理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

【小括】STAP細胞事件での各関係者・組織の言動の不可解さ、不当さの一覧


 STAP細胞事件での各関係者・組織の言動の不可解さ、不当さについて、いろいろと記事で書いてきましたが、それらを箇条書きにした一覧にまとめてみました。
 こうやって一覧にしてみてみると、改めてSTAP細胞事件の不可解さを強く感じさせます。不当かつ不公正、非科学的であり、STAP細胞はあってもらっては困る」「存在するべきではない」「小保方氏と笹井氏の放逐」というコンセンサス?があるのだろうとでも考えないと説明がつかないとの印象を強く持ちます。
 
 
分子生物学会、学者】
●ネイチャー論文発表の僅か一週間後に、連名で「小保方氏は悪質な不正をする人だから要注意」との警告メールを竹市センター長に送付した。
文科省ガイドライン、不正調査規程を無視して、検証実験、再現実験を阻止する理事長声明を出し、関係理事によるその支持表明も行われた。
319日付けの学術会議声明では、STAP細胞の有無についても調査・解明が必要としている。
大隅理事長は、個人ブログで、非科学的に笹井氏の説明を否定しES細胞説に誘導しようとした(「ES細胞でも切り方次第で断面を小さく見せることは可能」「ESとTSは接着可能」/匿名ブログの「ESの浮遊細胞の可能性あり」「アグルチニンを入れれば一時的にひっつかせるのは可能」との指摘を援用)。
●中山副理事長は、文科省ガイドライン、不正調査規程の存在を知らないと広言しつつ、4月段階でSTAP細胞は捏造だと断定的に語り、シェーン事件に匹敵すると主張した。
NHKスペシャルに協力して、画像の7割に何らかの疑念ありとして、捏造の印象を拡散させた。
ES細胞では説明できないとする笹井氏、丹羽氏、かつての若山氏の指摘に対する科学的反論も行わず、簡単であるはずのES細胞による再現実験結果も示そうとしない。
●笹井氏によるiPs細胞と比較した会見配布ペーパーを、物理的に回収を求め、実行させた。
 
【石井調査委】
●再現実験とセットで行うことを前提とした文科省ガイドライン理研不正調査規程に則らないイレギュラーな「不正調査」を行った。
●「改竄」「捏造」の定義を当初明らかにせず、事後に本来の定義からかけ離れた極めて強引な不正認定をした。
●石井委員長は、線を引けば何の問題もなかったと言っていたのに、改竄認定をした。
 
【自己点検委員会】

●不正調査の結論も出ていない3月中旬の段階で、STAP細胞自体の捏造・改竄を暗黙の前提とした委員会発足を決めていた。
●直接の当事者である小保方氏、笹井氏から一切聴取をせず、若山氏の話だけでまとめた。小保方氏からの(若山研での研究実態に関する)証拠提出を認めなかった。
●調べればすぐわかるはずの若山氏の幹細胞研究における主導的役割を、支援的役割に留まるとの若山氏の主張だけに基づき構図を描くとともに、論文の仕上げの手伝いをしただけの笹井氏の係わりを過大に描き、その責任を追及した。
●本来、不正調査対象であるはずの若山氏には、点検委資料を渡した。若山氏は、それを保有することが問題であることを認識しており、論文撤回の説得材料に使った。
●「遠藤氏の解析によって、STAP細胞がES細胞であるとすることは無理がある」との委託した外部有識者の評価書の存在を隠したまま、提言をまとめた。
●本来問題とはならないのに、秘密主義、小保方氏採用手続、情報共有の不足を誇大に問題化した。更にそれを組織・ガバナンス上の問題にまで飛躍・拡大させた(=何か問題化しないと済まない構図)。
理研の運営実績、環境の素晴らしさを高く評価しながら、かえって責任の所在が曖昧になるような組織、運営の「改革」を提言し、運営・人事も含めて中堅、外部有力者らの意向が反映されるようにしようとした。
●公表前に毎日新聞に自らアプローチしてリークし、問題とした部分を大々的に報じさせた。
●鍋島委員長は、NHKスペシャルで「笹井氏はこの一件ですべてを失った」という発言を行い、STAP細胞の捏造イメージと笹井氏の関わりの大きさなど、誇大に印象づけた。
 
