理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

OoboeさんへーFES1の「出所/取寄せ経路」の件ですが・・・


 Ooboeさんがコメント欄で解説された内容を一通り、拝見しました。
 それで、様々な内部資料を情報公開によってシェアしていただき、私も含めて多くの皆さんの検討の材料として提供していただいているOoboさんとパートナーさんにお伝えするのは心苦しいのですが、小生のコメント欄での解説だったこともあり、私なりの整理をお伝えし、再考の一助にしていただければと思い、書かせていただく次第です。
 結果的に、Ooboeさんらのお考えにはそぐわない内容で、水をかける形になります
が、お許しください。


■「公的文書」からわかること
 
「公式文書」=桂報告書/情報公開請求不開示決定理由説明書/広報説明/MTA/宅配伝票

・桂報告書p4には、取り寄せたとの記述があるのみ。取寄せ経路は書かれていない。
・桂報告書p14-15には、転出した時に ES 細胞 FES1 の凍結保存試料を全部持ち出して CDB 若山研には残さなかったとされている旨が書かれている。
・情報公開請求での申立て請求に対する理由説明書においても、調査担当者が、山梨大の若山研を通じて取り寄せた旨が記載されている。
理研広報も同様に、山梨大・若山研から取り寄せたと回答している。
理研→山梨大移転時のMTAには、FES1は記載がない。
・伝票記録では、大田氏→山梨大への送付伝票は6月30日付送付の分は確認されたので、これが該当すると思われる(山梨大→理研の送付伝票も確認済み?)。

■「公的文書」以外からわかること

日経サイエンスでは、大田氏は「移転の際にすべて持ち出したはずだ」と述べ、記事では「理研には大田氏が提供した」と書かれている。
(=桂報告書及び理研広報の回答と同趣旨)

■小生の整理

・桂報告書のp4の記述は、「取り寄せた」とあるのみで、「誰からか」「どういう経路でか」は書かれていません。
 しかしながら、

「誰からか」については、大田氏が作成した細胞である以上、大田氏から取り寄せたものと考えられますし、一連の公式文書からも裏付けられますので、「出所」は大田氏であることは間違いありません。
 
「どういう経路でか」については、桂報告書のp4でもp14-15でも書かれておらず、p14の「大田氏がすべて持ち出した」との記述を以て、「直接大田氏から取り寄せた」とすることは難しいと思います。
 もともと大田氏のFES1は、理研・若山研時代に作成したものであり、そこでの研究成果物でした。そうすると、若山研が山梨大に移転している中で、取り寄せるとすれば、山梨大・若山研経由とすることは、筋としては自然だと思われます。

理研が、情報公開請求不開示理由説明書と広報の双方が、若山研から取寄せたと述べているのは、そのような事情を踏まえてのものと考えられます。

④なお、大田氏は理研から京大に移るときに、「すべて持ち出した」としており、理研から山梨大移転の際のMTAにも記載がないので、山梨大・若山研に所在しているという前提で、理研が若山研に取寄せ依頼することは考えにくいところです。あくまで、当時、若山研所属だった大田氏の、その若山研での研究成果物だったものを取寄せるという前提で、山梨大・若山研に依頼したものと考えられます。

⑤したがって、桂報告書の記述と、情報公開請求不開示理由説明書、理研広報回答及び日経サイエンス記述との間に、特段の齟齬があるとは考えにくいというのが正直なところです。

■Ooboeさんの各ご指摘について

①Ooboeさんご指摘1 「MTA契約書が一切交わされず、なんと電話だけの杜撰な手続きであった事実などから、出所証明不明サンプルによる「調査委員会報告書」だった」

