理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

2  STAP細胞=ES細胞正体説の根拠の脆弱さ―なぜES細胞で再現実験をしようとしないのか?.

 
第二点の、ES細胞による再現実験がなされないという点についてです。
冒頭書いたように、ES細胞が正体だというのであれば、それを使って、電子顕微鏡で観察された一連の画像を再現してみれば、一発で納得される話ではないのでしょうか? 形状、大きさ、性質、光り始め方、マクロファージの動き等々、再現して、「種明かし」をしてくれれば、ES細胞説懐疑派も納得するでしょう。
 ES細胞から、STAP幹細胞も作り、FI幹細胞も作ってほしいものです(ES細胞からES細胞を作るのに、「35日かかる」というのはどういうことでしょうか?)。
 物理的には、簡単にできるのではないかと素人としても考えるのですが、何か難しい点があるのでしょうか?
 犯罪捜査において、再現実験がしばしば行われることは上に述べた通りです。それも含めて緻密に事実関係が矛盾なく積み上がらなければ、犯罪を立件することはできません。本来、論文調査を超えて科学的調査を行ったとする桂調査委員会がやるべきものだったと思います。
 
 
●話は逸れますが、再現実験ということであれば、ES細胞から作製したキメラマウスから、STAP細胞(+STAP幹細胞)を作り、それでそのSTAP細胞等と最初のES細胞、ESキメラマウスの遺伝子分析をして、比較してみてほしいところです。
 この点は、昨年1226日の桂調査委の記者会見で、桂委員長らが動揺した質問に関連するものです。桂委員長が動揺したのは、
 
 ①ESキメラマウスからSTAP細胞を作ったら、遺伝子は一致しないのか
 ②残存しているキメラマウスは分析しなかったのか?
 
の、2つの質問でした。
 前者の質問は、言うまでもなく、マウスのコンタミの可能性を前提とした質問です。以下の記事の「疑問6」の部分です。桂委員長の狼狽ぶりと、米川氏、伊藤氏の質問の趣旨が理解できていない様子がビビッドに伝わってきます。   
 
 その時に、素人考えではありますが、次のように書きました。その感想は今も変わっていません。
「そんな何回も都合よく、ES細胞を混入できると考えるほうが不自然ではないでしょうか。201111月に初めてできて、「2012年1~2月に特にたくさんできた」と桂委員長は述べていますが、その「たくさん出来た」たびごとに、小保方氏がESをせっせと混入していたというのでしょうか? そういう推定のほうが現実的でないように思えます。むしろ、多くの局面でES細胞の特徴がでているということは、もともとのSTAP細胞作製に使ったマウス自体が、ESを作ったマウスと同系統、同種のものだったのではないか、と考える方が自然ではないでしょうか。」
 
 桂調査委は、遺伝子解析にしても、小保方氏に渡したマウスの遺伝子タイプが若山氏の記憶を正しいという前提で行っています。桂報告書では、コンタミ防止策は採られていたとあっさり書いてありますが、
「マウスの系統管理も、系統間のコンタミネーションに対しては、部屋、あるいはラックを変えるなどの防止策は採られていた。」


 桂委員長は問われて、「実際はわからない、そこにいたわけではないので」と答えています。
 
 実際、若山氏の言う通りの遺伝子解析結果になっていない点もあり、若山氏も交配ミスの可能性を述べていることは、報告書でも言及されているわけですから、若山氏が生命線の如く主張したように、マウスのコンタミ、交配ミスの可能性を全否定する前提に立つのは、科学としておかしくないでしょうか?


 交配ミスという話は、実際に昨年、理研で大きな問題となりました。理研が外部の研究機関に要求された仕様に基づくマウスを作製して提供するという受託サービスをしている中で、コンタミが生じてしまったということで、41の研究機関の研究に支障が生じた旨の報道がありました。
 
理研、誤ったマウスを提供 41機関、研究に支障も2014622日)
 
 注文に基づく交配を専門にやっているバイオリソースセンターでさえ、こういうことが広範囲に生じたのですから、一般の研究室でコンタミが起こっていないと決めてかかるほうがおかしくないでしょうか? 


