理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

理研STAP細胞調査報告書の「捏造」認定は杜撰に過ぎる―理研STAP細胞論文調査委員会報告への根本的疑問(3).

2014/4/8(火) 午前 2:20投稿】

 これまで、調査報告書への根本的疑問の続きです。前回は、「改竄」認定の不合理さについて書きましたが、今回は、「捏造」認定についてです。

疑問6 外部から指摘される遥か以前に自主点検により間違いに気付き差し替えたにもかかわらず、差し替え前の画像を対象にして、「捏造」認定とはどういうことか??
 
●この疑問は、調査報告書を読めばすぐ気付くと思います。報告書と調査委員会記者会見録、笠井、小保方両氏の公表コメントから、時系列で追っていくと、わかりやすいかと思います。
 
<本件経過>
220日の委員会のヒアリングの「数日前」
笹井氏が、小保方氏から画像の取り違え等について知らされ、訂正用データの取り直しを指示。取り直した画像は、219日付のもの。
39日 
訂正用データに差し替えて、訂正論文を全執筆者名でネイチャー誌に提出。
39日~10日 
ネイチャー論文画像と、早大学位論文の画像との酷似を外部サイトが指摘し、報道。
311日 理研、上記の指摘に関して調査開始。
 
 この時系列からわかる通り、外部のネットで指摘がなされるほぼ3週間前の時点で、自主点検で間違いに気が付き、差し替えのデータを取り直したということです。そのデータはヒアリングが始まる前の219日にはできていたわけですが、その差し替えデータは、実験室のスライドに残っていることを調査委が確認した旨会見で述べています。つまり、差し替え後のデータは、笠井、小保方両氏の説明の通り、実験室で撮られたものだということは推定されているわけであり、実際、その差し替え修正も含めて39日には訂正論文が提出されているということです。
それであれば、差し替え訂正後の論文とその画像に問題があるのかを本来は調査すべきです。ところがそれは何も行われないどころか、外部からの指摘のはるか以前の時点で間違いに気付き、自主申告により差し替えたにもかかわらず、その差し替え前の画像を対象に「捏造だ」と指弾する意味がどこにあるのでしょうか??
 それとも、いったん投稿しacceptされたが最後、勘違いがあっても一切修正、差し替えは許されず、修正前のデータの可否を追及されるということでしょうか? もちろん、そういうことではないと思います。
 
 外部からの指摘が39日で、理研がその点の調査開始を発表したのが313日です。
 外部から指摘された時点で初めて、差し替え前の画像が学位論文のものと酷似しているということを知って理研や調査委員会も驚き怒ったのでしょうが、(その経緯は調べるのはもちろんいいとしても)、調査の主対象は、あくまで自主的に訂正後の論文画像なのではないのでしょうか?
 ところが、調査結果として出されたのは、自主的差し替え前の元論文のデータについてのもののみでした。自分で間違いだと気付いて差し替えたにもかかわらず、差し替え前のものだけを取り上げてを捏造だと断罪されるというのは承服しがたいでしょう。
 まずその点が、捏造認定についての、基本的疑問です。
 
●次に、自主的に差し替え前の画像データについてです。
 調査報告書の認定ぶりを追うと、次のようになります。
差し替え前の画像は、早大での学位論文の画像に「酷似している」(注:ただし、断定はしていない。)
②実験ノートの記述や電子記録等から、上記各画像データの由来の追跡を試みたが、3年間の実験ノートとして2冊しか存在しておらず、画像データの由来を科学的に追跡することは不可能。
③実験条件の違う学位論文の画像(学位論文の画像は機械的ストレスによるもので、ネイチャー論文は酸処理によるもの)を切り貼りして配置したのは、データの信頼性を根本から壊す。
 
 学位論文の画像とは断定しないままに、また、そのデータの由来を追跡できないとしたままに、他方で、学位論文と同じ条件だと断定して論ずる論法も飛躍があっておかしなものです(後述)。ただ、小保方氏は、投稿論文に掲載されたものは、誤って学位論文のものを使ってしまったことを認めていますから、それはとりえずよしとしましょう(この勘違いの経過は後述)。
 
