【参考1】4月1日STAP細胞調査委員会記者会見録(毎日新聞版)
- 【2014/4/3(木) 午前 0:22 投稿】
(注)調査委員会の記者会見の質疑応答録が毎日新聞に掲載されているのみですが、重要資料である一方で、一定期間後には消えてしまいますので、記録として残すためにここに掲載しておきます。
【参考資料】
理研STAP細胞調査委員会記者会見一問一答
毎⽇新聞 2014年04⽉01⽇ 16時06分(最終更新 04⽉01⽇ 20時47分)
STAP細胞に関する論⽂不正疑惑で、⼩保⽅晴⼦・研究ユニットリーダーら著者の多くが所属する理化学研究所の「研究論⽂の疑義に関する調査委員会」が1⽇午前、開いた記者会⾒での主な⼀問⼀答は次の通り。(回答者の⽒名が分からない場合は「A」と表記しています)
■理化学研究所・研究論⽂の疑義に関する調査委員会メンバー■
石井俊輔・理化学研究所上席研究員<委員⻑>
岩間厚志・千葉⼤学⼤学院教授
古関明彦・理化学研究所グループディレクター
真貝洋⼀・理化学研究所主任研究員
⽥賀哲也・東京医科⻭科⼤学副学⻑
渡部惇・弁護⼠
Q STAP細胞があるかどうか疑われるのか。
A 科学的な探索が必要で、調査委のミッションを超える。
Q 不正は⼩保⽅⽒が単独でやった?
⽯井 研究不正⾏為は⼩保⽅⽒だけ。
Q 研究者がこのような⾏為をしたことについて。
A あってはならないという認識だ。
Q 本⼈は反省しているか。
A 調査員会のマターではない。昨⽇調査報告書が仕上がった時点で伝えている。
Q 不正に関する物証は?
真⾙ ノートに関しては、2冊を提出してもらった。2010年10⽉から2012年7⽉までが1冊と、それ以降のノートの2冊。それとスライドの画像。
Q 由来は判然としない?
真⾙ スライドに⽇付が⼊っているが、詳細な記録がないので、本当にいつのどういったサンプルかは委員会としては明らかにできなかった。
Q 研究者から⾒て正しい分量か。
⽯井 これまで若い研究者を指導してきたが、内容が断⽚的で、これまで数⼗⼈を指導してきた中で経験がない。
Q 実験をちゃんとやったという実感は?
⽯井 実験ノートのメモを本⼈が⾒ればわかるが、他⼈が⾒てもわからないものもある。ただ、緻密に起源が確認できるかは難しい。
Q 意図的な不正⾏為なのか?
⽯井 私たちはそう判断している。
Q 博⼠論⽂からの流⽤を捏造(ねつぞう)と判断した理由は?
⽯井 条件の違いをまったく認識せずに使うことは、通常の研究者ではありえない。学位論⽂は、物理的ストレスで作った細胞だ。データ管理が⾮常にずさんだ。由来の不確実なデータを論⽂に使った可能性がある。これは研究者にとっては不正⾏為とみることができる。
Q (理研の内規の)定義だと、捏造は「データや研究を作り上げて報告すること」とある。
渡辺 捏造とされた実験そのものは⾏われたが、データが違う、異なる実験のデータを出していたということ。
Q 改ざん、捏造、盗⽤、どれが悪質?
⽯井 捏造だから重くて盗⽤だから軽いというものは無い。どれも不正⾏為。
Q 笹井⽒については不正に当たらないということだったが、笹井副センター⻑が学位論⽂からの流⽤があった(ことを知っていた)という報道があった。
⽯井 説明によると、2⽉20⽇に最初のヒアリングをして、数⽇前に⼩保⽅⽒から「実はこういう画像を間違って使った」と説明があった。笹井⽒はそれが使えるかどうか問い合わせて、学位論⽂の画像も論⽂に使えることを確認した。論⽂訂正⽤の画像を撮った2⽉20⽇の1⽇前の19⽇、我々のヒアリングの結果と合っていた。なぜ説明しなかったか聞いたら「学位論⽂は論⽂に使えると判断した」と⾔っていた。ただ、正直に全部話さなかったのは申し訳ないと⾔っていた。
Q 学位論⽂が、ネイチャーの論⽂に使えると笹井⽒が考えたこと⾃体は、研究者として合理的か?
⽯井 ⼩保⽅⽒が指導教官に確認したみたいで、理研から早稲⽥⼤学に学位論⽂が投稿論⽂に使えるかを確認したみたいだ。
Q 画像の取り違えについて。2⽉20⽇に新しいデータに差し替えたということだが、⼩保⽅⽒としては、STAP細胞が存在するという思いで差し替えたのか?
