理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

STAP細胞の幹細胞化研究で若山氏の関与が低かったという構図の誤り

 
 木星さんのビジネスジャーナル記事について議論がなされていますが、
 
 STAP細胞問題の基本的構図について、理研(当局と各委員会)が発しているメッセージと、それをもとに形成された世間の受け止め方とは相容れないと思われるひとつの客観材料の提示ということだと理解しています。
 
 STAP細胞問題は、ネットでの論文の疑義の指摘があり、ES細胞混入の可能性の指摘があって、STAP細胞とその論文は怪しいという印象形成がなされた後、理研の自主点検委員会が、あたかもES細胞の捏造は所与の事実であるかのような暗黙の前提に立って、会合を立ち上げ提言をまとめたという経過でした。
石井調査委による2件の論文上の「不正」認定を、ES細胞による捏造という意味での「不正(捏造)」であるかのように読者が脳内転換することを期待しているものでしたが、そもそも、Letter論文も含めた不正の有無の調査や、STAP細胞の有無の検証作業がまだ始まるか始まらないかのうちに(立ち上げから1週間後)、「捏造」を暗黙の前提にして報告書骨子をまとめ、そのまま報告書を作っているのですから、その恣意性は明らかです。
更に、ES細胞による捏造を裏付ける柱の一つと思われた遠藤氏のトリソミー等の解析は、STAP細胞を否定することにはならないとの外部識者への委託評価結果があったにも拘わらず隠したまま、笹井氏と小保方氏、そして理研CDB幹部の責任を問う報告書をまとめました。それは、改革委の提言の下敷きともなり、その趣旨、内容を更に増幅するような提言がなされ、結果、「CDBの解体」提言にまで至りました。
自己点検委の鍋島委員長は、NHKスペシャルで、「笹井氏は、この一件ですべてを失った」と語りましたが、笹井氏主導であり、ES細胞による捏造であることを前提とした発言でした。
 
自己点検委にしても改革委にしても、各著者の関与の基本的構図は、STAP論文は2報とも、小保方氏と笹井氏の2人の主導によるものであり、若山氏は受身の立場であり、技術的サポートをしたに過ぎないというものでした。
 以下、自己点検委報告書からの抜粋です。
  
「若山氏は、小保方氏を理研の客員規程に従ってハーバード大学から受け入れたが、小保方氏はC.バカンティ研究室に籍があり、受入れの目的は技術支援であると認識していた。そのため、実験計画や結果の判断に深入りしない方針で共同研究を進め、批判的な観点からの議論や詳細なデータの確認を行わなかった。
 
「小保方氏は、研究の着想、研究の中核部分の実行、論文の執筆のそれぞれのステップを複数の研究室で行った。」
「小保方氏は、若山氏の支援を受けてSTAP細胞から胎盤形成に寄与する幹細胞を樹立する研究に取り組んだ。」
「笹井GD は、引き続き小保方氏とともに第2 の論文(ネイチャー誌レター論文)の執筆を進めた。この論文は、CDB の若山研究室で着想され、若山氏の支援を受けて小保方氏が解析し取りまとめたデータを基に作成されており・・・
 
この基本的構図は、4月段階では出来上がっていました。笹井氏が記者会見で自らの関与、役割に関して、実験とデータは若山研で得られたものであり、それを材料にしての論文の仕上げを手伝ったものという事実を述べても、責任逃れをしていると批判が多くなされました。
 
6月の若山氏の会見では、


発表された論文で僕が手伝った部分はキメラマウス写真くらいで、大部分はCDBで行った解析結果になっている。論文を読んだ人や僕の研究内容を知っている人は、僕の研究室では不可能な実験のデータがたくさんLetter 論文に含まれているのが分かる。」
Letter 論文についてはキメラを作るという大事なデータを出しているが、実際に書いてくださったのは笹井先生。解析結果など自分自身が理解できない難しい論文になってしまった。」
(「有志の会」ブログhttp://blog.livedoor.jp/obokata_file-stap/archives/1059185387.html#commentsの No147「えり」さんの書き起こし
 
