理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

BPOの9月会合議事録より・・・遅ればせながら・・


 BPO9月会合の議事録が公開されたことについては、既に各方面でご指摘があるとおりで、まだ継続審議ということのようです。
 
 議事録といっても、最後の2行以外は最初から毎回同じで、それ以外の最後の2~3行の行間から何を汲み取るのか、ということなのですが、
 
「今月の委員会では、96日に行われた第2回起草委員会を経て提出された「委員会決定」案について審理した。次回委員会では、さらにこの決定案の検討を続けることになった。」
 
 というだけでは、想像するほかありません。
 前回記事で述べたように、論点がひとつであっても、30ページ近い詳細な分析をもとにした決定内容になるのが通例です。
 
 そうすると、STAP細胞事案については、次の記事でご紹介したように、論点が10近いですから、それぞれに詳細な分析・評価をするとなると、軽く100ページは超えるのかもしれません。
 
 そんな論点が多岐に渡ることから、全部の論点について分析・評価をまとめるには時間がかかるのだろう、と想像しています。
 
 なお、この分析・評価に基づく勧告は、「人権侵害である」「放送倫理上重大な問題がある」等と認定した上で、「決定趣旨を放送し、真摯に対応することを勧告する」、というところまでになるのが通例です。
 
(例)
「委員会は、テレビ朝日に対して本決定を真摯に受け止め、その趣旨を放送するとともに、今後番組制作のうえで放送倫理の順守をさらに徹底することを勧告する。」
 
それを受けて、各放送局側が、概ね3ヶ月程度で、対応と取組みとを報告書としてまとめ、BPOの委員会に提出し、了承を得て、一連の審議は完結する流れです。
放送局側の報告書の内容は精粗まちまちで、内部での編集過程を含めた原因究明に努めているものもありますが、見解の違いであるような書き方をするものもあり、その場合には、BPOの委員会側が更に「意見」を述べ、批判、追加対応を求めることもあるようです。

以下最近の3例挙げましたが、前2件は了承されたもの、最後の1件は了承されず意見が出されたものです。
人権侵害等の勧告決定が出された場合、心証を損ねるような対応取組み報告をすると、更に批判されかねませんので、NHKとしても(恭順の意を示して?)慎重に取りまとめることでしょう。
 
●「ストーカー事件再現ドラマへの申立て」に関する委員会決定
2016215日 放送局:フジテレビ
 
2015517日 委員会決定に対するフジテレビの対応と取り組み
 
 
●「謝罪会見報道に対する申立て」に関する委員会決定
20151117日 放送局:TBSテレビ
 
2016216日 委員会決定に対するTBSテレビの対応と取り組み
 
 
●「大阪市長選関連報道への申立て」に関する委員会決定
2013101日 放送局:朝日放送株式会社
 
20131224日 朝日放送「放送人権委員会決定後の取り組みについて」
 
2014221日 報告に対する放送人権委員会の「意見」
 
10の論点のうち、かなりの論点については、申立てが認められると思いますが、「(2)偏向的なイメージ構成の問題」の論点において、笹井氏が記者会見で根拠を挙げた上で、「ES細胞では説明できず、STAP現象は依然として有力な仮説」と説明したことを、番組で取り挙げなかったことが、「不公正」「偏向」との認定材料になっているかどうか、が焦点のひとつではないか・・・と思っています。
 BPO人権委員会が、桂調査委の分析を評価することはできませんが、いろいろな見方を公平にバランスよく報じているかどうかということは、同委員会が判断できることです。したがって、笹井氏らの説明を無視したことで、公平ではない偏った取り上げ方をしたとの判断がなされれば、科学的論点に関して、同委員会としては最大限の評価をしたということになると思います。
 「(4)直前に根拠をなくした事実による構成」の論点における若山氏の分析誤りをとり挙げなかったことについても同様です。
 
 BPOがそのような認定をすれば、改革委提言での次のような非科学的極まりない指摘に対するカウンターに多少なりともなることでしょう。それは、笹井氏の名誉回復にもつながる一助にもなると思います。
 
「この2月の頃には、共著者として小保方氏の研究不正及び論文の真正性を疑うべき事情が生じているにもかかわらず、笹井氏は、「STAP 現象はリアルフェノメノンである」「STAP現象は有力仮説である」との発言を繰り返し、一般国民、とくに再生医療への応用を期待したパーキンソン病などの難病患者に大きな期待を生ぜしめた。
日本の幹細胞研究の権威者としては軽率で無責任ではないか、とも見えるこの時点での笹井氏の一連の行動の背後には、iPS 細胞研究を凌駕する画期的な成果を無にしたくない、との動機も考えられる。成果主義に走るあまり、真実の解明を最優先として行動する、という科学者として当然に求められる基本を疎かにした笹井氏の行動は、厳しく責任が問われるべきものであると同時に、理研 CDB 成果主義の負の側面を端的に表しているものと評価できよう。」(P9