理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

今回のネイチャー論文では、ES細胞とTS細胞が塊になって注入できることを試験したということか?

  

 ネイチャー誌に9月23日付で掲載されたSTAP細胞に関する「NATURENEWS」ですが、

http://www.nature.com/news/failed-replications-put-stap-stem-cell-claims-to-rest-1.18412 

 

 ご教示いただいた下記の掲示板の「168」以降に、訳が掲載されていましたので、備忘的に転載させていただきます。

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/read.cgi/study/12348/1442990249/ 

 

この中に、ES細胞とTS細胞の複合のコンタミのことが書いてありますが、何か、ケンブリッジ大のルドルフ・イェーニッシュ氏によって新規に試験が行われたのでしょうか?? 胎盤の発光に関連しての記述です。

胎盤の発光は、TS細胞の複合汚染によるものだと主張していたイェーニッシュ氏が、その主張を裏付ける実験結果を示したということなのでしょうか? この記事を読むと、「昨年4月にそう主張していたが、裏付ける証拠はなかった。しかし最新の分析は、それを示している」というように取れますが、どうもいまひとつ曖昧でよくわかりません。遠藤氏と同じような解析による主張なのでしょうか?

 

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■再現不能によりSTAP幹細胞の諸問題は終了した。
 

 複数の研究機関が、一見奇跡的な結果は普通の幹細胞混入が原因だったと結論付けている。

  デイヴィド・シラノスキー

   2015.9.23
 

日本と米国の研究者達が昨年主張した幹細胞を作る画期的な方法は決して最初の主張通りではなかった。それが9月23日にネイチャー誌に発表された二つの論文の結論である。--ネイチャー誌は昨年初頭に元になる不運な論文を発表した同じその雑誌である。

20141月、日本の神戸に所在する理研の発達・再生科学総合研究センター(CDB)とマサチューセッツ州ボストンのハーバード大学医学大学院の研究者達の率いるチームが2つの論文を発表し、胚性幹細胞様の幹細胞(多能的で体内の200以上の細胞型を形成する能力のある細胞)が体細胞に、酸性条件或いは物理的圧力のような、ストレスを与えることによって生成されうると主張した。著者らはその技術を刺激惹起性多能性獲得すなわちSTAP命名した。

けれども、他の科学者達がすぐに研究データに問題があるのを見つけた、、、そして調査がされ、論文は取り下げられたわけである。

しかし、示された実験手順は正しく機能するのか、そして、理研の研究室の中に残されたSTAPとラベルされた多能性幹細胞は如何に作られたかは依然として未解決事項であった。

 

コンタミ疑惑

最初の疑問の解消を助けるために4カ国七チームが様々な条件下で実験手順を再現してみた。これらチームの作業は133回の試みに達したが、ことごとく失敗した。

今回のチームの中の一つであるハーバード大学医学大学院の研究者達に率いられたチームはSTAPの研究プロジェクトが開始された実験室でもともとのSTAP共著者たちとともに働いていたチームである。 STAP状態に変換した証拠になるはずの多能性関連遺伝子が働いたときに蛍光タンパクが発現するように操作された細胞の中に彼らは確かにいくつかの蛍光を見つけた。しかし、さらなる検証でこれは細胞が自然に光を発する自家蛍光として知られる人為現象であるということが示された。他の六グループもまた自家蛍光を観測したがSTAP変換の証拠は観察できなかった。

 

不可解な容貌

また923日に発行されたネイチャー総説によれば、コンタミはまた、なぜ疑惑のSTAP細胞がES細胞にはない胎盤組織の形成能力を持つと知られたのかという、原著作の中で最も不可解な特徴の一つを説明する。人々がくだんのSTAP細胞がES細胞に過ぎないと信じ始めたときですら、なぜ研究者達が胎盤形成を見れたかの説明はなかった。しかし、最新の分析はTS細胞(発生中の胚の中で胎盤を形成する細胞)の混合物がES細胞にまぜられて、その混合物が胎盤形成に使われていたということを示している。

というのがケンブリッジマサチューセッツ工科大学の幹細胞科学者ルドルフ・イェーニッシュが2014年の4月にネイチャーのニューズチームに示した説明である。彼は再現努力をした仲間の一人であるが、それを実証する証拠は持っていなかった。

引き続く疑問は、如何にしてこれらのES細胞とTS細胞が実験時にくだんのSTAP細胞と置き換えられることになったかである。クロスコンタミ(一つの細胞培養の別タイプの細胞による事故コンタミ)は生物学でよく知られた問題である。しかしSTAP論文データの間違いを説明するためには複数の独立したコンタミの連続が必要になってしまう。

「単純なコンタミや不注意な取り違えのあるデータを一つずつ突き合せて検証することは非常に困難である」とハーバード大学医学大学院の幹細胞科学者ジョージ・デイリーは述べている。原論文の責任著者達にコメントを求めているが未回答のままである。

総説は今回のSTAP物語に積極的な教訓を見つけることを望んでいる。記事の中で、デイリーやイェーニッシュ及び他の人々は、任意の新しいタイプと主張される多能性幹細胞に実施されるべきだとする厳格な「法医学」的分析を詳説している。これは発表前に行われるべきだと記事は結論付けている。デイリーは、総説は時事的である、何故ならば、STAP論文の失敗は別として、「多数のグループがこれまで以上に微妙な多能性の状態をつぎつぎに報告して来ている」からだと述べている。その概括は、そのような細胞型を評価するのに役立つ、シーケンシング技術の進歩によって可能になったゲノム解析に焦点を当てている。