⽯井 個⼈的な⼼証をお答えすることになる。どういうことを考えていたのかは我々の範ちゅうを超えているので、お答えは控える。
Q 不正と判断した経緯をもう⼀度。
岩間 疑義が出た時点で、笹井⽒と⼩保⽅⽒が⾃分の出したデータが「どうも⾃分の実験データ由来でない」と気付いた。調査委員会に報告したが、単純に取り違えたという報告だった。学位論⽂を確認すると、STAP細胞の作り⽅とは違う細胞のデータ。元々違うものだったのが⼤きな問題点だし、コンセプトを証明するようなことが第三者的に困難な状況になった。そこは⾮常に問題だと判断した。
Q 新たにデータを取り直した画像について、テラトーマから新たに取り直したという報告だが、調査委はこの存在を確認したのか。
A 真⾙ 実際に実験室のサンプルを確認した。
Q 実物を確認したのか。
A 同じスライドが残っていたのは確認した。
Q 実験ノートには。
A ノートには詳細な記載がない。そのような実験がされていたのは認識できたが、その記載がどのスライドかは確認できなかった。
⼩関 50年ぐらい前から⾏われている解析⽅法。聞き取り調査の結果、若⼭先⽣の研究室のスタッフがやったもので、彼⼥は実験の概要については把握していたが、すべての実験を⾏っていないことがわかった。実験そのものは⾏われていた。問題となるのは、別の論⽂から17⾏を何らかの⽅法で引⽤してきたもので、そこに悪意のある盗⽤であるかと考えた時に、引⽤は41カ所で、忘れられたのはこの1カ所だけで、50年以上前からある⽅法なので、おおよそ分かっているものだ。彼⼥は、どこからこの⽂章を取ってきたのかは現状では把握し切れていなかったが、僕らの判断は悪意のある盗⽤ではないと判断せざるをえなかった。
Q 悪意のある不正⾏為とミスコンダクトを混同している。悪意とは?
渡部 悪意は⽂献の出典を隠し、⼈のアイデアを盗むこと。通常定型的に⾏われている実験に関する記載に、あえて⾃分の名前で書くこと、(出典を)出さなければならない事情は認められない。ある⼈のアイデアを⾃分のアイデアとして使う、それが何⼗ページにもわたれば、外形的な悪意があるとなるが、さきほどの観点で⾔うと、悪意がある認定はできないとした。
Q ほかの研究者が同様なことをしても問われないのか。
⽯井 それは⼤きな誤解。出典を明記することなく書くことはあってはならないこと。
Q 研究不正はミスコンダクトか。
Q 実験ノートの提出⽇は?
新⾙ 3⽉19⽇。いくつかの件についてはすでに彼⼥に要請していて、部分的にもらっていたが、ノートをもらったのは19⽇。
Q 他の資料はいつもらった?
⽯井 各項⽬についての画像データやコピーについては逐次、提出を受けた。
⽯井 予備調査は疑義が上がってきた点で、研究不正に当たるかどうかのジャッジ。調査委員会は深刻な問題があったと判断されると⽴ち上がるので、予備調査の段階ではそうしたことは必要がないと私は思う。
Q ノートが2冊しかない。破棄したんじゃないのか。「ない」と⾔い切れる?
真⾙ 我々に渡されたノートが2冊。本当に2冊しかなかったかどうかは、完全には我々は把握してない。
Q パソコンは。
A ⼩保⽅⽒が持ってたのはパソコンで私物。任意でデータの提出をお願いした。
Q 個⼈のパソコンは検証していないのか。
⽥賀 予備調査を始めて、事務局を通じて資料の提出をしてもらった。2冊のノート提出を受けた。委員会としては、それ(任意提出)はつらいところがある。
Q モノの提出は?
渡部 モノではなくて、データ。PCからデータが出されているという確認は外部の⼈が確認をしている。
Q 論⽂全体が正当性があり実験的な裏付けがあるかはこの調査では分からない?
⽯井 そのとおり。
Q 6件を調査対象に選んだのは?
⽯井 予備調査ではもともと3件あった。予備調査の段階でさらに3件浮かんだ。
Q 検察、警察の捜査をやって裁判もやって初めて不正となる。今回本当に不正が証明できたのか。弁明の機会は与えられたのか。
渡部 不正があったか。悪意があったか。悪意は、刑事事件なら故意というところ。「知っていながら」というところは2件で確認しているので不正。弁明についてだが、今回は「これはどうなんですか」という質問で対象者から
いろいろ話を聞いており、それが弁明の機会になっている。
Q 「故意」という判断について弁明の機会を設けないのか?