●しかし、小保方氏が、悪意かというとそうではないと感じます。理由は次の通りです。
 
<理由① 外部からの画像の取り違えの指摘のはるか前に自ら発見・申告し、差替えていること。>
 
 上記の通り、学位論文との酷似を、外部からの指摘されたのが39日ですから、その遙か以前(3週間前程度=「220日の数日前」)には、自主点検で気がつき、差替えて、その旨を調査委に申告しています。
ただ、差替え前のものが学位論文掲載のものだったということを、小保方氏も笹井氏も調査委に申告していなかったこと、それが外部からの指摘で初めてわかったことが、調査委の心証を著しく害したということは想像できますし、その点を厳しく聞いたという流れでしょう。
しかし、自分で気が付き、正しいものに差替えたのであれば、差替え前のものの由来について申告して、混乱させる必要もないだろうと二人が考えたことも、全くおかしいというわけでもないと思います。それは、恥ずかしいこともでもありますし、STAP細胞研究の可否の判断のためには、差替え後の正しいものが検証されればいいだろうと思ったとしても不思議ではありません。
 
<理由② 実験条件の差を認識していたら、早稲田大に学位論文の写真が使えるか照会するはずがないこと。>
 
小保方氏は、220日の数日前の時点で、学位論文のデータを間違えて使ってしまったことに気がついて、笹井氏に申告し、相談しています。しかし、その時点での問題意識は、学位論文の画像を、(未公表扱いのものとして)投稿論文に使えるかという点にあり、笠井氏に相談した上で、早稲田大にも照会しています。
この時点で、小保方氏の念頭にあったのは、実験室で撮った画像ではなかったという点での間違いであり、実験条件の差(物理的ストレスか酸処理か)は念頭になかったことを伺わせます。そうでなければ、実験条件が異なるはずの学位論文の画像が使えるかを相談し照会したりするはずがありません(自分の学位論文での実験条件が物理的ストレスだったことを失念していたとはにわかには信じられないかもしれませんが、後述のように勘違いもあり得ないわけでもない環境でしたし、そう解釈するほかない行動だと思います。他にどういう解釈ができるでしょうか?)。
この点は、調査委員会の、以下のやりとりから明白です(会見録は、毎日新聞版です)。
 
笹井氏については不正に当たらないということだったが、笹井副センター長が学位論文からの流用があった(ことを知っていた)という報道があった。
説明によると、月20日に最初のヒアリングをして、数日前に小保方氏から「実はこういう画像を間違って使った」と説明があった。笹井氏はそれが使えるかどうか問い合わせて、学位論文の画像も論文に使えることを確認した。論文訂正用の画像を撮った2月20日の1日前の19日、我々のヒアリングの結果と合っていた。なぜ説明しなかったか聞いたら「学位論文は論文に使えると判断した」と言っていた。ただ、正直に全部話さなかったのは申し訳ないと言っていた。
 
学位論文が、ネイチャーの論文に使えると笹井氏が考えたこと自体は、研究者として合理的か?
石井小保方氏が指導教官に確認したみたいで、理研から早稲田大学に学位論文が投稿論文に使えるかを確認したみたいだ。
             (中略)
捏造の件、博士論文とネイチャーの論文では実験条件が違うと十分に認識しないまま画像を使ったと。もしも実験条件が一緒であれば問題はないのか?
早稲田大としては問題ない。早稲田とネイチャーが両方判断する。
 
早稲だとネイチャーには笹井氏が問い合わせた?
小保方さんが指導教官に問い合わせたと聞いている。
 
博士論文からの意図的流用は本人は認めている?
本人は、作成条件の違いを十分に認識しておらず、間違えて使ったと説明している。
 
本人が認めていないのに捏造というのは?
条件が全く違う実験だ。Aの条件でやった画像を、Bの条件で得られた画像とするのは、単純な間違いとするのは理解できない。
 
 上記の最後の調査委側の答えは、無理が大きいと感じます。小保方氏が自分で学位論文の画像だと気が付き、笹井氏にも相談の上、早稲田にそれが投稿論文に使えるか照会したことについて、「実験条件の違いを十分認識していなかった」と本人が釈明していることを是とする以外に解釈がありうるでしょうか? 実験条件の違いを認識していたら、即時に差し替えるでしょう。
 
