理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

11月15日予定のBPO会合で「大筋了承」なるか?―法律系識者による初めての見解に


 BPOの10月会合は、10月18日に開かれていますが、その時点では継続審議となっていました。

「今回の委員会では、前回に引き続き「委員会決定」案について審理した。各委員から出された意見を踏まえ、次回委員会までに第3回起草委員会を開き、次回委員会に修正案を提出してさらに検討を続ける。」

 それで、11月会合は、11月15日ですので、もう間もなくです。

 当事者からのヒアリング後、まず8月会合で素案審議がなされ、出された意見をもとに、第2回起草委員会で修正された決定案が、9月、10月と2回の会合で検討されています。その2回の会合での意見を反映して第3回起草委員会で修正されたものが、11月会合に諮られるという流れです。

 決定案の各論点ごとの方向性は、素案段階の審議で固まっていたはずですから、その後の決定案の審議は、より細部の点についての議論だったものと思われます。

 ここまでくると、ほぼ大詰め段階だろうと思います。
  8月会合についてのブログ記事でもご紹介しましたが、今回の11月会合の議事録がどういう内容になるのか、要注目です。

 議事録の記載ぶりのパターンは、おおよそ次のようになっています。

(1)全会一致の場合

 「一部表現・字句を修正したうえで大筋で了承され、委員長一任となった。「委員会決定」の通知・公表は○月に行なわれることになった。」

(2)全会一致ではなく、反対意見がある場合
 上記(1)の文言に、次のなお書きがつきます。

 「なお、一部の委員は結論が異なる少数意見を書くことになった。」

(3)補足意見があり得る場合
 反対意見ではないが、一部委員が補足的に見解を述べることが予想される場合は、次のような表現になっています。

 「各委員から細部にわたるさまざまな意見が述べられた。」

 一概に「決定案」といっても、以前のブログ記事で述べたように、それぞれの論点ごとに、「人権侵害(名誉棄損、プライバシー侵害等)の有無」の判断のために、「公共性・公益性」、「真実性」、「真実と信じたことの相当性」の3点についての判断が、詳細に記されることになるものと思われます。
 論点は、人権侵害だけでなく、放送倫理違反の有無もあります。

 これまでのBPO決定の例をみると、ほとんど裁判の判決に近い詳細極まるものですが、これまでの事例は、論点がほぼ1点に絞られていました。
 今回のNHKスペシャルの事案は、論点が多岐にわたりますから、その論点の数だけ、判決同様の検討・判断が書かれることになりますので、書く方も読むほうも大変です。

■ 11月15日の会合で、大筋了承ということになれば、あまり間をおかず、その旨の議事録が公表され、決定の通知・公表のタイミングが明らかにされるでしょうが、そうなるのか、それとも更に審議が続くのか、注目されるところです。

 これまで、STAP細胞事件については、法律系の識者の見解、意見というのはほぼ皆無でしたから、それが初めて明らかになるという意味でも注目されます。

 今回の決定は、「人権侵害」「放送倫理」という観点からの判断になりますが、以前から述べているように、さまざまな異なる見方を取り上げているか、その意味で公正性が保たれているか、結論ありきの偏向性がないか、という点について、「放送倫理」の観点から問題とされるかどうか、ということも大きな注目点のひとつです。

 笹井氏、丹羽氏、かつての若山氏が述べた「ES細胞では説明できない理由」についての記者会見やインタビューでの発言が、一切NHKスペシャルでは取り上げられていませんでしたが、この点が放送倫理上の問題として認められれば、「科学」の問題として判断された調査委員会報告等の正当性に、大きな一石を投じる意味合いを持つことになるでしょう。

 STAP細胞問題は、「科学者」の専有物ではもともとありませんし、公正手続き(デュープロセス)の点から評価すれば、およそ考えられない無法ぶりがまかり通った経過でしたから、BPOの決定を契機に、そういう観点からの議論も含めて、再度議論がなされることを期待したいところです。


■なお、米国の特許出願に対する拒絶理由通知に対する応答は、3か月+延長3か月=計6か月の準備期間がありますので、7月6日から6か月後の、来年1月初めにどういう動きになるのか、併せて注目です。