を掲げて、それに即した人材を求めてリクルートするのは、当たり前すぎるほど当たり前のことである。「幹細胞」分野の一層の強化という組織としての戦略的視点から、STAP研究という新しい分野で客観的成果を示す材料が多々揃っている研究者をリクルートすることは、何ら批判されるべきことではない。
共同研究の担い手として送り込まれてきたり、ハーバード、女子医大理研の国際共同特許申請の研究者の筆頭に小保方氏が書かれていること自体が、何よりの推薦状であらう。
 
 だいたい、改革委のメンバーには多くの大学教授がいるが、当の大学の教員採用プロセスにしても、相当裁量の幅が大きいではないか。准教授の手前の助手の採用などは、教授が一本釣りして声をかけるケースも多々あるだろう。正規の教授を外部から招く場合もあるが、それを公募しているなどという話はあまりきかない。若山氏が山梨大に移った際の経過は知らないが、公募ではないのではなかろうか。特任教授などは、特定のテーマに注力するために、外部から様々な経歴の者を幅広く採用しているが、公募もあれば、裁量による採用もある。改革委委員の市川氏は、信州大の特任教授だが、公募なのかどうかわからないが、認容手続きは簡易はものだったのではないか? 特任教授も玉石混淆だということは、よくわかるだろう。
 
 提言には、

理研CDBは、小保方氏の研究者としての資質と実績を評価して、というよりも、小保方氏のSTAP研究の成果が魅力的であり、小保方氏をRULに採用することにより、iPS細胞研究を凌駕する画期的な成果を獲得したいとの強い動機に導かれて小保方氏を採用した可能性がきわめて高い。」

 とあるが、その動機を批判対象にすることは、明らかにバイアスがかったピンボケの議論である。独立行政法人としての戦略目標に即した業務遂行の一環であり、何ら批判されるべきものではない。
                                             続く