理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

スフェア細胞と、ミューズ細胞の研究の進展


『一研究者・教育者の意見』ブログの211日付の「「あの日」を読んで」の記事を拝見しました。

 

 このブログの管理人さんのご意見や、コメント欄の甲論乙駁の中での様々なご指摘は、興味深いものばかりですが、この「「あの日」を読んで」の記事の中の、次の部分を読んで、「えっ?そうだったのか?!」と驚きました(なお、営業秘密の保護の視点からの問題構図についてのご意見も、言われてみれば確かにそうで、蒙を開かれました。)。

 
「ところで、「スフェア細胞」に関して私は誤解をしていた。スフェア細胞の研究が発展して「STAP細胞」の発見につながるので、両者は共にストレスによって体細胞から生じ、単に「機械的ストレス」(スフェア細胞)か、「酸ストレス」(STAP細胞)の違いだと私は思っていた。しかしながら、両者はまったく性質が違っていた。「あの日」の記載によると、スフェア細胞は通常の細胞よりも増殖力が強く、浮遊培養で増殖して細胞塊を作れる細胞であるのに対し、STAP細胞は増殖をしない。浮遊培養ができる細胞は、がん細胞のように増殖力が強い細胞であり、一方、通常の細胞は培養皿に接着した状態でしか培養ができない(専門用語では「足場依存性」という)。「がん細胞」に似た増殖力の強い細胞ならば、細胞は未分化の状態、すなわち何らかの「幹細胞」あるいは「初期化されている細胞」である可能性はあり得る話だ。

ということは、小保方氏のTissue論文、つまり博士論文で述べられた、スフェア細胞が「三胚葉由来組織に共通した万能性体性幹細胞」という主張は、あながち「捏造」ではなかった可能性があるように思われる。」

 

小保方氏の手記の「第三章 スフェア細胞」の部分を、じっくり読んでみます。

たしか小保方氏は、酸溶液につける前に管を通すとより効果的・・・というようなことを記者会見で言っていたのではないかと思いますが、そうしてできる細胞の性質はどうなのでしょう・・・?? いろいろ奥が深そうで・・・。

 

■ところで、小保方氏の手記のP61で、常田氏から「Muse細胞が発表されて大騒ぎになっている」旨を連絡されたことが書かれています。

で、『選択』誌で、「日本の科学アラカルト・その最前線」という連載があり、2月号では、「iPS細胞だけではなない多能性幹細胞の研究」という2ページの記事が載っていました。

その中で、Muse細胞の研究の進展も紹介されていました(P91)。

 

「「第三の多能性幹細胞」と呼ばれているのが、当方大学の出澤真理教授らのグループが2010年に発表した「ミューズ細胞」だ。この細胞は、骨髄や真皮、脂肪細胞などの組織内にある間葉系細胞などと呼ばれる細胞内に存在している。最大の特徴は、他の幹細胞とは異なり、ガン化のリスクが極めて低い点だ。すでに、筋肉や皮膚、肝臓などの細胞に分化することが確認されている。

昨年10月には、出澤教授らのグループが、ヒト由来のミューズ細胞を使って、脳梗塞を起こしたラットの脳神経機能を回復することに成功したと発表した。ミューズ細胞をラットに移植したところ、梗塞を起こしたところに生着して、神経細胞への分化を始めたという。実際に、神経が再構築されたラットでは症状が改善されただけでなく、約3か月後も同様の状態を維持した。脳梗塞患者は一命を取り留めても運動や記憶、言語などに障害が残ることが知られる。ミューズ細胞は後遺症に苦しむ患者にとって一筋の光明となっている。」

 

日本発の幹細胞であるミューズ細胞の研究の進展があったことは喜ぶべきことだとは思いますが、小保方氏の手記が指摘しているように、ヒトの多能性幹細胞の研究であれば、倫理上の観点から、キメラ作製が求められない一方で、マウスのそれだと求められるというのも、何か妙な気がします。上記記事では、「ヒト由来のミューズ細胞をラットに移植」とありますが、ヒト由来のものを動物に移植するというのは、素人には違和感があります。

だったら、ラットに移植するラット由来の幹細胞であれば、キメラマウスの作製にそこまでこだわる必要があるのか?いきなり、脳梗塞を起こしたラットに移植して経過をみるということでもいいではないか?・・・というのは素人の浅はかな考えなのでしょうか・・・。

 

今回のSTAP細胞事件は、PNASに投稿して、リジェクトの理由がキメラマウスの実験をしなければ不可ということだったために、それで一同打ち揃ってキメラマウス作製のプロである若山氏に相談に行った・・・というのが発端となっているわけですから、なお、そういう感想のひとつも言いたくなるというものです。

ヒト由来の細胞の扱いとの比較や、キメラマウスの作製が、実験者の腕に大きく左右されるということからしても、マウス由来細胞でキメラ作りを必須とするのは、バランス的におかしくないか・・・もしキメラ作りが必須でなかったら、スフェア細胞の研究もスムーズに進展したのではないのか?・・・女子医大の細胞シートの研究と合体して発展があったのでないか・・・とかいったことが思い浮かびます。


他方で、ヒト由来細胞の研究であれば、キメラというチェックプロセスを経ずに、人体に適用するということになり、一種の「人体実験」ということかな・・・とかの反対の感想も浮かんできます。小保方氏の手記で、「ヒト細胞を用いている以上、キメラ実験をもとめられないことも、よく計画された研究だと感じた」とあり、大和教授もその点で東北大のチームに脱帽の体だという様子からも、そういう感想が浮かんできます。


どうもいろいろと考えさせる小保方氏の手記と、Muse細胞の研究の進展記事でした。