理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

小保方氏は、規程第15条第5項に基づき、権利としての再現実験実施を要求するのが最善策

 小保方氏が弁護団を通じて、会見の補充ペーパーを出しました。
 
 
 識者の中に依然として批判があり、それに対する事実関係の補充説明ということで、タイミングを逸さずに出されたものと思います。マスコミ報道の要約や記事タイトルだけをみると誤解しかねないので、全文をしっかり読むことが重要です。例えば、「小保方氏、レシピ公開せず」というタイトル記事で配信しているところがありますが、これではまるで「証拠示さず」という誤った印象を与えかねず不適切です。要約記事にしても、不思議ですが、キメラマウスの遺伝子が違っていたという点についての以下の説明については、どこのプレスもあまり紹介せず、若山氏への取材記事もありません(不正調査期間中は、取材できないとは思いますが)。
「(マウスの受け渡しは若山研究室内で行なわれ)長期培養を行ったのも保存を行ったのも若山先生ですので、その間に何が起こったのか、私にはわかりません。」
 
【小保方氏の補充説明のポイント】
1 「200回の作成」について
(1)内訳
 時期別に示し、培養までは1週間と短く、平行して行なうとした上で、
「培養後に、多能性マーカーが陽性であることを確認してSTAP細胞が作成できたことを確認していました。このようにして作成されたSTAP細胞の幹細胞性については、培養系での分化実験、テラトーマ実験やキメラマウスへの寄与の実験などにより複数回再現性を確認しています。
(2)作成に成功した第三者の存在
「成功した人の存在は、理研も認識しておられるはずです。」
 ※ 理研も、2人の研究員が、マーカー確認まで行なったことを追認。
 
2 レシピの公表
「状況が許されるならば他の方がどのステップで問題が生じているかの情報を整理して、現在発表されているプロトコールに、具体的なポイントを順次加筆していくことにも積極的に取り組んでいきたい」
レシピや実験手順につきましては、所属機関の知的財産であることや特許等の事情もあり、現時点では私個人からすべてを公表できないことをご理解いただきたく存じます。今の私が置かれている立場では難しい状況ですが、状況が許されるならば実験を早く再開して、言葉では伝えにくいコツ等がわかりやすいように、映像や画像等を盛り込んだプロトコールとして出来るだけ近い将来に公開していくことに努力していきたい」
 
3 朝日新聞「STAP論文 新疑惑」と題する記事
「メスのSTAP幹細胞が作成されており、現在、理研に保存されております。したがって、オスの幹細胞しかないというのは、事実と異なります。」
「STAP幹細胞は、少なくとも10株は現存しています。・・・若山先生がオスかメスかを確かめたのは8株だけです。それらは、すべてオスでした。若山先生が調べなかったSTAP幹細胞について、三者機関に解析を依頼し染色体を調べたところ、そこには、メスのSTAP幹細胞の株も含まれていました。記事に書かれている実験は、このメスのSTAP幹細胞を使って行われたものです。」
 
4 STAP幹細胞のマウス系統の記事について
「2013年3月までは、私は、神戸理研の若山研究室に所属していました。ですから、マウスの受け渡しというのも、隔地者間でやりとしをしたものではなく、一つの研究室内での話です。この点、誤解のないようお願いします。
 STAP幹細胞は、STAP細胞を長期培養した後に得られるものです。
 長期培養を行ったのも保存を行ったのも若山先生ですので、その間に何が起こったのか、私にはわかりません。現在あるSTAP幹細胞は、すべて若山先生が樹立されたものです。若山先生のご理解と異なる結果を得たことの原因が、どうしてか、私の作為的な行為によるもののように報道されていることは残念でなりません。
 
●さて、小保方氏が、先日の記者会見でも、機会を与えてもらえたらどこにでも出向き再現実験に協力したい旨を強調し、今回の補充文書でも改めて以下の点を述べています。

 ①テラトーマ、キメラマウスまで複数回実験に成功していること、
 ②共著者以外の2人が、培養までは成功していること、
 ③レシピと手順とを、映像、画像まで含めたプロトコルとして提供する用意があること、

