理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

【補足2】理研の情報公開方針の転換に関連して―oTakeさんへのご返事(その2)


 以下は、前の記事へのoTakeさんのコメントに対するご返事的に書いたものです。コメント欄では書ききれないので、記事欄で書くものです。途中からの記事内容は、ご返事とはまた別で、関連して書いたものです。


>oTakeさん


 お正月休みの深夜にコメント有難うございます。私が問題としているのは、理研が情報公開法を当初恣意的に解釈運用したということに加えて、情報公開窓口と広報とで異なる説明、対応をしているという点です。当初は、双方とも非公開(情報公開法的には「不存在」)としていたものが、いつの間にか対応が違ってきて、同一人からの同じタイミングでの照会に対して、広報は従来のスタンスで説明する一方で、情報公開窓口は公開(「存在」)に転じた、という構図になっています。それは組織としてどうなのか?ということです。広報は理研という組織としての対外的スタンスを説明する部局ですから、その説明と、担当部局の実際の扱いとが食い違っていたら大きな問題です。
oTakeさんは、「三木弁護士らが非公式・公式なものの理研の公表・非公表は、理研自らは公表しない、つまり、公報的な情報公開の話で、問われて公開する情報公開法によるものとは違います。」と書かれていますが、広報は、三木弁護士からの照会に対して、情報公開法上の対応としてどうなるかということを回答しています。ですから、いずれも情報公開の話ですので、同じスタンス、同じ扱いでなければなりません(ただし、情報公開窓口は、個別の実際の公開請求に対して判断し処理する部局ですから、広報が述べたような解説的なことは言わないはず。裁判所の訴状受付窓口のようなものです。ですから、三木弁護士のような一般的対応についての照会ということになれば、広報が窓口になってきます。情報公開の回答の中で、「探したが見つからない」という文言は異例の表現だと感じます(後述)。)。
なお、検証実験「責任者」らが、oTakeさんからの確認に対して説明したことが、「研究者レベルでの質疑応答でも得られる話」ということであれば、特段問題はないのかもしれませんね。失礼しました。
 
いずれ明らかになるであろう検証実験全般のデータが、小保方氏に不利になるのか有利になるのか、私には判断できませんが、これまで、検証実験報告書掲載のデータ以外のデータが公表されていなかったことは事実として明らかであり、それがために論議が深まらなかったことは確かでしょう。公表せずに、「小保方氏に不利になるだろう」「科学的・統計的正当性がないことがわかるだろう」といった憶測的なことだけを流布させるのではなく、(知財上問題はないはずですから)データを公開して、検証実験過程の検証をさせる機会を提供することが、理研の責務だったと思います。
 
理研のこういうところが、科学的ではなく、政治的というか組織防衛的姿勢を色濃く感じさせるところです。大事なデータ、資料を、すべてが終わったあとに、そっと出すというやり方です。2014519日に提出された遠藤氏の解析に対する外部識者による、その解析結果を否定する評価報告書の存在を隠し続けて、桂報告書が出てすべて終わった頃に、そっとモニタリング報告書の参考資料で目立たないように記載していました。あの外部識者の報告書が然るべく扱われていたら、自己点検報告書も改革委提言も、とてもまとめることができなかったでしょう。


今回問題となっている検証実験全般の画像、データにしても、検証実験報告書公表時や、小保方氏HPについての論議の際に公表したら、そこから質疑や議論が多々出てきて、理研としては事態を収束することが難しいと感じたであろうことは、容易に想像できます。そのような思惑を反映してか、検証実験結果は、報告書とその後の論文に留め、報告書公表の数日後に桂調査委報告を出して、決着を図りました。小保方氏のHPの画像・データにしても、「存在しない」「探したが見つからない」という情報公開請求への回答により、それが一人歩きし、それ以上の議論にはなりませんでした。更に、その画像等は加工が加えられた捏造だ、という話を流布させることで、あの画像・データは信用できない、という印象形成が図られました。
もし、当初から検証実験データをすべて公開し、外部的検証に供していたら、水掛け論的な生産的ではない議論は回避できただろうと思います。
 
■桂報告書とモニタリング報告書とによって、やっと特定国立研究開発法人法案提出・審議の環境を整えたところで、また議論が蒸し返されるようになってしまっては組織としては大変でしょうから、混乱材料となり得るものは極力表に出さない、先送りするという様子が色濃く感じられます。
小保方氏パートの検証実験について、その総括責任者である相澤氏をして、「こんなやり方は科学ではない」と言わしめたというのは、本来、組織としてはおよそ考えられないことです。検証実験チームの誰かが抵抗的に呟いたのではなく、最高責任者である相澤氏が公式記者会見で言ったのですから、相当の内部的混乱と軋轢があったということでしょう。
実際、検証実験結果に関する丹羽氏パートの論文は、理研HPで紹介されていますが、小保方氏パートの相澤論文は、今に至るも紹介されていません。
 
