理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

兵庫県警の聴取に対する関係者の説明の齟齬の解明の先にあるもの―中国人留学生は何と釈明するか?


 小保方氏が、兵庫県警から参考人として聴取を受けた旨、報じられましたが、当初、三木弁護士は、ガセだとして否定しました。その後、やはり聴取を受けていたことが同弁護士が明らかにしました。この否定→肯定に転じた理由については、弁護士ドットコムのサイトに掲載されています。
 
「三木弁護士によると、この参考人聴取では、兵庫県警との間で「マスコミに一切公表しない」という事前の約束があったという。ところが、217日夜からマスコミ各社が「捜査関係者」からの情報として一斉に報じはじめた。三木弁護士は同日夜、弁護士ドットコムニュースの取材に「事実ではない」と完全否定したが、実際は小保方さんの聴取がおこなわれていた。
 なぜ、三木弁護士は「報道は事実ではない」とコメントしたのか。三木弁護士は、弁護士ドットコムニュースの電話取材に対して、こう回答した。
「まさか約束が破られると思っていなかったので、情報の出どころがわからず、いったん報道を否定した。ほかの参考人について情報が出ていない状況であり、しかもマスコミが殺到することは避けたかった。こんなことになるんだったら、事情聴取に協力することはなかった。ひどい話だと思っている」」
 
 その上で、
 
「三木弁護士はさらに、「そもそも、持ちだしたとされるES細胞が入ったサンプルボックスは、若山(照彦)氏が山梨大に移る際に、同氏から移動させるよう指示されて、理研の小保方研で引き継いだものだ」と説明した。
そのうえで、(1理研の調査委員会が混入した可能性があるとしたES細胞と、持ちだされたとされるES細胞は別のものだった(2)持ちだされたとされるES細胞は小保方氏の研究とまったく関係がなかった(3)持ち出されたとされる時期には、STAP細胞の研究の大半は終わっていたと強調し、「小保方氏には動機すらない」と疑惑について否定していた。」
 
 同様のことは、スポニチの記事にも載っています。STAP細胞問題に関しては、一般紙よりもスポーツ紙のほうが詳しいことがたびたびありますが、これもそのパターンです。
 
「事情聴取には三木氏も立ち会い、窃盗について否定し「事実説明をきちんとした」とした。聴取の日時や場所、回数は明らかにしなかった。
 三木氏によると、今も自宅療養中だという小保方氏だが、聴取では三木氏の横で落ち着いて説明。聴取後には「警察の人もよく理解してくれたと思う」と話していたという。「大勢いる参考人の1人。彼女だけがニュースになるのは極めて腹立たしい」と語った。」
 
 また、三木弁護士は、冷凍庫の中の「ESと書いた容器」に関する経緯を説明しています。ほぼ皆さんが想像していた通りで、ジャンク細胞も含めて残していったということのようです。
 
「三木氏によると、13年2~3月に若山研究室が理研から山梨大に引っ越す際、同研究室の客員研究員だった小保方氏は理研に残留。若山氏が共同研究室のフリーザーに残していったES細胞数箱を引き継いだ。三木氏によると「備品も含め残った者が保管を引き継ぐのは研究室では当たり前のこと」という。後に、引き継いだ細胞を保管するフリーザーに、盗まれたとされる研究者の名が書かれた箱があることに気づいたが、小保方氏は勝手に捨てることもできず残していたという。
 三木氏は「盗まれたとされるES細胞は、理研の調査でSTAP細胞に混入していたされたES細胞と種類の違う無関係なもので、STAPの実験にもまったく不要なもの」と説明。また「(若山研の)引っ越し時には、STAP実験はほぼすべて終わっている。その段階で、混ぜるためにES細胞を盗った、なんてありえない」と怒りをあらわにしていた。」
(以上、スポニチANEX  2016218 13:15
 
 手記では、小保方研が立ち上がるときの内装や細胞培養庫のことは書かれていますが、大きな論点となっている冷凍庫の「ESと書いた容器」について言及はありませんでしたので、ちょっと不思議に感じていました。
 
 他方、「有志の会」の記事で、木星さんが、次のように書かれていますが、
 
「管理人は石川氏が告発した李氏ES細胞は小保方晴子さんに「残しておくので、そちらで処分するように」と若山博士からメールで指示されていた、というのは早い時期に情報を入手し・・・」、
 
 今回の弁護士ドットコムの記事では、三木弁護士が次のように説明していますので、木星さんの情報を裏付けているようにも感じられます。
 
「そもそも、持ちだしたとされるES細胞が入ったサンプルボックスは、若山(照彦)氏が山梨大に移る際に、同氏から移動させるよう指示されて、理研の小保方研で引き継いだものだ」
 
