理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

NHKの勧告拒否に関してBPOの3月会合で何も触れられていないことについて


 既にコメント欄でもご指摘のあったように、BPO321日会合の議事録がアップされていますが、NHKの人権侵害決定・勧告拒否について、少なくとも議事録上は、何も議論された形跡がありませんでした。公式の議事外での意見交換があった可能性はありますが、表面上は何も動きが見えません。



  他方、コメント欄で教えていただきましたが、「BPO解体」を含む提言が百田尚樹氏、小川榮太郞氏らをメンバーとする「放送法遵守を求める視聴者の会」という団体によってなされたとのことです。


放送法遵守を求める視聴者の会 新代表に百田尚樹氏 「BPO解体」提言を公表
(産経ニュース 2017.3.28 20:13



「・・・同会事務局長で文芸評論家の小川榮太郎氏は、BPOについて「放送事業者自身のコントロール下にある任意団体であるBPOとテレビのマッチポンプによるチェックしかない。構成員の多くが左派、リベラル系であることは国民不在の機関だと言わざるを得ない」として問題視。国民に広く認知するように運動を始めたうえで、BPOの解散と、国民の声を反映した新たな独立規制機関の設立を求めた。
また、放送業界は寡占状態にあるとして、電波の周波数を競争入札により通信事業者に割り当てる「電波オークション」の導入などを提言した。」


森友学園報道「バランス欠く」 「視聴者の会」が会見



 「NHKと民放でつくる第三者機関「放送倫理・番組向上機構」(BPO)について「第三者性に疑義がある。BPOを解散し、国民の声を反映した独立規制機関をつくるべきだ」とした。放送法や電波法にもとづく放送事業者の行政処分や業務停止などについて研究する、とも述べた。」


■百田氏、小川氏らは、いうまでもなく安倍内閣支持の保守派ですし、百田氏と長谷川三千子氏とは、第二次安倍内閣において、NHK経営委員に新たに任命された経緯があります(百田氏は一期限りで退任)。


NHKの最高意思決定機関である経営委員会の委員である長谷川氏のBPOの人権侵害決定・勧告拒否の肯定発言と併せ考えると、彼ら保守系の人々は、BPO自体を否定し、別途の独立規制機関の設立を指向していることが伺い知れます。


長谷川氏の経営委員会での発言は、そのような思惑の下でなされたのかもしれません。長谷川氏は、おそらく、事案の中味など関心無いのではないかと思います。「人権侵害」という、「右翼的」な彼女からすると「左翼的」ニュアンスと感じる言葉への反発と、BPO否定の思惑に立って発言していると思われ、STAP細胞事件の経過などは、知りもしないし関心もないのでしょう。


いずれにしても、放送局が偏向しているかどうかの議論は措くとして(その「偏向ぶり」を「独立規制機関」が判断して、行政処分に持っていくなどは非現実的だと思いますが)、強力な牽制と政府介入の動きが顕在化してきていることは確かなわけです。


■そういう中で、BPOが、これらの否定論の動きに抗する動きをしなければ存立意義を問われてしまいますし、NHKの勧告拒否を放置するのであれば、BPO否定論の動きに格好の材料を与えることになってしまいます。


 そういう構図になっているのかわからないまま沈黙を保っているのか、それとも良くわかっていて、これらの動きに抗する声明等の準備をしているのか、外からはよくわかりません。


■全体的なBPO否定論はともかくとして、放送人権委員会でのNHKの決定拒否については、3ヶ月後(5月)の改善取組報告のタイミングで議論するつもりなのかもしれません。
  NHKも意見交換をしていくとしており(意見交換の局面ではもうないわけですが)、その内容を見て判断するということかもしれません。


 以前、朝日放送への勧告を踏まえた取組報告を受けた際に、その本気度合いを疑うかのような意見を出したことがありましたので、それと同じパターンのような気もします。


  http://www.bpo.gr.jp/?p=6864&meta_key=2013(一番下の「意見」を参照)


 しかし、朝日放送の場合は、まがりなりにも、恭順の意を示していましたが、今回のNHKは、決定・勧告のその日に、直ちにこれを受け入れず、自説を主張したわけですから前代未聞の異例の状況です。しかも、単に大阪放送局が反射的に応答したということではなく、上層部も含めてその対応を認めており、それに加えて、最高意思決定機関の経営委員会委員までもが、積極的にこれを支持したと言うことですから、その前代未聞振りは半端ではありません。


 要するにBPOは喧嘩を売られ、その存在を否定されるに等しい仕打ちを受けたわけですから、直ちに反応するのは、当然の初動対応だと思うのですが、なぜそうならないのか、不思議でなりません。


■政治的な取り上げ方も、あれこれ考えると微妙なところがあるのかもしれません。政府・与党は、おそらく、既存放送局ムラの一員であるBPOを否定し、政府が関与する独立規制機関の設立の思惑があるでしょうし、経営委員会の長谷川氏は政府に近いわけですから、「なぜ、NHKBPOの勧告を守らないのか?!」という、現行の枠組みを前提とした批判は期待できないと思われます。


 また、不祥事続きだった籾井前会長が退任し、やっとまともと思われる上田新会長が就任して間もないということもあり、現時点で、そのマイナス点となるような取り上げ方もまた期待できないような気がします。


 となると、野党はどうか?ということになってきますが、民進党も、記者会見からの締め出しなど、メディアに対しては強圧的なところがあります。ただ、今回の件を使って政局的な取り上げ方はできるわけで、政治主導色の強い経営委員だった百田氏を批判したのと同様に、長谷川委員を批判し、NHKの体制に対する批判はすることはできるでしょう。


 しかしそれにしても、別に小保方氏への人権侵害が継続することについてどうなのか?という問題意識ではない、政治的思惑による取り上げ方になりますので、あまり好ましい構図とも思われません。


■現時点では、まだそういう政治に絡めた取り上げ方はされていませんが、そうならないうちに、BPOの人権侵害委員会は、きちんと自らが1年半かけて審議して決定した勧告が守られるよう、小保方氏のメディアによる人権侵害からの救済確保のためにも、迅速に対応すべきだと思います。