理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

【小保方氏手記の雑感的感想(2)】若山氏の外見の印象から生まれた?世間のバイアス

思うに、若山氏は、外見で得をすることもあれば、損をすることもあることでしょうが、その若山氏の見かけ・印象が、STAP細胞事件を複雑なものにした大きな要因の一つだといってもいいように感じます。
世間の印象は、小保方氏が受けた第一印象と同様に「純真な少年のよう」というか、「純朴で真面目で口下手な研究者」というものでしょう。あの6月の記者会見を見て、そのあまりの口下手さに驚きましたが、クローン研究の世界的第一人者でありながら、権威ぶることのない純朴で真面目なイメージとが、同氏に対する好印象をもたらしたと感じます。 そして、共著者でありながら、39日に、自ら撤回を呼び掛け、「第三者機関に依頼し、真実を明らかにする。その経過は公表する」と発表したのですから、更に「良心的」というイメージも加わりました。そこから、世間のバイアスが生まれたような気がします。
そこから通すべき「筋」(筋論の「筋」)がどんどん崩れていきました。
 
「自ら撤回を言い出した者が不正を働くはずがない」という先入観にとらわれ、論文著者は、すべて被調査者であるはずにも拘わらず、調査側の立場で何らの保全措置も受けることなく振る舞うという、およそ考えられない構図を誰も不思議に思いませんでした。改革委などは、遠藤氏とともに、理研の良心とばかりに褒めそやし、学術会議までそのコピペ表現で、これに追随しました。
6月の「若山研にいたマウスからはできない」旨の若山氏の発表が間違っていたことについて、それが論文撤回の決定打となり、小保方氏の不正の決定的印象を社会に与えたにもかかわらず、「若山研にいたマウスかもしれないが、僕が渡したマウスではない」との主張を疑うことなく、若山氏の発表の間違いの重大性を追及する者はいませんでした。ネイチャー誌への撤回理由をそっと書き換えたことや、書き換えたのは別の者だと事実に反することを述べたにもかかわらず、それが厳しく追及されることはありませんでした。
桂調査委は、若山氏が述べるがままの試料、マウス系統等を、そのまま裏付けを取ることなく遺伝子分析の前提とし、マウス系統の混乱の可能性については念頭におくことはありませんでした。若山氏が「技術的支援の立場」だったので、あまり小保方氏の研究に積極的にチェックすることはなかったとの陳述をそのまま採用している風です。そうやって出来上がりつつあった不正調査委報告と齟齬を来すような若山研での幹細胞の研究実態について、小保方氏が証拠とともに提出しようとしても、「助言という名の検閲」により、却下されました。
もう理研も改革委も桂調査委も、マスコミも科学界も、総思考停止状態に陥ってしまい、崩れきってしまった「筋」について、誰も不思議に思わないという不可解な空気が支配してしまったわけです。
 
その不可解な空気の支配を作った重要な要因の一つが、若山氏への好印象ということだったと思います。その空気を破る材料を提供しているのが、今回の小保方氏の手記なわけです。若山氏の好印象を形成する「少年のような純真さ」「純朴さ」「真面目さ」「良心的」といった諸要素とは相容れにくい材料が多々提供されています。
 
・「ど~んとiPS細胞研究所並みの施設を作ってもらえるかな」という、野心を想像させる会話。
・幹細胞研究を加速させ、若山氏51%の取り分との理研独自の特許出願の提案により、ハーバード側との間に不穏な空気を醸成させた行為。
・小保方氏への執着を想像させる若山氏からのメール、ラボメンバーらの忠告等。
 
これらのエピソードは、上述したように、一流研究機関の研究室を主宰する者であれば、多かれ少なかれ、当たり前にやっていることですし、小保方氏への執着というのも、優秀な研究者を手元に確保したいと考えるという意味では当然です。理研PIへの応募の話があったときに、若山氏は、「山梨大よりも理研PIの方がいいに決まっている」としていますから、人材確保という意味での「執着」と思えます(他方で、「僕と小保方さんとの間に笹井さんが割り込んできた!」云々の話は、やや微妙な感はありますが)。
このように普通で当たり前のことではあるのですが、それは世間が勝手に抱いている「純真」「素朴」あるいは「恬淡」としたイメージを大きく崩すものではあります。
 
更に、次の話は、若山氏の「真面目さ」「良心的」という印象を裏切りかねないものでしょう。ほかにもいくつかありました。
・論文シナリオに都合の良い結果のみを採用しようとする行為(学生の相談結果、不都合な結果を示す子マウスは、親マウスに食べられてしまったことにしようとの発言等)
・コントロール実験をしようとしないこと。
・研究成果有体物移転契約書(MTA)を結ばずに山梨大に試料を持ち出し、窃盗で訴えるといわれて初めてMTAを出してきたこと。
 
