理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

STAP細胞事件の真相・深層を、情報公開請求で追求すれば、優れた調査報道の材料に

 
 コメント欄で、情報公開請求に関して、マスコミが小保方氏の出張記録等を請求したら、プライバシーを理由に黒塗りだらけの文書が開示された旨のご指摘がありました。
 開示する側の国や独立行政法人とすれば、情報公開法の不開示事由をフル活用?して開示を回避しようとするでしょうが、その典型例は、プライバシー(個人情報)でしょう。
 しかし、既に木星通信さんがいろいろと開示請求をされて、重要な成果を挙げておられるように、制約はあってもかなりの重要情報が得られると思います。
 
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【情報公開法のポイント】
 末尾に掲げたのは、理研や国立大に適用される独立行政法人等情報公開法の抜粋です。ポイントをまとめると、次のようになります。

(1)公開請求対象の文書 
    公開請求対象となる法人文書は、「役職員が」、「職務上」、「作成・取得」した「紙・電子の文書等」。
・メールやサーバー保存のものも含まれる(=電磁的記録)。
・作成した文書だけでなく、取得した文書も含まれる。つまり、相手方から送られてきたメール等も含まれる。ただし、その相手方の利益を損なう場合は開示不可(黒塗り)
 
(2)不開示事由 
    特定個人を識別するものは開示不可だが、その個人が公務員等(独法の役職員を含む)で、その情報が職務の遂行に関するものであるときは、その公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分は開示しなければならない。
    内部や相互間の検討・協議等に関する文書で、公開すると中立性、混乱、特定の利益・不利益を招く等の問題が生じる場合は、不開示。
    契約・交渉・裁判に関するもので、当事者としての利益を不当に害するものは不開示。
    その他、その事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるのは不開示。
 
(3)異議申し立て
 ⑥ 非開示に対して不服であれば、異議申し立てができる。 
 ⑦ 異議申し立てがあった場合は、審査会に諮問しなければならない。
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 したがって、例えば、小保方氏の出張記録の公開請求をすると、それは個人を識別できる情報ですが、小保方氏は当時、理研職員ですので、肩書と「職務遂行の内容に係る部分」は開示対象になるということになります。おそらく、その「職務遂行の内容に係る部分」であっても、出張理由、出張先等で、「業務の適正な遂行上支障がある」ということで黒塗りになっているのかもしれませんね。
 
 不正調査委の公開を前提としない意見交換の記録は不開示でしょう(上記③該当)。特許の持ち分に関する交渉などは、ハーバードという相手のあることですから、全面開示というわけにはいかないかもしれません(上記④該当)。ただ、理研側の当事者としての利益を損なうかといえば、既に放棄しているわけですから利益を損なうことはないように思いますが、相手との信頼関係を損なうということで、「事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」との理由で不開示とするのかもしれません(上記⑤該当)。
 
 こういったいろいろな不開示事由の制約はあるとしても、それをくぐりぬけて?開示させることができる情報は様々あることでしょう。また、異議申し立てをすると、審査会に諮問することになりますので、そこで本当に不開示決定が適当か、第三者のチェックが入りますから、当初の非開示判断が覆ることもあるかもしれません。
 
 
 既に、木星通信さんが開示させているのが、「研究成果有体物移転契約書(MTA)」ですが、これなどは、理研→山梨大のMTAの日付が、若山氏の移籍から1年後というのはどうしてか?という議論になっていたと思いますが、今回の小保方氏の手記で、若山氏が勝手に試料を持って行って、あとからそれが露見した時点で、若山研側の提示通りに形だけ整えるという実態が明らかになりましたから、そういった書類上の時期のずれについての疑問も氷解したわけです。
 
