理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

【転載】佐藤貴彦著『STAP細胞 残された謎』 目次及び「おわりに」

前回記事をご参照下さい。
 
 佐藤貴彦著『STAP細胞 残された謎』 目次及び「おわりに」を転載させていただきます。
 
◎目次
 
残された謎
 
第一章 論文不正
(一)論文発表までの経緯
(二)疑惑発覚
(三)若山氏の記者会見
 
第二章 NHKスペシャル『調査報告STAP細胞不正の深層』
(一)アクロシンGFP 
(二)実験の終わった後にES細胞を盗んでも意味がない
(三)マウスを間違えた可能性
 
第三章 「自家蛍光」説


第四章 再現実験の失敗


第五章 桂調査委員会の調査報告(その一)
(一)小保方氏がES細胞を手に入れることは可能か
(二)NHKスペシャルとの関連
(三)「光る胎盤」はどうなったのか
(四)ES細胞は全滅する
(五)なぜGLSはオスからメスになったのか
(六)なぜ「手法を変えた」時点で成功したのか
 
第六章 石川智久氏による告発
 
第七章 再び「自家蛍光」
 
第八章 悪意の証明
(一)怪文書
(二)調査体制そのものの欠陥
(三)証拠保全がなされていない
(四)マスコミ・学会による同調圧力
 
第九章 不正の背景
 
第十章 四つの不正
(一)画像の切り貼り
(二)画像の流用
(三)細胞増殖率測定のグラフの握造
(四)メチル化実験
(五)これでは諭文に使えない
(六)見逃された不正
 
第十一章 桂調査委員会の調査報告(その二)
(一)FLS
(二)GLS
(三)AC129
 
第十二章 遠藤高帆氏の論文
(一)解析の方法
(二)トリソミー
(三)TS細胞混入の可能性
(四)混入だけでは説明できない
(五)なぜB6由来のF1幹細胞は見つからなかったか
 
第十三章 TCR再構成
 
第十四章 小保方氏の博士論文
(一)提出した博士論文は草稿だった
(二)実験の実在性について
 
 
◎ おわりに
 
この事件の全体の構図は極めて複雑であり謎が多い。これほど謎の多い事件は日本の歴史全体を通してみても稀なのではないだろうか。
この事件の第一の特徴は、報道の過熱ぶりと事件当事者に対する社会的制裁の苛烈さである。これは論文不正事件であるが、論文不正としては、さほど規模の大きなものではない。
生命科学の世界で論文不正というのはさほど珍しくなく、これより規模の大きい不正は他にいくらでもある。にもかかわらず、これほど世間を騒がせたのは、発見がノーベル賞級だと言われたこと、日本を代表する一流の学者が多く関わっていたこと、事件当事者である小保方氏自身のキャラクター(若い女性)などによるものだと思われる。しかし、それらを考慮したとしても、マスコミや世間(ネット)の狂熱ぶりは異常であった。ひとつの論文不正でその研究組織の解体まで提言きれたのであるから、その異常性がよくわかる。それによって日本を代表する一人の優秀な科学者が自殺に追い込まれた。たった一つの論文不正でこれだけの犠牲が出たというのは、おそらく他に例がないのではないだろうか。 
  
そして第二の特徴は、この事件の背景にある不正の根の深さである。マスコミ・世間の非難の矛先は、ほぼ小保方氏一人に集中し、あたかも魔女狩りの様相を呈した。しかし、事件の生じた背景や、事件全体の構図を考えると、論文不正の責任を全て小保方氏一人に負わせるというのは、いくらなんでも無理がある。この論文不正の背後には、生命科学界全体の不正の体質が見え隠れする。毎年のように論文不正が発覚し、STAP事件で有名になった「画像の切り貼り」や「画像の流用」などの不正もじつは珍しくない。東京大学大阪大学など、二十四の研究機関、四十七人の研究者らによる八十四本もの論文の不正疑惑がネット上で指摘されたりしたが、ほとんどがウヤムヤにされている。こうした学会全体の不正の体質を考えると、STAP論文に関しても、誰がどの程度まで不正に関与していたのか、いまひとつ曖昧にされている感は拭えない。これでは、小保方氏ひとりを犠牲にして、他を全て隠蔽したと言われても仕方がない。


そして第三は、この事件の主役である小保方氏に対する執拗な追及の仕方である。窃盗の容疑を着せ、刑事告訴せよとまでいうマスコミの圧力は、いかに論文不正がけしからぬものとはいえ度を越している。また、根拠不明の怪しげな情報が逐一マスコミにリークされるという状況をみると、背後に激しい悪意の存在が感じられる。組織内部に潜むそうした悪意の存在を考えると、STAPP細胞の検証のやり方そのものに関しても、不審な点が残る。


いずれにしても、これは単なる論文不正事件ではなく、世界でも類をみない異常な事件であったと言えるだろう。
そして最後に、STAP細胞ははたして「あった」のか「なかった」のか。より正確に言えば、小保方氏はSTAP細胞を作製することに成功していたのか、していなかったのか。それが事件の最大の焦点であり、謎ではあるが、そのことは、いまだ謎のままに残されているといってよいと思う。