相澤氏が記者会見で言及したような小保方氏への制約的要素が、その論文には書かれていますから、理研としては認知できないということでしょう。理研として、ぎりぎり許したのは、検証実験報告書に記載された目立たない留保部分だけでしょう。
小生パワポ資料 P13~14
 
■その内部的軋轢の延長で、情報公開請求への対応も検討されたということだと思われます。小保方氏のHP画像・データについて議論が起こった時期というのは、まさに特定国立研究開発法人法案が国会で審議されようとしているさなかでした。小保方氏の『あの日』もベストセラーとなり、STAP問題に対する関心は高まっていました。頼みの?刑事告発も、神戸地検は「事件の発生自体疑わしい」という異例のコメントをつけて捜査終了宣言をし、雲行きが怪しくなってきていました。
そういう時に、議論の蒸し返しにつながるようなデータ公開は何としても回避しなければなりません。特定国立研究開発法人法案は、STAP問題発生で提出が流れ(2014年)、翌年もせっかく桂調査委報告書とモニタリング報告書によってお墨付きを得たけれどもやはり流れ(2015年)、2016年での国会提出・成立は、理研としては絶対に成就させなければならない至上命題だったはずです。ともに指定予定だった産総研物性研に迷惑をかけていたわけですから、尚更です(この点は、不満を持つ相澤氏としても、沈黙を余儀なくされ、協力せざるを得ない立場だったと思われます。)。
そういうさなかに、『あの日』と小保方氏HPが出たわけですから、理研としては相当に焦ったことでしょう。何としても混乱要因は除去しなければならないということで、情報公開請求に対しては、公式、非公式というもっともらしい理由で公開を先送りしてしのぎ、法案が無事成立し、101日付で理研が指定されたことにより、最大の重圧から解放されて後、そっと情報公開方針を転換し、検証データを小出しに公開し始めた・・・というのが、推測できる流れです。もうマスコミが取り上げることもなかろう、と踏んでいるのでしょう。
 
理研としては、数々の試練を乗り越えて?、特定国立研究開発法人指定という大願成就をしたわけですから、今後はその呪縛から解放され、冷静な地合いの中で、STAP細胞問題の社会での検証に協力、貢献してもらいたいものです。
その中で、「こんなのは科学ではない」と相沢氏をして言わしめた検証実験の計画、実施過程についても、いずれ検証されることを期待したいところです。
STAP細胞事件は、あまりにも多くの謎、矛盾がありますから、その全体的解明がなされれば、真のノンフィクション大賞に値するものになると思います。

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【補足】情報公開における「存在しない」の意味、使われ方
                       ―情報公開の「業界用語」   

 情報公開用語は、わかりにくく、誤解を招きやすいところがありますので、少し整理してみました。
「文書がない(存在しない)」という使われ方は、一般の日本語とは意味・範囲が異なりますので、行政機関・組織による目くらまし的機能を、結果として持たせてしまっていると感じます。
 当初の理研の情報公開窓口と広報の説明・対応は、下記の理解に立てば(「公式・非公式」の別を持ち込んで解釈したという誤りを除けば)、説明可能であり、両者は矛盾したことを言っていないと思います。
 
■情報公開の対象

「法人文書」―①職務上作成・取得+②組織的に用いる+③保有
  ※公式・非公式/公開・非公開 の別は、本来関係ない。
 
■情報公開の対象外
  1. そもそも「法人文書」でないもの(=3要件を満たさない)
  2. 「法人文書」だが不開示情報を含むもの
 
■「法人文書」に当たらないと判断したものは、
  1. 物理的には存在していても、「存在しない」と回答。
  2. 「存在していても非公開ということではないのか?」と聞かれても、「存在しない」(「文字通りです」)と回答。
    ※法人文書として存在していて非公開の場合は、「不開示」と回答。
  3. 「公開・非公開含めて、全データを対象に探してほしい」と依頼されても、「公開・非公開含めて探したが、不存在」と回答。
 
【参考】


■法人文書とは?
独立行政法人等の役員又は職員が職務上作成し、又は取得した文書等であって、
・役員又は職員が組織的に用いるものとして、
・当該独立行政法人等が保有しているもの。
 
■不開示情報になるものは?
人文書に当たるが不開示とするもの。 
(1)特定の個人を識別できる情報(個人情報)
(2)法人の正当な利益を害する情報(法人情報)
(3)国の安全、諸外国との信頼関係等を害する情報(国家安全情報)
(4)公共の安全、秩序維持に支障を及ぼす情報(公共安全情報)
(5)審議・検討等に関する情報で、意思決定の中立性等を不当に害する、不当に国民の間に混乱を 生じさせるおそれがある情報(審議検討等情報)
(6)行政機関又は独立行政法人等の事務・事業の適正な遂行に支障を及ぼす情報(事務事業情報)