【改革委】

●検証実験もこれからであり、不正調査を進めるべきと提言したはずだったにも拘わらず、最後になって遠藤氏、若山氏の主張を根拠にして、「前代未聞の不正」「世界三大不正」と断ずるという支離滅裂な提言を行った。
●笹井氏のSTAP細胞は依然として有力仮説だとの根拠を挙げての説明自体を、難病患者に期待を抱かしめたとして、全く根拠なく批判した(=科学的探求を封殺しようとした)。
●若山氏は本来、不正調査対象であるとの視点が全く欠如していた。
●第三者の評価を経ていない遠藤氏と若山氏の解析を根拠として「前代未聞の不正」と言及したが、遠藤氏の解析は5月時点で「ES細胞だとの根拠とするのは困難である」との評価書が実はあり、若山氏の「第三者機関」での解析は間違いだったことが判明したことにより、不正だとする根拠が失われるなど、大きな瑕疵があるが,その点についての釈明を一切しなかった。
●遠藤、若山両氏を「勇気ある者」として提言中で賞賛し、遠藤氏のことを「信頼できる方」と会見で述べ、善玉悪玉的思考を持ち込んだ。
●実はCDBの倫理教育は進んでいたことを認識していたが、あたかも遅れているかのように問題視し、CDB解体提言の理由の一つにした。後日、解体提言は、怒れるマスコミを鎮めるためだったと、ネイチャー誌に述べた。
CDBの責任者である竹市センター長や川合理事らからヒアリングを一切しなかった(初めからそのつもりがなかったとネイチャーに述べた)。これまでのCDB全体の実績に対する評価をせず、ヒアリングも一切行わず、個別の問題を組織・運営全体の問題に拡大し(関係ない研究者に連帯責任を負わせるに等しいことをし)、「CDB解体」提言を行い、多大な損失を与えた。
●海外から、提言内容、CDBに与えた影響について批判を招いた。
 

2014319日の第一回会長談話では、「不正認定には至らなかった不適切な問題」を以て、「極めて深刻な問題」と過大な問題視をし、「幹部職員が共著者に加わっている」ことを以て、組織ガバナンスの問題として検証を求めた。過去、東大のそれのようにもっと深刻な研究不正事例でこのような声明など出したことはないはずであり、研究不正に至らない不適切な問題だけを以て声明出すなど、通常ではあり得ないダブルスタンダードの対応をした。
725日の幹事会声明では、支離滅裂な改革委提言をそのまま追認し、遠藤氏、若山氏らを、「問題の全容解明を目指し、自浄に向けて活動している研究者がいる」と、改革委提言のコピペ的記述までして賞賛している。善玉悪玉思考の極みだった。
●また、「理研内部での自主的調査などの結果」を以て、「問題は一部の図版の不正な置き換えに止まらず、研究全体が虚構であったのではないかという疑念を禁じ得ない段階に達しています」との根拠のない飛躍した断定を行った(理研内部の公式の自主的調査でそれを根拠づけるものなど、その時点では存在しなかった)。
●「今回の事案とは無関係に日々誠実に研究に取り組んでいる若手・中堅研究者がいることを忘れてはなりません。」と述べながら、世界的に高く評価され地元にも貢献している実績には一顧だにしないままに、CDB解体という、研究者に連帯責任を負わせるかの如き提言を行った改革委を何も諫めなかった。
●「再現実験の帰趨にかかわらず、保存試料を速やかに調査すべき」と声明では述べているにも拘わらず、メインの試料であるはずのキメラマウス、胎盤の切片、テラトーマ等を分析しなかった桂調査委に対して沈黙を守った。


