理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

【参考1-2】STAP細胞調査委員会記者会見録(産経新聞版)

 【2014/4/3(木) 午後 8:35投稿】

産経新聞版です。

【STAP細胞最終報告会見詳報】
 2014.4.1 13:52  
10:3011:00 


《新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」は本当に作れるのか。理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子・ユニットリーダーらが執筆した論文に不自然な点があることが次々に判明してから、およそ1カ月。理研の調査委員会が調べあげた最終報告の結果が1日、公表される》
 
 《東京都内の会見場には約200人の報道陣が詰めかけた。定刻の午前10時半に委員が姿を現した。フラッシュがたかれ、会場に緊張が走る》
 
 《午後には、この報告を受けた野依良治理研理事長らの会見も開かれる予定だ。これまで、理研は、調査の途中の段階だなどとして、委員の氏名の公表は避けたが、この日は、研究者や弁護士ら6人の委員の氏名が公表された。委員長は理研上席研究員の石井俊輔委員長。その石井委員長が、調査の最終報告書を説明する》
 
 石井委員長「昨日、最終報告書をまとめることができた」
 
 《調査対象の論文は英科学誌ネイチャーに掲載されたもので、小保方氏や理研笹井芳樹氏ら4人について調査したことを淡々と説明。中間報告で不正が認められなかった点を省き、説明が加えられた》
 
 《その上で、調査委が、まず問題に挙げたのが画像の切り張り。細胞のDNAを分離する電気泳動の画像に別の画像が切り張りされているように見える点だ》
 
 石井委員長「明らかにバックグラウンドが異なっており、切り張りがなされている。実際にこの実験は小保方さんがなされ、画像の切り張りも、小保方さんが行ったとのヒアリング結果を得た」
 
 《石井委員長は、画像の切り張りの分析結果を、詳細に説明する。それによると、あまりクリアに見えなかった部分の画像を差し替えたという。ただ、実験の条件などは異なるものだったとする》
 
 石井委員長「このような切り張りの行為が禁止されていたことを知らなかったというのが彼女の説明でした。しかし、このような行為は研究者を錯覚させる危険性がある。また、そのデータは、きれいに見せたいという意図、目的性を持って行われた書き込みとされるが、その手法は、完璧な考察と手順を踏まないものであることは明らかだ」
 
 《その上で、石井委員長は核心に踏み込む》
 
 石井委員長「従って、小保方氏が改竄(かいざん)にあたる研究不正行為を行ったと判断した」
 
 「残りの3人の研究者は、小保方氏が論文の公表前にすでに改竄された画像をその事実を知らされないままに示されたことが、分かった。従って、このような改竄は、共同研究者としては非常にまれな非常に疑いを持ってみないと分からない。3人の研究不正行為はなかった」
 
 《中間報告では踏み込まなかった、小保方氏の不正行為の認定を行った調査委は、さらに疑惑に踏み込んでいく。次に挙げるのは、実験方法に関する記述が、他の論文の盗用である疑いがある点だ》
 
 石井委員長「小保方氏が記述したが、実際の実験は若山(照彦氏の)研究室のスタッフがした。小保方氏の説明によると、(実験の)記載が簡単だったため、詳しく説明しようと考え、文章を参考にしたが、出典を記載し忘れたということだった」
 
 《また、実験方法に関する記述の一部が、実際の実験手順と異なる点についても、説明を加える》
 
 石井委員長「(実験手順が)異なるということも分かった。若山氏も論文をよく読んでおらず、ミスが見落とされた。小保方氏が(他の)論文に由来する文章からコピーして引用することなく記載した」
 
 「また出典を明記することなくコピーすることは研究の世界ではあってはならないことだ。しかし、小保方氏は論文については41個の引用論文の出典を明らかにしているが、引用されていない個所は1カ所のみ」
 
 「また、引用されたものは一般的な研究手法で、出典について、具体的な記憶がなかったことも一様の合理性がある。この件に関しては、研究不正行為と認定することはできないと判断した。意図的ではなく、明らかな過失と認める」
 
 《最後に、調査委が挙げるのが、STAP細胞を用いた実験画像に取り違えがあり、小保方氏の学位論文の画像と酷似しているものだ。STAP細胞の存在の根幹に関わる部分だとされている》
 
 《調査委は、小保方氏からヒアリングし、状況の説明を受けた。ただ画像などから、説明との食い違いもあったという》
 
 石井委員長「学位論文そのものとは断定できなかったが、関連した何らかの画像がネイチャー論文に使われたと判断した」
 
 《小保方氏は、STAP細胞の作成の条件の違いを十分に認識しておらず間違って使用したと説明したという。ただ、根拠を明らかにする実験ノートは2冊しか存在せず、調査委は、画像データの由来を追跡することはできなかったとした》
 
 石井委員長「小保方氏は学位論文の画像に酷似するものを使用したが、データ管理がずさんで、不確実なデータを論文に使用した可能性もある」
 
 「学位論文とネイチャー論文は実験条件が明らかに違う。このデータはSTAP細胞の可能性を示す極めて重要なデータだ。明らかな実験条件の違いを認識せずに論文を作成したとの説明は納得することは困難だ」
 