デイリーは、この記事がSTAPエピソードに終結をもたらすと述べている。ただし、胚様状態にある細胞にリプログラミングする方法を探している科学者に注意して、「私たちは皆このような主張を評価するに際し、少しばかりより注意深くなるであろう」とも。

 
Nature doi:10.1038/nature.2015.18412

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 上記の記事の中で、

 
コンタミはまた、なぜ疑惑のSTAP細胞がES細胞にはない胎盤組織の形成能力を持つと知られたのかという、原著作の中で最も不可解な特徴の一つを説明する。人々がくだんのSTAP細胞がES細胞に過ぎないと信じ始めたときですら、なぜ研究者達が胎盤形成を見れたかの説明はなかった。」
 

 という指摘は全くその通りで、科学界は全体整合的な説明をしようとしませんでした。

 しかし、それが今回の、ネイチャー誌に掲載された論文で整合がとれたかというと、話は逆で、ネイチャーの今回の特集は、「全体として整合がとれない」という構図の縮図となっている感があります。

 

 ルドルフ・イェーニッシュ氏らは、胎盤が発光しているという前提で、その要因をTS細胞の汚染に求めており、ネイチャーNewsも、それを追認しているのでしょう。しかし、理研の論文は、桂調査委報告書の詳細版だということであれば、胎盤は発光しておらず、卵黄嚢の誤認だという認定です。

 並べて掲載された論文で、その点の基本的前提が異なるというのはおかしな話ではないでしょうか? その異なる前提の2論文で、STAP細胞の謎は解けたとするのは、もっとおかしな話ではないでしょうか。すべての材料、反証仮説をオーバーライドするような全体整合的な結果を示して、初めて謎が解けたことになるのだと思います。

 

 ちなみに、須田記者の『捏造の科学者』には、小保方氏らがセル誌への投稿時に、山中教授とイェーニッシュ教授とを査読者から外すよう求めた旨が書かれています(P304305)。

 

ES細胞とTS細胞の複合だというのであれば、例の丹羽氏の「ESTSを混ぜると塊にならず、くっつくそばから分離してしまう」という実験結果と整合が取れません。もし、イェーニッシュ氏が、遠藤氏のような遺伝子の解析によるものではなく、実際にESTSとを混ぜて細胞塊を形成させて、それを注入したものによってキメラマウスを作ったというような再現実験結果を示した、ということであれば、丹羽氏の主張を覆すものになりますから、大きな意義があると思いますが、実際のところはどうなのでしょうか?

 

こうやってみると、今回のネイチャーのSTAP検証特集も、混迷を再確認するもののような印象です。同誌が述べるような、検証を終結できるような状況とは思えません。

 

 「STAP細胞はES細胞だった」という主張については、ES細胞そのもの、ES細胞の浮遊細胞、桑実胚、TS細胞との混合等、各種バリエーションがあり、ES細胞「混入」なのか「すり替え」なのかでまた説が異なります。お互いにお互いの説を否定する材料を示しているようでもあり、笹井氏、丹羽氏、かつての若山氏の提示した材料との整合をとれる説明も存在しないように思われます。

 

 こういった不整合が少なからずあるにもかかわらず、そして、STAP論文が撤回されているにもかかわらず、それでも強引に、日本のみならず世界の科学界が、「あれはES細胞だったのだ!」と断定し、世界に印象付けようとするというのは、大きな違和感・・・というか異様な感が正直します。フルフォード氏らの「STAP細胞はなぜ『抹殺』されたのか?」との陰謀論も、あながち妄想とは言えないかも・・・とも思えてきます(笑)。

 

 

●それにしても、ネイチャー誌も妙です。

 以前の記事で書いたように、ES細胞だったというのであれば、自らの査読がいい加減だったと言われたに等しい話ですから、「ES細胞のコンタミではないか」との査読での指摘に対して、どういう材料が示されて、コンタミではないと納得したのか?について総括的に検証するのが筋のはずです。


この査読過程については、理研の調査委も入手し、毎日新聞の須田記者も入手し、『捏造の科学者』で概要を紹介しています(p308以降)。初投稿の時とは違って、大きな関心を示し、賞賛しているとしつつも、「問題点や疑問点を多数挙げていた」「追加実験をしたうえで改訂をするように強く勧めていた」とあります。須田氏は、10日目以降の遺伝子群の働きの減衰するデータの削除を「不都合なデータの削除」だといい(笹井氏や西川氏は不都合ではないと否定)、TCR再構成に関しては「恣意的な操作」だとしていますが、それ以外に、多くの疑問点が示されたように書かれています。

単一細胞で確認すべきだということも書かれています(それではできないから若山氏も苦労したわけですが)。

それらの疑問点、指摘が何だったのか?どのようにクリアされたのか?もっと詰めるべき点があったのかどうか? 等について、本来、ネイチャー誌側が検証して然るべきだと思います。それが、STAP細胞問題の科学的論点の抽出整理にもつながるでしょうから有益な材料になると思います。


理研にしても須田氏にしても、一連の査読過程の資料の全文を有しているのであれば、自らのストーリーに合う指摘だけをピックアップするのではなく、査読における全指摘とそれに対する著者たちの対応の一覧を読者に供するのが、本来期待されるところです。