理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

【小保方氏手記の雑感的感想(3)】研究室、研究者の諸々の裁量の程度

小保方氏の手記を読んで抱いた、雑感的感想の3点目は、研究室、研究者の諸々の裁量の程度についてです。
 
今回の小保方氏の手記には、小保方氏が博士号取得後、バカンティ研に行くためのビザ取得までの間、若山氏に相談して、理研の若山研で実験させてもらった経過が書かれています。こういう場合に、小保方氏を若山研に置くというのは、簡単にできるものなのかな・・・と感じました。


もともと、若山氏にはPIとして一定の研究予算が与えられているでしょうから、その範囲内で、アルバイト的な非常勤研究者として位置づけられたのでしょうか? 通常の組織では、厳格なセキュリティ管理がなされ、外部の人間が中に入り込むことについては、きっちりとチェックされるはずです。それが、公的研究機関で、予算の範囲で、研究室の主宰者がウンといえば、明日からでもスタッフとして入れることができるというのは、かなり違和感があります。この小保方氏の一時的な滞在の場合、おそらく、職員としての手当ては支払われていないような印象です(正確なところはわかりませんが)。そうすると、非常勤職員でさえない外部の人間が、自由に入り込める実態にあった、ということになるのでしょうか? 
そうすると極端な話、研究室の主宰者を籠絡?すれば、北朝鮮やイランなどの問題国家の人間が、研究機関の本部がしらないままに、ハイテク技術の研究室に入り込んで技術を盗んでいくということもできてしまいかねないのでは・・・というように、連想が発展してしまいます。

しかし、入退室のためのIDカードが発給されているはずですから、人事はやはり噛んでいるのでしょうか・・・。どうもよくわかりません。
他方で、小保方研のテクニカルスタッフを2名募集したときには、人事部が各種媒体でPRして、笹井氏、丹羽氏、人事部もともに面接に同席して、慎重なチェックを行っています。人格的にも能力的にも優秀な人を確保できたとありますから、セキュリティー的チェックもなされていることが想像できます。
テクニカルスタッフのような正規の職員はまた別なのでしょうが、ポスドクの小保方氏(まだハーバードの身分は得ていないはずです。渡米後にいろいろ手続きしたとありますので。)のような者の一時的な実験のための滞在の位置づけ、身分的扱いがよくわからないということと、主宰者の裁量だけでできるとすると、その裁量はどの範囲まで認められるのが一般的なのか、また、セキュリティ上大丈夫なのかということが、抱いた感想です。
 
 
また、手記では、山梨大に移る若山氏が、小保方氏を准教授(※)として迎えるから、一緒に来てほしいと相談する場面があります。これも、教授となれば、准教授を誰にするのかも裁量で決められるということでしょうか? おそらくそうではないかと思います。助手なども教授による一本釣りでしょうし、絶対的権限を持っているのでしょう。その代わり、必要な予算は教授、研究室の責任である程度は確保しろよ、ということなのでしょうね、きっと。

※ 【訂正】「准教授」ではなく、「助教」でした。
 
 話は飛びますが、改革委提言で、小保方氏の採用経緯の「不透明性」という、事実関係に反する牽強付会な指摘をするとともに、「大学で言えば准教授に相当するPIを~」と繰り返し書いています。しかし、理研のように、優秀な若手を、公募により登用し(理研としての戦略的テーマに即してでしょうが)、一定期間、成果を与える機会を最大限与えるという仕組みは悪くないと感じます。任期付きということで身分が不安定ということはあるかもしれませんが、高度な人材育成・供給機関であり、研究者への高度な研究実験環境の提供機関と考えればいいような気がします。
それに対して、国立大の教授、准教授となるとどうなのでしょうか? 研究室の准教授、助手の採用は公募ではなく、教授の裁量で行うことができ、しかも、終身雇用で65歳?までとなると、身分は安定するかもしれませんが、沈滞してしまうというようなマイナス面も多分にあると思います。
言いたいことは、理研PIと大学の准教授とでは、まったく質的位置づけが異なるということです。理研としての戦略的研究目標の下に、若手の活躍の場を提供する公募システムに従って、その実績、資質も十分に理解した上で、小保方氏を採用したことを批判することは的外れであり、研究室運営の透明性に欠ける大学の教授に言われたくないということです。
 
