理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

小保方氏の学位剥奪は文科省の意向反映?!―文科省のスキャンダル的色彩が・・・


 本日発売の婦人公論の、小保方晴子日記(第23回)を読みましたが、冒頭から、重大な話が書いてあります。
  本当だとすれば、「STAP細胞事件」は、文科省のスキャンダル的色彩を帯びてきます。

「2015年11月3日(火)
 間違って私の元に送られてきて、たまたま入手した書類から、今回の学位剥奪の決定は早稲田大学よりさらに上の外部機関の意向も強く反映されていることが窺えた。早稲田大学ですら従うほかないような力を持った組織、今日は三木弁護士や先輩をはじめ、学位の件について相談に乗ってくれた人たちとその書類についての話になった。その組織の関与に驚く声もあったし、そんな力が働いているならば仕方がなかったのではないか、という意見も出た。
 そもそも、私の理研への就職、論文発表の記者会見、検証実験まで、要所要所でその組織からの声がいろんな形で反映されてきた。でもその組織の名前が出ると、「そんなところまで直接関わってくるの?」と皆一様に驚く。私だって名前を知ってはいても、人生を左右されるほどの接点ができるとは思わなかった。当事者でも若手の私には交渉する余地などなく、ただ決定事項に従うしかなかった。表に出ない思惑が多すぎた。今回の事件、重要なことは隠され、つぎはぎの情報から間違ったストーリーばかりが先行してしまった。私自身、その組織の関与について言及しなかったのは、誰かに言ったところで解決できない、と思っていたのかもしれない。(以下略)」

 「早稲田大学よりさらに上の外部機関」「早稲田大学ですら従うほかないような力を持った組織」といえば、文科省しかないでしょう。
 「そんな力が働いているなら仕方がない」と思わせるのも、文科省くらいでしょう。
 改革委の批判のコピーのような批判をした日本学術会議は、そんな立場にありません。

 もともと、学位は学校教育法に基づいて授与が定められていて、「学位規則」という文科省の省令で、手続等が決まっています。その第12条で、学位授与した場合には、3か月以内に文科省に報告することになっています。

 学位授与や取消は、それぞれの大学の定めるところによりますから、文科省が権限として、授与や取消に直接関与できるわけではありませんが、博士号の権威、信用維持には敏感でしょう。
 日本の、それも早稲田大学という名門大学の博士号が、「ネイチャー論文で捏造認定された者に対しても剥奪することができない」というのでは、日本全体の博士号の権威と信用にかかわるとして、剥奪に向けて誘導的な行政指導をした可能性は多分にあると思います。
 文科省が、直々に小保方氏の博士号剥奪に関与する動機は十分あります。

■小保方氏が書いているように、「要所要所でそこからの声がいろいろな形で反映されてきた」というのは、まったくその通りです。
 以前、STAP細胞事件における文科省の関与について、まとまった記事を書いたことがあります。

 ◎「STAP細胞事件における文科省とその出向理事の関与と思惑について」

 ここに書いたのは、文科省の思惑は、一貫して、特定国立研究開発法人法案の成立と理研の指定にあったということです。そのためにSTAP細胞の研究成果を活かそうとし、雲行きが怪しくなってきたら、早期に収拾を図ろうとしたわけです。
 その法案提出のタイミングとドンピシャ重なってしまったがために、すべてはそのスケジュールからの逆算で決められたことにより、STAP細胞論文と小保方氏とは、真実、真相解明は二の次で、翻弄されてしまったのです。

 文科省側のビビッドな思惑の変化については、上記記事を読んでいただければと思いますが、すべては特定国立研究開発法人法案の早期成立の思惑にあったということは、断言してもいいです。
 2014年3月時点での、あまりに異例の、下村文科相直々の論文撤回の勧めや、不正調査を1カ月でまとめろとの指示など、思惑が露骨に過ぎました。