と述べ、自己点検委員会の描いた構図と同様に、STAP幹細胞、FI幹細胞に関するLetter論文、実験まで含めて、これに対する自らの関与の度合いを薄め、笹井氏と小保方氏主導によるものであることを強く示唆しました。
 そして、「僕の研究室では不可能な実験のデータがたくさんLetter 論文に含まれているのが分かる。」とまで言っていますから、例の「僕の研究室のマウスからはできない」という「第三者機関」の(誤った)解析を踏まえたコメントや、「ポケットに入れて持ち込むことができる」とのコメントと合わせると、小保方氏がデータの捏造を働いたと断言しているに等しい発言です。
 
 また、「発表された論文で僕が手伝った部分はキメラマウス写真くらいで」と述べていますから、一連の幹細胞化の研究実験まで、自らはタッチしていないかのようなニュアンスも強く感じられます。
 
 しかし、さすがにそれは無理の多すぎる主張です。
 
 須田記者や日経サイエンスのインタビューでは、小保方氏から「STAP細胞」として渡された、そのままでは培養困難な細胞群を、培養・増殖可能な「STAP幹細胞」に変化させたことを自らの業績とし、STAP細胞から作る場合と、桑実胚、胚盤胞からES細胞を作る場合の差異などについて、いろいろと考察を加えています。
 
「 簡単にできた幹細胞
キメラマウスの作製後、若山氏は、STAP細胞の「幹細胞化」にも取り組んだ。STAP細胞には万能性はあるが、ES細胞やiPS細胞のようにほぼ無限に増える自己増殖能がない。
若山氏によれば、万能性と増殖能を併せ持つ幹細胞は、小保方氏が若山研に来た当初から作りたいといっていたものだったという。
「小保方さんが作っていて、いつまでもできなくて苦しんでいたので、僕がキメラ実験をやるときに残った細胞で作ったら簡単にできた。初めてキメラが生まれたときの細胞でできたんです」と若山氏は語る。使ったのは、ES細胞に適した培地で、これにSTAP細胞を移して培養すると、ES細胞によく似た万能細胞(STAP幹細胞)に変化したのだった。この細胞を使ったキメラマウスも生まれ、ES細胞と同等の万能性を持つことが確かめられた。」(『捏造の科学者』P107
 
「─STAP細胞はどんな細胞だったか
細胞が塊を作っていて,全体のサイズも細胞のサイズも桑実胚に似ていた。増殖して塊になったのではなく,バラバラだったものが集まってできたもの。そのままでは弱く,桑実胚と違ってすぐに死んでしまう。
STAP細胞は実は桑実胚だったのではないか。それなら胎盤も光るのでは
桑実胚ならば光る。だが小保方さんが(マウスから)桑実胚を取り出すことはなかったと思う。それに桑実胚ではSTAP細胞からSTAP幹細胞を作った時の変化を説明できない。
─詳しく教えて欲しい
STAP細胞からSTAP幹細胞への樹立は35日でできる。一方,(桑実胚よりも発生が進んだ)胚盤胞からES細胞を作るのでさえ1 2週間必要だ。桑実胚の混入では(これほど短期間でSTAP幹細胞になることが)説明できない。
STAP細胞からSTAP幹細胞に変わるのはそんなに速いのか
STAP幹細胞は増殖の速さからみて,1日目で増殖を始めている。樹立成績も,胚盤胞からES細胞を作るのは50%程度だが,STAP細胞からSTAP幹細胞は80100%と非常に高い。実験当時もこのことは頭にあったが,STAP細胞というのは本当にすごい細胞だと思っていた。
STAP幹細胞はどういう細胞か
外見も,増えるところもES細胞によく似ている。キメラマウス作りもSTAP細胞は独自の工夫が必要だが,STAP幹細胞ならES細胞と同じ通常の手順でできる。胎児にしかならず,胎盤にはならない点もES細胞と同じだ。
─もしSTAP細胞にES細胞が混入していたとしたら説明がつくのでは
ES細胞が浮遊培養によってSTAP細胞のような塊を形成するのであれば説明はつくかもしれないが,確認しない限りわからない。」(日経サイエンス20146月号)
 
