理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

STAP検証実験の正当性にも関わる、小保方氏HPの画像等の実験上の扱い


 小保方氏参加の検証実験のデータの記録、開示範囲の問題について、もう少し考えてみました。これは、検証実験結果の正当性にも関わる重大な問題だからでです。

 まず、以下の4点を整合させるためには、どう考えればいいのか、ということなのですが、
 
 ① 理研が、三木弁護士ら弁護団からの照会に対して答えた回答内容
  ・「公式にデータの公表・保管を始めたのは、検証実験後半からである。」
  ・「それ以前の実験は、公式に管轄していないので、情報公開請求に対しては、『不存在により不開示。残っているデータの中には、該当するものはない』と回答せざるを得ない。」

 ② 木星さんが、理研に照会した結果
  「(2014年)7月1日から始まった再現実験では、「予備実験」、「ならし実験」でリハビリのようなもの。9月16日からが、正式な再現実験となっており、それから公式の記録扱いとなったようです。」

 ③8月27日の中間報告での相澤氏の説明内容 
  「小保方氏はまだ準備実験の段階であり、その内容は報告できない」

 ④相澤リーダーが、小保方氏参加による検証実験結果の報告論文での説明
「報告では、監視なしの予備実験のデータと、立会人ありの正式な実験のデータの双方を包含している」


 これらは、理研として、公式に対外的に説明したものですから、これらの各説明に齟齬があってはいけません。

 ④の相澤氏の報告論文で、「監視なしの予備実験」( preliminary ones conductedwithout supervision) とか「正式な実験」( formal ones conducted in  the presence of expert witnessesという説明によって、公式記録公表保管日の9月16日以前のデ
ータも包含しているのだろう、と考えたのですが、上記③の中間報告時の発言も
も考え合わせれば、整合的に考えるとすれば、こういうことではないかと思われます。

(1)小保方氏参加による検証実験としての公式データは、9月16日以降のものを採用し、それを12月19日の最終結果発表の際にも用い、相澤氏の結果報告論文で用いた。
(2)公式データとしては、2つの種類がある。
  ・一つは、監視なしの予備実験のデータ
  ・もう一つは、立会人ありの正式実験のデータ
(3)検証実験前半(9月15日以前)の実験データは、公式データではないので、公式に保管・公表はしていない。
(4)したがって、情報公開対象は、検証実験後半の9月16日以降の公式のデータのみである。


■ この理研のスタンスについては、幾つかの大きな問題があります。

 第一は、9月16日以降のものを公式データとして、検証実験報告の対象としたことについて説明は一度もしていなかったことと、9月16日以降のみを公式データとすることについて整合的理由がないこと。
 小保方氏の手記では、小保方氏の作製した酸処理による細胞塊の遺伝子解析初めて行われたのが、8月に入ってから、笹井氏がなくなる8月5日以前(三木弁護士の説明にいう「8月上旬」)です(「5つの細胞塊のうち3つについて未分化状態を示す多能性遺伝子の発現があった」)。
 この時点で、検証チームとして遺伝子解析を始めたのですから、ここから公式データに含めるのが筋だと思われます(星印を付けたりなど、解析結果のスタイルも「公式のもの」と同じです)。相澤氏の論文での説明によれば、「監視なしの予備実験」のデータも包含すると言っているわけですから、この8月上旬の実験データも包含して然るべきでしょう。
 小保方氏は、手記でそのように主張していますが(p220)、客観的に考えて、それは妥当な主張だと思います。

 第二は、先般来述べている理研の情報公開対象の捉え方が誤っているということ。
 情報公開請求があった場合に、原則として公開しなくてはならず、不開示とできるの対象は、きちんと決まっています。

 上記の不開示情報の種類をみれば、公式、非公式かは関係がないことは明らかですし、実際、行政庁や独立行政法人ではそのように運用されていきています。
上記の総務省の解説でも、

決裁、供覧等手続を終了したものに限らず、職員が組織的に用いるものとして行政機関又は独立行政法人等が保有する文書、図画及び電磁的記録(フロッピーディスク、録音テープ、磁気ディスク等に記録された電子情報)が開示請求の対象となります。」