 それであれば、小保方氏にきちんと実験環境を提供して、実験に取り組ませるべきでしょう。
 
 内外の科学界、一般社会の関心も、STAP細胞の存在の有無にあります。
 また、今回の調査委員会報告書によって、(STAP細胞の存在の有無は別問題だとする理研の説明とは相反して)小保方氏が懸念した通りに、「STAP細胞研究」自体に疑念が多数生じ、遂には研究自体が捏造だという見方までが生じてしまっています。小保方氏を詐欺師扱いする明らかに名誉毀損に相当する非難までが、まともなはずの識者からも公開される始末です。
 そのような不毛な状況をいつまでも続けるのは、あまりに馬鹿馬鹿しい話で、日本の科学界にとって不幸です。小保方氏にとっても、名誉毀損的状況、そして何より研究者としての評価が著しく毀損されていくのは耐え難いでしょう。
 
●そこで、提案ですが、小保方氏は、理研の「科学研究上の不正行為の防止等に関する規程」第15条第第5項に基づいて、被調査者の権利として、再現実験の実施の要求をしてはどうでしょうか。
 http://www3.riken.jp/stap/j/f1document1.pdf (規程はP11以下)
 
「(調査の方法)
第15条 調査委員会による調査は、特段の事情がない限り実施決定後概ね30日以内に開始する。
調査は、当該通報において指摘された研究に係る論文、各種計測データ等を記録した紙及び電子媒体、ラボノートブックその他資料の精査及び関係者からの聴取等により行う。
調査においては、被通報者に対して弁明の機会を与えなければならない。
被通報者は、前項の弁明の機会において、当該通報の内容を否認するときは、当該研究が科学的に適正な方法及び手続きに則って行われたこと並びに当該研究に係る論文がそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを、科学的根拠を示して説明しなければならない。
調査においては第2項に定めるほか、必要に応じ、被通報者に対し再実験の実施を指示又は被通報者の申出により再実験を行うことを許可することができる。
前項の再実験を行うときは、被通報者に対し、それに要する費用、期間、場所及び機器その他再実験に必要な物品を提供しなければならない。ただし、被通報者からの申出により再実験を行う場合にあって、同じ内容の申出が繰り返して行われる等、当該調査の引き延ばし等の妨害を図ることが目的であると調査委員会が判断したときは、当該再実験実施の申出を受け付けないこととする。」
 
 再実験は、「必要に応じ」とありますが、もともとこの規程は、文科省ガイドラインに沿って作成されています。文科省の審議会が定めたガイドラインの当該箇所は次のようになっています。被調査者から再実験の申し出があった場合には、実施させることが義務になっています。
 
◎科学技術・学術審議会 研究不正行為に関する特別委員会
「研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて」(平成18年8月8日付け)
「③調査方法・権限
ア)本調査は、指摘された当該研究に係る論文や実験・観察ノート、生データ等の各種資料の精査や、関係者のヒアリング、再実験の要請などにより行われる。この際、被告発者の弁明の聴取が行われなければならない。
イ)被告発者が調査委員会から再実験などにより再現性を示すことを求められた場合、あるいは自らの意思によりそれを申し出た場合は、それに要する期間及び機会(機器、経費等を含む。)が調査機関により保障されなければならない。ただし、被告発者により同じ内容の申し出が繰り返して行われた場合において、それが当該事案の引き延ばしを主な目的とすると、調査委員会が判断するときは、当該申し出を認めないことができる。
ウ)上記ア、イに関して、調査機関は調査委員会の調査権限について定め、関係者に周知する。この調査権限に基づく調査委員会の調査に対し、告発者及び被告発者などの関係者は誠実に協力しなければならない。また、調査機関以外の機関において調査がなされる場合、調査機関は当該機関に協力を要請する。協力を要請された機関は誠実に協力しなければならない。」
 
