【補足】検証実験と不正調査の関係/若山氏が「被調査者」でない点について
コメント欄で2点ほどご指摘をいただきましたので、記事にて説明させていただきます。
一点目は、不正調査と検証実験との関係、
二点目は、若山氏は被調査者だったのではないか?
という点についてです。
■第一に、不正調査と検証実験との関係についてです。
これは、改革委提言においても、論文のプロトコル通りに小保方氏に実験をさせよとしていることや、分子生物学会の大隅理事長が、それまで小保方氏参加の再現実験を税金の無駄遣いだとして反対声明まで出していたところ、文科省ガイドラインに基づく権利だとの指摘に理解を示し、「本人参加の実験には正当性があり、11月末までそれを見守るしかない」としていることからも、ガイドラインや不正調査規程に基づく権利としての「再現実験」との理解をしていることがわかるかと思います。
なお、本人から「申し出がなかった」といっても、こういうことは、被疑者に対して、黙秘権なり弁護士を付ける権利なりがあることを告知する義務があるのと同様、調査主体の理研として、本人に告知する義務が公正手続きとしてあるはずです。それを然るべく行わないまま、小保方氏から「申し出がなかった」といっても通るものではありません。
結果的に論文通りには再現はできなかったかもしれませんが、ガイドラインや規程の趣旨に即して手続きを進めるのであれば、小保方氏の再現実験結果も踏まえた上で、不正調査委員会としての最終判断を示すというのが、期待されている適正手続きということになります。結果として、内容が左右されなかったとしても、適正手続きは踏まなければなりません。
通常国会に続き、秋の臨時国会でも提出を断念し、三度目の正直ということで至上命題だった特定国立研究開発法人法案の国会提出を睨み、タイムリミットから逆算して、大車輪で年内決着を図ったことは、容易に想像できます。
■第二は、若山氏は被調査者だったのではないか?というご指摘についてです。
不正調査の被調査者(被告発者)であれば、小保方氏がそのように措置されたように、実験室や研究試料を封鎖し、証拠保全をしなければならないはずです。
理研は、若山氏が在籍する山梨大にそのように要請するとともに、山梨大自身もそのように措置しなければならなかったはずです。理研、山梨大とも、研究不正規程において、先方機関から依頼があった場合、或いは調査対象研究が他機関で行われていた場合には、証拠保全のための一時的措置を取る、あるいは取ることを求めるとされています。その中には、利害関係者との接触禁止も含まれ得ます。
あるいは、FES1が、大田氏から直接送られてきたのか、それとも若山研を経由してきたのか、その移送経路が不明のようですが、もし若山研経由で送られてきたのであれば、不正調査の根幹にも関わる部分ですから、本来は被調査者を経ることなど考えられないでしょう。
理研の竹市センター長は、3月にNHKでリーク報道がなされた後、「若山氏とともに調査していきます」と述べていましたし、「第三者機関」の解析結果についても、若山氏とともに、それぞれの保管分の試料に関して、時を同じくして発表しています。小保方氏の『あの日』でも、若山氏にいろいろと調査関連資料がわたっていたこと、理研から若山研に情報シェアされていたこと等が、理事の話として語られています。
こういったことからも、被調査者ではなく、協力者としての位置づけだったことがわかります。
また、『あの日』では、若山氏が、論文撤回を米国側著者に迫る理由の一つとして、若山氏が自主点検委関係資料を保有していると自ら認め、それが明らかになると、今後の論文投稿ができなくなるから、という妙なことを伝えていたことが描かれています。これが本当だとすれば、(自主点検委段階とはいえ)自らが調査されるべき立場であり、にもかかわらず調査側の資料を保有していることは不適切だという認識があったということでしょう。
桂調査委が、若山氏からもヒアリングをして、その責任についても言及しているということを以て、若山氏も被調査者であると理解される方もいるかもしれませんが、小保方氏のように、本来の不正調査規程に基づく「被調査者」(=「被告発者」)としての扱いを受けていないという意味で、前回記事を書いた次第です。ご理解いただければ幸いです。