理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

2月19日にNature誌に送った訂正依頼のメールを公開すれば、捏造の故意を否定する証拠となる


捏造の「故意」認定に関して、もう少し述べます。


小保方氏は、219日に、Nature誌に送った訂正依頼のメールとその添付画像の写しを調査委に提出し、一般に公開すれば、「実験条件の異なる学位論文の画像を意図的に使うことによる危険性を認識していたという故意」を明確に否定することができるでしょう。


調査委がなぜこれを調べなかったのか? 事実認定過程で触れていないのか? この点は全く理解に苦しみます。
掲載ミスに気がついた経過の説明を受け、笹井氏からの指示で差替えることとした旨の説明を受けるとともに、同時に真正画像の提出を受けたわけですから、Nature誌に修正依頼のメールを出した点について説明を受けなかったはずがありません。百歩譲って、仮にその点の説明がなかったとしても、掲載ミスに気が付いたとされ真正画像の提出を受けた以上、Nature誌に対してはどうしたのか?と聴いて当然です。それを怠ったとすれば、重大なミスです。

●そういう理解に苦しむような調査委の動きに触発されて、改めて報告書全体を通してみると、更に不自然な点を感じるところがあります。
それは、認定論理の運び方のばらつきがあるということです。他の、研究不正はなかったとの認定がなされている項目の中の「評価」の部分を読むと、次のような認定判断の運び方をしています。
 
「・・・の説明にも一応の合理性が認められる。」
「・・・との説明と必ずしも矛盾するものではない。」
「・・・であると解する余地がある。」
「・・・と解することもできる。」
「悪意があったことを直接示す資料等も存在していない。」
 
 報告書は短いですから、ざっと見て確認してみてください。

 ずいぶん「好意的」というか、「弱い」というか、相手方の説明に目一杯配慮した上で、研究不正を否定しています。いずれも、小保方氏以外の共著者に対する認定です。
 
 ところが、小保方氏の捏造認定などのパートになってくると、こういった認定の運び方は一切消えてしまいます。いきなり、学位論文を意図的に使ったという前提に立ち、「中核的部分なのに、実験条件の違いに気が付くことなく切り貼りしたなどという説明に納得することは困難である」・・・要するに、弁護団が言うように「間違うはずがない中核的部分を間違うはずがないだろう」という論理にならない断定を根拠なく行なってしまっています。
 
 しかし、219日になされたというNature誌への修正依頼のメールを見れば、小保方氏と笹井氏の説明の裏づけがとれるはずであり、それによって、学位論文の画像だと認識してそれを意図的に使ったわけではないことは、直ちに理解できるはずです。他の部分で使った「説明が必ずしも矛盾するものではない」「と解することもできる」「悪意であった材料が存在しない」という認定論理が適用可能になってきます。
 それを敢えてしなかったことと、小保方氏に対する「捏造」「改竄」認定部分になったとたんに認定論理がガラリと変わっての一方的断定になってしまっているのは、極めて不自然な点です。
 39日に、訂正論文を提出していることに触れていないことも不自然ですし、それを知らなかったとすれば重大ミスです。
 
 そのほか、規定では、「概ね150日間」とされている調査期間がわずか15日となり、「弁明の機会を与えなければならない」との手続きも無視されてしまっている点と合わせて考えると、巷間指摘されているように、「特定国立研究開発法人」の法案成立のために拙速で事を進めたという要素が大きいのだろうと感じます。
 そもそもが、下村文科相の「論文撤回」発言が、唐突なまでに早すぎました。調査が進む以前の時点での発言ですから、これでまずバイアスがかかったと思います。また、「特定~開発法人」指定のための要件として、「コンプライアンス」「危機対応」といったものがあるため、これだけ世界中を騒がせたものが「研究不正なし」では済まない空気があったことも確かでしょう。そこで、早期に「研究不正あり」「未熟な小保方氏の単独行動」との結論を出して、論文も撤回させ、平行して再発防止策を策定することにより、「特定国立研究開発法人」の法案成立(=理研の指定)のための環境を早急に整える必要があると考えたのでしょう。
 
 笑ってしまったのが、「理研広報担当者」なる人のコメントです。
  
小保方晴子氏が所属する理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の広報担当者は9日、調査が不十分とした小保方氏の見解について「理研や調査委員会として報告書が不完全なら発表はしておらず、不十分とは思わない」と反論した。」
 
不服申立てをされているという構図を理解していないとしか思えません。通常の広報担当者であれば、「不服申立書の内容を十分に検討した上で、できるだけ早期に結論を出したい」とのコメントをするのが筋でしょう。それを、不服申立て内容の検討をすっ飛ばして、「却下だ!」と言っているようなものです。「報告書が不完全なら発表はしておらず」というのもあり得ないコメントです。発表されたものがすべて正しいのであれば、不服申立て制度など要りません。


●こうやって見ていくと、理研側の対応のまずさが次々と積み重なり、評価を落としていっている印象があります。

・調査委員会の調査スコープの狭さ
・調査委員会の拙速すぎる調査
・調査内容自体のあまりの不十分さ
・弁明の機会付与という必須手続きの欠落
・事後の不適切なコメント
 