 ⇒以前からOoboeさんとのスタンスの違いとして申し上げている通り、MTAは理研の理由説明書にもあるように、付加価値が生じているもの(知財権対象等)を対象にしたものであり、解析のために提供することは、簡易な手続きだけで可である旨が、文科省ガイドラインにも規定されています。京大の規程でもそうなっていましたし、他の機関でも同様と思われます。
 桂調査委の調査のために、理研が取寄せたのも、解析のためですから、MTAは必要ないことになります。淡々と、規程で認められた範囲内での手続きだったということかと思います。
 大田氏から山梨大・若山研宛ての送付伝票もあり、理研広報も若山研から取り寄せたとしているわけですし(その伝票もお持ちかと思います)、「出所」は京大の大田氏ということで明確なのではないでしょうか。

②Ooboeさんご指摘2 「大田氏の転出に当たって、サンプルは全て持ち出したとされていると調査委員会は記述しています(※日経サイエンスも同旨)。ですので理研報告書14ページの記述は京都大学大田氏から【FES1】を取り寄せたこととなる記述なのです。なにが問題かは、広報報告と食い違っている齟齬が同じ公的機関組織で存在していること自体が、大問題なのです」

理研報告書14ページは、「大田氏が移転のときにすべて持ち出した」ということを書いているのみですが、持ち出した大田氏から取り寄せたのだろうということは当然推測できます。しかしそれ以上に、、「大田氏から直接取り寄せた」と、取り寄せ経路まで含めて解釈するのには正直無理があると思います。
 「小生の整理」の②でご説明したように、当時の大田氏の所属と研究成果物の管理主体が理研・若山研だったという経緯からすれば、若山研経由で取寄せることは自然な流れだったと思われます。

Ooboeさんご指摘3 理研広報、総務が、【FES1】は山梨大学、若山教授から取り寄せた報告なら、このMTA細胞リスト表に移転、保管明記されていなければなりません。6月に理研へ【FES1】を全部提供し理研が使い切ったから、リストMTA作成8月時点では保管してなかった、などの言い訳はできないでしょう。」

⇒「小生の整理」の②~④をご参照ください。若山研にFES1が所在しているという前提で取寄せ依頼をしたのではなく、かつて若山研所属だった大田氏の、その若山研での研究成果物だったものを取寄せるという趣旨で山梨大・若山研に取寄せの仲介依頼をしたものと考えられます。

■懸念すること

 いろいろと精力的に実態解明しようとされているOoboeさんとそのパートナーさんには申し訳ないのですが、今回のこの件は、取り寄せ経路の話で、直接取り寄せたか、若山研経由で取寄せたかということ自体は、何か大きな問題となり得る次元のものではないのではないか、と感じます。なぜ若山研経由で取り寄せたのかという点についての理研の説明が足りないので、混乱してしまっていますが、冷静に考えれば、上記でご説明したような「整理」ではないかと思います。

 桂報告書のFES1についての疑念という観点からすれば、佐藤貴彦氏が指摘したような、FES1とFLSとを、マウスの系統が異なっていること、SNSの一致率が一桁違うことを無視して、同一と判断してしまったのではないのか?という疑問が中核的なものかと思いますが、それは別途の論点だというOoboeさんのご指摘もわかります。

 ただ、Ooboeさんらが提起されるこの「出所」「取寄せ経路」の論点については、このまま理研にぶつけても、「若山研を通じて取寄せたもので、齟齬はなく、報告書内容を見直す必要は認めません。」との回答が来て、終わりになる可能性が高いと感じます。
 そういう見通しの中で、大量の伝票開示請求まで各機関にされて、出所・経路の「齟齬」の主張の一点で撤回要求に向けてエネルギーを使っておられることは、あまりに惜しいと感じられてなりません。

 様々な内部資料を情報公開によってシェアしていただき、私も含めて多くの皆さんの検討の材料として提供していただいていることには、感謝するばかりであるなかで、こういうことを申しあげるのは心苦しいのですが、小生のブログのコメント欄への長文の投稿だったこともあり、正直なところを書かせていただきました。
 見解の相違ということであれば仕方ありませんが、どうか小生の整理と懸念とにご理解をいただければ幸いです。
 小生の勘違い等があればお願いします。