 実際に使ったマウスも、STAP細胞も、残念ながら冷凍保存されていないですから、桂調査委の調査の前提が本当に正しかったのかは、神のみぞ知るです。
 
 だとすると、再現実験で、マウスのコンタミの可能性を確認できないだろうか?と思うのですが、何かやり方はないものでしょうか?
 丹羽氏による検証実験では、有意に発光する細胞は少ないながらもできたわけですから(ただ、それを受精卵に注入してもキメラにならなかったために、万能性を確認できなかったというもので、若山氏が難しいと述べたように、注入技術の差異が影響している可能性は排除できないでしょう)、その有意に発光した細胞を死なないうちに直ちに冷凍保存して、遺伝子解析をかけることは可能ではないでしょうか? それができるのであれば、ES細胞からキメラマウスをまず作り、その後にそのキメラマウスから、丹羽氏が作ったようなSTAP様細胞を作り、それぞれの遺伝子を解析して比較してみれば、どれだけ似ているのかが分析できるのではないでしょうか?


 また、そのキメラからES細胞を作ってみることによって、桂委員長が会見で曖昧に述べた「キメラからESを作るときに、新たな変位が入る例が多い。全く入らないかといえばわからないが、その程度の変位は次世代シーケンサーを使えば全部検出できる。」ということの適否も確認できることでしょう。
それらの遺伝子の特徴が酷似するということになれば、桂調査委員会が、「ES細胞混入」説によって説明した事象も、マウスのコンタミによって説明できることになり、構図は激変します。
 
 これは、小保方氏サイド(が委託した第三者)でできないものでしょうか・・・? 最終的にキメラマウスまで作るのは、受精卵への注入技術が至難な中では、小保方氏ではできないのでしょうが、(万能性を示す程度は本来のSTAP細胞よりは低くとも)有意に発光する細胞を作成するところまではできるかと思います。それをES細胞から作ったキメラマウスから作ってみて、遺伝子解析でそれぞれの特徴を比較し、もしも酷似するという結果が出たら、桂調査委員会の結論にカウンター的な大きな一石を投じることになる・・・と感じます。
 
●だいたいが、何十回も、毎回毎回、ES細胞を解凍して、増殖速度を微妙に調整しながらタイミングよく混入した、あるいはES細胞にすり替えたと考えるほうが、よほど現実離れした想定ではないでしょうか? そんなことを本気で論じる感覚の方がおかしいのではないのか? と門外漢ながら(門外漢だからこそ?)感じます。
前にも書きましたが、あれだけ小保方氏のことを、杜撰な人間で、研究のイロハも知らないと罵倒しておきながら、ES細胞混入の局面になると、突然、スーパーウーマンの手品師として、高度なESの増殖などの調整能力のある人間に早変わりさせてしまうのですから、そのご都合主義には、唖然とするばかりです。
 
 それよりは、「マウスのコンタミ仮説」に立って、ESのキメラマウスが誤って手交されたため、STAP幹細胞がES細胞の遺伝子の特徴と酷似する結果となったと考えたほうが、よほど現実感がありますし、上記のような無理の多い手品師的、スーパーウーマン的な行動を想定する必要もありません。そして何より、ES細胞では説明がつかない諸材料と整合させることができる、ということです。
 
 
STAP細胞を捏造と決めてかかる研究者たちに不信を感じるのは、ES細胞では説明できない諸材料を無視して科学的検証をしようとしないこともそうですが、それだけではありません。
根っこのところでは、生命科学の謎である、プラナリアやイモリなどの驚異的な再生能力について解明もしていないのに、物理的に死にかけるほどの強い刺激によって万能性を獲得するというSTAP細胞のコンセプトと通じるものがあると思われるにも拘わらず、それを頭から否定しようとするその姿勢に対してです。
そういう生命の神秘を探究しているのが生物学なのでしょうから、STAP細胞のメカニズムに何かヒントが潜んでいるのではないか?と素人としては考えるのですが、専門の研究者はちらりとも考えないのでしょうか?
考えないないなら考えないでいいですが、それなら、身近なプラナリアやイモリなどが驚異的な再生能力を示す際に、切断面の細胞では何が生じているのか? メカニズムを詳細に説明してみせてほしいものです。


早稲田大学の小保方氏の学位取消決定を考える際には、まずは、前提となっているであろうES細胞正体説の根拠の脆弱さについて、併せて考えてほしいと思います。