理研は来週にでも、不服申立てに対する検討結果を出すとのことですが、大丈夫でしょうか? 再調査をするという結論であればそれでいいですが、そうでないのであれば、申立書に書かれていることに対して緻密に反論していく必要があります。当然これは、訴訟にまで発展する話ですから、そこでの審理に耐えるだけの構成でなければなりません。もし、そうではなくて抽象的な内容で申立て却下をするようであれば、更に理研の評価は落ちていくことでしょう。

 
●もう、「特定国立研究開発法人」への指定の見送りは決定されたのですから、いまさら拙速に結論を出す必要もありません。
何より、来週には、笹井リーダーが記者会見を開き、STAP細胞は存在する旨の主張を行なうと報じられています。


「笹井氏は「他の万能細胞を混ぜても、一つの塊にならない。実験をやったことのない人の机上の考えだ」と反論。ES細胞からつくれない組織がSTAP細胞ではつくれたことなどをあげ、「ES細胞では説明のできないことが多すぎる」「STAPが存在しないなら、私たちが再立証に力を入れることはない」と指摘した。」
 
また、丹羽氏による再検証実験が1年かけて行なわれるものの、7月に中間評価を出すとされています。
もしそこで、STAP細胞の存在が認められるようなことになれば、逆に、小保方氏に「捏造」「改竄」と指弾したこと、処分したことが適切だったのか?という反動がもろに来ることになります(懲戒免職にでもしていたらなおのことです)。
 
小保方氏は、再現のための「レシピ」を今後発表するとしています。それで再現できたらどうなるでしょうか。


調査報告書の内容と手続きの両面での杜撰さは明白なのですから、
 
「空気に押されて、拙速かつ杜撰な報告書によって、大発見の立役者を科学界から葬り去ろうとした理研
 
という汚名を永久にきることになるでしょう。
 今回の小保方氏の件は、事実関係を丁寧に追っていけば弁護団の言うように、「画像の掲載ミス」に過ぎないと思いますから、本来の「150日間」(5ヶ月)の調査期間をフルに使って、第三者委員によって慎重に再調査すればいいと思います。
その間に、STAP再現成功の報が飛び込んできたら、世の中の空気はガラリと変わり、「悪意は認められず、掲載ミスに過ぎなかった」との再調査の結果を出したとしても、何の問題もなくなることでしょう。
 本当に「組織防衛」を考えるのであれば、そちらの選択が適切だと思います。
 
******************************
 
 あと、補足的に、マスコミ報道等に関する指摘を若干しておきたいと思います。
 
<実験ノートの非公開の件>
調査報告書は、実験ノートが2冊しかないこと(及びその内容がトレースし難いこと)を批判していますが、4~5冊はあるとのことですから、それらも見た上で評価すべきではないでしょうか?
また、マスコミは、それらのノートを公開しないのはおかしいと非難していますが、小保方氏が述べたのは、次の通り、あくまで「一般には(誰にでも)」公開できないということです。
 
「小保方:公開実験につきましては、私の判断では何ひとつ決められることではないので、お答えすることはできないですけれども、あと実験ノートにつきましても、秘密実験等もたくさんありますので、ちょっとあの、全ての方に公開するという気持ちはありません。」
 
 当然、未公開実験や機密保持契約対象の研究もあるでしょうから、一般公開できないのは当たり前のことであり、それをあたかも、秘密主義とか証明しようという気がないとか言うのはおかしな話です。あくまで、今回の論文の裏付けとなる実験ノートが提出されれば、何も問題がありません。第三者によるトレースができるかどうかという問題はあるかもしれませんが、少なくとも、小保方氏に十分弁明の機会を与えず、トレースを試みることなく断定する進め方はあり得ません。
 
 
胎盤が光っている細胞標本の件>
 会見の質疑の中で、胎盤画像の基となる細胞標本についての言及がありました。これは、STAP細胞の有無の判断の上では、重要な検証材料ではないかと思うのですが、どうなのでしょうか? 調査委員会のミッションとは違うということかもしれませんが、理研として、一からの再現実験だけでなく、論文の裏づけとなる材料についても検証すべき点だと思いますが・・・。
 
記者:不服申立の論理構成よくわかりました。実際に正しい画像があるとか、実際に実験が行われたことがあるから不正ではないという主張は理解しましたけれども、実験ノートも45冊とおっしゃってました。で、たぶん最もすごい証拠というか決定的な証拠はあのネイチャーの論文に掲載なさった胎盤が光り胎児が光っている細胞の標本があることだと思うんですけれども、それはどこにあるんでしょうか。
小保方:それはまだ保存してあります。
記者理研の小保方さんの研究室のフリーザーにあるってことですか。
小保方フリーザーといいますか、固定器の中に保存してあります。
記者:そういうものを、やはりきちっと調査委員会などに提出してもっと詳しく調査してもらうってことですか。
小保方:でも調査委員会は、STAP細胞の科学的な意義や存在という科学的なものではなくて、提示されているデータに関しての調査であると思いますので、今回に関しましては、やはり改ざんねつ造と認定されたゲル写真に対するさらなる立証や、テラトーマに関するさらなる立証という点が問われてくるのではないか、というふうに理解しております。