 調査委員会は、おそらく、「調査委員会が与えられたミッションは、5点の疑念についてのみであり、再現性の有無についてはミッションの範囲外である」ということでしょう。しかし、調査委報告書では、例えば画像捏造認定の部分で、「このデータは STAP 細胞の多能性を示す極めて重要なデータであり、小保方氏によってなされた行為はデータの信頼性を根本から壊すものであり、」とまで言っているのですから、研究自体が捏造だと言っているに等しいと思いますし、実際、そういう受け止め方をされてしまっています。
 世の中の受け止め方も、「科学の問題は、科学によって証明されるべきだ」という声が圧倒的に多いようです(今回の不服申立ては、「捏造」「改竄」という研究者にとっての死刑宣告に対する異議なのですから、その事情と権利とは、理解されるべきだと思いますが)。
 
 であれば、堂々と規程に基づいて、権利としての再現実験を要求しようではありませんか!
 
 これによって、小保方氏は、「反転攻勢」に転ずることができます。
 これまで、小保方氏は、「雲隠れで自ら説明しようとしなかった」「会見で科学的証拠を示さなかった」「200回も再現したなど勘違いだろう」「レシピ、データの公開に消極的だ」など、言いたい放題言われてきました。
 理研当局は、本来、きちんと説明すべきことを説明しようとしませんでした。研究不正の調査に入れば、規程第13条に基づいて、被調査者は外部との接触は禁じられ、出勤停止、研究室も封鎖されているはずですし、実際断片的にそういう説明もしています。調査継続中の外部への発信も禁じていたと述べています。
 
「(一時的措置等)
第13条 研究所は、本調査の実施を決定したときは、第14条に定める調査委員会による調査が完了するまでの間、当該通報に係る研究のための研究費の支出停止措置を講じることができる。
研究所は、調査に必要な資料を保全するため、次の各号に掲げる措置を講じることができる。
(1)被通報者の定年制職員就業規程(平成15年規程第33号)第25条、任期制職員就業規程(平成15年規程第34号)第26条及び大学院生リサーチ・アソシエイト就業規程(平成21年規程第38号)第7条に基づく出勤禁止
(2)被通報者の当該調査に係る利害関係者との接触禁止
(3)被通報者の所属研究室等の一時閉鎖
(4)調査に係る物品の確保
(5)その他必要な措置                       」
 
それであれば、小保方氏が、外部に出ようにも、あるいは科学的証拠を持って説明しようにも、物理的にできないわけですから、そういう同氏が置かれた状況を外部に説明すべきでした。にもかかわらず、「小保方氏や笹井氏は雲隠れ」、「小保方氏が科学的証拠を出さないのはおかしい」といった非難がなされるままにしていました。
批判している科学者も科学者ではないでしょうか。小保方氏が会見で科学的証拠を示さなかったとか実験ノートを示すべきだった等の批判をしている研究者は多数いますが、研究不正の調査に入ったら凍結措置がなされることにより、それは難しい面があるということは理解しているはずだと思うのですが・・・。

理研は、小保方氏側の指摘で明らかになった、共著者以外の2名の研究者が幹細胞生成のマーカーまでは確認している旨も、取材を受けるまでは明らかにしませんでした。あげくに、
「細胞の多能性マーカーが陽性になる段階までは確認した研究者がいることは認識している。しかし、これはSTAP細胞があったかどうかを結論付けるものではなく、STAP細胞があると言えるものではない」毎日新聞
とコメントしたといいます。先日の「調査が不十分なら公表はしない」との不適切なコメントを述べた「広報担当者」でしょうが、この担当者のセンスは疑問です。なぜこういう不存在の予断を滲ませるようなコメントをするのでしょうか? 「しかし」以降は全く余計です。
それに、初期段階の「多能性マーカーが陽性になったことを確認した」といっているのであれば、それだけでもインパクトはあるはずです。一部識者などは、「細胞が死滅するときに発する光を誤認したのだろう」という「壮大な勘違い」説を述べています。それが勘違いなのかそうではないのかをはっきりさせる意味でも、その「確認した」具体的内容は重要なのではないでしょうか?
 
