理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

10月に出願期限が迫る国際特許出願を生かすためにも、小保方氏を加えて再現検証を大至急行なう必要がある

 より大局的観点から、理研が視野に入れておく必要があると思うのは、STAP細胞に関する「国際特許出願」のことです。
これを活かすためにも大車輪で検証作業を進め、確実に各国審査請求手続きをする必要があるということです。再現検証の1年後に、
「やはりSTAP細胞は存在しました」、「しかし、国際特許出願は既に期限切れで、権利を押さえることができませんでした」
という事態になっていたら、それこそ、国家的大損失であり、大責任問題です。
 
 今回のSTAP細胞についての特許出願に関しては、327日時点で、次の記事を書きました。
 
 すでに、2012424日に米国特許庁に出願がなされており、それを基にして国際特許出願もなされています(筆頭出願人はバカンティ教授)。
 ※特許出願内容は、Google Patent Searchで”haruko obokata”と入力すると出
  てきます。

 請求項は74ありますが、もっとも包括的な請求項1の「細胞をストレスにさらすことによる多能性細胞生成方法」は、国際予備審査による先行技術のサーチレポートにおいて、東北大学の出澤真里教授による「Muse細胞」という多能性幹細胞が先行技術として指摘されています。
 通常、各国での国内手続き(審査請求)期限は、20ヶ月ですが、最長30ヶ月まで延長できるということで、延長しているのであれば、今年の1024日がその期限になります(まさか延長していないということはないとは思いますが)。
 
 以上の点が、マスコミ報道ではほとんどなされていませんが、いくつかのブログのおかげでわかっています(実験ノートが、先発明主義の米国での出願のためには重要だという観点からの言及はありますが)。
 
※ 特許を取得するという意味は二つあって、
その研究から生み出される研究成果から積極的に利益を得て、研究に役立てようという場合。
他人に特許を取られることを防ぐための防衛的な場合
  のいずれか、又はその組み合わせということでしょう。研究者が使う分には形だけの ロイヤリティ
  ーでライセンスを付与し、商業利用になればそれなりの商業ライセンスを与えるということかと思い
  ます。iPS細胞の山中教授も、特許弁護士がつきっきりで知 的財産面での管理をした上で、発表
  したということを聞いたことがあります。
 
理研の会見では、特許出願が理研当局側は把握していなかったということと、本来当局側で管理がなされるべきものだ、という趣旨の簡単なやりとりがあっただけだったと思います。小保方氏らの「秘密主義」という観点からの批判材料の一つになっていますが、もともと米国特許庁への出願で、出願人が米ハーバード大学のブリガム・アンド・ウイメンズ病院、東京女子医大理研の3者(発明者が日米の研究者7名の連名)ですから、バカンティ教授グループ側が手続きしたのでしょう。経験の浅い小保方氏が特許出願の請求項や明細書を書けるとは思えません。
 
●いずれにしても、国際特許出願は、最長で今年の1024日までに各国(日本の特許庁を含む)での国内移行手続き(審査請求)をしなければ、取り下げ扱いになってしまいます。
 もし、理研当局が、特許出願に関する管理を、小保方氏らから取り上げたとすれば、この点についての工程管理をよほどしっかりしないと、世紀の大発明の知的財産権が失われてしまいかねない事態になってしまいます。
今回のNature投稿論文は、脾臓由来の「酸処理」というストレスによる現象についてのみのものですが、特許出願の内容は、酸処理はごく一部であり、細い管を通すストレス、酸処理との組み合わせによるストレス等、実験条件等の組み合わせもあり、74項目もの請求項になっています。特許出願ですから、これらは「実施可能性」要件を満たすものでなければなりませんので、その点で不安があるならば、補強をしなければなりません。

そういうときに、キーパーソンの小保方氏をパージし、再現実験からはずすという選択肢が適当なのか? と考えれば、おのずと答えは明らかではないでしょうか?
小保方氏は再現できるコツを盛り込んだ「レシピ」を書きたいと言っており、丹羽氏も「小保方氏の協力を得たい」といっているわけですから、その参加について透明性を確保した上で参加させて、再現検証を大至急行なうことが、現時点での喫緊課題なのではないかと思います。
 