 小保方氏やその関係者が皆一様に、「そんなところまで直接関わってくるの?」と驚くのも無理はありませんが、文科省も必死だったと思います。

■ ごく簡単に、上記記事で書いた文科省の思惑を簡単にご紹介しますと、次のようになります。
 ・STAP細胞研究の論文発表は、超弩級インパクトがあることを笹井氏らから聞
  き、特定~法人法案成立と理研指定の強力な追い風になると踏んで、大々的
  な成果発表を支持した。
 ・法案提出次期は、間近に迫っていたが、論文発表後、雲行きが怪しくなると、
  かえってマイナスになると思い、下村大臣直々に論文撤回を勧め、不正調査も
  ごく短期間で終わらせるように指示した。
 ・しかし早期収拾は困難となったため、国会提出は断念した。これにより、文科省
  は、同じく指定予定だった産総研の所管の経産省に多大な負い目を負った。
  野依理事長のもともとの悲願でもあったため、できれば臨時国会、それがだめで
  も、来年の通常国会への提出、成立が至上課題となった。
 ・ただ、検証実験が始まったことで、もし再現できれば、論文は過失ということで
  騒ぎを鎮静化させ、改めて法案成立に向けての追い風として活用できると考え
  た。しかし、笹井氏の自死もあり、丹羽氏、小保方氏ともに再現実験は不調の
  様子であることから、早期収拾に舵を切った。
 ・来年(2015年)の国会への法案提出のためには、公式に原因と背景とを特定し、
  再発防止策まで完結させなければならない。スケジュールとしては、年内に不
  正調査完了、その後2か月程度で再発防止策のお墨付きを得て、すべて一件落
  着にしなければならない。
 ・「原因」については、もともと、6月時点で、改革委がES細胞混入との事実上の
  認定の下に、「前代未聞の不正」「世界三大不正」とまで決めつけ、CDB解体ま
  で提言していることから、これと矛盾するものにすることはできない。
  したがって、桂調査委も、ES細胞では説明できない事象を指摘した笹井氏や
  丹羽氏の証言は一切無視し、残っていたはずのキメラマウスの存在も曖昧に
  し、「光る胎盤」も見間違いだとの(石井調査委とは矛盾する)見解を打ち出し、
  若山氏の使用マウスの主張を所与のものとし、マウスの手交ミスや混入の可能
  性の検討も排除して、「ES細胞の混入」と結論づけた。
   審議過程で、小保方氏がシナリオを崩しかねない若山研での研究実態という
  証拠を提出しようとしたが、それは断固阻止した。
  「ES細胞の混入」は、故意によるものであること、小保方氏によるものであること
  を、断定は避けつつも強く示唆するものとした。かくして、原因と犯人は確定し
  た。駄目押しで、告発の検討もして見せた。
 ・次に、経過の確定と、再発防止策のお墨付きを得るために、モニタリング委での
  審議を経て、2月末にその報告書がまとまった。これによって、国会提出の環境
  はかろうじて整った。(・・・が、事情はわからないが、結果として、その2015年の
  国会提出は見送られた。)
 ・2016年の通常国会で、無事、法案は成立し、秋には、理研の指定も成就した。
  これにより、文科省としてはようやくの大願成就となった。産総研経産省への
  義理も果たせた。

■ 文科省の思惑とシナリオは、大略以上の通りだったと思います。
 そのシナリオからすれば、小保方氏は悪質な捏造犯でなければならない。あれだけ大々的に発表し、世界で注目を浴びた論文が捏造であったと結論づけた以上、その捏造犯の小保方氏の博士号が、取消を受けずにそのまま維持されるとなれば、日本の学位の権威と信用とに関わる・・・。
 通常の学内の学位授与規程からすれば、「信用を汚した者」という規定で剥奪できるはずだが、早稲田大では、そういう規定がない。だから、早稲田の当初の調査委員会の結論も、博士号維持となった。
 しかし、そのままでは、学位授与行政を司る文科省的には看過できない。早稲田の規程の「不備」のために、日本の博士号の権威と信用が心中させられるわけにはいかない。早稲田は、何としても、この落とし前をつけよ!・・・と迫った。

