理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

ES細胞混入説の当否に結び付く材料は?


 既に他のブログのコメント欄では、さまざまなご指摘が出ています。
 もう手記自体を読んだ方、読んでいない方が混在している状況で、私もまだ読めていないのですが、もっとも気になるのは、「STAP細胞はあるのか、ないのか?」という点が、どうも曖昧になっているように思えることです。

 もともと、バカンティ研で、キメラでの多能性確認の作業をしてくれる研究者を探したけれども、細胞の初期化など信じてもらえないのでそういう研究者は現れなかったために、若山氏の手腕を頼みとして、理研に国際共同研究を申し入れたという流れだったかと思います。

 小保方氏がSTAP細胞を作るだけでは足りず、それがキメラになって初めて多能性、万能性の証明になるわけですから(テラト―マもあるのでしょうが)、その点は若山氏次第だ、ということになります(こういう当たり前の構図さえ、これまでの騒動の中ではよく認識されていなかったと思いますが)。

 それで、報じられている小保方氏の手記の雰囲気からすると、若山氏がその実験過程をブラックボックス化して、小保方氏にも見せもせず、教えもしなかったということと、若山氏に不審な動きがあったこと、キメラやテラト―マも持ち去られてしまったことなどにより、若山氏の担当部分で不正があった(=ES細胞の混入があったのであればそれは若山氏の担当部分である)ような印象を受けるのですが、そうすると、STAP細胞は存在したけれども、それはキメラになるほどの多能性を持つものではなかった、ということなのでしょうか?
 そうなると、誰がやったかは別として、ES細胞が混入したものだ、ということに変わりはなくなり、STAP細胞の意義がなくなってしまいます。

 しかし、そうではないのでしょう。これまで、当ブログも含めて、ES細胞混入では説明がつかない点が多々あり、そのような結論はおかしい、ということを縷々指摘してきているわけです。
 丹羽氏のプロトコル作成の際の3度にわたる観察、キメラの胎盤の切片の観察、注入の際の均一な細胞群のライブイメージングデータ、その他、丹羽氏、笹井氏、かつての若山氏が語ったES細胞ではあり得ない材料等、いろいろあります。
 そして、バカンティ教授の研究の国防総省プロジェクトへの組み込み、それを元にした昨年9月に公開された特許出願でのSTAP細胞を前提とした新実験成功の明細書などもあります。

 ですので、
  「ES細胞混入犯に私は仕立て上げられた」
              ↓
  「だが私ではない。若山氏は何も教えてくれず、不審な動きをして掌返しをした。」
              ↓
  「捏造犯は、実は若山氏だ」

 という主張だという受け止め方をされると、せっかくのSTAP細胞の意義を否定する印象を与えてしまいますから、若山氏のブラックボックスぶりが過剰に印象づけられるのは、小保方氏にとっても好ましいことではありません。

 検証実験の際に、キメラ以外の多能性の確認を求めたが容れられなかったように書かれているコメントがありましたが、そうなのでしょうか? たしかに、検証実験計画では、キメラだけでやることになっていて、改革委がテラト―マもやれ、と言われたけれど、キメラで検証できるのだから不要、というやりとりがあったように記憶しています。
 キメラだと、その作成には若山氏の手技に依存するところが大きいので、その不在の下では、テラト―マでの検証もあっても良かったと思うですが、なぜ行われなかったのでしょうか・・・? (他に多能性を確認する手法というのはないものでしょうか。)
 結局のところ、理研は、早く幕引きをしたかったということなのでしょう。

 今回の小保方氏の手記によって、若山氏のブラックボックスぶりと不審な動きが赤裸々になって、善玉悪玉的見方が崩れる契機になるのはいいことだとは思いますが、ES細胞混入説が正しいのか否か、STAP細胞が万能性を持っているのか否か、という肝心な点がかえって曖昧になるようだと、それはまた困った話です。

 今までマスコミによって報じられてきた捉え方と異なるようだ・・・と人々に感じさせる上では、効果は出ているとは思いますが、より本筋の点での解明に結びつく材料の提供がほしいところです。

 なお、桂委員長が、キメラを調査できなかったと述べたのは、当ブログで述べてきた帰属の問題というよりも、所在不明になってしまったから、ということであるとすると、それはそれでまた別の問題が派生してきます。