 また、FI幹細胞の作成についても、若山氏が実験を行っていることは、桂調査委報告書からもわかります。
 
「若山氏と小保方氏への書面調査により、FI幹細胞CTS1は、若山氏が渡したCAG-GFPを有する129X1B6Nを掛け合わせて誕生したF1マウスを材料に小保方氏が作製したSTAP細胞から、若山氏が2012年5月に樹立したもの(521日に作製開始してより528日樹立完了)であることが判明した。また若山氏の実験ノートから、上記のあと(201279日)にも若山氏がFI幹細胞株を作製していることも判明した。このときは使用したマウスの記載がなく、遺伝的背景は不明であった。ただし、若山氏の聞き取り調査から、CAG-GFPを有する129B6F1マウス以外(論文記載のOct4-GFPの挿入を持つマウスを含む)からFI幹細胞を樹立した記憶はないことが明らかになった。(桂調査委p25
 
 こういった一連の材料がある中で、「発表された論文で僕が手伝った部分はキメラマウス写真くらいで」と述べて、STAP幹細胞やFI幹細胞の研究実験まで含めて、自分の関与度合いが極めて薄いかのように語るのは、事実とは明らかに異なるものでしょう。
 どうも、あの6月の会見での若山氏は、極度に緊張していて、発言にかなりの違和感がありました(「第三者機関」を巡る一連の発言や、「ポケットにいれれば」といった発言など)。それが、自らに嫌疑がかかるのを振り払おうとするために生じたものだったのかもしれませんが、幹細胞研究実験への主体的関与まで否定しようとするのは、いくらなんでも無理というものです。
 
 が、しかし、桂調査委員会の不正調査においても、若山氏の「受入れの目的は技術支援であると認識し、実験計画や結果の判断に深入りしない方針で共同研究を進めた」という認識、構図は基本的には維持されました。そして、被調査者であるはずの若山氏が述べる「小保方氏に渡したマウス」を所与の前提とし、保全されていなかった試料を解析して結論を出すという、不正調査としての基本的な体をなしていない調査によって、ES細胞混入との結論が出されました。
 桂調査委は、ES細胞混入については、小保方氏による故意によるものとの断定は避けましたが、実質的にそれを強く示唆するものとして受け止められ、「STAP細胞・幹細胞とも小保方氏の研究・実験によるものであり、小保方氏による捏造」との基本的構図の認識がほぼ定着したという流れです(ただ、そうはいっても、桂調査委の報告書の中には、不正認定されたグラフについてではありますが、「(捏造の)背景には、共同研究者によるデータに対する過剰な期待があったことが推察された」「小保方氏が若山氏の過剰な期待に応えようとして捏造を行った面も否定できない」といった、若山氏の主導を伺わせる記述もありました)。
 石川氏による窃盗容疑での告発や、早稲田大による博士号取消がそれを更に補強する形になりました。
 
■ところが、そのような一般における基本的構図の認識を覆すことになったのが、小保方氏の手記『あの日』でした。
 この点は、以前の記事で詳しく述べました。その手記で書かれているのは、若山氏がSTAP細胞から幹細胞株化を若山研挙げて推進する様子でした。若山氏自身も、自ら一からSTAP細胞、幹細胞作製に成功していること、若山研の学生が幹細胞関係の論文をネイチャー姉妹誌に投稿していたこと、幹細胞の特許化を急ぎ、その取り分についてハーバードに対して強硬な主張を行っていたこと、若山研のマウスの管理が怪しかったこと等、ことごとく、世の中に定着しかけていた一般的受け止め方を覆すものでした。
 
 
「2 STAP細胞及びSTAP幹細胞の作製
 
○若山研では、小保方氏が作ったスフィア(STAP)細胞を元にした幹細胞株化を若山研の研究成果として論文投稿と特許化をめざすこととし、研究室員が手分け解析を進めていった様子が描かれている。若山氏は、それに必要となる「胚操作」と呼ばれる実験技術を、小保方氏にだけは教えてくれなかったとのこと(「小保方氏に教えてしまうと、もう必要としてくれなくなって、どこかに行っちゃうかもしれないから」)。(P90~103)
 