<理由③ 同様の実験・論文執筆、特許出願準備が集中し、実験条件の違いを失念した可能性はあり得ること>
 
「実験条件の違いを十分認識していなかった」との本人の釈明は、実際、この時期の研究は様々なものが集中していますから、実験条件の差を失念する状況も理解できないわけでもありません。
まず、博士論文で早稲田大から学位を取得したのは、20113月です。米国のバカンティ教授の研究室への留学から帰国後です。そして、同月には、小保方は日米共同研究の成果を学術誌『ティッシュ・エンジニアリング・パートA』に発表しています。また、この2011年にはネイチャー誌に今回の投稿の前身となるものを投稿しています。
そして、米国から包括的な国際特許出願をしたのが、20124月で、当然のことながら、その特許の実施可能性を担保するための各種実験は、2011年の段階では集中して行われていたはずです。野依理事長が言う「(未熟な研究者が)膨大なデータを蓄積して(データ管理が杜撰・・・)」ということだった可能性はあります。
 
調査報告書では、学位論文とネイチャーへの投稿論文とでは、実験条件が異なるといいますが、小保方氏は当初の発表会見の際に、たしか、「細い管を通す(=物理的ストレス)を加えるとなおいい」という趣旨のことを言っていたとの記事を見た覚えがあります(勘違いならすみません)。日米共同研究でも双方を含むわけでしょうし、2年前に出願してある特許でも、物理的ストレスと酸処理の双方を包含した70件以上の請求項を含む明細書ですから、それに至るまでに様々な実験をしている中で、混同してしまったという釈明も、まったくあり得ないことではないように思います。学位論文は、当時集中していたあまたある実験と論文作業のうちの、一つに過ぎないわけです(「過ぎない」と言うと言いすぎかもしれませんが、世界的な特許、学術論文に向けて、実験と執筆とで忙殺され、学位論文の比重がかなり低かったであろうことは想像できるかと思います)。
 
<理由④>自主的に差し替えた画像とそれを撮った実験の存在が確認されていること。
 
早稲田大からは学位論文の画像は(未公表扱いで)投稿論文にも使える旨の確認は受けたものの、それを結局使わなかった理由は、同じ血液系細胞でも、脾臓由来か骨髄由来かの差があることに改めて気が付いたからだと思われます。
220日のヒアリングの際に、差し替えをする旨申し出ていた理由もその点でした。報告書には次のように書かれています。
 
20 日に笹井氏と小保方氏より、修正すべき点についての申し出とこれに関する資料の提出を受けた。申し出の内容は、論文1の脾臓の造血系細胞から作製したSTAP 細胞からの分化細胞並びにテラトーマの免疫染色データ画像の一部Figure 2d 下段中央の1枚とFigure 2e 下段の3枚)が、実際には骨髄の造血系細胞から作製したSTAP 細胞を用いた画像であること、正しい画像に訂正することを考えているという2点であり、提出された資料はこれらの画像のファイルであった。小保方氏から、それぞれの実験の過程で、脾臓及び骨髄に由来する血液細胞のサンプルに対し、いずれもhematohematopoietic:血液系の意味)というラベルを用いていたため混乱が生じ、同氏において画像の取り違えをしてしまったとの説明を受けた。
 
いずれにしても、外部からの指摘のあった39日の遥か以前で、かつ調査委員会のヒアリング(220日)以前に、実験室で改めて撮ったものに自主的に差し替えています(元の画像は20127月に撮影されているとのこと)。差し替えた画像とそれを撮った実験の存在は、調査委も確認しています。
 この点についても、調査委員会の記者会見で明らかにされています。
 
「Q画像の取り違えについて。2月20日に新しいデータに差し替えたということだが、小保方氏としては、STAP細胞が存在するという思いで差し替えたのか?
  石井個人的な心証をお答えすることになる。どういうことを考えていたのかは我々の範ちゅうを超えているので、お答えは控える。
 
不正と判断した経緯をもう一度。
  岩間疑義が出た時点で、笹井氏と小保方氏が自分の出したデータが「どうも自分の実験データ由来でない」と気付いた。調査委員会に報告したが、単純に取り違えたという報告だった。学位論文を確認すると、STAP細胞の作り方とは違う細胞のデータ。元々違うものだったのが大きな問題点だし、コンセプトを証明するようなことが第三者的に困難な状況になった。そこは非常に問題だと判断した。
 