 だからこそ、小保方氏批判派、STAP否定派の皆さんは、「若山氏を貶めるようなことを勝手に書いて、なんだ!」と非難するのでしょう。しかし、小保方氏が提示する材料の多くは、裏付けを取ろうと思えば取れるわけです(「ど~んと・・・」発言は取れないかもしれませんし、ラボメンバー自身からは証言は得られにくいかもしれませんが)。
 また、小保方氏は、裏付けのない、あることないことを一方的に書かれ、人格否定的バッシングを受けてきたわけです。そして、若山氏からは、「ポケットにマウスを入れて持ち込むことができる」と、記者会見の場で言われ、「若山研にはいないマウス」の話と合わせ、ほとんど捏造犯として名指しされたことに加えて、若山研での研究実態におそらく反して、「小保方氏への技術的支援に留まる」という陳述をされてしまっています。
 
 それであれば、小保方氏が自ら認識するところを、手記の形で公にすることは何らおかしいことではなく、これに対して否定するのであれば、記者会見、反論書の公表、マスコミインタビュー、ブログやSNS等での反論、手記の出版等々、いくらでも手段がありますし、世間はそれを期待しています。若山氏も遠藤氏も、記者会見をしてその考えるところを公にしてきました。
 
 世間のほうも、ダブルスタンダードでしょう。ES細胞混入とほぼ断定した調査報告書をまとめた後、小保方氏に異議申立ての機会を与えたのに不服をとなえなかったとして、「小保方氏は、ES細胞混入説を認めた」かのように言い募る人々がいました。「反論があるなら述べろ」と言い、「沈黙するということは認めたということだろう」という非難です。
 しかしこの異議申立ては、小保方氏に関わる不正認定の部分についての異議申立てであり、ES細胞混入については、故意か過失かも断定されず、誰がということにも言及していませんでしたから、小保方氏に異議申立の機会を与える筋は全くありませんし、小保方氏もこの手続きで異議を唱える筋でもありません。「自分がES細胞を混入させたことはない」と調査委に述べているのがすべてです。
 
 他方で、その調査委報告書が限りなく小保方氏故意犯を示唆していることから、小保方氏による捏造との評価は定着してしまいました。小保方氏が、遅ればせながら、これに対して異議を申立てたのが今回の手記であり、「反論があるなら述べろ」という声に応えて述べたわけですので、今度は反論すること自体けしからん、若山氏への責任転嫁だ、全然反省していない、といってこれを無視し,封殺するのはおかしな話です。当事者が、弁明をし、自らの考えを主張するのは権利です。その内容を批判するなら、その具体的内容に即して根拠を挙げて批判すべきであって、反論・主張すること自体を否定するのは、それこそ言論の自由の侵害であり、自己防衛権?の侵害というものです。小保方氏を批判・非難する人々は、ダブルスタンダードの塊のようなことをやっている印象です。
 
 若山氏は、このまま沈黙を守ることで乗り切れると思っているのかもしれませんが、小保方氏が、一つでも二つでも、世間のイメージを否定する材料を公表したときには、当然、若山氏は説明を求められることでしょう。
 その材料はどれであっても、若山氏のイメージを大きく損なうものですから、いったん流れが逆になると、風圧は大きなものになることでしょう。例えにつかうのは不適切かもしれませんが、育児休暇を宣言してイクメン支持派から高く評価された国会議員が、そのイメージを大きく裏切る行為によって議員辞職を余儀なくされるということがありました。
タレントもそうで、イメージギャップが大きいほど、その反動も大きいというのが世の中のならいです。
 
 私自身は、若山氏は、クローン細胞研究での世界に誇るべき頭脳であることには変わりはなく、今後も科学技術の発展、各種のブレイクスルーに貢献してもらいたいと思っています。小保方氏が手記で、やや俗物的印象をもったような「ど~んと・・・」の会話や特許の持ち分拡大の話というのは、別に批判されるような話ではなく、研究室を主宰するPI、教授であれば当然のことをしているだけですから、本来批判される筋のものではありません。
ただしかし、小保方氏のES細胞捏造疑惑形成に多大な影響を与えた局面に、若山氏が密接に関係していることは確かですから、難しいところです。
 
別途書きたいとおもっていますが(DORAさんが既に書かれていますが)、やはり、あの「僕の研究室には存在しないマウス」という誤った分析結果の発表は、あまりにも罪深いものでした。
笹井夫人の週刊新潮のインタビュー記事によれば、笹井氏も「これは致命的」と漏らしたとのことですし、それが論文撤回やむなしとの著者間の合意形成の決定打となっていったわけであり、改革委が世界三大不正と断じ、CDB解体を提言する根拠ともなったわけです。そして、世間の小保方氏捏造犯氏が一気に形成された要因となりました。
小保方氏の手記でも、これによって、三木弁護士さえ、批判の声が殺到していることを伝え、「もう持たないよ」と言った旨が紹介されています。その時、小保方氏の絶望的困惑は、いかなるものだったでしょうか・・・。
共著者の誰にも知らせず、ネイチャー誌に直接、撤回理由の修正をし、しかも、その修正をしたのは自分ではないかのように当初は語った、という点でも明らかに公正さに欠けています。
 
・・・悩ましいところです。構図としては、日本国内で、「日本の頭脳」同士が潰しあいをしたのがSTAP細胞事件だと感じます。結果、特許は米国だけが持つことになったわけで、なんともやりきれない事件です。