理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

公益性のないリーク行為を行った理研関係者の刑事責任

コメント欄で、マスコミにリークした理研職員の問題性、その責任の問い方について(というご趣旨だろうと思いますが)、お尋ねがありました。
 情報公開請求の話を合わせて、書こうと思っていましたので、これを機会に簡単な記事にしておきます。
 
 以前、NHKスペシャルの問題や須田氏の著書についてあれこれ取り上げた中で、
 次のような記事を書いて、そのリークした理研の職員等の問題点、責任について検討しました。
 
 
 
著作権侵害知的財産権侵害、プライバシー侵害などに該当するのはもちろんですが、もっとも基本的な問題は、理研役職員としても守秘義務違反です。
 
「国立研究開発法人理化学研究所法」の第14条で、秘密保持義務を負い、刑事罰が適用されます。なお、第15条で公務員とみなされて刑事罰が適用されますので、もし、贈収賄等が絡むようですと(お金その他をもらって情報を提供したような場合)、みなし公務員として刑法が適用されるというわけです。
 
(役員及び職員の秘密保持義務)
第十四条  研究所の役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(役員及び職員の地位)
第十五条  研究所の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(罰則)
第二十三条  第十四条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
 
 理研職員がリークした局面は、明白です。


① 20143月に、NHKに対して、試料保存の指示の対象だった小保方研究室の冷凍庫の中身及びその写真を提供した。それが、NHKの同3月のニュースとなった。
② 20147月末までの間に、第一次不正調査員会の調査目的で収集・保管している実験ノート、電子メール等の試料を、NHK記者に対して提供した。これがNHKスペシャルで使われた。
③  同じく20145月末までの間に、自己点検委員会の委員又は事務局職員が、毎日新聞記者に対して、発表以前に自ら呼び掛けて、その発表予定の報告書案を閲覧させ、写真を撮らせた。それが、毎日新聞で記事となった。
④ 20153月末日までの間に、桂調査委委員会の小保方氏の聴取記録を、NHKの記者に対して提供した。それが、同3月のニュースとして使われた。
 
いずれも、公益的性格がないリーク行為です。保存試料は隠されているわけではなく、
不正調査委員会の活動の中で反映されるものですし、自己点検委報告書も近々公表される予定のものです。
 不正調査委や自己点検委は、その独立的性格と機微な業務内容からして、当事者以外には秘密を守って任務を遂行することが求められ、それに従事する委員や関係役職員は、通常よりもより高度な守秘義務を負っています。
 
 そのような中で、安易に報道機関に流すことは許されることではなく、その情報提供に公益的意義がないだけでなく、プライバシー侵害、知財権侵害に当たるものであり、更には、間違った構図の情報を意図的に流した可能性があります(上記の①②④)。
 
 したがって、これらのマスコミにリークした理研の役職員(委嘱を受けた外部有識者を含みます)の責任は重く、理研法第14条に基づき、刑事的に罰せられるべきだと思います。
 
 時効は、人を死亡させておらず、「長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金にあたる罪」に当たりますので、3年です。したがって、20173月頃、5月頃、7月頃、20182月頃に、それぞれの局面のリーク行為の時効が到来します。1年後くらいからですね。
 
 
 それで、責任の問い方は簡単で、氏名不詳で告発することです。親告罪ではありませんので、誰でも告発はできます。
氏名不詳の告発については、例の研究員氏が、当初、小保方氏を窃盗で告発しましたが、その後氏名不詳の告発に切り替えています。これと同じです。日本全国、誰もで告発は可能です。

 リークした者を突きとめるのはそう難しいものではないでしょう。情報に触れることができる役職員、委嘱を受けた外部有識者は限られていますから。
 
 相場として、懲役ということまではならないと思いますが、30万円以下の罰金であれば、本人が漏洩行為をみとめれば略式起訴で、罰金を納めて即日終結ということかと思います。
 なお、自己点検委員会の委員又は事務局職員の、公表前のリーク行為は、そう悪質というわけではないと思われます(すぐに公表されるものなので保護法益を侵した程度が低いという趣旨。もし、株式等が絡んでいる場合には、悪質性は高くなるでしょうが・・・。)。そうすると、「起訴猶予」となるのかもしれません。これは「不起訴」の一種ですが、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」と違って、犯罪が行われた証拠は十分だけれども、情状に鑑みて検察官の裁量で不起訴とするものです。漏洩したことは明らかということです。

 略式起訴にせよ、起訴猶予にせよ、守秘義務違反を働いたことは明らかですから、懲戒処分の対象になることはもちろんです。
 
 以上、専門家ではありませんが、大筋間違ったことは書いていないと思います。私の勘違い等あれば、ご指摘ください。
 
 なお、リークした側の問題は別として、リークを受けた側の問題についても触れておきたいと思います。
須田氏は著書で、自己点検委員会の関係者から「見に来ますか?」と誘われて、リークされたことや、その報告書案を見せてもらって写真をとらせてもらった場面をリアルに書いていますが、新聞記者としてどうかと思います。ニュースソースの秘匿は、報道に携わる者の基本倫理ですから、これだと、リークした者が突き止められる可能性が高くなってしまいます。さらっと、「毎日新聞は、さる筋から報告書案を入手した」と書いておけばよかったものを、余計な情景描写により、秘匿すべきニュースソースを危うい立場に置いてしまいました。
そして、他のメディアが報じていないことを以て、特ダネとして思考停止せず、きちんと批判的に分析等をして、単に右から左に流さないようにする、ということが報道関係者の倫理として求められていたはずです。単に拡声器に使われただけであり、それもわからず、得々とリーク風景を書いているのは、滑稽な感があります。