 ・・・ということで、ほとんど詐欺的な学位剥奪に至った、ということでしょう。

■ 早稲田大による学位取消処分の不当性については、以前、詳細に書きました。
  https://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/17292600.html (→下の方にあります)

 このような不当な学位取消に、もし本当に文科省が関与・誘導していたとしたら、これは立派なスキャンダルです。
 上記に書いたような、理研の不正調査に際しての文科省の思惑に沿った誘導であれば、スキャンダルにはなりにくいですが、個別の研究者の学位の剥奪の可否に関与し、第三者委員会が詳細な事実関係の調査・認定に立って、一度は剥奪不可と結論したものを覆して、剥奪に向けて誘導・指導したとすれば、それは間違いなくスキャンダルです。
 文科省は、この小保方氏の日記を見て、焦っていることでしょう。

■ 三木弁護士は、訴訟を考えてはどうかとの提案をした、とあります。11月12日の日記部分に、その勝てる理由のポイントが書いてありますが、その通りだと思います。
  小保方氏の"STAP HOPE PAGE" でも、訴訟の提起が匂わせてあったのは、そういう経過があったからでしょう。

■ 訴訟を提起するかどうかは、様々な判断があると思いますが、やはり、一連の生資料を全部公開することが、もっとも手っ取り早くて、効果的だと私は思います。
 『あの日』で描いた各局面で言及したメール類その他の原資料を、そのまま公開することが、大きなインパクトがありますし、説得的です。

 ◎『あの日』の裏付け資料編の続刊を期待します―それが真の潔白証明につながる!

 今回の「間違って私の元に送られてきて、たまたま入手した書類」「今回の学位剥奪の決定は早稲田大学よりさらに上の外部機関の意向も強く反映されていることが窺えた」書類も、貴重な生資料ですから、これを公開すれば、あのあまりに強引かつ不可解な剥奪決定の裏の一端を、外部に明らかにすることができるでしょう。

■ 裏が垣間見えるという点では、今回の小保方氏の日記の、学位論文の指導教官2人に電話をした際の応答は興味深いものがあります。

「2015年11月10日
 ・・・「(今回の結論について)知らなかった。どんなことが行われているのか、なんの情報も教えてもらえない」「必ず何かできることを見つけてほしい。また連絡してくれるのを待っている」と言われたこと。外部機関のもう一人の指導教官からは、「大学が保身に走ったのだ。結論は決まっていた」「希望は捨ててはいけない」と言われたこと。先生たちの声が頭の中で再生されると、携帯を片手にうずくまって泣いている自分の姿が見える。・・・・」

 つまり、「再指導」した教官は、論文指導を当初行った教官には、何らの接触もせず、指導経緯の情報も得ずに、「再指導」したということになります。
 本来の最終稿の内容は、早稲田の調査委員会でほぼ確定して事実認定されていたわけであり、その後は、その本来の内容に訂正する作業がメインであるはずでしたから、それらの論文指導をした教官に接触もしないなど、本来であればありようはずがありません。
 この日記の箇所の教官とのやりとりの記述からも、学位取消の欺瞞性が伺えます。
 
【補足】
 以前の議論で、問題となった文科省の局長の天下りの件と結びつける指摘があったかと思います。私は当時は、それはたまたまだろうと思っていましたが、上記のような話になってくると、あながち間違いではなかったかも・・・と思うようになりました。
 あの問題となった局長は、高等教育局長でしたから、まさに学位行政の所管局長です。
 2015年7月に早稲田の面接を受け、10月から教授ポストに就いていますから、小保方氏の学位剥奪の内部検討が進行していた時期とまったく重なります。

 この件は、国会公務員法違反の天下りの斡旋の観点から問題視され、当時の前川次官の直接関与が認定されていました。しかし、小保方氏の学位の剥奪についても、文科省の意向反映があったとすれば、学位の件について早稲田の弱みを突いた形にもなり、その意味でも問題になりうると思われます。