「死細胞の自家蛍光は1~3時間程度であって、丸一日は持たない」という初歩的なことを説明しようとしない異様さ
というものがありました。
その中で、次のように記載されています。
「自家蛍光とは細胞が死ぬ時に光を発する事を言う。
理研の広報室に自家蛍光の特徴を聞くと「死滅発光はだいたい一時間から三時間くらい。」との事で、Twitterに現れた別の科学者は「丸一日光っている事はない」と断言していたので、ストレスをかけると7日後くらいで大きく出現するSTAP細胞塊はそもそも自家蛍光ではなく、それは故笹井博士が公表した自家蛍光を否定する材料とした「資料」にも提示されている。
ネイチャーに掲載された、ストレス刺激を受けてから三日目ほどで多能性を持つと緑色に光る事が確認出来る動画。これは人為的な操作、つまりSTAP細胞の生成動画を人間が偽造する事は出来ない、と笹井博士は説明している。」
言われてみれば、死んだ細胞が7日も8日も光り続けるはずもなく、あるいは、数日経ってから光り始めるわけもないわけで、なんでこんな簡単なことがもっと強調して指摘されなかったのだろう?と、自らの迂闊さを恥じるとともに、少々不思議に感じます。
これまでの議論では、死細胞かどうか?ということについては、FACSで確認したとか、赤色フィルターだけでなく蛍光波長を測定する方法でも確認すべきだったとかいった話が中心でした。NHKの昨年3月の問題のニュースも、この確認方法をめぐるものでした。
により強い警告を
笹井氏の会見時配布の資料でも、
P3で、「【第2ステップ】2日−3日目ごろ 大半の細胞が破綻して細胞死を起こす」
とありますので、これを組み合わせれば、「死細胞の自家蛍光が見られるのは、2~3日程度だ」ということは何となくわかります。
しかし、正面から、
「「死細胞の自家発光は1~3時間」であり、「丸一日光っていることはあり得ない」。細胞は2~3日でほぼ死んでしまう。したがって、4~5日経っても光っているもの、あるいは数日経ってから光り始めるものは、死細胞ではありえない」
という単純な主張の仕方をしていないので、その点が曖昧になってしまっていた感があります。
これが「ES細胞で説明できない」という観点からは、指摘はなされていました。笹井氏の説明資料では、おそらく当たり前過ぎたので書いていなかったのでしょうが、STAP否定の科学評論家の竹内薫氏も、「ES細胞だったら万能性があるのだから最初から光っているはずだが・・・」と疑問を隠しませんでした。
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「個人的に99.9%、STAP細胞の正体はES細胞(にTS細胞をまぜたもの)だと納得した。だが、それでも疑問は残る。たとえば、笹井芳樹副センター長らは、目の前で弱酸性溶液に浸された細胞が、時間がたってから光り始めることを確認している(「動画」に記録されている)。多能性があると光る仕掛けなのだから、ES細胞だったら最初から光っているはずだ(ES細胞は最初から多能性を持っている)。光り始めるまで時間がかかったということは、弱酸性の溶液に浸したために多能性を獲得した、と考えるのが理にかなっている。うーん、時間を遅らせるトリックでもあるのか・・・。」
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この理屈は、死細胞の自家蛍光の場合で同様に言えるわけで、「死細胞だったら1~3時間で自家蛍光はなくなるし、2~3日でほとんど死んでしまうのだから、それ以上光っていたり、数日後に光り始めるのは死細胞ではないはずだが・・・・」と普通は考えるはずです。それなのに、そのことは誰も説明しようとしない・・・。
そして、あれはES細胞だといったり、死細胞だといったりで、STAP細胞否定の論者には、さまざまな事象を統一的に説明しようという科学的態度が全く見受けられません。その場その場の、場当たり的な抗弁ばかりだと感じます。
ネイチャー誌にSTAP細胞否定の論文2編が掲載された際に、ハーバード大のチームは、「光る細胞はあったものの、ほとんどは死ぬ間際に光る「自家蛍光」という現象によるものだった。死なずに光っているわずかな細胞を調べても、万能性を証明できるような結果は得られなかった。」とコメントしたそうですが、では、ライブイメージング画像で観察される画像をどう説明するのか?という点には触れようとしません。
自分たちができなかったからといって、それが否定の決定的論拠になるわけではなく、検証実験チームの丹羽氏並みの結果も全く出せず(つまり手技が下手な証左?)、ライブイメージング画像の説明もしようとせずに、あれは死細胞の発光だと決め付けるなど、どうやったらそんな断言ができるのか理解できません。
だいたい、理研の桂調査委にしても、遺伝子解析だけで判定できると考えるほうがどうかしています。
笹井氏は、説明資料で
「ライブ・セル・イメージング(顕微鏡ムービー)
10以上の視野を同時に観察できる
自動的に撮影し、人為的なデータ操作は実質上不可能 」
と書いています。ES細胞混入論者は、これを否定するのか肯定するのか、まずそれに答えよ、ということです。否定するならば、その理由を述べよということになり、これを撮影し解析したであろう共著者の電子顕微鏡解析室長の米村室長が不正を働いたのか? 初歩的な誤認をしたというのか? ということにもなってきます。
ライブイメージング画像を肯定するならば、「では、数日後から発光し始める現象は、ES細胞でも死細胞でも説明できないと思われるが、見解如何?」という質問に理路整然と答えなければなりません。
桂調査委は、その点を突かれると破綻してしまうため、笹井氏、丹羽氏の説明は調査対象外だと言って逃げてしまいました。
しかし、ライブイメージング画像は論文に含まれるのですから、当然調査対象となるはずです。
だいたい、米村室長が「電子顕微鏡解析」の担当室長なのですから、同氏があの画像をどう評価しているのか?ということがもっと前面に出てきてもいいはずです。しかし、マスコミは誰も取材しようとしません。米村室長に聞いてみたいものです。
「あなたは、STAP細胞はES細胞だったという結論を支持できますか? 支持するならば、あなたが撮影し解析されたライブイメージング画像で観察される事象と矛盾すると思いますが、どうお考えですか?」
いずれにしても、「死細胞の自家蛍光は、1~3時間程度であって、丸一日は持たない」というごくごく初歩的なことを、積極的に説明しようとせず、ましてやライブイメージング画像の事象と、死細胞、ES細胞だとの判断との関係も全く無視して説明しようとしない、という非科学的態度は、一般国民に対する背信行為だと言ってもいいでしょう。
こういう初歩的な話も隠蔽し、沈黙させてしまう不可解極まる状況をみると、「STAP細胞があってもらっては困るので、何としても潰す!」という強烈なバイアスが働いているとしか考えられない・・・ということがほぼ確信に変わりつつあります。
「STAP細胞がES細胞だったことは科学的に決着している」など、バカも休み休みに言え、ということでしょう。
科学の話なのですから、できる限り虚心坦懐にニュートラルな目で見よう、とは思ってきたのですが、そういう目で見ても、一連の経過は異様過ぎます。