理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

ネイチャー誌へのインタビューを使って不適切演出をしたNHKスペシャル

以前、NHKスペシャルの放送倫理上の問題点を指摘した中で、そのひとつとして、ネイチャー誌へのインタビューの不自然さを挙げました。
 
 ネイチャー誌側の発言内容は「我々も画像の加工に注意を払う必要があった」ということのみですが、番組の流れの中では、STAP細胞の存在自体を否定している流れの中に、そのインタビューが配置されていることは、上記記事の中で述べました。
 
 番組の流れは、次のようになっています。
 
①冒頭の奥まった部屋の暗い雰囲気でのクローズアップと、小保方氏はいつもここで一人で研究していた旨のナレーション。
②最初の分子生物学会の学者たちの「単純ミスとは思えない」「こんなことはあり得ない」「7割の画像に何らかの不自然な点や疑義がある」との立て続けの指摘。
③実験ノートに、キメラマウスやその元となる細胞をどう作ったかの記述がない旨のナレーション。
ハーバード大のジョージ・デイリー教授の「万能細胞の世界的権威」との紹介の後の、再現できないかったことと、死細胞の発光だったと考えている旨の紹介。
⑤遠藤氏の「調べれば調べるほど、STAP細胞の存在自体がわからなくなる」との発言。
⑥若山氏によるアクロシンGFPの遺伝子混入の知らせを受けてのES細胞混入の可能性指摘。
⑦そこで「ある事実がわかった」として、留学生のES細胞紛失の「証言」を紹介。
⑧「これまで再現の成功例なし。異なる遺伝子の存在。ES細胞混入可能性の指摘、等に答えないまま検証を進めようとしている。」との批判。
分子生物学会メンバーによる論文の検討風景と7割の論文に疑義、不自然な点があるとして、画像を黒塗りしていく演出。
STAP幹細胞にTCR再構成がなかったことを以て、「根底から崩れた」とし、「立ち止まるべきだった」と指摘。
⑪自己点検委員会の鍋島委員長の「笹井氏は、この一件で、これまで人生かけて積み上げてきた本当に大事なものを失った」とのインタビュー発言。
⑫ネイチャー誌のインタビューでの「加工に注意を払う必要があった」旨の発言。
⑬中山教授の「段々不正を働く人が増えている。それを誰も防止しようとしない」等の締めくくり発言。
 
 こういう流れの中でそのインタビューを見ると、あたかも、ネイチャー誌も、STAP細胞の存在に否定的な見方をしているかのように思えます。
 しかし、今回のネイチャー誌のSTAP特集によって、その時点では、STAP細胞の存在の有無は未解明であるとのスタンスであったことが明確になりました。つまり、NHKスペシャルは、ネイチャー誌へのインタビューを使って、不適切な演出をしたということになります。

単に、石井調査委によって理不尽な改竄認定された画像の加工のことだけであれば、ネイチャー誌は、複数の画像の間に線を引けばよかったと指摘していた程度のことですから(若山氏の同様の発言をしています)、この脈絡の中で使う材料にはなり得ないはずです。その程度のネイチャー誌の当時のスタンスでのインタビューを、あたかも、ネイチャー誌もSTAP細胞の存在には否定的な見方をしているかのように印象付ける演出は不適切であり、放送倫理上問題があると思います。