 
STAP細胞事件の経過をみても、各種研究者、研究室がかなり弾力的に?自由に活動している印象があります。
若山氏が、20143月に撤回を呼び掛けたのち、「第三者機関に分析を委託した」ということがありました。理研からも委託していたかと思います。しかし、この「第三者機関」というのは、実際は放医研の研究者だったわけで、放医研が組織として受けたものではありませんでした(放医研広報が否定していますから)。この研究者には、若山氏が「第三者機関の公正中立性を担保するために、私からは無報酬でやってもらった」「第三者機関は、私からも理研からも経費はもらっていない」と会見で述べていますが、無報酬で勤務時間を割いて、外部からの依頼で、自らの研究と直接関係のない作業に従事することができるのか? というのが率直な印象です。放医研は、理研と同様、国立研究開発法人です。
また、NHKが、試料を東大、東工大に分析を委託していますが、これらの国立の研究機関、大学の研究室の研究員が、こういうスポット的なことを簡単に請け負うことができるものなのか?ということも感じました。特に、NHKが時事的な報道のために依頼してきたことに応じて、時間と労力とコストを割くことは正当化できるのだろうか・・・と会社勤めの身としては感じてしまいます。悪く捉えれば、その研究室、研究員の経費は、然るべき研究テーマの名目の下に与えられた予算から出されているわけですし、その研究のために施設、機器類と勤務時間と精力とを使うというのが、建前だろうと思います。
 
若山氏や理研からの依頼にしても、無報酬であり、組織×組織で契約を交わしているわけではないでしょう。そうすると、受ける側の研究員が属する組織が関与することなく、与えられているミッションに時間と労力を割かず、コストに見合う対価なしにサービスを提供することは、どういう対外的説明になるのかな・・・と、感じました。
特に若山氏の場合は、若山氏個人としての依頼です。理研なり山梨大としてではありません。理研からの解析依頼の場合は、不正調査の一環として、理研という組織として、その研究者(室)に依頼したということでしょうから、まだ公式の組織間協力ということで説明はできると思うのですが、若山氏からの個人的依頼に応じて時間と労力とを対価なしに割くというのは、なかなか説明がつきにくいように感じます。
 
小保方氏の手記でも、次世代シーケンサーによる解析担当の共著者が、Kahoのブログをみて憤り、「明らかに理研内部の者だが、勤務時間内にこんなことをやっているなんてなんだ!」という趣旨のことを述べた旨、記述されています。これから察するに、比較的自由に思える研究機関であっても、「勤務時間内」ということが意識としてあるわけで、その勤務時間内に、本来業務でないことをやる可否ということが意識としてはあるわけです。
 
もちろん、そのような会社勤め的発想、建前でがちがちに研究員を縛るというのは、適当とは思われませんし、国公立の研究機関や大学の研究室というのは、いわば社会の公共財的役割もありますから、ある程度は弾力的に、関連する他の業務に時間と精力を割くということは認められていいとは思います。ただ、許される範囲とそうでない範囲との線引きはどこかにあるはずですから、そのことを念頭に置きつつ、一定の節度を以て本来業務に従事する必要があると思います。
 
 
書きながら思いつきましたが、考えてみると、NHKが試料を入手したということは、どのように正当化できるのでしょうか? 数日前の記事で、「公益性なきリークをした理研研究員の刑事責任」というテーマで書きました。その時は、リークされたのは主として情報であり、その写しです。
他方、このNHKが入手した試料は、おそらく若山氏から渡された培養された細胞かと思います。それは、試料そのものですから、所有権の関係で問題は生じないのでしょうか?その時点で理研と若山研との間でMTAが結ばれていなかった可能性があります(日付を遡って事後に結んでいた形にしたのかもしれませんが)。若山氏が、理研から窃盗で訴えると迫られて、遅ればせながらMTAを出してきたのは、このNHKに渡した後だと推定されます。そうすると、若山氏にも所有権がなかったものが、NHKに渡されたという形だった可能性があります。
細胞を培養したものを譲与するということは、研究機関間であると思いますが、その際には、その培養して分けたものの扱いはどういうものなのか(財産だと思うのですが・・・)、譲与に際しての契約等はどうなるのか、といった点がどうもよくわからないので、どう評価していいのか悩むところです。どなたかご教示いただけると幸いです。