理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

研究者と出勤管理―実態は?研究日誌と矛盾することはないのか?


 これは、まったく知識も土地勘もないので、門外漢の素朴な疑問として書くのですが、研究者の方々の出勤管理というのは、どういうことになっているのでしょう・・・?


 コメント欄でのやり取りに触発された面もあるのですが、もともと、小保方氏のメチル化細胞増殖実験のグラフの「不正」認定の際に、勤務記録との照合で判断されたということから、もやもやしていたことでもあります。 


小保方氏の擁護とかそういうことでは全くありませんが、もともとイメージとして、研究者の皆さんというのは、自分の研究に昼夜、休日を問わず没頭していて、サラリーマンなどとは違って、 出勤簿、勤務記録といった管理的な拘束とは縁が薄いという印象があります。研究室に寝泊まりして、髭ボーボーというステレオタイプの印象もあります。


 研究対象は、昼夜、休日といった人間様の世界とは関係ないわけですから、実際、そうなのではないのだろうか?と漠然と捉えていました。


■それで、「研究者+労働時間」で検索してみたら、いくつか出てきて、例えば次のブログの中の「研究者の待遇、仕事環境」として書かれている研究者の方の実態は、だいたいイメージ通りのものでした。


 それによれば、研究者の方の多くは、裁量労働制が適用されているとあります。


労働基準法の定めるみなし労働時間制の1つとして位置づけられ、労働時間と成果・業績が必ずしも連動しない職種において適用されるとあって、研究業務が認められる一つの類型としてあげられています。
それで、勤務時間はどうかというと、


「勤務時間帯は固定されず出勤・退勤の時間は自由に決められ、実働時間の管理もされない。一方で、過重労働による労災事故および過労死予防のための安全配慮義務として、2003年から使用者側に実労働時間の記録および管理が義務づけられることとなり、一部に混乱が生じた。一定期間ごとの「職務成果」が評価され給与に反映される場合は、裁量労働適用以前より長く働かざるを得ない場合もある。」ウィキペディアより) 


「みなし労働時間制のひとつであることからも明らかなように労働時間の概念は残されている。実労働時間にかかわらず、みなし労働時間分の給与が支給される。みなし労働時間が法定労働時間(8時間)を超える場合には労使で36協定の締結が必要であり、超過分の時間外労働に対する手当は割増支給される。また、深夜および法定休日の勤務に対しては深夜労働および休日労働に対する手当は割増支給される。管理監督者は労働時間や休憩、休日の規定が適用されない適用除外で時間外労働や休日出勤をしても割増賃金は支給されないが、深夜労働に関しては管理監督者も適用を受ける。」(同)


 かつては、勤務時間帯、実労働時間も管理されなかったそうなので、だいたいイメージ通りですが、その後、過重労働防止や各種割増支給のために、実労働時間の記録・管理が義務づけられたということだそうです。


 労働基準法による残業の扱いや割増手当というのは、どの組織においても頭の痛い問題で、実際のところ、その時に本当に必要な勤務と後でもいい勤務との差が必ずしも明確ではないですし、物理的に夜10時以降、あるいは休日に職場に居るというだけで、残業代や割増手当を払っていては、パンクしてしまうというのが実態でしょう。勤務時間、残業の有無と能力、成果とは連動するとは限らないということは、経験則として共有されていると思います。労働者側も、きちんと理由が付くものでなければ、申請もしづらいと思いますし、それを無視して請求していては、勤務評価は低くならざるを得なくなるでしょう。


 ですから、出勤日には、出勤時にタイムカードを押したり、出勤簿を付けるなりはするかもしれませんが、残業したり、深夜、休日、非出勤日に勤務していたとしても、それが勤務記録に正確に反映されるとは限らないというのは、大方の実態ではないかと想像しています。伊藤忠みたいに物理的に消灯して本当にうまくいくならいいですが、相手と期限とがあるなかでは、家に持ち帰ってのサービス残業にならざるを得ません。


ただ、昨今のブラック企業サービス残業の恒常化、過労死などの労働問題が大きな社会的関心事になってきて、労働基準監督署に立入りを受けて、タイムカードやIDカードによる電磁的入退室記録等で照合された場合には、実態との差を説明しづらいところです。


  研究者の場合、一般のサラリーマンとは異なり、裁量労働制の下で基本的には成果で評価されるわけですし、雇用形態も、任期付き契約による基づく研究者が大宗を占めるのではないでしょうか。そういうときに、いくら労働基準法で、休日、深夜は割増支給されると規定されるからといって、「私の研究は深夜、休日の出勤も必要だから、割増手当をください」と申請しても、そんな財源があるはずもなく、契約更新も控えていますから、立場上からもそんなことを言い出せる雰囲気ではないでしょう。


 そうなると、さすがに、出勤日に出勤したことは記録は残るでしょうが、それ以上に、いつの時間まで研究していたのか? は記録上からは明確ではないでしょうし、非出勤日に出勤はしていないのか? といった実際の勤務状況については、サラリーマン以上にわかりにくいのではないか?と想像するのですが、実態はどうなのでしょうか?


 それとも、研究室で研究する場合は、きっちりタイムカード等で、何日の何時から何時まで居て研究に従事したのか、ということが客観的に証明されるようになっているというのが、大多数の研究現場のプラクティスということなのでしょうか?


ooboeさんのパートナー氏が情報公開請求で入手した小保方氏の出勤記録(ハーバード用)では、出勤日に○を打っているというものだったそうですが、それが正確に勤務実態を表しているかというと、(別に擁護する意味で言うわけではなく)経験上、そうとは限らないのではないか?という気がします。


桂調査委では、メチル化細胞増殖実験のグラフで、不正判定した根拠の一つは、勤務記録からその記録採取の日時にいなかった、というものです。
これは、判例となったわけで、これを一般ルールとして適用することとなった場合(ダブルスタンダードはいけませんから)、多くの研究者の皆さんに、ブーメランとなって跳ね返ってこないのでしょうか?


「研究日誌をきちんと付けろ」というのは厳しく言われるとして、その日誌上の日付、時刻と、勤務記録を照合した場合に、すべて矛盾なく合致するのでしょうか?


研究者の場合には裁量労働制が採られていて、実質的に労働時間、出退勤時刻等の管理は、通常の労働制と比べて、はるかに緩やかであろう状況下で、勤務記録を正確に残すインセンティブもあまりない中で、その勤務記録との照合によって、矛盾があれば不正が認めら得るということがルールとして定着するのであれば、窮地に陥る例も少なくないのではないか・・・?と想像するのですが、門外漢の頓珍漢な想像でしょうか・・・。