 とされており、公式文書等に限らないとの考え方が明らかにされています。
 つまり、仮に、9月16日以降のデータのみを「公式データ」として、検証実験報告の対象としたとしても、それとは関係なく、情報公開の世界では、それに限らず公開しなければならないということです(非公式データを開示することによって、知財権等「法人の正当な利益を損なう」とか「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある」と考えて不開示とするのであれば、その理由で不開示にしなければなりません。)。
 検証チームとして遺伝子解析を行ったのですから、「職務上作成・取得」+「組織的に用いるものとして保有」という行政文書(法人文書)の要件を満たしています。ですから、これを情報公開対象としない=「不存在」と回答するということは、解釈・運用の基本的誤りということです(それ以外の不開示理由にも該当するとは考えられません)。
 
※ これらの点について、コメント欄でいろいろなご指摘があるようですが、理研に再確認しないままに、(理研に明示的に確認した)三木弁護士ら弁護団が虚偽を働いているかのように述べたてるのは、おかしな話です。照会したのは、三木弁護士単独ではなく、「弁護団として」としてですから、一層重みがあります。
 弁護団理研に照会したのは、小保方氏の検証実験において得られたデータの情報公開上の扱いであり、「法人文書」の解釈運用についてであることは、Facebookでの説明を読めばよくわかります。
 そして、その回答内容を、更に木星氏が、「広報のプリンス宮島氏」という照会相手まで挙げて、三木弁護士の説明と同様の回答を得ています。

 したがって、これがおかしいというのであれば、理研の広報や情報公開窓口に再照会し、自らのこれまでの理解とのギャップについて質す、というのが初動対応だと思いますが、なぜかそれはしようとしないまま、「三木弁護士は虚偽を述べている」と言い続けているのですから、不思議としか言いようがありません。
 三木弁護士や木星氏の照会結果と明示的に矛盾する理研の説明内容を示す材料があれば、それを示せばいいと思うのですが、請求者がネットにアップしているFAXがどうこうという話ばかりで、今に至るも何も出てきません。

 コメント欄で書かれていることは、「「正直に俺の言う通りの範囲と考え方で答えろ」と迫って、「はい、わかりました」と言って回答してきたのだから、俺が言った通りの範囲と考え方で回答してきたに違いない」と言っているようなものでしょう。何度も申し上げているとおり、理研の情報公開窓口は、ひたすら、自らが解釈する「法人文書」の範囲でしか回答してきませんから、三木弁護士のように、

  「検証実験において、開示対象の法人文書となるのは、どの範囲なのか?」

と明示的に照会した上で理解しないと、回答内容の解釈を今回のように大きく誤ってしまいます。「ミスリード」というにはあまりにも重大です。
 理研からすれば、「公開請求者が、勝手に思い込んで、勝手に(小保方氏のHPの画像・データは理研に存在しないと)言いふらしているが、理研の知ったことじゃない」ということでしょう。その「思い込み」は、理研にとっても利害が一致するので、自らは積極的には補足説明をしようとしないということでしょう。
 情報公開請求者やそれを鵜のみにした人々が、ノフラー教授のサイトに自らの思い込みで通報して、同教授がそれもあって、「小保方氏のHPの画像等の出所が疑わしい」と書いて世界に広めているのですから、極めて問題です。そういうことをするのであれば、きちんと矛盾する話を、理研に再確認するのが責任というものでしょう。
 そういう基本的対応をしないのは、「三木弁護士の説明や木星氏の確認の通りだったらどうしよう・・・知るのが怖い」と思っていると取られても仕方がないと思います。弁護団の照会結果通りだったとしたら、小保方氏のHPのデータを全面否定してきた人々には何とも都合が悪い話でしょう。三木弁護士が、あのデータが物理的に理研に存在するように言うのはおかしいと述べる向きもあるようですから、それもまとめて再確認されればいいと思います。
 より正確に確認しようとするのであれば、先日書いた質問書案の通りにされるのが適切だと思います(「行政文書」とあるのは、「法人文書」に置き換え)。


