理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

NHKスペシャル「追跡 東大研究不正」を見ました


 本日夜9:00~放映された
   NHKスペシャル「追跡 東大研究不正 ~ゆらぐ科学立国ニッポン~」
 を見ました。

 淡々と事実関係を追い、背景と今後の改善のための模索等がまとめられていて、よかったのではないかと思います。
 2014年のSTAP細胞に関するNHKスペシャルのような、三流週刊誌並みの低次元のものではありませんでした。

 放映の最後には、きちんと、取材、編集、ディレクターが明記されていました(笑)

 以下、見ての雑感です。

●イントロで、「NHKは、内部告発書を入手後、100人以上に取材を重ね~~」云々という趣旨のことを述べていました。STAPのスペシャルのときも、「2000ページ近くに及ぶ資料と100人を超える研究者、関係者の取材を重ね」と述べていましたが、内容は問題だらけでした。
 こういうイントロでの「箔の付け方」には、STAPのスペシャル以来、抵抗を感じてしまいます(笑)。

●問題として、
① 運営費交付金が減って、競争的資金の比重が増えていて、獲得競争になっていること、
② 著名雑誌に論文掲載がなされ、引用もされることによって、インパクトファクターも上がり、高い研究評価がなされる傾向が強いこと、
 等から、やりたい研究をするというよりも、論文に掲載されやすい研究をやるという、本末転倒の事態も生じていること。

 日本の学術振興会では、科研費等10万件の審査を、本来の研究以外にボランティア的に審査してもらっていて、十分な審査ができないこと。また、専門外の研究も審査しなければならず、その時は、実績欄の雑誌掲載実績を見て判断せざるを得ないという事態も生じていること。

 こういう問題を是正すべく、米国で研究資金の配分を行うNIHでは、年間8万件の申請を審査しているが、審査専門要員として、250人の研究者を雇用し、審査に専念してもらっていること(100億円を投入)。
 申請書の様式も変えて、論文掲載実績ではなく、科学へのこれまでの貢献内容、今後に向けての正確性、再現性等確保のための方策を書かせて審査すること。
 研究費の偏在化を是正するため、研究費配分の上限を設けて、より多くの研究者に資金が配分されるように工夫していること。

 やはり、米国というのは、問題の設定―是正策打ち出し というところが実践的でスピーディlな印象がします。

●東大大学院薬学系の堀昌平教授へのインタビューで、年間研究費1400万円近くが確保できるかどうか見通しが不透明で、胃が痛い思いをしているとのこと。そのうちの300万円の運営費交付金の確保も不透明になっている由。
 東大であってもこういう状態か・・・と暗澹たる気になってしまいます。
 大学教授の先生方で、雑誌、書籍への寄稿の原稿料を、研究費に充てるという話を聞いたことがありますが、それが10万円、数万円であっても貴重なのだそうです。
 他方で、競争的資金で、億単位の研究費を獲得している先生方もいますから、あまりの格差に驚くばかりです。

●国内での研究者の安定的ポストが、この数年で、4500減ったとのこと。
 他方で、研究資金は偏在化が進む、というのでは、基礎的研究の人的、物理的基盤が危うくなってきているのではと感じます。研究者の任期付きという形態は、サラリーマンの身分からは、過酷に感じます。

 幼児教育無償化で、財界から3000億円の拠出をさせることになりました。そういう分野は政治で票になりますが、こういう研究基盤の分野は、政治的な声になりにくいところです。経済界も、賃上げ、設備投資に加えて、オールジャパンの研究基盤強化のための拠出金、寄付金などが出しやすくなるような税制上のインセンティブなどを整備することが必要と感じます。
 経済界にしても、日本国内での研究基盤が衰退してしまっては、自らの企業活動にも影響を与えるでしょうし、拠出、寄付は双方にとってメリットがあると思います。

 いろいろ考えさせる材料が提供されていました。
 STAP細胞NHKスペシャルのように印象操作的編集を繰り返し、ゴシップネタも織り込んだものとは雲泥の差があります。STAP細胞NHKスペシャルは酷かった・・・と改めて痛感させられました。