 どういう文書の開示請求がいいのか考えてみたいと思っていますが、思いつくままに、ランダムにあげていくと、
 
理研-ハーバードB&W病院との間の国際共同研究契約書」
「米国特許庁に国際出願した特許の各組織、各発明者の持ち分(に関する交渉内容)を記載した文書」
「遠藤氏の解析を以て、STAP細胞=ES細胞とするのは困難とした外部有識者報告」(2014519日提出)
理研が解析依頼した『第三者機関』への解析委託契約書/費用支払い文書」
理研CDB内残存資料の帰属一覧/残存試料解析計画/解析分担等の記載文書」
「桂委員会報告における胎盤に関し見解を求めたすべての専門家の見解を記した文書」
「山梨大若山研より、理研小保方氏に対して、培地送付依頼を記した文書」
理研若山研より特許室に対して、スフィア幹細胞に関して特許出願の依頼・相談を記した一件書類」
                       
 等々、いろいろあるのではないかと思います。
 かつて、立花隆文藝春秋のチームが、田中角栄総理の金脈を暴露する調査報道によって、田中総理は辞任を余議なくされたという大事件がありました。最近の週刊文春などは、それと比べると矮小な、不倫だ、口利きだといった記事しか載せていませんが、立花氏を中心とする取材チームによる田中金脈報道は、それこそ、文藝春秋が特別チームを組んで、公開情報を徹底的に集めて、それを集約して金脈を炙りだしたものです。あれだけ権勢をふるった田中角栄総理も、その記事をもとにした外国特派員協会での追及を経て、短期間に辞職に至りました。その後もこれに匹敵するような詳細な調査報道にはなかなかお目にかかりません。
 
 今回のSTAP細胞事件は、一大冤罪事件の可能性が高くなってきており、情報公開請求による公開情報の集約と、関係方面への取材とによって、すぐれた調査報道記事をまとめることができるのではないかと感じます。
 本件事件の背後には、様々な幹細胞の覇権争い、日米間の知的財産競争などが密接に絡んでいますし、バカンティ研のSTAP細胞による脊髄神経修復研究が米国防総省プロジェクトに採択され、神経修復に関するリーディングカンパニーも参画しての産学軍の共同研究となるなど、米軍のニーズも絡んでいます。こういった国際的な動きも追いながら、情報公開と取材とで、一連の経過の「真相」、「深層」を炙りだしていけば、極めて刺激的な調査報道となることは間違いないでしょう。
 小保方氏の手記が短期間に25万部を超えたということで、この事件に対する社会の関心は極めて高いということが実証されましたから、ジャーナリズムとして、これを深めない手はありません。
 
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(定義)
第二条 (略)
 この法律において「法人文書」とは、独立行政法人等の役員又は職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該独立行政法人等の役員又は職員が組織的に用いるものとして、当該独立行政法人等が保有しているものをいう。
 
(法人文書の開示義務)
第五条  独立行政法人等は、開示請求があったときは、開示請求に係る法人文書次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該法人文書を開示しなければならない。
 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く
イ 法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報
ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
ハ 当該個人が公務員等(略)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分
 
 法人その他の団体(略)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
イ 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
ロ 独立行政法人等の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの
 
 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの
 
 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
イ 国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ
ロ 犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ
ハ 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ
ニ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ
ホ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ
ヘ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ
ト 独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ
 
(部分開示)
第六条  独立行政法人等は、開示請求に係る法人文書の一部に不開示情報が記録されている場合において、不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。ただし、当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りでない。
 開示請求に係る法人文書に前条第一号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。
 
(公益上の理由による裁量的開示)
第七条  独立行政法人等は、開示請求に係る法人文書不開示情報が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該法人文書を開示することができる。
 
第三章 異議申立て等
 
(異議申立て及び情報公開・個人情報保護審査会への諮問)
第十八条  開示決定等又は開示請求に係る不作為について不服がある者は独立行政法人等に対し、行政不服審査法による異議申立てをすることができる。
 開示決定等について異議申立てがあったときは独立行政法人等は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならない。
 異議申立てが不適法であり、却下するとき。
 決定で、異議申立てに係る開示決定等(開示請求に係る法人文書の全部を開示する旨の決定を除く。以下この号及び第二十条において同じ。)を取り消し又は変更し、当該異議申立てに係る法人文書の全部を開示することとするとき。ただし、当該開示決定等について反対意見書が提出されているときを除く。