理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

【再論】若山氏の実験ノートと情報公開との関係


 Ooboeさんには、実験ノートの不開示決定理由書の概要紹介を有難うございます。
 実験ノートと情報公開請求上の扱いについては、以前、DORAさんの情報公開請求結果のご紹介を受けて、記事を2点書いたことがあります。

 パートナーさんへの不開示理由は、DORAさんへのそれと異なりますが、記事でも書いたように、STAP細胞、幹細胞含めて引き続き世界各国で特許出願が継続中ですから、それとの関係で公開できないということは理解できます。

 他方、著作者人格権のうちの公表権を理由の一つにしていたというお話は興味深いです。その点は、記事でも書きましたが、BPOヒアリングの中で小保方氏の公表権侵害との主張をしていた点であり、小保方氏の立場・主張を踏まえたものと思います。

■しかし、若山氏の「小保方氏に騙された」という立場、建前を前提にすると、以下のようなことが考えられるのではないかと思います(一部、以前の記事と異なる整理部分もあるかもしれませんが、今改めて考えてのものです)。

(1)DORAさんへの不開示理由(今後の同種の不正調査に支障をきたすおそれ)については、不正調査での資料提出は、不正を疑われた者の不正でない証明材料として、任意で提出するものということが建前のはずです。
 したがって、調査が終了すれば、それを情報公開対象にするかどうかは、知財権との関係、実験ノート作製者(=公表権保有者)のに意思によって決まってくると思います。
 その実験ノートに関する研究は、不正調査の対象になるものばかりではないのですから、「今後の同種の不正調査に支障をきたすおそれ」というのは、理由にならないのではないかと思います。
 審査会まで上げれば、ひっくり返る可能性が高いでしょうし、だからこそ、パートナーさんへの不開示理由は、DORAさんへのそれとは異なる理由を持ってきたのだろうと想像しています。

(2)知財権との関係では、パートナーさんへの不開示理由書にあるとおり、両論文をもとにしたSTAP細胞、STAP幹細胞の特許出願が継続中ですので、小保方氏、若山氏の意思に関わらず、公開はできないことになります。
 特許出願の権利は、職務発明として理研に譲渡され、更にそれが、ハーバードに譲渡されたわけですので、両氏が公開してもいいとの意思があったとしても、公開はできないでしょう(「放棄」といわれていますが、権利上は「持ち分の譲渡」だと思います)。

(3)しかし、もし仮に、特許出願が全世界ですべて終結し、特許が認められなかったとすると、「知財権との関係だけでいえば」、少なくともその認められなかった特許出願に関係する部分は、公開しない理由はなくなると思います。
 公開対象は、「法人文書」の定義からすれば、自ら作製保有しているものだけでなく、外部から受領・保有しているものも含まれますので、実験ノートの帰属先とは関係はありませんが、公開対象は、実質的には理研帰属のものに限られるでしょう。

(4)こうして、(STAP幹細胞に関する)特許が認められずに終結した段階で、公開の可否を考えた場合、公表権との関係だけになってきます。公表権保有者の意思については、小保方氏の非公開の意思は明確ですから、あとは若山氏の意思次第になってくるかと思います。
 若山氏のスタンスは、「小保方氏に騙された」というものであり(「だから何をしたのか分からなくなったので、論文撤回した」)、「真相解明」に協力するというものであるはずですから、その材料となる実験ノートを公開しない理由はないのではないかと感じます。
 (STAP幹細胞に関する)特許が認められなかった時点で公開請求を改めて行った場合、若山氏の意思を確認した上で、開示の可否を決めるということになるかと思います。
 その時に、若山氏は「公表を認めない」との意向を示す場合、「小保方氏に騙されて行った実験だった」等のスタンスとの関係で齟齬が出てくるのではないかと感じます。

(5)学とみ子さんがずっと記事で書かれているように、STAP論文では、ES細胞ではないということを証明するための実験結果が多数含まれているわけですが、その裏付けとなるものが、若山氏の実験ノートにも多数含まれているはずです。
 もともと笹井氏が記者会見で述べたように、真っ先にES細胞ではないかと疑われるので、そうではないということを実験と論文で示したわけですので、ES細胞混入と結論づけるのであれば、それらの論文記載内容との関係を、桂調査委員会は調査し、説明する必要があったはずです。
 社会による真相究明という点では、若山氏の実験ノートは、上記のES細胞ではないということを示すための実験結果も含まれているという点で、貴重な材料になると思われます。

 まだ先のことではありますが、特許出願が世界各国ですべて終結した時点で、改めて若山氏の実験ノートの情報公開請求をした場合に、その時点では、不開示理由がなくなっているはずですので、不服申立てを受けた審査会まで持ち込まれた場合に、どういう結果になるのか?という点は、STAP細胞問題を究明する上では、注目されるところです。

 その点で、パートナーさんがお持ちの不開示理由通知書は、極めて貴重な材料になりますので、急ぎませんが、楠本さんのご協力をいただいて、アップしていただければ幸いです。必ず公共財産になると思います。
 きっと、情報公開法の解説などにも、DORAさんへの不開示理由通知書とともに、引用されると思います。