 第三の問題は、もっとも重大な点で、検証実験結果の正当性が揺らぎかねないということです。
 これまでの各ブログなどでの議論では、検証実験結果について、

「・・・しかし、赤色蛍光が低く緑色蛍光の高い細胞塊も存在し、定量 PCR により GFP 発現の確認される STAP 様細胞塊も存在した。ただし、このような STAP 様細胞塊での多能性細胞特異的分子マーカーの遺伝子発現との相関は低かった。
 以上を要約すると、緑色蛍光陽性細胞の出現が十分には得られなかった状況下において、再現性をもって GFP 陽性を自家蛍光と区別し、多能性細胞特異的分子マーカーの発現と対応づけることは出来なかった。

 といった記述を巡って、アンチ派は、「自家蛍光と区別して、多能性マーカーの発現と相関性のある緑色発光はなかった」と言い、擁護派は、「少ないながらも、自家蛍光と区別できる緑色発光の細胞塊はあったということだ」と述べる応酬?になっています。

 しかし、そこに、あの小保方氏のHPにあるデータが公式データとして加われば、また議論はかなり違ってくることでしょう。
 もともと、検証実験の正当性には、相澤リーダー自らが「こういうやり方は科学としてあってはならない」とあえて発言し、報告論文でも多くの制約について言及しているように、相当の疑義があります。不正調査に関連して、このような再現実験のやり方は、例をみないものですし、若山氏らが強調していたように、実験室はもちろん、試薬、シャーレのメーカー、洗浄回数等異なるだけでも再現できない場合が少なくないのが分子生物学の世界だという「常識」にも反するものでした。

 そういう基本的疑義に加えて、公式データとして含まれるべきデータが、意図的に排除され、そのこと及び理由が対外的に何らの説明もされなかったということになると、更に疑義は大きなものになります。

 ここからはあくまで想像ですが、笹井氏の死去を契機に、検証実験の手仕舞いの動きが強くなってきたのではないかと思います。小保方氏の手記のp223では、CDBのPIミーティングで、林氏が、「これを機に検証実験も中止にしたほうがいい」と述べたとあります。また、相澤氏と事務方幹部が訪ねてきて、「まだ続ける気があるのか?」と聞かれたとあります(相澤氏の質問は、小保方氏を慮ってでしょうが)。
 林氏の提案には、竹市氏が怒って、続けるべきだと述べたとありますが、中止ができないまでも、早期に手仕舞いさせることを林氏らは考えていたことでしょう。
しかし、そのためには、8月上旬のデータは邪魔だったと思います。

 小保方氏参加による検証実験計画では、11月までにOct4-GFP陽性細胞の出現を実証できない場合には、打ち切るとされていましたが、それが実証されたことになると、検証実験は更に続くことになります。

 しかし、他方で、特定国立研究開発法人法案の提出の件が、CDBを超えて、理研全体に重くのしかかっていたであろうことは、想像に難くありません。そのためには、検証結果確定、不正の有無・原因特定、再発防止を、法案提出時期に間に合わせるように早期に完結させなければなりません。
 そういう理研全体の思惑と、早期に手仕舞いたいPI達の思惑とが一致したため、笹井氏死去の後、かろうじて小保方氏が復帰して以降の時点を、公式記録開始保存日として設定し、8月上旬に記録・解析したデータは検証実験の公式結果からは外した、ということではないだろうか・・・と想像を巡らしています。

 いずれにしても、理研の対応は、終始一貫して不可解であり、不審が多すぎます。

【補足】
 どうも、二言目には、小保方氏のHPのデータについて、小保方氏に説明責任があるかのように言う向きが多いですが、(画像撮影日時を含めた出所を早期に説明しておいた方がよかったとは思いますが)、少なくとも、三木弁護士からの出所の説明と、小保方弁護団から理研への照会結果があのようなものであったことが公開にされた今、説明責任があるのは、理研の方です。さらには、情報公開の解釈・運用についての理解が乏しいままに、自らに都合よく思い込んで、極めてミスリーディングな情報を世界に喧伝したまま放置している人々です。
 

※ 本件は、少々ややこしいかもしれないので、できたら、新聞・雑誌記事風に書いてみようか、と思っています。