 ただ、ニュアンスが若干異なるような気がします。Li氏のES細胞と特定して、引継ぎ、処分を指示したということでは必ずしもなく、Li氏のES細胞が含まれていることまでは述べずに、ES細胞のボックス全体の引継ぎ、処分を指示したということではないかと思われます。そういう推定のほうが、BPOへの申立書で言及する桂報告書の記載内容と整合するように思います。
 
「また、同報告書は、フリーザーに残っていたとされる試料について、申立人、若山氏をはじめ、若山研メンバーは全く知らないという回答であった。つまり、番組で指摘した申立人の冷蔵庫にあったとされる細胞がなぜ若山研にあったかすら「分からない」状態だと指摘した。」
 
 小保方氏も若山氏も、「知らない」と述べたということですから、ジャンク細胞の一つだったということでしょう。
 上記のように三木弁護士が語った内容を、手記に盛り込んでおけば、それは重要論点だったわけですから、更に小保方氏の潔白を印象付けるもとのとなったと思います。
 
■そして、それを読者に伝えることによって、NHKスペシャルが語らせた中国人留学生の発言が、疑念を感じさせることになったと感じます。
 もともと、あのNHKスペシャルでの中国人留学生への取材場面は、不自然な点が多すぎました。
 番組では、あのES細胞を、山梨大に持って行く予定だったがなくなってその留学生は研究継続を断念したとされていました。また、山梨大が理研から通報を受け、若山研側はそれを探していたかのように報じられていました。
 しかし、「Li氏のES細胞が若山研で必要なものだったのか?」ということや、「Li氏は、引き続き若山研で研究を続けるつもりで、あのES細胞を紛失したがために研究継続を断念したのか?」ということについては、若山氏や理研に裏を取ればすぐわかる話です。若山氏は「知らない」というスタンスのはずですから、若山研が探していたかのような話にはならないはずです。紛失したと思って探したのであれば、理研に照会して、小保方氏が引き継いだ冷凍庫の中にあることがすぐにわかったはずです。あるいは、紛失届の提出なり所在の照会なりをしたはずですが、その形跡はなさそうです。
 
 また、手記の別途の箇所では、若山氏が小保方氏にSTAP細胞用の培地の送付を依頼する中で、中国人留学生の研究者が帰国後、Oct4をよく発現するSTAP細胞塊の作製に成功している(が幹細胞株化には至っていない)旨の連絡を受けたことを述べていますので(p123)、それが事実で、この研究者がLi氏だとすると(たぶんそうでしょう)、同氏がNHKスペシャルで語った「研究を断念した」云々の「証言」の信憑性は、更に怪しくなってきます。
 
 今回、小保方氏の事情聴取の話が報じられましたが、氏名不詳での告発になっていることから、当時の事情を知る当事者からそれぞれ事情聴取することは当然のことですので、別に驚くには当たりません。三木弁護士が言うように、あたかも小保方氏だけが聴取されたかのように報じられ、加えて、あたかも被疑者かのような印象付けで報じられたことは由々しきことです。
 
 それで、当然、小保方氏だけでなく、直接の当事者である中国人留学生と若山氏、若山研メンバーとが聴取対象になっているはずです。若山氏と若山研メンバーとは、当然、桂調査委に対して答えたように、「知らない」と答えるでしょう。
 中国人留学生は、「盗まれた」直接の当事者なわけですから、彼がどう説明しているのかは、大きな焦点です。成行き上、NHKで語ったことと同じことを語るでしょうが、そうすると、おそらく、理研や若山氏が述べることと矛盾が生じてくるはずです。
 
 若山氏は、

「あのES細胞のことは知らない」
「山梨大に移管する細胞には含まれておらず、研究成果有体物移転契約書(MTA)にも記載はない」
「留学生は中国に元々帰る予定だった。中国で研究を続けている」
 「留学生から紛失したとの照会を受けたことはない」
⑤「必要な細胞は期限までピックアップするように各研究員に指示したので、残っているものは処分するジャンク細胞だ」
⑥「残っているものは、小保方氏に引き継ぎ、適宜処分するように指示した」
 
等の説明がなされる可能性が高いと思いますが、そうすると、留学生はハシゴをはずされた形になります(少なくとも①②は、物証がありますから、そう言わざるをえませんし、⑥は、小保方氏がメールを持っているでしょうし、三木弁護士が明言しましたから、認めざるを得ないでしょう)。
そして、県警からは、NHKの取材に応じた経過と、若山氏や理研の説明との齟齬について聴取されることになるでしょう。
  そこから、NHKスペシャルの取材について「疑念」の背景が明らかになる可能性も考えられます。

