理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

含蓄がある一文を大隅理事長に寄せた海外の日本人研究者―改革委の「解体」提言を深く憂慮


  念のため、理研改革委を批判した昨年のネイチャー誌の記事についての小生のブログ記事をご紹介しておきます。

 「海外の研究者からCDB解体に反対する150通以上もの手紙が寄せられたが無視され、日本学術会議も、改革委を強く支持した。」

 ということがネイチャー誌記事では紹介され、岸氏ほかへのインタビューをもとに改革委を批判的に論じています。

 また、ご覧いただくとわかるとおり、改革委を批判しているのは、ネイチャー誌記事だけでありませんでした。
 既にその騒動の最中から、海外の日本人研究者から、分子生物学会理事長だった大隅氏に対して、改革委とそれを支持する日本の科学コミュニティ、マスコミに対して、大きな懸念が寄せられていることがおわかりいただけると思います。大隅氏はコメントなしに紹介したのみです(自分への私信を公開し紹介しただけでも良しとすべきかもしれませんが)。
 是非、上記記事でご紹介した、その研究者の方の一文を読んでいただきたいと思います。本当に含蓄のある文章であり、思慮のある方だと感じ入ります。

 そのメッセージの中に次の一文があります。

「私が憂慮していることは、第一に、不正が起きたときに責められるべきは、不正をはたらいたもの、および場合によっては、それを見逃した他の論文著者であるという第一原則が、はっきりしないようになっていることです。会社が何か不祥事を起こした場合は、会社のトップが責められますが、それと同じ論理で、マスコミ、一般市民が理研の責任を追求しているように見えます。このような構図が科学の世界で当たり前になると、今後苦労するのはほかの大学、研究所です。」

「常々、日本のマスコミの、政治家の言葉尻だけを捕まえて喜んでいる低レベルな姿勢に飽き飽きしていましたが、いまはそのターゲットが理研になっているようで心配です。日本の研究システムをいかに良くしていくか、それに向かってこれまで行われてきた試みの客観的な評価という、より大きな、建設的な問題を棚において、これまで少なくともいろいろな点でうまく機能していた組織の解体を、短絡的に言い出すのはとても危険に思われます。日本の科学者が、もっと大局的に、長い目で物事を考え、建設的な方向に物事が進んでいくことを望んでいます。」

 この研究者の方のこのような構図が科学の世界で当たり前になると、今後苦労するのはほかの大学、研究所です。」という指摘は、今回の東大の研究不正が確定すれば、現実のものになってくる「はず」です(ただ、皆、健忘症ですから、そんな話あったっけ?で済んでしまうのでしょうが・・・)
 岸委員長、塩見委員ら改革委メンバーは、東大の不正をコメントしようとするときに、この「基準」に直面することになります。

 上記のような思慮深い日本人研究者は、日本国内にも少なからずいたと思いますが、声をあげることができない科学界の土壌だったということがやはり問題だと感じます。学術会議まで改革委を支持したわけですから、声を出したくてもできなかったでしょう。


 「CDB解体」提言については、小保方、笹井両氏とSTAP否定の中心と目されていたCDB幹部の林氏も、狼狽するようにこれに抗議しています。


 奇しくも、その林氏がインタビューへの回答の中に、自らが深く関わった自己点検委や改革委が指摘した問題点(小保方氏の採用経緯に関して)を否定する内容が含まれていることは皮肉な話です。

 他人事だと思えば、基準も理屈も実態も無視して、言い立てるけれども、それが我が身のことととなってブーメランで返ってきたとき、ハッと気が付き、冷静な思考に立ち戻るということでしょう。

 上記の、大隅氏に寄せた海外の日本人研究者氏の最後の言葉が、強く印象に残ります。

 「行き過ぎると本当に大切なものを見失ってしまうのではないでしょうか。」