理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

【補足】虚偽告発の件―なぜ「すぐばれる嘘」を伝えたか?


 「告発状案(3)」を書きながら思ったのは、理研関係者や若山研スタッフは、なぜ石川氏に「すぐばれる嘘」を伝えたのか?ということでした。

石川氏に説明した(2015年)1月中旬時点では、李氏のES細胞チューブについては、保全試料リストに含まれ、その帰属確認がなされていたということが、桂報告書では明らかにされていませんでしたから、それは若山研に移転されるべきものだったと言っても、外部の者にはわからないと思ったのでしょうか。
その後、2月のモニタリング報告書の参考資料でもごく簡単に帰属確認のことが触れられているだけでしたが、よもや「若山研引越の時に残っていたので保存していた」との記載がある保全試料リストやそれを踏まえたMTAが、情報公開請求で明らかになるとは夢にも思っていなかったということでしょうか・・・?
しかし、警察の捜査になれば、そういった公文書類や紛失・盗難届の有無等は、最初に調べられますから、そこであっさり矛盾を露呈するはずなのですが・・・。
 
■「若山清香氏作製になるES細胞」というのも、1~2月時点では、ぼかしていたかと思います。フライデーの220日号では、

「中国人留学生が作った移植核ES細胞のボックス以外にも、若山研究室の他のスタッフが作ったES細胞入りのチューブが複数見つかっています。これらのES細胞も、STAP幹細胞の捏造のために使われていたことが明らかになっていますが、私はこれらの細胞が、いつ、誰が作ったのかも特定しています。」

 としているだけで、若山氏清香氏作製とは明示していません。
25日放送のノースチャンネルで「129G FPES」を指し示して、盗まれたものとし、5月の被告発人不詳での告発状で、「若山清香氏作製になるES細胞チューブ2本」と明らかにしたという流れであり、ここで初めて、「若山清香氏作製のES細胞」=「129G FPES」と結び付いたことになります。
佐藤貴彦氏やDORAさんが明らかにしたノースチャンネルの映像を知らなければ、外部の者は、受理された告発状を見ても、「若山清香氏作製になるES細胞」が「129G FPES」のことだとは、すぐにはわからなかったのではないかと思います。実際、佐藤貴彦氏の著書とDORAさんのブログ記事を読んで初めて、そういう結びつきだと理解したわけです。
しかし、これにしても、外部の者にはわからなくても、警察の捜査が行われれば、具体的には「129G FPES」だということがすぐに明らかになりますから、桂調査委員会での大田浩氏作製になるものだという認定との矛盾がすぐに露呈してしまいます。
 
■外部の人間、世間にはわからないが、警察が調べれば初期段階ですぐにばれる嘘をなぜ吹き込んだのか、という理由がどうもよくわかりません。
それと、石川氏も、「若山清香氏作製になるES細胞」が「129G FPES」だと、2月上旬時点で分かっているのだとすると、当然、桂調査委員会での「129G FPES」=大田氏作製になる「FES1」と認定されていることとの矛盾には気が付くはずです。若山氏と若山研スタッフも含めて、「知らない」と言っていることも、桂調査委員会では明らかにされていました。報告書を熟読したと言っているわけですから、この矛盾に気が付かないはずがありません。
当初、小保方氏への告発では、李氏のES細胞をSTAP細胞実験で混入した、というストーリーを描いていたものが、三木弁護士からの指摘ですぐに破綻しました。そこで、李氏の細胞は今後の実験に備えてキープしたのだとの論旨に変え、混入させたES細胞として無理無理持ち出したのが、若山清香氏作製になるとするES細胞だったという流れです。告発受理時点では、誰もそれが「129G FPES」と結び付けてはいなかったので、曖昧でしたが、実はその受理の3か月半前に、「129G FPES」のことを指し示してネット番組で説明していたことを忘れてしまっていたか、そういうマイナーな番組のことに気が付く人間はいないと踏んでいたのでしょうか?


「若山清香氏作製になるES細胞」の話は、当初の小保方氏への告発では盛り込まれていませんが、李氏細胞の窃盗+混入の話では、受理されないこととなり、どうしても受理されることを目指して、無理があることを承知で告発状に盛り込んだということだったのでしょうか??
こうやって考えると、「若山清香氏作製になるES細胞」云々については、理研関係者や若山研スタッフが虚偽の説明をし、石川氏自身もその矛盾に気が付きながら、その説明に乗ったということのようであり、この点については、石川氏が虚偽告訴罪の主犯で、若山研スタッフらがその教唆罪と考える余地もあるような気がします。
 
 
■こうして見てみると、理研関係者にしろ、若山研スタッフにしろ、ともかく小保方氏を警察の捜査対象にすること自体が目的だったと感じます。理研1月時点での記者会見でも、様々な観点から刑事告発の可能性も検討しているとしていましたから、雰囲気的には無理のない?流れでした。ですから、告発が受理されて捜査に入れば、嫌疑不十分で不起訴となっても、桂調査委報告と同様、「嫌疑は少なからずあったのだが、証拠が十分に揃えられなかったのだろう」と言い募って、「警察捜査においても限りなくクロ」という印象形成ができるだろうという思惑だったのではないか・・・と感じました。実際、不起訴後にそういうコメントが少なからずありました。
・・・しかし、そういう思惑の中で、神戸地検が「事件の発生自体疑わしい事案」との異例のコメントをするとは想定外だったのでしょう。これは、「冤罪である」と言っているに等しい衝撃的コメントです。
 
■警察、検察にしても、捜査を始めて拍子抜けだったのではないかと思います。若山研関係者は、告発が受理されるまでの時点では、石川氏に説明した内容やフライデー等の週刊誌に流していたストーリーで話して、「引っ越しの時になくなったんです」と説明して、受理された・・・。しかし、実際捜査が始まって、基本的物証である公的文書をチェックしていったら、辻褄が合わないことがわかってきた・・・。
 一体どういうことか??ということになって、その捜査当局の不満が、「事件の発生自体疑わしい事案」との異例のコメントに結び付いたものと想像しています。
 
虚偽告訴罪の解説を見ると、次のように書かれており、「国家の刑事司法作用を濫す」という点に一義的保護法益があるために、懲役が10年以上と長くなっているようです。
 
「保護法益は、第一次的には国家の適正な刑事司法作用という国家的利益であり、二次的に個人の私生活の平穏という個人的利益であると解するのが通説である。」(ウィキペディア
 
小保方氏が実際に讒訴によって、有罪となり刑に服するという事態にはなっていませんから、法益の棄損の程度は少ないですので、その点がどう判断されるのか、という点はあるかと思います。
小保方氏にとっては、たまったものではありませんでしたが・・・。