○若山研の学生は、スフィア幹細胞株関係の論文を、若山氏と相談の上、ネイチャーの姉妹誌に投稿したが、騒動になった後、静かに取り下げたとのこと(P96、P211)。
 
STAP細胞の作り方は、若山研のほぼ全員に教えており、ES細胞様に増殖するラボのメンバーもいた。若山氏自身、単独でSTAP細胞からSTAP幹細胞作成まで成功していることを、ネイチャーのインタビュー記事で述べている(P209~210)。
 
○若山氏は20128月以降、特許申請を急ぎ、理研特許室への若山氏のメールには、「若山研のラボメンバーは、スフィアの作製も細胞株化もまあまあできる」「いつでも再現できる」「iPS細胞よりすごいものを作った」などと記されていた。(P102~103)
 若山氏は、若山研51%の特許配分を提示したため、それ以降、日米の著者間で不穏な空気が流れ、小保方氏が板挟みで苦しんだ(P107)。
 
○若山氏は、独立してSTAP細胞からSTAP幹細胞樹立まで成功したときに、小保方氏はついていなかった。テラト―マ実験も、若山氏の指揮の元で行われた(P116、P210)。
 
○若山氏は、実験を行う時にコントロール実験を行わなかった。誰もそれをしてほしいとはいえなかった(P105)。
 
○正しく行われたなら、生まれてくる子供たちはすべてGFP陽性で光るはずだったが、実際には、半分しかGFPの発現がなかった。若山氏は「僕のマウスのコロニーがおかしいみたい」と言った。若山氏は、どの系統のマウスを実際に交配し、どの赤ちゃんマウスを渡していたかの記録をつけていなかった(P106)。
 
20136月頃、山梨大の若山氏から、培地を送った後の連絡では、Oct4をとてもよく発現するSTAP細胞はできるが、まだ幹細胞株化には至っていないこと、中国人留学生の元研究員も中国で、STAP細胞の実験がうまくいっているとの連絡がきているとのことだった(P122~123)
 
5 理研と若山氏の関係、若山氏の証言の不審
 
○出勤再開後、川合理事に、情報管理する若山氏との圧倒的な情報量の差を訴えたところ、「理研上層部としても、若山氏が自分に有利な情報しか出してこないことに気がついている。途中までは若山さんのことを信じていたみたいで、調査報告書などの情報が渡っていたようだ。でもこんなやり方は正義じゃないと感じている」(P227~228)
 
STAP幹細胞が増えて行く増殖曲線の図表について、若山氏は、「細胞の数の数え方をしらないので、小保方さんに任せていて、自分は途中経過をしらないうちに作製されたデータである」と証言したとのこと。細胞培養を日常的に行っている人が細胞の数え方を知らないなどは通常ありえない。(P229)
 
STAP細胞がES細胞なら、STAP細胞塊をバラバラに注入している方法で成功していたはずである。STAP幹細胞がES細胞だというなら、若山氏が観察した、増殖能が低いSTAP細胞から無限増殖する幹細胞への変化が起こるはずがない。(P207~208)
 
○これらの実験で使われたES細胞は、アクロシンGFPという特殊なマウスから作製されたものだったと発表されたが、このマウスには「光る精子」を持つ特徴があるとのこと。若山氏は、キメラマウスのジャームライントランスミッションの実験の際、「光る精子」を自身で採集して実験していたにもかかわらず、6月の会見では、小保方氏がマウスや細胞を持ちこんだかのような推論を社会に植え付けた。
 STAP幹細胞が若山研にいたマウス由来で、それがアクロシンGFPマウスであることがわかった事を教えてくれた人に、若山氏の「光る精子」の実験をしており、そのときの写真も残っていることを告げると、「確信犯」という言葉が返ってきた。(P208~209)
 
STAP細胞が、胎児にも胎盤にも寄与することを発見したのは若山氏。20142月のネイチャーインタビューで、自ら発見したことを証言し、「細胞が別のものに置きかわったことはありえず、実験結果は絶対に真実だ」と証言。にもかわからず、4ヶ月後の6月の会見では、「胎盤への寄与は誰が見つけたのか?」と聞かれ、「忘れた」と回答している。
 