 「世紀の大発見」かもしれないSTAP細胞なのですから、ここで知的財産権の面での処理を怠って無に帰してしまうとすれば、それは「世紀の大チョンボ」になってしまいます。
 今回の調査委員会の報告書で、小保方氏から提出を受けた4枚の画像を、4日後にHPから削除していますが、「調査委に提出された画像であっても、論文としては未公表のデータにあたる」と知的財産の観点を理由に挙げています。しかし、いったん公表されてしまえば、公知になってしまいますから、この画像公表も事前のチェックが甘かったと言わざるを得ません。
 
もしこの混乱のままに、国際特許出願の国内移行期限が来て、取り下げとなってしまった場合(でSTAP細胞が存在することが判明した場合)、どうなるのでしょうか?
 世界は、理研の馬鹿さ加減を嘲笑することでしょう。
いったん特許出願がなされ、それが出願公開されて発明内容が公開されたわけですから、それは公知になります。それをもとにして、応用加工手順を工夫すれば、それを特許取得することができるようになるでしょう。
もちろん、理研等がそのまま特許取得したとしても、その応用加工手順の応用特許はとれますが、基本特許を理研が押さえていれば、その応用特許は実施できません。基本特許がなければ、それらの応用手順の特許は、理研らからの制約なく自由に使えるだけでなく、他人の実施を排除することができてしまいます。あくまでベースとなる基本的部分の特許を押さえることによって初めて、応用研究も含めてコントロール下に置くことができます。学術研究から商業利用まで、その基本特許がなければ制御しようがありません。
 
今頃、中国などは、虎視眈々とその出願期限切れの事態が来ることを期待して、人海戦術、物量作戦でSTAP研究を続けているような気がします。そして、小保方氏が公表するであろう「レシピ」を心待ちにしていることでしょう。そして、理研等による国際特許出願の期限切れ(取り下げ)を狙いすまして、次々と応用手順の特許を押さえていく・・・。こういった事態が生じないと言い切れるでしょうか? 今の日本国内での混乱を喜び、利益を得るのはそういった国々、人々です。

※ これは、全く私の根拠のない憶測に過ぎませんが、香港中文大の李教授の突然の実験中断というのも、何か妙な気がします。公開手順+アルファで「言葉にならない驚き」という現象が生じた一方で、すぐに実験中断して、「STAP細胞はない」「時間と金の無駄だ」と断言するというのも不自然な気がしました。理研等の出願期限切れを待って、その+αの応用手順で特許申請するということは、絶対ないのでしょうか・・・。
 
「特定国立研究開発法人」への指定の見送りなどは、こういった大きな構図からすれば、矮小な話に過ぎないと思います。法人指定は多少足踏みをすることになりましたが、指定自体は確実で時間の問題です。
STAP細胞は結局なかったということもあるのかもしれませんが、今は予断を持たず、あるという前提で、その場合に必要な知的財産権の取得準備に万全を期すということが、現在、理研等の出願機関と発明者に求められていると思います。
特許出願自体は、バカンティ教授側で行なっているとは思いますが、共同出願人として連絡・連携を密にすることは必須です。
 
●以上をまとめると、次のようになります。
 
1 STAP細胞が存在するのであれば、国際特許取得は必須。Nature論文は酸処理という一手法だけに過ぎないが、特許出願での手法はもっと多岐にわたるものでインパクトが違う。

2 特許を押さえてこそ、世界のSTAP研究を制御することが可能となる。逆に取得できなければ、応用手順が他国等で特許化され、コントロール権を失うばかりでなく、逆に大きな制約を蒙る怖れもある。

3 その各国での出願期限は半年後に迫っている。

4 特許である以上は、「実施可能性要件」「最良実施形態要件」を充たす必要があり、そのために実験補強が必要であれば、大至急行なう必要あり。

5 またサーチレポートで先行技術とされたMuse細胞の特許出願との整理も必要。

6 出願期限が間近に迫っていることから、バカンティ教授らとも連携を密にして、STAP細胞の再現実験を大至急行ない、その早期検証のためにも小保方氏を検証チームに参加させ、全面協力させるべき。