米国DARPAの思いもよらない発想の研究の一端
米国DARPA(ダーパ)の思いもよらない発想の研究の一端が、ニューズウィーク日本版で報じられています。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160122-00163193-newsweek-int
●米軍の新兵器は「サイボーグ兵士」、DARPAが開発中
ニューズウィーク日本版1月22日(金)16時0分配信
脳とコンピューターを繋ぐチップを頭に埋め込み、前線の兵士を「サイボーグ」に変える技術を、米軍が開発中だ。このインターフェイスは、米国防総省の研究機関である国防高等研究計画局(DARPA)が開発に取り組んでいる。チップを通じて脳細胞とコンピューターを接続できれば「人間の脳と最新電子機器の間に伝達経路を開くことができる」と、DARPAは説明する。
DARPAの研究者が脳と機械の接続を試みるのはこれが初めてではない。しかし、これまでの研究成果ではその機能は限られていた。新たに設置された「脳科学技術システムデザイン」(NESD)の研究プログラムでは、一度に接続できる脳細胞の数を数万個単位から数百万個単位へと飛躍的に増加させることを目指している。
「脳とコンピューターを繋ぐ現代で最高レベルのインターフェイスシステムを使っても、2つのスーパーコンピューター同士が70年代製の古い通信モデムを使って会話するようなものでしかない」と、NESDのプログラムマネジャーのフィリップ・アルベルダは言う。「人間の脳とコンピューターの間に伝達経路を確立できれば、とんでもないことが可能になるだろう」
DARPAは最終的に、1立方センチメートルよりも小さい(または直径2センチ余りの5セント硬貨を2枚重ねた程度の)、脳に埋め込める大きさのチップを製造することを目標としている。このチップが、脳細胞の発信する電気信号や化学信号をコンピューターに伝達する。
これで、チップを移植した人の脳に外からデジタル音声やデジタル映像を送るアプリケーションの開発が可能になる。しかしそのためには、脳科学、生物工学、省電力技術、医療機器等の各分野で、画期的なイノベーションが必要だとDARPAは語っている。
DARPAが最初に製造するデバイスは軍事用になるだろう。しかしそうした技術はしばしば、民間転用され社会に革命的な変化を起こしてきた。GPS(全地球測位システム)や音声通訳システム、インターネットはそのほんの一例だ。
人間をサイボーグ化することには論議もあるが、その善悪の分かれ目は使われ方次第だろう。NESDプログラムは、オバマ大統領が推進する脳機能障害を治療する研究の一環でもある。
アンソニー・カスバートソン
同じ国防総省のプロジェクトでも、DARPAは、こういった一見すると「とんでも研究」?と思えるようなものを着想して、やがてそれが実現して、軍事利用から民生利用へと広がっていくというパターンの研究が多いようです。
国防総省でも、CDMRPのような傷痍軍人の治療という直近の要請に応えるというものだけでなく、DARPAのように、より広い視点で、トカゲやイモリ、プラナリアの再生能力から発想して研究に取り組むということは想定し得ることで、その中で、STAP細胞に注目するということも十分あり得ると思うのですが・・・。
この頃、生物の不思議関係の一般向けの新書を幾つか読んでいるのですが、本当に不思議な生物の生態の数々で、読んでいて飽きないです。
『へんな虫はすごい虫』(安富和男 ブルーバックス)
『生き物たちの不思議な超・感覚』(森田由子 サイエンス・アイ新書)