新たにデータを取り直した画像について、テラトーマから新たに取り直したという報告だが、調査委はこの存在を確認したのか。
実際に実験室のサンプルを確認した。
 
実物を確認したのか。
同じスライドが残っていたのは確認した。
 
実験ノートには。
ノートには詳細な記載がない。そのような実験がされていたのは認識できたが、その記載がどのスライドかは確認できなかった。 」
 
<理由⑤ 再投稿時の画像差し替えの際にも、他は酸処理のものに差し替えられたのに、問題の4画像は差し替えられなかったこと。>
 
 調査報告書では、次のようなことも書かれています。
 
「論文1の画像は、20124月にNature誌に投稿し、採択されなかった論文にすでに使用されていた。」
Nature誌に再投稿するにあたり、酸処理により得られたSTAP細胞を用いた画像に一部差し替えを行っているが、その際にも、この画像の取り違えに気付かなかったと説明した。」
 
 当初、Nature誌に投稿したものに、酸処理のもの以外の画像が混じっていたということでしょうから、ここでもまた「データ管理の杜撰さ」を証明するものと言われてしまうのでしょう。しかしそれでも、再投稿の際に、自主点検により、酸処理の細胞の画像に差し替えたにも拘らず、問題の4点の画像は差し替えられなかったということは、これらは酸処理のものだ(であり、脾臓由来のものだ)と思い込んでいたことを推測させる材料になると思います。


  
●以上を整理して、差し替えの経過を想像すると次のようになります。
  (4月12日注)実際は少し違うようです。下記の【補足】ととともにお読みください。
 
1 Nature誌に2011年に投稿した際には、問題の4点の画像は載っていた。それは、
脾臓由来の血液細胞で、
酸処理されたものであり、
実験室で撮られたデータである、
と、小保方氏は思い込んでいた。学位論文の画像とはもちろん思っていなかった。

2 再投稿にする際に、他の画像で、酸処理でない画像があったことに気がついて差し替えたが、問題の4点の画像は気がつかないままに、差し替えなかった。

3 本年2月上中旬の点検で、問題の4点の画像が、学位論文のものだと気が付いた。しかし、未だ、それは脾臓由来で、酸処理によるものだと思い込んだまま、学位論文の画像が科学誌の投稿論文に使えるかという一点で問題意識を持ち、笠井氏と相談の上、早稲田大に照会し、早稲田の指導教官からは了解をもらった。

4 更に点検により、学位論文の画像は、骨髄由来のものであり、Nature投稿論文の脾臓由来のものとは異なることに気が付き、改めて実験室で脾臓由来のもので撮り直して差し替えた。それは、2月20日の初ヒアリングの際に提出され、3月9日に提出された訂正論文に反映された。

5 結局、小保方氏は、学位論文の画像が、酸処理によるものだとずっと思い込んでいて、調査委から指摘されるまで、実験条件の差には気が付かなった。
 
 ・・・ということになります。小保方氏のデータ管理が混乱し切っていたという点で、批判はされるべきだとは思いますが、しかし、だからといって、ここで、「実験条件の差を認識していたはずだ」と根拠なく決めつけて、悪意ありとして「捏造」認定するのは、どう考えても飛躍しすぎていて、結論先にありきの誹りを免れません。

【4月12日補足】
 不服申立書及び記者会見での応答から判明したことは、Natureへの投稿画像が学生時代に撮ったものだった(それが学位論文にも使われ、内部用のパワーポイント資料にも使われた)ということに気が付いたのが、2月18日。真正データは、2012年6月に撮影したもので存在していた。早稲田に照会したが、笹井氏の指示ですぐに真正なものに差替えるべく(同じサンプルのものを再度撮影)、2月19日に、Nature誌に訂正依頼のメールを発出した、という時間的経過からすれば、学位論文の画像を使ったという意識は、2月18日までなかったということであり、ましては実験条件の差(骨髄由来か脾臓由来か+物理的ストレスか酸処理か)になど思いが至る状況ではなかったことが容易に汲み取れます。
 2月19日にNature誌に発出した訂正依頼メールを見れば、それは証明されることでしょう。



● 以上の通り、報告書の捏造判断の過程は、極めて不合理、非論理的です。
 
<捏造認定の判断過程が極めて不合理な理由まとめ>
 
1 調査委の調査が始まる以前に、既に自分で気が付いて本来のデータに差し替えられているのに、差し替え前の画像のみを調査対象としている。
 
2 報告書は、学位論文の画像と「酷似している」というのみで、同一だとは断定していない。実際、報告書スライドをみても、一致する箇所と一致しない箇所があると書いてある(スライドp16)。さらには、「由来の不確実なデータを科学的な検証と追跡ができない状態のまま投稿論文に使用した可能性もある。」と書き、学位論文画像と同一かどうかを更に曖昧にしてしまっている。
 
