理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

培養系の実験での、「微妙な調整が必要でありプロトコル通りでも同じ結果を得られない」という「周知の事実」


 大宅健一郎氏がビジネスジャーナルに掲載した、がん細胞におけるSTAP現象の再現実験を行ったハイデルベルク大に関する記事の中で、培養系の実験の匙加減の微妙さ、難しさについて、「生物学の専門家」の説明が紹介されていました。

 
がん細胞の一種であるJurkatT細胞に対して、小保方氏が行った方法ではうまくいかなかった理由について、ある生物学の専門家は次のように分かりやすく説明してくれた。
 
『細胞の種類によってストレス反応に違いがあることも一因と考えられます。小保方氏はがん細胞以外の細胞を使っていたため、ストレスをかけるpHの違いが出ても不思議ではありません。
 また、培養系の実験では、緩衝材の違いはもちろん、試薬のロット(製造日)差によっても結果が違ってくるというのは周知の事実ですし、シャーレのメーカーによっても結果に違いが出ることがあるほどです。それほど微妙な調整が必要な世界であり、プロトコル(手順)通りにやっても同じ結果が得られないことは普通です。
 ハイデルベルク大学の研究グループは試行錯誤の結果、独自にSTAP現象を確認する方法を見いだされたのではないでしょうか。』」
 
■これは、以前にもご紹介した若山氏の説明とほぼ同じ趣旨です。若山氏は、20144月号(310日発売)の文藝春秋誌で、次のように語っています(まだ310日に撤回を言い出す前で、小保方氏を擁護していた226日時点でのインタビュー記事です)。
 
◎【参考】小保方氏の実験の難しさを伝える若山氏のかつての文春インタビュー記事
 
「STAP細胞は、体細胞を弱酸性の液体に浸して作るので、小学生でもできそうですが、細胞の濃度を揃えるといったことや、洗浄は何回しなければならないといったコツがあります。遺伝子を入れるか入れないかは作業としてはっきりしていますが、コツが含まれる作業というのは、際限なく難しい場合がある。僕も理研から山梨大に引っ越す直前、STAP細胞の作り方を教わってやってみたら成功しましたが、山梨大に移ってからは、まだ成功していません。
コツの習得以外に、どの実験室でやるかによって成功率も変わってきます。昔、ハワイ大学からロックフェラー大学に移ったときも、ハワイ大学で何度も成功していた体細胞クローンマウスの作製に半年間、成功できなかった。自分自身が開発して世界でいちばんのテクニックを持っているにもかかわらず、うまくいかないことがある。
水ひとつとっても、どの会社の水でなければならないとか、すべての試薬について最適なものを使わないと、再現できない場合があるんです。
 
笹井氏が記者会見時の配布資料で、STAP細胞の作製の段階ごとの難しさを説明していましたし、

若山氏も上記のように極めて微妙な調整が必要と述べていることからすれば、小保方氏自身であっても、STAP細胞の再現は難しいところがあるということは容易に理解できます。しかし、「簡単だといい、何回も作ったと言っているくせにできなかったじゃないか」というステレオタイプ的批判をする人々が依然として多数いるようですので、第三者の識者が、この世界での「周知の事実」の解説をしているという点で興味深かったため、備忘的に掲載しておこうと思います。

こういう培養系実験での「周知の事実」があり、若山氏も微妙な調整の必要性を指摘しているにもかかわらず、鉛のように重たく感じられるエプロンを着せられ、皿、試薬その他実験環境の「微妙な調整」に配慮もなされないままに行われたのが、小保方氏の再現実験だったということです。
相澤氏が会見の最後で、「こういうことは科学のやり方ではない」と敢えて発言し、小保方氏に謝罪したのも、そういう「周知の事実」を理解していたからでしょう。