理研幹部、研究者】

●自己点検委、不正調査委の事務局として、公正手続きの観点を全く欠いた、結論ありきの検討・審議を行った。
●高度の守秘義務があるはずの不正調査委、自己点検委の事務局、検討チーム員として、マスコミに安易にリークし、一方的な世論形成を図ろうとした。
NHKには、実験ノート、メール類等、知的財産であり調査上の証拠ともなる材料を提供し、高度な守秘義務違反を犯しただけでなく、知財権を危うくさせた。
●リークしている幹部のGDを特定しているにも拘わらず、そのリークを漫然と注意するだけで真剣に止めようとしなかった。
●若山研が山梨大に移転する際、持ち出し試料の確認と速やかな移転契約書の締結を行わず、STAP論文問題が発生した後、事後的に形だけの契約書を締結し、その後も訂正を続けた。即ち、理研における財産管理は極めて杜撰だった。またそれにより、移転後の若山研に実際何の試料が移されたのかの把握ができない状態となり、桂調査委の調査に際しても、検証試料が真にSTAP細胞実験の成果物だったのかが担保できなくなってしまった。
●小保方研の試料保全は(不十分ながら)した一方で、若山氏の山梨大研究室の試料保全の要請は行わず、同じ被調査者であるはずの若山氏には、調査者側同様に扱い、制限なく一方的な情報を流すのを認めるという極端に異なる不公正な扱いをした。
●小保方氏が、自己点検委に若山研での実態についての陳述要請したものを却下した。
●小保方氏が、桂調査委に対して、若山氏主導での幹細胞研究の実態を示す証拠類を提出しようとしたところ、助言という名の検閲を行い、都合の悪い情報をすべて削除した。
GDが、シーケンサー解析担当著者が再解析をしようとするのを阻止した(自らの抗弁機会を付与しなかった)。若山氏からは、論文のデータに使用された細胞は、次世代シーケンサーによる解析は行わないように指示が出されていた(小保方氏による)。
●小保方氏が保管していた重要なサンプル(STAP細胞からの4Nキメラと呼ばれるホルマリン漬け、テラトーマ実験のサンプル)のいくつかが箱から消えていることを小保方氏から申告されたが、調査をしなかった?(=保全措置が恣意的)。
ハーバード大との共同研究の枠組みとそこから来る制約、保存試料の帰属問題、若山氏の主張も含めた特許出願に至る経過等、理研という組織として説明すべきことを一切説明せず、小保方氏らへの筋違いの責任追及の動きを放置した。
●調査の進行中及び調査結果発表時までは、遠藤氏の解析に対する有識者の評価書の存在、残存試料の帰属関係からくる制約等の一連の重要情報を開示せず、事後にモニタリング委報告書の参考資料の中に目立たないように記載するなど、情報の隠蔽に等しい行為をした。
STAP細胞特許の権利を安易に放棄し、日本の知的財産を失わしめた。
 
【再現実験、検証実験担当者】

●若山氏は、被調査者である以上、(また、キメラマウス作成を以て万能性の証明とするのであれば)若山氏の再現実験への参加、検証実験への協力は義務のはずであるが、多忙だからとの理由により参加しないことを容認するなど、差別的扱いをした。
●小保方氏に、鉛のような重いレントゲン防衣のような服を着せ、監視カメラと監視者をすぐ横に配置し、解析結果によるフィードバックもできないような異常かつ非科学的環境下での再現実験を強いた。検証チームリーダーの相澤氏からも、記者会見で批判された。
●再現実験の際、キメラは、初期胚に注入した細胞が作る組織の割合が低いと、見た目では判断がつかないことがあるので、担当者に「遺伝子解析してSTAP細胞の遺伝子がキメラにいるのかどうか確かめたほうがいい」と提案した。しかし、若山氏と同等のものができないと世間は納得しないとして却下した。
STAP現象の確認の要件として、小保方氏の考えである「Oct4陽性細胞塊の確認」ではなく、「キメラマウスの作製成功」と、手技に大きく左右されるところまでハードルを上げた(若山氏の手技だからこそできたという面を顧慮しなかった)。
●丹羽氏が述べたという「AFP酸処理した細胞塊からESと同等なくらいの多能性遺伝子発言が確認されるようになった」点などについての過小評価?無視? 和モガ氏らによる一連の指摘。
 