 《調査委は、小保方さんの説明への矛盾にも言及した》
 
 「このような行為は信頼を根本から壊すもの。その危険性を認識しながらなされたと言わざるを得ない。小保方氏が捏造(ねつぞう)にあたる研究不正行為を行ったと判断した」
 
 《調査委は、「捏造」にまで言及。他の共同研究者らについては責任はあるものの、不正行為までは言及しなかった》
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 《続いて質疑の応答に入る》
 
 記者「STAP細胞は存在するのか」
 
 石井委員長「STAP細胞があるかないかは、調査委員会の範疇(はんちゅう)ではない。(調査委は)論文に不正があったかどうかを調べるのが役割だ」
 
 記者「不正は小保方氏が単独で行ったのか。責任の重大性の認識はあるのか」
 
 石井委員長「研究不正行為は小保方さん1人。あってはならないことだが、悪質性を認定するのは、難しい」
 
 記者「中間報告の後に、小保方さんとのやりとりは、あったのか」
 
 石井委員長「何度か、ヒアリングを行った」
 
 記者「不正行為があったことを伝えたのか」
 
 石井委員長「もちろん伝えている」
 
 記者「実験ノートが2冊というのは、研究としてふさわしい分量なのか」
 
 石井委員長「私の経験から言うと、内容がこれほど断片的なのは、何人かみてきた中で初めて。ただ、実験ノートは、第三者からみると分からないものだ」
 

 《STAP細胞論文をめぐる理化学研究所の最終報告会見が続く。研究の根幹をなす画像に捏造(ねつぞう)があったと認定したことで、記者たちは、研究がどのように進められたのか確認を重ねる》
 
 記者「論文が悪意を持って執筆された可能性はあると考えるか」
 
 石井委員長「われわれの立場でそれを答えるのは非常に難しいと思っています」
 
 記者「調査の中で、研究を証拠づけるだけのもの、物的証拠などはあったか」
 
 石井委員長「科学的なことについては、まだまだ検証が必要な段階です。短期間では網羅できないので調査委員会はポイントを絞って、不正行為があったかどうかについて調べました」
 
 《記者の関心は否が応にもSTAP細胞が本当に存在するのか、という核心に向けられる。なんとか答えを引きだそうとする記者に対し、調査委は「調査が必要」「われわれの範疇(はんちゅう)ではない」を繰り返す。双方ともにいらだちが募る》
 
 記者「不正は故意のものと考えるか」
 
 石井委員長「そのように理解しています」
 
 記者「学位論文からの画像流用について、捏造と判断した基準は」
 
 石井委員長「ひとつは、条件の違いを認識せずに利用したということ。普通の研究者ではありえないことで、小保方氏は細胞の作られる過程、実験条件の違いを認識していなかった」
 
 《小保方氏はデータの混同から、使用する画像を取り違えたと弁明したが、映っている細胞は、もともと違う手法でつくられた細胞という。石井委員長は説明を続ける》
 
 石井委員長「正しいとされる写真は脾臓(ひぞう)血液細胞を用いたもので、学位論文では、生後34週の骨髄由来細胞に機械的ストレスを与えてつくったもので全く異なります。写真は実験の根幹を成すもの。実験ノートの記述にしても不確実な点が認められました。こうした不確実なデータを使ってしまうことも、研究者にとって不正行為といえます」
 
 記者「今回の報告では捏造、改竄(かいざん)、流用などが出てくるが、捏造が一番悪質性が高いのか」
 
 石井委員長「研究者にとってはどれも不正行為であって、どれが一番ということはありません」
 
 《記者の質問は共著者の笹井芳樹理研発生・再生科学総合研究センター副センター長に移る》
 
 記者「笹井氏の責任について、報告では笹井氏は不正行為にはあたらないということだが、笹井氏が学位論文からの画像流用を把握していたという報告もある。隠蔽の疑いも持たれているが、その点についてはどうか」
 
 石井委員長「笹井氏はヒアリングが行われた220日の数日前に、小保方氏から『写真を間違えて使っていた』との報告を受けたと言います。笹井氏は学位論文のデータを投稿論文に使えるかどうか確認し、問題ないということだったので、正しい画像を提出するように小保方氏に指示し、画像が用意できたということだったので、よしとしたそうです。調査委員会に対してこうした事情を説明しなかったことは『正直に話さなかったことは申し訳ない』と言っている」
 
 記者「笹井氏は内容の確認はしなかったということか」
 
 石井委員長「219日前後に確認した学位論文のデータが投稿論文に使えるかどうか、という認識でいたと思う。データの内容(実験条件の違い、つくり方など)についての認識は分かりません。中身がどうか調べなくても、不正に関与しているとはならないと思っています」
 
 記者「画像の取り違えについて、小保方氏はSTAP細胞は存在するという認識でいるのか」
 
 石井委員長「個人的な心証を話すことになるので、調査委員会が話すべきことではないと思う。われわれは不正行為の認定、有無の確認をするのであり、小保方氏が何を考えているか推測するのは適切ではないと思う」
 
