理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

若山研の「留学生」李氏のインタビュー回答の感想


 「一研究者~」ブログのコメント欄で、「感想」さんが、NHKスペシャルにもインタビューを受けていた「留学生」のLi氏に直接、メールで照会された結果を紹介しておられます。

 以下のコメント欄の5328以下になります。

 Li氏へのインタビュー結果は、ご自分で開設された以下のサイトに掲載されています。

 こういう生の「証言」は大変貴重なもので、「感想」さんのご尽力で考えるヒントがいろいろ出てきました。何点か、感想を書いてみたいと思います。

(1)感想1ーLi氏の被害意識、事実認識と、「事件の発生すら疑わしい事案」という理由で不起訴に至る地検判断との間のギャップは何だったのだろうか?
 
 このインタビューで、Li氏は、小保方氏がBoxを盗んだと思っているようですが、警察に事情聴取を受けたことにも触れていますので、(当然の初動捜査として行っていただろうと推測されたことではありますが)兵庫県警は1年間の捜査の中で、それを行ったことがこれで明確になりました。「数時間の事情聴取」とあります。
 警察に対しても同様の説明をしているのでしょうが、おそらく警察からはかなり突っ込んだ事情聴取を受けていることでしょう。

 今回のインタビューでは、将来、若山研との共同研究用に使うものだったという認識と、小保方氏が自分の実験(不正)に使うために盗んだのだろうという認識とが明らかにされていますが、その認識と、神戸地検の「事件の発生すら疑わしい事案」という理由で不起訴に至る判断とのギャップは何によるものだったのだろうか?という点は、本件の大きな注目点かと思います。

 Boxは、Li氏の認識では若山研のもの(=若山研が、将来の共同研究のために保存して然るべきもの)ということですから、そうすると、若山氏なり若山研の人々が、そういう認識を必ずしも共有していなかったのではないか?という気もしないでもありません。 若山氏や若山研の人々が自らの認識として、県警にどのように説明したのか? ますます興味津々のところです。
 その調書がどういう内容か、注目されるところですが、いずれ名誉棄損訴訟等が提起されることがあれば、明らかになることでしょう。


 少々先走りの想像かもしれませんが、次のような事情でLi氏と若山氏・若山研側との間で認識のギャップがあった可能性がないだろうかとも感じます。
 Li氏は、山梨大での研究者としてポジションを得ることが難しかったので、2012年8月に就職のために中国に帰国したとあります。他方で将来共同研究をするということは若山氏と話していて、そのために若山研に細胞を残すことを当然期待していましたし、(自分はすでに帰国していたものの、若山研の研究員の手によって)2013年2月の若山研の移転時に持って行くことになったようにも書かれています。
 しかし、山梨大でポジションを得ることが難しくて、中国で就職するために帰国して実際に就職したわけですから、将来の共同研究が具体的な確たる見通しが不透明ということになり、若山氏や若山研側でのその細胞の扱いについて認識に差が生じたことはないのだろうか?とも感じます。

 また、「自分の研究に必要で行方不明になったのならなぜ自分で探さないのか」という質問に対して、「若山研に当然あるべきものを探すことはない」と述べていますが、実際には若山研側が、紛失届をだしたり不明捜索願を出したりした様子はありません。また、MTAに記載して移管するつもりもなかったように思えます。
 そういったことを考え合わせると、どうも、扱いについて認識ギャップがあるようにも思えます。


(2)感想2-Li氏は、Boxが4つとあるが、残りの3つはMTAに記載されていたのか? 本当に現在の若山研にあるのか?
 
 Li氏は、残してきた細胞のBoxが全部で4つあり、3つは若山研にあると述べています。そうすると、移転時にMTAの対象になるはずですが、MTA記載細胞のどれがそれに該当するのでしょうか? 
 もし記載されていなければ、それは別途の問題を惹起します。

 Li氏は、「恐らく、2013年2月まで、あの箱がまだ若山研の冷凍庫に保管されてました。当時、あの細胞箱が山梨大に移るという結論に出したが、その後行方不明になりました。」と述べていますが、その際には、「4つのBoxのうちの1つが行方不明になった」と告げられていたのか、いつ告げられたのか、その辺が曖昧な印象を受けます。
 週刊誌報道では、2014年6月に理研が小保方氏の保管庫を確認してそのBoxの存在に気がついて若山研に通報して、初めて紛失に気が付いたというストーリーだったかと思いますが、全部で4つあって3つは若山研に持って来ていたということになると、「初めて紛失に気が付いた」という具体的イメージがぼやけてきます。

「若山研究室が山梨大に引っ越したとき、あの箱について、研究室同僚とのメールやり取りもございます。あれは2013年の2月のことで、恐らく、2013年2月まで、あの箱がまだ若山研の冷凍庫に保管されてました。当時、あの細胞箱が山梨大に移るという結論に出したが、その後行方不明になりました。」

 ということだと、実際に移転するときに既にないということに気が付いているはずですが、それは週刊誌報道とはギャップがありますし、紛失届も出されておらず(=捜索依頼もなされておらず)、MTAにもありませんから、週刊誌報道やLi氏の認識する事実関係だと整合がとれにくくなります。


 本件は、小保方氏の「譲り受けた」(保管庫に残されていた)という説明があり、合わせて理研広報に確認すると、紛失届も出ておらず(紛失騒ぎもなく)、MTAにも記載されていないことから、それらは小保方氏の説明通り、ジャンク細胞扱いされて残されていたのを小保方氏が引き継いだということなのだろうというのが、これまでの推測だったかと思います。
 このため、「事件の発生自体疑わしい事案」という神戸地検の結論は、違和感なく受け止められました。
 そこでは、Boxは1つだけという理解でいましたが、全体で4つあるということになると、「事件の発生自体疑わしい事案」という地検の結論との関係で、それらはどういう位置づけ、扱いだったのか、若山氏及び若山研としての認識が鍵となってくるところです。

 兵庫県警の事情聴取の際の調書が開示されれば、その点が明確になるはずです。名誉棄損訴訟等が提起されれば、それらの調書も明らかにできるのではないかと思います。


(3)感想3-「将来の共同研究」の具体的イメージは?

 未解析の細胞を若山研に保存しておく一方、中国の大学で研究者として研究活動を続ける中で、「将来の共同研究」というのは、具体的にどういう形が想定されるのでしょうか。
 全部で4つあるうちの3つは既に若山研にあり、残る1つも見つかったわけですので、共同研究の上では支障はなくなったわけですが、元々どういう形での共同研究が想定されていたのか? 今後どのように想定しているのか?といったところが気になるところです。

 また、全部で4つあるとして、行方不明になっていたとする1つがなければ共同研究ができなかった、というものなのかもよくわかりません。紛失により「研究に支障が生じることは間違いありません」とされていますが、他の3つは細胞の中身が違うのでしょうか・・?


(4)感想4-「小保方氏がLi氏の細胞を盗んでSTAP細胞実験に用いた」とのNHKが印象付けた構図が完全否定されたこと。

 これまで指摘されてきたことですが、改めて当事者ご本人の口から、STAP細胞実験との関連を、時系列と中身の細胞との2点から否定されたことは意義があると感じます。
 NHKは、Li氏に取材していたわけですから、こういったLi氏の認識も説明されていたことでしょう。にも拘らず、あのような演出をしたのは、放送倫理的に極めて問題だということが改めて感じられます。

 
 また今後、「感想」さんが追加的に照会された結果が紹介されることでしょうから、それらがいろいろな事実関係の解明に役立つことを祈りたいところです(もしかすると、それはLiさんにとっては不本意な事実関係になるのかもしれませんが・・・)。