3 それにもかかわらず、投稿論文と学位論文の各画像は同一だとの前提に立ち、「しかしながら、この2つの論文では実験条件が異なる。」と続け、「この実験条件の違いを小保方氏が認識していなかったとは考えがたい。」と、根拠なく断定している。
 
4 小保方氏は、学位論文画像だったことにずっと気が付かず、気が付いた後も、使えるかどうかを早大に照会したことや、その後、骨髄由来か脾臓由来かの差があることに気が付いて初めて差し替えた流れからすれば、酸処理されているという実験条件では同じだと思い込んでいたことが強く推定されるにもかかわらず、この点を覆す積極的材料を何ら示すことなく、「認識していなかったとは考え難い」と決めつけるのは、不合理である。

 【4月12日補足】 上記補足の通り、学位論文であることに気が付いて、Nature誌に訂正依頼を行なうまでの時間が1日だったことからすれば、学位論文画像との実験条件の差を考える以前の状況だったと思われます。
 
5 さらに、「また、論文1の画像には、学位論文と似た配置の図から切り取った跡が見えることから、この明らかな実験条件の違いを認識せずに切り貼り操作を経て論文1の図を作成したとの小保方氏の説明に納得することは困難である。」と書いてあるが、「学位論文と似た図から切り取った」ということと、「実験条件の差を認識していたに違いない」ということとは、関係がないはずである。論理がつながっていない。
 
 そして、調査委の記者会見でも、肝心の「実験条件の差を認識していた」と推定する根拠を何も示すことなく(逆に、認識していなかった材料はふんだんに提供しているにもかかわらず)もっと意味不明のことを述べています(毎日新聞の会見録から)。
 
博士論文からの流用を捏造と判断した理由は?
  石井条件の違いをまったく認識せずに使うことは、通常の研究者ではありえない。学位論文は、物理的ストレスで作った細胞だ。データ管理が非常にずさんだ。由来の不確実なデータを論文に使った可能性がある。これは研究者にとっては不正行為とみることができる。
理研の内規の)定義だと、捏造は「データや研究を作り上げて報告すること」とある。
  渡辺捏造とされた実験そのものは行われたが、データが違う、異なる実験のデータを出していたということ。」
 
 結局、報告書の記載と同様に、学位論文の画像と同じなのか、それとも別の由来のはっきりしない画像データなのかを示さないままに、ともかくデータ管理が杜撰だから捏造だといっているだけです。
管理がいいかげんで、由来の不確実なデータを使ったのだから捏造だ、というのであれば、データをでっちあげる捏造とは質的に天地の差があります。
野依理事長が述べたように、「1人の未熟な研究者が膨大なデータを集積し、極めてずさんな取り扱いをして、責任感に乏しかった」ということかもしれません。しかし、膨大な研究をしたことは確かであり、そのデータを十分に整理しないままに論文発表して混乱を招いたことは、批判されるべきとはいえ、何もろくに研究しないままにデータをでっちあげたようなケースと同じ「捏造」呼ばわりを、なぜされなければいけないのでしょうか?
 
●結論としてまとめれば、「捏造」認定した調査委の報告は、以下の通り、内容的にも手続き的にも極めて杜撰であり、撤回されるべきだと思います。小保方氏のデータ管理が杜撰ということによって相殺されるような話では全くありません。小保方氏のデータ管理と論文画像の杜撰さに対して集中攻撃がなされ反論ができないことに乗じて、空気で捏造、改竄認定してしまった印象が強くします。
改めて外部調査委に委ね、下記の点について検討の上、再検討される必要があります。
 
<調査委報告書の「捏造」認定が杜撰で撤回されるべき理由>

1 39日に訂正論文が提出されていた点について知らなかったと思われ、訂正後論文については、何ら検証していないこと。

2 認定の前提となる基本的事実関係を曖昧にしてしまっていること、

3 「実験条件の差を認識していた」とする論拠がどこにも書かれていないこと(認識していなかったことを推定させる材料が多数あるのに、それを検証していないこと)。すなわち、悪意の証明がどこにもないこと。

4 全くのでっち上げの「捏造」と区別が付かないような「捏造」認定は、基本的バランス感覚にも欠けること。 

5 研究者生命を断つ死刑宣告的認定にもかかわらず、調査期間中は発信を禁じる一方で、当事者の弁明機会を何ら付与しなかったこと。