 記者「現時点でSTAP細胞は存在すると思うか」
 
 石井委員長「繰り返しになりますが、科学的な内容についてはもっと実験が必要です。調査委員会のミッションではない」
 
 記者「撮り直した画像について、調査委員会はテラトーマ(細胞)の存在を実際に確認したか」
 
 石井委員長「実験室に保存されていた、テラトーマのスライドを確認した。論文の写真に使われていたものと同じものだった」
 
 記者「2冊の実験ノートにはどのような記載があったか」
 
 石井委員長「内容に詳しいものはなく、断片的なものなので、テラトーマのスライドと付き合わせて実験することはできない。日付も単発的だが、そのような実験が行われていたことは推測できた。また、われわれから見たら断片的な情報だとしても、研究した本人が見れば、そこからいろいろと思い出して実験を再現できるものかもしれない」
 
 記者「実験手法を書いた部分について、論文に由来する文章をコピーして引用なく記載しているが、剽窃(ひょうせつ)にあたるとは理解しないのか」
 
 石井委員長「この手法自体は、50年以上前からあるものだということ、実験は若山(照彦山梨大教授)氏の研究室が行ったもので、小保方氏は研究の内容は把握していたが、実際に行ったわけではないことを明らかにしておく。論文を引用なく使用するべきではないが、本論文で41個の引用論文の出典を明らかにしており、引用されていないのは、1カ所のみ。さらに昔からある実験手法ということで、小保方氏もどこから持ってきたものかという点が曖昧になっていたのではないか」
 
 記者「悪意のあるものと、ミスコンダクトが混同されているようだが」
 
 石井委員長「悪意があれば出典は隠されますが、本件では通常定型的に行われている」
 
 《参考文献の引用をつけることは論文の基本とされる。指導にあたった笹井氏らについても、画像チェックの甘さなどが露呈するにもかかわらず、「意図的ではない」とだけ述べる石井委員長に、記者は執拗(しつよう)に食い下がる》
 
 記者「科学界において、他の研究者が同じようなミスをしても許されるのか」
 
 石井委員長「それは、悪意があったかどうかを判断することになる。悪意があるとまで判断できない場合には、研究不正行為を認めることはできないとなる。論文の引用に関しては、剽窃とされる事例もあるが、個別具体的な判断をせざるを得ない」
 

 《STAP細胞の最終報告会見で調査委員会と記者側の質疑応答が続けられている。記者の関心は、調査委の行った調査に不備はなかったかという点に集まる。ノートや研究データ、パソコンなどについて、どのように提出を求め、実際に何が確認できたのか厳しい質問が投げかけられる》
 
 記者「実験ノートの提出を受けたのはいつか」
 
 眞貝洋一委員「319日です。いくつかの件に関しては小保方(晴子ユニットリーダー)さんにお願いをしていましたが、ノートをこちらに提出いただいたのは319日です」
 
 記者「他の資料を含めて提出を受け始めたのはいつからか」
 
 石井俊輔委員長「中間報告の段階で調査報告をいくつか示しましたけれども、各項目についての画像データやコピーについては逐次提出を受けていました」
 
 記者「予備調査について、不正調査の手順を考えれば、証拠保全を行うべきだと思うが」
 
 石井委員長「予備調査というのは、疑義が上がってきた点が本当に研究不正につながる可能性があるかどうかのジャッジです。そこで非常に深刻な問題があったとされると本調査委員会が発足しますので。予備調査の段階でノートを押さえるとか、そういうのは考えていません」
 
 記者「2冊しかないと言われると、ノートは破棄したのではないか」
 
 眞貝委員「出していただいたノートは2冊ということで、本当に全て2冊だけしかなかったかどうかは完全には把握していません」
 
 記者「PCやデータの調査は」
 
 石井委員長「小保方さんの場合はデスクトップコンピューターがありませんでした。デスクトップの場合は理研の備品になる場合が多いので提出要請ができますけれども、彼女がもっているのはパーソナルコンピューターで私物ですので。こちらが必要なデータの提出を求めてお願いする形を取らせていただきました」
 
 記者「個人のパソコンについては全く検証していないということで良いか」
 
 田賀哲也委員「調査する義務もありますので、石井委員長から直接お願いをして、313日にノート(パソコン)の提出を職員の立ち会いのもと行いました」
 
 《調査委員会は「論文全体を調査することは規模からして不可能」と強調。内外から指摘を受けた6項目について調査を行い、2項目で不正があったと認定した》
 
 《一方、小保方氏がこの最終報告について承服できないとして「不服申し立てをする」とのコメントを発表。一方、表だった会見の場で本人の言葉が語られることはない。調査の段階で、弁明の機会が与えられていたのか、調査の方法は適正だったのか、記者は質問を続ける》
 
 記者「研究者への弁明の機会等も含めて、不正は本当に証明できたのか」
 
 渡部委員「不正があったかどうか、悪意があったかどうかという点です。これは、知っていながらという意味でございまして、そういう意味で言えば故意というふうに置き換えてよいと思います。従って研究不正と認定しています。弁明については、本件で言えば『これはどうなんですか』という質問をしていろいろ話を伺う。これがまさしく弁明の機会を与え、弁明を受けているという理解です」