【桂不正調査委】

●レター論文が調査対象であるに拘わらず、その責任著者の若山氏について、若山研の試料保全をせず、被調査者扱いもせず、その陳述、主張を所与のものとして扱った。不正調査の大原則を無視する不公正な調査を行った。
●調査の大前提である実験で使われたマウスの系統について、若山氏の主張を所与のものとした上で解析し、結論を導いた。マウスの系統にコンタミ等があれば、前提が崩れるにも拘わらず、その可能性を一切顧慮しなかった。
●若山氏の説明では説明がつかない解析データがあっても、その要因を追及しようとしなかった。
●公式の会見で笹井氏、丹羽氏が指摘した「ES細胞では説明がつかない材料」について、完全に無視した。その理由として、(会見冒頭で、論文そのものだけでなく、科学的調査を行ったと説明したにも拘わらず)「調査は論文だけだから」と矛盾する説明をした。
ES細胞混入説のネックとなる「光る胎盤」について、「光っているものが、図によっては胎盤なのか別の組織なのか、専門家は、疑わしいと言っている人がいる。疑わしいという言い方だが・・・。」という程度の不確かな話を、「卵黄嚢と誤同定した可能性が高い」と断じた。丹羽氏の「自分の目で胎盤組織にインテグレートしていることを確認した」との証言と全く相容れないにも拘わらず、その矛盾の検証も説明もしなかった。
●調査対象試料が何かの基本的説明を回避し、曖昧にした。何が調査可能な(=調査対象となった)試料であり、それらの帰属先はどこなのかを明確にしなかった。誰もが基本的調査対象となると見ていたキメラマウス、テラトーマ、胎盤の切片等を調査対象とせず、その理由の説明もしなかった。
●帰属先が理研(+山梨大)でなく、ハーバード大にあるとされた試料について、ハーバード側への交渉等の結果を明らかにしなかった(=早稲田の調査委との違い)。
●帰属先が明確となり調査対象となった試料について、きちんと保全がなされたものがどうか(=信用性が高いものか)、確認をしなかった。
理研の研究者から上がってきたデータを、「自浄作用によるもの」と評価し、一連のリーク等の動きから想像できるバイアスの可能性を一切顧慮しなかった。解析内容自体が、第三者による客観性を担保できるものではなかった。
●小保方氏の説明を虚心に受け止め、特許出願の経過等を端緒にして調べさせれば、若山氏の受身的・支援的立場との説明が事実と異なることは判明するはずなのに、事務方からの説明、材料を所与のものとして、全体の基本的構図の見立てを誤った。
●改革委提言や学術会議声明では、遠藤氏と若山氏の解析と主張とを「前代未聞の不正」等の根拠としていたにも拘わらず、また、改革委提言によって桂調査委が発足したにも拘わらず、両氏の解析と評価に対して、正面からは何も言及せずうやむやにした。
●「ES細胞の混入」との結論は、遠藤氏らによる「ES細胞の混入ではシャーレに張り付いてしまってわかってしまうので、混入ではなくすり替えである」との指摘とは相容れないにも拘わらず、何も釈明をしないまま無視した。
ES細胞が具体的に、浮遊細胞なのか否か、混入なのかすり替えなのか等のディテールが明確では全くなく、観察された大きさ、形状、性質等が、ES細胞であればどのようにそれらが説明できるのかの説明が皆無だった。
●キメラ成功時に「それまでのように単一細胞ではなく、細胞20-30個ほどの小さな塊をそのまま受精卵に入れることにしたところ成功した」との若山氏の説明に対して、根拠なく、「単一細胞にしてみればES細胞だとわかったはずだ」と述べた。若山氏が手法を変えることが事前にわかっていて、タイミングよく提供することなど物理的に困難なことを想定するなど非現実的。
●小保方氏の指摘するような「STAP細胞がES細胞なら、STAP細胞塊をバラバラに注入している方法で成功していたはずである。STAP幹細胞がES細胞だというなら、若山氏が観察した、増殖能が低いSTAP細胞から無限増殖する幹細胞への変化が起こるはずがない。」との指摘への答えが見出しがたい。
●研究不正とは研究犯罪である以上、通常の犯罪捜査のように、ES細胞が正体であると断じるならば、再現実験が必須であるのに、それを行わなかった。

文科省

●特定国立研究法人法の提出、成立を最優先に考え、STAP細胞問題をその阻害要因としか捉えなかった。
●そのため、自ら定めた不正調査に関する文科省ガイドラインに則った対応をさせないようにし、行政として極めて問題のある指導、誘導をした。
●あり得ない改革委提言に対して、然るべき対応、評価をせず、マスコミ、世間の反応を恐れ、世界の至宝たる理研CDBの機能、組織を著しく毀損し、優秀な研究者たちの職場を失わせた。