 以前、元留学生への取材場面の不自然さについて記事で書いたことがあります。
 
2 NHKスペシャルの放送倫理上の具体的問題点(2) 
「(5)留学生のES細胞容器について」の 「【補論】中国人留学生の証言場面、内容等の不自然さ」の部分
 
 そこで述べた不自然さの要素としては、次のような点です。

①どうやって、そのES細胞容器から留学生に辿りつき、電話番号を知ったのか? 若山研又は理研の人間しか考えられない。
初めて電話したような雰囲気だが、電話で初めて容器の存在を知らされたとすれば、それですぐ、それは自分のものだと判断できるのか? どういう容器なのか? チューブに書いてあるのは自分が書いたものなのか?など、自分の目で確認しなければ判断などできないはずである。ということは、事前に既に写真を送付して、質問―応答ぶりの打ち合わせをしていたのではないのか?
そもそも、山梨大に移って研究を継続するつもりだったのであれば、試料がなくなったからといって、研究を断念するものなのか?再度作成して、研究を続けるのではないのか?
 
 もし・・・これは憶測になりますが・・・その留学生の氏名と連絡先を教えた理研職員又は若山研スタッフが、中国人留学生に対して、「このように答えるように」と振りつけていて、NHKの記者もそれをわかっていたとすると・・・、これは大スキャンダルになります。
 上記②で書いたような事前の打ち合わせや振付をした上で、収録することは、クローズアップ現代でも、「やらせ」として、放送倫理上問題ありとされた編集行為です。それに加えて、その発言内容が虚偽の内容を振りつけられていて、それをNHKが認識していたとすれば、放送倫理どころではなくなります(「やらせ」+「捏造」)。
 
 県警の聴取の流れからすれば、中国人留学生の番組での「証言」が、若山氏、理研の説明との齟齬は明らかですから、県警は釈明を求めることに当然なるでしょう。その時、留学生が何と答えるか、です。仮に、「若山研又は理研のスタッフに、『NHKから電話取材が行くから、こう話せ』といわれました」との「釈明」がなされたら・・・。繰り返しますが、あくまで憶測であり仮定の話です。ただ、当事者間の説明の齟齬は、どういう説明であれば整合をとることができるのでしょうか・・・?
 
 このLi氏のES細胞に関して不可解なのが、若山氏がこの点について沈黙を保っている点です。「僕の研究室にいたマウスではない」との説明とともに、小保方氏捏造犯との決定的印象を与えた材料であり、石川氏が刑事告発までしたのですから、NHKスペシャルの報道内容が事実と異なるのであれば、当然指摘しなければなりません。この点は、「一研究者・教育者」ブログの管理人さんも以前から指摘されていたところかと思います。事は刑事事件なのかどうかという重要局面なのですから、事実でないのであれば、沈黙は許されるものではありませんし、この点に関してマスコミが追加取材しないというのも、まことに不思議な点でした。
 若山氏(及び若山研)は、6月の会見で典型的に見られるように、小保方氏を捏造犯と印象付けていますから、Li氏のES細胞の件で、小保方氏が窃盗犯に問われるのだとすると、プラスに働くという「利害関係」があります。
 
 NHKにとっては、論文疑惑発覚直後から、この冷凍庫にあった「ESと書かれた容器」というニュースは特ダネでした(一昨年3月時点で流しています)。ですから、これを証拠として「強化」しなければならないという動機があります。
また、NHKには、前科ならぬ「後科」があります。昨年3月のニュースで、死細胞の蛍光確認についての桂調査委への小保方氏の陳述を、手元に聴取録がありながら、意図的に切り貼りして、小保方氏が死細胞の蛍光確認自体をしていなかったかのように報じています。これは、一種の「捏造」報道です。
NHKには、一貫して、小保方氏を事実に反して貶めることをやってきています。
 
このように、若山氏側とNHK側との動機、利害が一致する形です。NHKにリークした理研職員も同様です。それが、もし、あの留学生への「取材」場面の編集に反映されたのだとすれば・・・・。
 
 石川氏の告発は、小保方氏否定派からすれば、駄目押しのつもりだったのでしょう。しかし、それによって、当事者の説明の齟齬が浮き彫りになり、その理由、背景を県警が聴取し、解明せざるを得なくなってしまった、ということになります。強烈なブーメランとなって我が身に返ってきつつある可能性があります(そのすべてを明らかにすることなく、犯罪の証拠なしで、捜査終結とするかもしれませんが)。
 
 「過ぎたるは及ばざるが如し」
 
 改めて、昔からの格言を噛みしめるときが、すぐそこに来ているのかもしれません。