理研は、小保方氏らの実験、研究を執筆者によるものだと捉え、他人事のように振舞っていますが、特許出願を行なっているのは、理研自身であることを忘れていないでしょうか?? 理研自身が当事者なのです。もし、STAP細胞研究自体が捏造だということであれば、実施可能性のないにもかかわらず特許を取ろうとしたということで、刑事罰に問われる可能性だってあります。前回述べたように理研自身が本件研究の当事者なのであって、特許出願をなんとしても維持するために、必死になってその再現可能性を追求すべき立場におかれているという認識があまりにも薄いのではないでしょうか? 特許出願に関しては、小保方氏の補充説明書でもレシピや手順を自分の判断だけでは公開できない理由として「知的財産や特許」を挙げていますから、多少は理研としても認識があるとは思うのですが・・・。
 
 
●更に敷衍して言えば、理研の検証は不十分に過ぎます。本来であれば、

 ①論文自体の検証
 ②実際の行なわれたSTAP細胞研究の検証
再現実験

3本立てで検証は行なわれるべきはずです。それが社会に対する責務でもあります。ところが、なぜか②の「STAP細胞研究の検証」はなされていません。先日9
日の記者会見でも指摘されていたように、胎児の標本についての検証はなされていません。
 
記者:・・・たぶん最もすごい証拠というか決定的な証拠はあのネイチャーの論文に掲載なさった胎盤が光り胎児が光っている細胞の標本があることだと思うんですけれども、それはどこにあるんでしょうか。
小保方:それはまだ保存してあります。
記者理研の小保方さんの研究室のフリーザーにあるってことですか。
小保方フリーザーといいますか、固定器の中に保存してあります。」
 
 NHKクローズアップ現代でも、指摘がありました。
 
「こうした中、研究者たちは理化学研究所にもまず、すべきことがあると指摘しています。理研には今もSTAP細胞から作ったとするマウスの細胞組織などが保存されています。この組織を「次世代シークエンサー」と呼ばれる最新の装置で分析すれば、STAP細胞の存在の有無を確かめられる可能性があるのです。
この装置には、微量のサンプルからでもマウスのDNAの25億に上る塩基配列を読み解く能力があります。理研が保存しているサンプルがSTAP細胞から本当に作られたのか。それとも、全く別の細胞なのか解明が期待されています。
DNA分析の第一人者、菅野純夫さんです。
東京大学大学院 菅野純夫教授
「ゲノム(遺伝情報)を調べると、STAP細胞がちゃんとあるのかないのかについて、ある種のデータがとれる。」
分析にかかる時間は僅か2週間。
しかし理研は、現時点ではこうした分析を行う予定はないとしています。」
 
 なぜ理研はこの標本を検証しないのでしょうか?

 
いずれにしても、規程第15条第5項に基づき、小保方氏は権利としての再現実験実施を理研に要求し自ら実施することが、すべての者にとって最適な方策だと思います。もちろん第三者に立会わせることは必須ですが、レシピを示しながら、第三者に指示しながら実施させるという方法でもいいでしょう。これによって、 
小保方氏にとっては、嫌疑を晴らし、STAP細胞の実在を証明する機会となる。
科学界にとっても、科学的な結論が出て、追試環境が整う。
理研にとっても、再現実験を加速させることができ、STAP細胞研究の大成果を自らのものにすることができ、特許も確実に取ることができる。
一般社会もすっきりし、心無い非難も収束する。
 
 笹井氏が、今週会見を開き、STAP細胞の実在について説明するようですし、丹羽氏も「3回見た」と言っているわけですから(小保方氏よりも遙かに経験が長い彼らが初歩的勘違いをするはずもないでしょう)、その実在性を早期に検証にするために、もっとも知見があるはずの小保方氏自身に再現実験を行なわせるべきです(キメラマウス化部分は、若山氏の協力が必要でしょうが)。
 それは、小保方氏に与えられた権利だということを、理研は認識する必要があります。もちろん、これでできなかったら、小保方氏の研究者生命は終わります。
 
 現状のような混乱が長期化することは、すべての者にとって不幸です。その混乱収束のために、理研は積極的なイニシアティブをとることが期待されます。