 小保方氏が手記において、 
 
「「若山先生が20146月に聞いた会見で、「小保方さんが実験しているところを見ていない」「責任著者から外してほしいと頼んだこともある」「責任を押し付けられそうで怖かった」という、ご自身の研究への関与が低いことを印象づける趣旨の発言をされたと知人から聞かされた時は、押し寄せる絶望的な孤独感が心の一部をえぐり取っていくようだつた。」(p210211
 
 と語るように、幹細胞研究まで含めて、若山氏の関与が低いことを強く印象付ける諸々の発言の信憑性がにわかに怪しく思われてきて、現在に至っているという流れです。
 
 これも前に書きましたが、小保方氏の手記の信憑性を高めているのは、それぞれの指摘が具体的な物的材料によって裏付けが可能であることです。
 
 ・学生がネイチャー姉妹誌に投稿した幹細胞関連論文
 ・理研特許室に「若山研メンバーはいつでも再現できる。すごいものを作
  った」等を伝えて特許化を急がせた際のメールのやりとり
幹細胞化の特許化を、若山氏51%の取り分でハーバード大側と交渉させた際
 の一連の記録(若山氏、理研特許室、小保方氏、ハーバードのメール等)
 ・20142月のネイチャーインタビュー
 
 等々、これらの材料は、理研なり山梨大で保管されているはずですし、インタビュ記事はもちろん誰でもみることができます。
 
 小保方氏は、自己点検委や桂調査委員会が報告をまとめるに際して、その内容が自らの認識と異なることに驚き、反論の機会の付与や若山研での研究実態の証拠提出を要請しましたが、それは封殺されたと手記には書かれています。
 
 いずれにしても、若山氏は、STAP細胞とその幹細胞化研究には、若山研挙げて精力を傾けていたということが実態だったのであり、自己点検委が描いたような「受入れの目的は技術支援であると認識していた。そのため、実験計画や結果の判断に深入りしない方針で共同研究を進めた」などという構図はほとんど虚構だったことが、客観材料で裏付けられることとなったということです。
 
 
このような流れの中で、木星さんの記事の「若山氏の血液を使って実験していた事が判明」を見れば、それは、若山氏・若山研が、STAP細胞から幹細胞化する研究に打ち込んでいたことを強く示唆する材料が、小保方氏の提示した材料に加えて、新たに判明したということかと思います。
 ヒト細胞によるSTAP細胞化の研究自体は、マウスの場合のようにキメラマウス化の実験を経ずに済むということで、Muse細胞のやり方を念頭において、(マウスを使ったSTAP細胞研究とは別途)小保方氏自身も指向していた話ですし、倫理委員会において承認されているものですから、倫理面でどうこうという問題はないと思われます。
しかし、そこで使われた細胞が、若山氏の血液細胞だったという点が、若山氏の積極的関与を強く示唆すると思われます。
 
STAP細胞論文の実験で、この若山氏の血液細胞が使われたということではもちろんありませんし、倫理面での問題があるわけでもありませんが(ただし、若山氏が事後承認で足りるとしていたかどうかは別途の問題としてありますが)、若山氏の側面支援的役割に留まるとの主張とは裏腹に、STAP細胞、幹細胞研究に深く関与していたことを伺わせる材料がまた一つ加わったということかと思われます。
  
 よりインパクトがあるのは、若山氏が20128月以降、特許申請を急ぎ、理研特許室へ、「若山研のラボメンバーは、スフィアの作製も細胞株化もまあまあできる」「いつでも再現できる」「iPS細胞よりすごいものを作った」などと書いて送ったメールや、若山氏が、若山研51%の特許配分を提示して、日米の著者間で不穏な空気が流れたという交渉記録の現物でしょう。
 前者はおそらく情報公開請求で取れるのではないかと思います。後者の交渉記録は、相手のあることなので、黒塗りだらけになるでしょうが、取れないことはないと思います。