NHK経営委員会の議事録が公開されています(2月14日会合)
NHKの経営委員会の2月14日会合の議事録が公表されています。
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(上田会長)
先週の10日、BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会は、平成26年7月に放送した「NHKスペシャル 調査報告 STAP細胞 不正の深層」につきまして決定し、NHKに通知しました。決定の概要とNHKの今後の対応について、担当の荒木理事が報告いたします。
(荒木理事)
この番組について審理しておりましたBPOの放送人権委員会は、先週金曜日、「元留学生が作成したES細胞を小保方氏が不正行為により入手して混入し、STAP細胞を作成した疑惑があると受け取られる内容になっていて、名誉毀損の人権侵害は認められる」として、NHKに対して再発防止に努めるよう勧告しました。
STAP細胞は、番組が放送された年の1月に小保方氏が発表し、世界的な話題になりましたが、4月には理化学研究所が研究不正を指摘し、「小保方氏の研究はどうなっていたのか」といった点に国民の関心が集まっていました。この番組は、当時のこうした関心に応えようと、関係者への取材を尽くし、客観的な事実を積み上げて制作いたしました。事実関係の誤りはなく、NHKとしては人権を侵害した内容ではなかったと考えています。
BPOの指摘で問題とされたシーンも、小保方研究室の冷凍庫から元留学生が作成したES細胞が見つかったという事実や、その元留学生本人が、自分がつくった細胞がその冷凍庫から見つかったことに驚いていたという事実を紹介し、なぜこのES細胞がその冷凍庫から見つかったのか、小保方氏には疑問に答えてほしいとコメントしたものであります。委員会の指摘のような、小保方氏がこのES細胞を不正行為により入手したという内容を伝えているわけではありません。
一方で、BPOは、NHKと民放連が独立した第三者の立場から放送倫理上の問題に対応してもらうために設立した組織です。規約上、NHKと民放各社は勧告を遵守するとなっていますが、決定をどのように生かしていくかは各放送局の自主的な判断に任されています。
(長谷川委員)
今回、NHKがBPOに反論のコメントを出したことについて、新聞によっては、微妙なニュアンスを持たせて「異例なこと」だと報じていましたが、私はこれは大変よいことだったと思います。
先ほどもご報告に「真摯に受けとめ」という言葉がありましたが、普通、「真摯に受けとめ」という言葉を全然真摯でなく言うことが多いんですね。「ごめんなさい」って頭を下げれば済む話だと思っている。これは、本当の意味での真摯な受け止め方ではありません。
きっちりとなすべき反論をすることで、そこから意見交換が展開し、よりよい番組づくりへとつながってゆく。今回のNHKの対応は、まさに本当の意味での真摯な対応であって、今後こういう勧告が出たときのお手本になると言ってよいかと思います。これから実りあるコミュニケーションを続けてゆかれますよう、よろしくお願い申し上げます。
(荒木理事)
(石原委員長)
私から最後に意見を申し上げさせていただきます。
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■長谷川三千子氏は、論壇の中では保守派に属する人で、バランスのある人だと思っていますが、その長谷川氏にしてこういう反応だというのは、残念な話です。
BPOとしては、番組編集の自由を尊重しつつも、それでも問題ありと結論したことや、少数意見にしても「人権侵害とまではいえないが、放送倫理上問題あり」という判断になっている点もあるということまでは、ご存じないのでしょう。
メディアが問題提起すること自体は悪い話ではありませんが、番組の受け止め方には人によって様々なものがあり、その内容が問題視された場合には、第三者機関のBPOに判断を委ねるということを、自らがルールとして決めて公開しているわけですから、それに従わないというのでは、自殺行為です。
長谷川氏が言うには、「きっちりとなすべき反論をすることで、そこから意見交換が展開し」とのことですが、「でも人権侵害じゃないんだ!」「少数意見だってそう言っている!」「内外多数の者に取材を重ねたんだ!」ということを、壊れたテレコのように繰り返していても、「真摯な対応」になどなりようがありません。
次回のBPO会合は、3月21日ですが、そこでどういう議論がなされるのか、要注目です。
これでは、小保方氏や三木弁護士も気が休まらないでしょう。