渡部 委員会としては研究不正と認定した。さらに不服申し⽴ての権利を認めている。
Q ネット上ではもっと疑義がある。
渡部 そこは専⾨的で私は分からない。
Q 委員会はもっと積極的に、キメラマウスも調査できたはずだ。
渡部 調査期間をどこまで延ばすかの問題で、通常は150⽇の規定。どういう項⽬を取り上げるか、疑義が全部あるのか調べ直すと、150⽇ではまかない切れない。
Q 実験ノートはあったが2冊しかないし、断⽚的。実証なければクロでは?
Q ノートはラフなメモ程度なのか。
真⾙ 何⽉何⽇も正確に⼊っていないものが多い。
Q 中間報告で論⽂作成は⼩保⽅⽒と笹井⽒の共同作業と。笹井⽒が指導したという認識は。
A 論⽂のライティングは笹井⽒が指導した。実験については区分して考えてほしい。
Q 捏造という表現は、実際の実験が⾏われたかを確認できなかったからか。
Q ノートに記載はあったが確証は持てないと。
A それは科学的にきっちり検証すると思う。
Q 博⼠論⽂からの意図的流⽤は本⼈は認めている?
A 本⼈は、作成条件の違いを⼗分に認識しておらず、間違えて使ったと説明している。
Q 本⼈が認めていないのに捏造というのは?
A 条件が全く違う実験だ。Aの条件でやった画像を、Bの条件で得られた画像とするのは、単純な間違いとするのは理解できない。
Q 調査委の6⼈はテラトーマやキメラマウスの現物を実際に⾒ている?
真⾙ テラトーマは⾒てない。テラトーマから作られた切⽚。
Q 重要なサンプルは本⼈が持ってるはずだという話が出ていた。
真⾙ サンプルがどれだけ残っているか⼩保⽅⽒に話は聞いた。正確に覚えてないが、テラトーマ⾃体は残っていないと聞いた。
A 調査委員会のミッションではない。
Q つまり、画像とノートの調査しかしていないと?
A 適宜、画像データと実験ノートを適切に調査したと⾃負している。
Q 委員会はこれで解散するのか?
A 最終報告書をまとめたので、不服申し⽴てを受けるがそれが終わればミッションは終わる。
Q 調査結果を急いだり急がされたことはあるか?
A まったくありません。
Q 学位論⽂の画像の件。本来のせるべき画像は、論⽂提出時には存在しなかったということ? あったけど違う画像を出したのか、そもそも投稿時になかったのか。
⽯井 投稿時には存在していたというのが我々の認識。間違って学位論⽂の画像を使ったというのが⼩保⽅さんの説明。笹井さんの説明で、実験再試をしたということ。
Q テラトーマの画像。それに対応するものとしてマウスを使ったと思うが、動物使⽤の申請は。
⽯井 それは確認した。
Q テラトーマを使った実験の申請書はあったと。
A はい。
Q ⼩保⽅さんの不正を認めたが、なぜこのような⾏為に⾄ったのか。過度のプレッシャーとか、資質の問題と
か。
Q 捏造の件、博⼠論⽂とネイチャーの論⽂では実験条件が違うと⼗分に認識しないまま画像を使ったと。もしも実験条件が⼀緒であれば問題はないのか?
A 早稲⽥⼤としては問題ない。早稲⽥とネイチャーが両⽅判断する。
Q 早稲⽥とネイチャーには笹井⽒が問い合わせた?
A ⼩保⽅さんが指導教官に問い合わせたと聞いている。
Q 共同研究者の責任。注意を払わなかった過失を挙げているが、本来どういうことをすべきだったのか。
⽯井 共同研究のスタイルにもよるが、1⼈だけ責任がある場合は、その⼈が責任をもって緻密にデータを集める。今回の場合、いろいろなグループが共同研究をしていて、お互いへの遠慮があったのかなと感じる。肝⼼の元データについては、その由来を確認すべきだったのではないかと思う。
Q 今回の捏造に関しては?
⽯井 共同研究者が、あの捏造を⾒破るのはほとんど不可能。コントラストと明るさを変えるのは、信頼している研究者に対して、そこまでの⽬を持って疑うのは難しい。ただ、テラトーマは根幹部分、実験ノートで確認してほしかったと⾔⾔うのが偽らざる真実。
Q 実験ノートの提出は3⽉19⽇だとしているが、疑義が指摘されてから相当な時間がたっている。実験ノートを急いで作成した可能性はないのか。
真⾙ ⽇付も散発的に記載されていないので、前後関係は分かりづらいが、その中でも⽇付の前後関係からこのあたりで実験がやられていたと確認できたというのが我々の認識です。